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Posted by ブクログ 2024年03月10日
大好きな作家、佐藤多佳子の作品。期待以上の傑作だ!
まず、具体的な芸人や番組を取り上げてくれている。著者は私と同年代だから、すごい取材をしたんだろう。私たち世代なら谷村新司「セイヤング」鶴光「オールナイトニッポン」などになるが、アルコ&ピースを綿密に描写していて頭が下がる。風景描写も素晴らし...続きを読むく、後半の平潟湾の富山と佐古田の夜の散歩?は風景が目の前に鮮明に現れた。そして、佐古田、つまりは虹色ギャランドゥがめちゃくちゃ魅力的なキャラで、富山との不器用な恋路の行き先が気になってしまう。今を生きる若者の成長を綴った本作は「サマータイム」「一瞬の風になれ」と並ぶ、著者の代表作だと感じた。
佐藤多佳子さんの小説は本当に良いです。人物に感情移入しながら物語の世界に没入できます。ラジオについてもっと知っていたら、このお話をもっとずっと楽しめたのかもなと思いましたが、そうじゃなくても十分に楽しめます。多くの人におすすめしたい作品です。
Posted by ブクログ 2024年02月05日
本との出会いってすごく運命的 適当に手にとったこの小説でそんなことを改めて感じた
なぜなら私は中学高校の頃から二十数年ぶりに、今まさに、ラジオ(正確にはポッドキャスト)にハマっているから!こんな偶然!
佐藤多佳子先生はいいイメージ 2-3作品?読んだことある それだけで裏表紙のあらすじも見ずに読み...続きを読むはじめた
コミュ障のコンビニバイト話かと思ったらまさかこんな素敵4人のストーリーとは!鹿沢はかっこいいし佐古田は天才でかわいい 年もいい感じな距離感 ラジオだけじゃなく歌い手にアメーバピグ 後半のアルピーANN実況の熱量!これこれ佐藤先生の文章 主人公頭の中の言葉がどばーと溢れてくる感じ 止まらない
ラジオ描写はアツいけど全体的には落ち着いた夜 深夜のコンビニ 金沢八景 国道と海 いい青春小説 成長あるし繋がりあるし辛さもある いいな成長って バイト辞めること伝えた時の副店長もいい!
カレー屋で佐古田にはたかれた後の「いつか、ぶち返す」が周りの反応含めて最高だった
「夜」という言葉の持つ深さと、「明るい」という言葉の持つ強さ。十人いれば、きっと十通りの「明るい夜」のイメージがある。
Posted by ブクログ 2024年01月07日
久々に引き込まれた本に会えた
実在する登場人物が出てくることで
実際あった話のように感じられたところが
夢中になれた理由のひとつだろうか
誰でも何かしらの人とは違ったところを持っていて
それを個性と呼ぶのだろうが
主たる登場人物の4人は
普通よりもより個性的で
それ故に生きづらさも抱えていて
そ...続きを読むの部分を補い合うわけでも認めるわけでもなく
ただそのままでいいから
一緒にいられるようになっていった
そのままの4人が
お互いに影響し合って
それぞれが変化していく
そんな関係が
「いい」関係というのだろうなと思わせてくれた
読み終えるのに年をまたいでしまったけれど
よい年末年始だった
Posted by ブクログ 2023年10月02日
マジでおすすめ。
主人公は女性と関わるのが苦手な
ラジオリスナーの大学一年生。
だんだん成長していく姿とか
コンビニの夜勤の描写とか最高だから
とりあえず読んで欲しい。
Posted by ブクログ 2023年09月20日
富山、トーキング・マン、ジャンピング・ビーン。
物語の要になる4人はそれぞれインターネット上、ラジオ上での別の名前があるのが特徴的な本作。
少しとはいえラジオをかじり歌い手も人並みに聴くためはがき職人とパーソナリティとの掛け合いや独特な関係性の理解もスムーズでつっかかりなく読めた。
はじめて鹿沢...続きを読むの”だいちゃ”という歌い手の姿をみた主人公は「だいちゃより鹿沢さんのほうが面白い」と評し、コンビニ店員としての裏、歌い手としての表の姿の乖離や違いにある種の共感性羞恥のようなものを感じる、どこか冷めた俯瞰的な人間に思えた。
