あらすじ
島根県出身の細菌学者・秦佐八郎(1873~1938)。難病だった梅毒の特効薬「サルバルサン」(世界初の抗生物質)を、ドイツのエールリッヒと共に開発し、多くの人命を救った男である。その佐八郎の人生を、現代の感染症界のエース・岩田健太郎がノンフィクション・ノベルとして描きだす。研究とは何か、科学の才能とは、実験、競争、虚栄心と嫉妬、エリートのプライドと劣等感、研究倫理……現代に通ずるテーマとして問いかける。
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Posted by ブクログ
夢中で一気に読んでしまいました!
登場人物が歴史上の偉人も多いのですが、さりげなく、しかし存在感はとても強く描かれていて、当時の世界にタイムスリップしたかのような感覚を得ました。戦記、前記の織り交ぜ方も絶妙なだけに。
その中に、愛もあり、一転して不思議な世界が広がったり、岩田先生のメッセージも随時盛り込まれている至極の一冊です。
話しに登場するので、ここ数年毎年見る機会があるのですが、youtubeで石見神楽を聞いてみたりと、少しでも作品の世界にイメージを近づけたいなと努力をしてみたりもしてしまいました(笑
しかし、こういった先達達の努力の先に自分たちがいるということを身にしみて痛感。なにげなく使う(感覚としてで、適当に処方しているわけではありません)抗菌薬はまさにその結晶。
最後に、医学ではないのかもしれないけれど、僕の肩に乗っかってくれた人たちが、僕が見たことのない世界を見れるように、僕も努力を続けようと思います。
Posted by ブクログ
あちこちにちょっとした無理があるが、ともかく楽しく読めた。別途まじめな評伝書いてくれないかなあ。
真意はまだわからん。しかし判らないときはさしあたって判断保留するのが一番妥当なやり方だ。自棄にもならず、卑屈にもならず、まずは目の前の仕事をコツコツとやるだけのことだ。話はそれからだ。恨みに思わない。我慢していない。何度も繰り返し事務的で定型的な(中略)することによって、(中略)力が高まっていくことを実感していた。
すごくよくわかる。
Posted by ブクログ
秦佐八郎と聞いて、あの人ね、と頷ける人は少ないのではないかと思います。大学時代に化学を学んでいた方からの紹介で読んだのですが、面白かったです。静かで、すごい学者って本当にすごいと思います。
時々、あり得ない展開の飲み会が挿まれたりしますが…そこはもっと普通に時代を俯瞰した形で書かれた方がよかったのではないかなーと思います。きっと編集者と盛り上がっちゃったんでしょう。