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抗生物質は多くの国で間違った使い方をされているが、日本においてそれは顕著であり、ほとんどが誤用の抗生物質すらある。必要のない症状に漫然と処方されているため耐性菌が増え、抗生物質を治療の切り札とする感染症に使用できずに患者が亡くなることもある。つい足し算の医療をしてしまう医師、医師まかせにして病院ブランドや薬にしがみつく患者の双方の態度に警鐘を鳴らしつつ、臨床医学のよりリッチな世界観へと読者を導く。
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Posted by ブクログ
日本の抗生物質は「効かなくてもいいから副作用だけは起こすな」という考えで少量でバンバン処方して、バンバン耐性菌を作っている。 かぜと抗生物質が必要な肺炎などの境目はグレーで、グレーであれば「待てる状態」なので、抗生物質は処方しない。 抗生物質は命にかかわる感染症に、点滴で大量投与する大事な切り札。少...続きを読む量投与は耐性菌を生み出し切り札を使えなくしている。 歯科・皮膚科で出る抗生物質の多くも誤用。 とびひは抗生物質を処方しなくても殆どが治る。 各専門医は感染症をやっつけ仕事で対応されているが、感染症のプロに任せた方がいい。楽。 検査・薬を足していく「足し算の医療」から卒業すべし。
抗生物質に関する書。 医療における抗生物質使用の現状と、あるべき姿について、歯に衣を着せぬ(そしてかなりコミカルな)語り口で説明しておられて、楽しく学ぶことができた。 理学療法士の僕としては、薬剤に関わる知識に乏しくこんがらがるところと、理解の足りないところが多かったのだけども、かなり柔らかい説明だ...続きを読むったと思う。 著者の哲学における造詣も深く、勉強になった。 書中に多数ある引用については、それぞれモトとなった論文や情報を文章中に掲載しておられるので、嬉しい。 著者は島根県出身(島根医科大学卒業)と言うことで、島根の病院に勤める僕としては、勝手に親近感を抱くことができた。 抗生物質(だけ)に留まらず、医療のあるべき姿について熱く語っておられて、刺激を受けた。 もっと勉強したいとおもって、この方の本を検索したら、かなりの量だったのでビックリした。 でも、楽しそうなので、また読んでみたいと思う。 ---------------- 【内容(「BOOK」データベースより)】 抗生物質は多くの国で間違った使い方をされているが、日本においてその間違い方は顕著であり、ほとんどが誤用である。必要のない症状に漫然と処方されているために、耐性菌が増え、抗生物質を治療の切り札とする、命を奪う肺炎や、急性喉頭蓋炎、髄膜炎などの感染症治療の際に使用できず、患者(子どもを含む)が亡くなるようなことも起きている。また心臓への副作用などリスクも報告されているが、知らない医者・患者も多い。「よくなってほしい」「誤診が怖い」と、つい足し算の医療をしてしまう医師、そして医師まかせにして病院ブランドや薬にしがみつく患者の双方の態度に警鐘を鳴らしつつ、「微妙な状態をビクビクしながら待ち、時間を活用しながら薬が必要かを判断する」という、臨床医学のよりリッチな世界観へと読者を導く。医者と患者と薬、その関係を問い直す一冊。 ———————— 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 岩田/健太郎 1971年島根県生まれ。神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学都市安全研究センター教授。1997年島根医科大学(現・島根大学)卒業。沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院内科などで研修後、中国で医師として働く。NYで炭疽菌テロ、北京でSARS流行時の臨床を経験。2004年帰国し、亀田総合病院(千葉県)に勤務。感染症内科部長、同総合診療・感染症科部長を歴任し、現職 ———————— 【目次】 はじめに 第1章 かぜに抗生物質は必要ない 第2章 21世紀の感染症の世界 第3章 「診断」という知的営為――臨床医、リッチな世界観を持つべし 第4章 臨床をなめんなよ――現場の医療レベルが上がらない、その理由 第5章 経口三世代セファロスポリンは、99・9%が誤用 第6章 日本感染症界の「黒歴史」 第7章 もっと「感染症のプロ」を――日本の感染症専門医、その信頼性について 最終章 さらば、「足し算」の医療――ポリファーマシー(多薬剤処方)の問題 ----------------
岩田先生が日頃からおっしゃっている日本に抗菌薬の使用状況について記載されています。 患者さんの啓蒙にも役立つ内容です。医師、薬剤師、看護師、患者さん・・・様々な人に読んでいただきたい内容です。
題名は煽情的だが、内容はいたって真面目. 抗生剤の話は半分くらいで、他は著者お得意の二元論的思考の危うさなどをわかり易い言葉で書いてくれている. 著者の愛読者やブログ読者にとっては目新しさはないものの、やはり中庸の大切さを再確認させてくれる書である.
抗生物質の世界での使われ方、日本の現状、耐性菌の問題を提起。 日本の医療現場での抗生物質の使い方による問題点。 風邪に対する抗生剤の意味がないことを始めとした、間違った使い方の実例。各種抗生剤のバイオアベイラビリティから有効性の説明。 安易な薬剤選択にいたるまで、いかに間違った医療が行われているかを...続きを読むEBMを提示し指摘している。 このままの選択が続くことで耐性菌へのアプローチができなくなることの危惧をわれわれも感じなくては成らない。 日本の専門医制度の問題点とともに早く改善し感染症専門医による正しい診断と治療の普及が不可欠であることがわかる一冊。
抗菌薬の適正使用がいかに大切で、日本では雑な使われ方をしてるかが誰でもわかる啓蒙的名著。 タイトルは過激ですが、トンデモ本ではありません。 少しでも日本の患者・医師の両方の意識が向上することを願う!
いつもながらの論旨を、今回は一般向けに平易な内容で。だからといって既存の書物より価値が低いとかいう訳では全くなく、ここに書かれた諸々が、広く市井に膾炙するようになれば、医療者側・患者側双方にとって、信頼に足る医療世界が構築されていくことになろう。題材は抗生物質に求められているが、その意図するところは...続きを読むあらゆる医療行為に通じる。医療と関わる可能性のある人(すなわちほとんど全ての人)それぞれが熟読した上で、自身の医療に対する態度を熟考する必要があると感じました。
風邪などへの第3世代セフェムの経口投与の99.9%は誤用、というのはタイトルの通り。だけど本当の論旨はそれを生み出す日本の医療界のありかたを鋭く突いている。
専門的でない人に向けた、感染症治療に対する啓蒙書。 ・風邪に抗生剤はいらない。 まさにこれですね。多剤耐性の菌に、免疫グロブリンを使うと抗生剤のMICは下がるし、臨床でも確かめられてるいるので、悲観はしてないですが。
かなり面白かった。 個人的に抗生物質の耐性は患者として気にしているが、医者が気にしていない理由が分かった気がする。 感染症の専門家が少なく、CRPを大事にするとか、もう完全に日常のトレースの様。 この抗生物質は予防なのかと、非常に納得出来た。 ただ、日本の医療のレベルの低さは患者と医者のせいとあるが...続きを読む、厚労省の責任も大きい。 低賃金の医療関係者は景気が良くなると貧困層の仲間入りレベル。 勝手に世間に合わせられる公務員とは違う。
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