読み進めていくうちに富山のラジオ愛、職人としてのプライドや挫折、佐古田を美容院に連れ回したことを謝罪する素直さや荒井さんとの衝突を諦めずに立ち向かう前向きな姿勢、永川の過去を責めずに許す大らかさなど、彼が本当はめちゃくちゃ熱い奴なんじゃないか?と気付かされる。
「明るさを求める気持ちは、すでに、きっと暗い。でも、その暗さを心に抱える人を俺は少し信じる。そんな蛾のようなヤツらなら、通じる言葉がある気がする。」
ラジオ・ニコ生配信という夜行性の共通言語をもとにバラバラの4人が交わる本作は、1年を通して富山が成長していく、眩しいコンビニの光に照らされた明るい夜の散歩を垣間見たような優しい気持ちになった。
Posted by ブクログ 2023年07月01日
すごく良かったです。
大学生と高校生、フリーターの4人の物語。
第一印象はそれぞれ悪かったけど、
だんだんと関係が良くなる濃くなる4人。
そして、それぞれ何かを乗り越えていく。
普段全くラジオを聴かない私にとって深夜ラジオは未知の世界の話でしたが、とても面白そう!聴いてみたい!という欲求が高まりま...続きを読むした。
伊坂幸太郎さんの「砂漠」といい、
仲良しメンツの青春群像劇?みたいな話が好きなのだと改めて実感できた話でした。
たまに出会える自分好みの本でした。
Posted by ブクログ 2022年11月25日
良い小説だったな…
主人公の繊細さと物語を覆う物憂げな空気が、今の気分にぴったりでした。
アンニュイな夜の半身浴に最適でした。
HSPの心の動きの丁寧な描写に驚愕するとともに、なぜだか嬉しい気持ちに。
目に見えないものを、見える形にしてくれて、ありがとう。
深夜ラジオのディープな楽しみ方を知...続きを読むりました。
過去の事件が最後まで生々しくは語られなかったのにもホッとしました。
何かが解決したわけではないけれど、人との交流が、主人公の内面に確かに小さな変化をもたらした。
読後感が最高です。
Posted by ブクログ 2024年04月11日
大学を休学しコンビニでバイトする深夜ラジオのヘビーリスナーである富山、同じコンビニでバイトリーダーとして働きネットの歌い手という顔もある鹿沢、コンビニで偶然出会った同じラジオ番組のヘビーリスナーである女子高生の佐古田、富山の旧知の仲の永川の4人が主要人物の青春小説。終始主人公である富山の独白調の一人...続きを読む称視点で語られる。
読後感のよいまさに青春小説。登場人物たち(ひいては著者)のラジオ愛がすごく伝わってきて、自分は深夜ラジオは全く聞かないが、なかなか奥深い世界があるものだと感心した。
「自意識過剰でひねくれてるし、臆病でほっといてほしいくせに、評価はされたいんだよな。目立ちたくない、目立ちたいって、まったく相反する二つの気持ちがあるよ。弱っちいくせにプライド高かったりね。」という主人公の独白は、自分の奥深い気持ちにかなり近いものがあり、シンパシーを感じた。
Posted by ブクログ 2024年02月03日
インターネットの時代に生きる若者はその世界の出来事がリアルな人間関係よりも重かったりする。ということを、ラジオ番組を舞台にして描いた青春ドラマの小説かな。自分と同世代の作者がこの若者言葉で綴るストーリーはどうなんだろう、いやそんなのマジ関係ねぇ。コンビニの深夜バイトも女子校の文化祭も知らないけどすご...続きを読むくリアルな感じで、舞台にした横須賀のコンビニなど架空のものとはやっぱり佐藤多佳子すげー、神だわ。なんて無理しても書けないが、楽しめたよ、ほんと。
Posted by ブクログ 2023年10月14日
わたしの好きなこと、熱中することは、なんだろう。
この本を読んで、まずその問いにずっと向き合っている。
『みんな』とか『効率』とか『意味』とか『収入』とか関係なく、自分の好きなことを磨き続けたいと思った。
誰とでも気軽にコミュニケーションがとれて、気の利いたことを言えて、愛嬌がある人が魅力的だと思...続きを読むっていた。だから、わたしもそんな人になれたらと思って頑張っていた節がある。自分の声より、周りの声を優先してきたことが多かったと思う。
でも、主人公のように心の中に言葉や声がたくさんあって、表に出すのが苦手な人も、とても魅力的だと思った。そのような人しか出せない魅力、世界観、言葉があると感じた。自分の言葉を大切にしてきた人しか出せない言葉があると感じた。
