佐藤多佳子のレビュー一覧
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痛くて切なくて頑なで…こんな物語に若い頃出会いたかった!
木島悟と村田みのりの心情が、小説というキャンバスの中に広がって見えた。
「りんごの顔」
小学五年生の木島悟はろくでなしの父親、テッセイの暮らすアパートで一晩を過ごすことになる…
悟の意地らしさに思わずうるっときた。夢の中でりんごが「顔を描け」と迫る。怖くて泣き出す悟の代わりにりんごの顔を描くテッセイ。この夜の父の後ろ姿を悟は決して忘れないだろう。
「黄色い目の魚」
みのりちゃん、魚は動物じゃないのよ…
家でも学校でも嫌われる村田みのりは、イラストレーターの叔父、木幡通のアトリエに入り浸る。
テンポが良くさくさく読める。
中学生に -
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ひょんな事から、噺家の下に集まった話すことに難を抱える人達のお話
以下、公式のあらすじ
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俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ッ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで……胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%!
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落語好きの祖父の影響もあって噺家になった今昔亭三つ葉(外山達 -
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努力して成長して自信をつけてまた次の努力に繋げる主人公からもらえるパワーとか、家族に応援してもらえる嬉しい気持ちとか、レース前の半端じゃない緊張感、レース中の手に汗握る感じ、ゴール後の爽快感とか、いろいろ読み応えがあった。
一番印象的だったのは、チームの仲間と目標や気持ちが一つになって競技の練度が研ぎ澄まされて足し算を超える強さを生み出す様。
自分も中学から大学まで部活動をやっていたけど、ここまで仲間と一体になって、長所を伸ばしあって短所を補いあう経験はできてなかったなと思い返した。仲間がどうしたいかとか、いまみんなの力を最大化できる目標設定は何かとか、ここまで考えてなかったなと。
こういう -
Posted by ブクログ
ネタバレ再読。
主人公富山は、アルコ&ピースのオールナイトニッポンのヘビーリスナー。
とある事情で大学を休学して、コンビニで深夜アルバイトをしている。
バイトの先輩の鹿沢、バイト先によく現れる女子高生の佐古田、高校の友人永川は何かと富山を気にかけてくれ、ラジオを共通の話題として仲を深めていくうちに少しずつ富山の心境に変化が生まれていく。
実在した伝説のラジオ番組を軸とした、深夜に「明るい夜」を探して出かける若者たちの交流の話。
私自身、富山たちほどではないし投稿はしないけれど、いくつかのラジオのリスナーなので、実際の放送をイメージしながら読めて楽しかった。
深夜ラジオはリアルタイムではなく