今のわたしは、どれほど、自分の本当の気持ちや言葉を持ち、相手に伝えることができているだろう。相手にうまく伝わらないかもしれない。誤解をそれるかもしれない。でも、自分の言葉や声を、心から大切にしていきたいと、そう思った。
Posted by ブクログ 2023年09月13日
ラジオリスナーの主人公と佐古田と永川。歌い手の鹿沢。
この作品は自分が深夜ラジオを聴くこと、配信紛いな事をしてたこと、歌うのが好きなことなど、共感できるかはともかく趣味的な共通点が多かったので、すんなり受け入れられた。
特に深夜ラジオをあまり聴いたことがない人は、なんだこれ?ってなりそう。
富山...続きを読むと佐古田のその後が気になる。
ギラギラはしてないけど、しっかり青春してた。良くも悪くも。
ある作品に影響されて、他の作品が生まれるってィィよね◎
Posted by ブクログ 2023年06月24日
深夜ラジオってこんなに面白そうで、奥が深そうな世界なんだと思った。
身の回りにラジオリスナーがそんなにいないっていうのもあるのかな。ハガキ職人とか知らなかったし。
悩む主人公ではあるけど、主人公を含めて登場人物のキャラの違いがいいなって思った。
最近はTwitterとかに変わっちゃってるのかもだ...続きを読むけど、リスナーが一緒に番組を作れるっていうのはラジオの魅力のひとつなんだろうな。今度聴いてみよ。
Posted by ブクログ 2023年08月30日
ラジオが好きだと更に読んでいてテンションが上がります。お笑い芸人のラジオを聴きまくっていた私は結構テンションが上がりました。ラジオを聴いたことがない人は聴いてみたくなるかもしれません。
Posted by ブクログ 2023年04月23日
人との付き合いによって傷ついた主人公が、人との付き合いで動き出す物語
ありきたりなようだけど、snsやハガキ職人という顔が見えない環境で自分を表現する4人はこの時代ならではの物語だと思う
Posted by ブクログ 2023年04月11日
『 勝手に「ラジオ」特集 #2 』
ー佐藤多佳子さん『明るい夜に出かけて』ー
いやー、ヘビーな印象ですねー。内容の重苦しさという意味ではありません。深夜ラジオのヘビーリスナー、SNSのヘビーユーザーという(いかにも若者的な)意味で、です。
情報機器に精通しながらも、実在の人との関係性に不器...続きを読む用な若者の、多面的なリアルを実に巧みに炙り出している物語だと感じました。
実在の深夜放送のラジオ番組と芸人さんを中心としたパーソナリティが色濃く登場し、取り巻くリスナーたちの心理・感情表現は、著者自身のラジオ愛・パーソナリティ愛の経験値に裏打ちされているからこその描写と思えます。時々、ドキュメンタリーを読んでいると錯覚するほどのリアル感です。
深夜ラジオやSNSに自分の居場所を見い出し、拠り所としている人にとっては、見知らぬ誰かとの繋がりや連帯感をもてるのでしょう。
ここに感じる〝明るさ〟は、深夜のコンビニに相通じるところがあり、光と影の鮮やかさ、明暗さの具合が物語に落とし込まれ、絶妙に描かれている気がしました。
若者たちが抱える疎外感や孤立感が、深夜のコンビニバイト・深夜ラジオやネット配信を通して、少しずつ実際に繋がるうちに、心の中に明るさを見い出し、希望へと結びついていく物語でした。
著者のあとがきと朝井リョウさんの解説、これがまたとってもいいですね。
Posted by ブクログ 2023年04月04日
富山くんの心情が怒涛のように伝わってくる文体に引き込まれるように読み進めた。
好きなものを語るときのあの情熱が未来につながるといいなと応援してしまう。
アルピーだけじゃなくて石井ちゃんやヨシキ、福田とかスタッフさんにも愛があるところがラジオリスナーだよね。
あんなに盛り上がっていたのにトータル3年だ...続きを読むったのか…
Posted by ブクログ 2023年02月25日
この本の軸となるのは僕自身大好きである「アルコアンドピースのオールナイトニッポン」だ。
このラジオを聴くことが好きな主人公が、人間関係を築くことにトラウマを持ちながらも日々バイトに明け暮れている中で、ずっと仲の良い幼馴染のA、バイト先(コンビニ)の同僚でライブ配信をやっている男B、そしてそのコンビニ...続きを読むのお客さんとしてやってきた女子高校生Cとの繋がりを描いた作品である。
まず自分がなぜこの本にのめり込めたかというとふんだんにアルピーannの内容が使われているからである。
どんな回だったか、ラジオ内での言葉などがたくさん出てきて「あーこんな回あったなー」と思い出しながら読めことができた。
そして3人の登場人物と関わることで主人公が徐々に成長していく過程も微笑ましい。
Posted by ブクログ 2022年11月15日
アルピーのラジオは聴いたことないけど、もよこちゃんも好きだと言ってたしちょっと聴いてみたくなりました。
問題の解決だけが前に進むための手段じゃないよね、という点が良かったな。解決しなくても、理解者がいるだけで生きやすくなることは大いにあると思う。タイトルだけに、ほんのり明るいエンドという印象を受け...続きを読むた。
Posted by ブクログ 2021年11月15日
「聴いていないラジオの生放送は、言葉がなくても音がなくても、俺の中ではしっかりと響いている」
この富山くんの言葉がすごく好きだった。酷く悲しい夜でも、どこかのラジオ局で誰かが喋る、それを聴く人がいる。繋がっている。決して孤独な夜はない。
主人公の富山くんが徐々に周りの人と心を通わせていく姿に感動した...続きを読む。
私も、久々にタイムフリーじゃなくて生でラジオ聴こう。
Posted by ブクログ 2024年02月03日
アルピーリスナーの人間関係とか、関わりの話で、自分も深夜ラジオが好きなので興味深かった。
主人公と世代も性別も異なるため、親近感はわきにくかったが、葛藤や人間関係の変化などを遠くから見守っているつもりで、こんな夜がたくさんあるんだろうな、と思うと悪くないなと思う
Posted by ブクログ 2023年12月23日
深夜のコンビニバイトをしている富山(とみやま)は、ある理由で大学に通えなくなり、実家を離れて一人暮らしをしている。
バイト先の先輩鹿沢(かざわ)、店にお客としてやってくる一風変わった女子高生佐古田(さこだ)、高校の同級生だった永川(ながかわ)との交流が始まり、孤独だった富山が少しずつ変わり始める。
...続きを読む
実在する深夜ラジオ番組をふんだんに織り込みながら、夜の闇を明るく照らすコンビニを舞台に、主人公の独白のような形で物語が進んでゆく。
夜を彷徨う若者たちに、ほのかに光が射していく感じがして、心が震える。
これもまた青春の一ページなのだなぁと思う。
朝井リョウさんの解説がとてもよかったです。
Posted by ブクログ 2023年12月14日
ラジオの話が多いです。アルピーのANN。深夜ラジオを聞かない身としては知らないこともありましたがしっかりと世界観に没入できました。しかし、結局のところ主人公の女性恐怖はなんだったんだろうとい消化不良感が残りエンドでした。女性を突き飛ばす位だったのにあの過程を経て治るものなのかな?
Posted by ブクログ 2023年08月18日
「ラジオじゃないと届かない」を読み、作中に出てきたので気になり読んだ。
トミヤマに長年の理解者がいたことが分かり、また新たな理解者が加わり、本人が快方に向かう流れがいい。いわゆる世間では生きづらい人達はいる。
佐古田の存在がいい。ワタシ改造計画からのトミヤマの巻き込まれ具合がいい
Posted by ブクログ 2023年04月30日
過去の事件のトラウマを背負った主人公、それが何かというのは物語を読んでいくにつれ分かっていくのですが、何かがあるという気配は最初から立ち昇っていて、それが独特の雰囲気を形作っています。仕事はコンビニの店員。若者らしく、深夜勤務のその職場に現れた変な人物。同じラジオのリスナーであるという共通点から接触...続きを読むが始まり、同じバイトの先輩や、主人公の古くからの友人も絡めて物語が回転していきます。若者らしい先の読めなさと、感性の無茶苦茶さ、視聴しているラジオ番組の馬鹿馬鹿しい無秩序とが相俟って独特の心地よい世界観を造り上げられています。対して、コンビニの仕事や住んでる地域の地理など非常に具体的に描かれており、まるでその地に足のついた生活感を感じることができます。主人公たちと同じ世界に生きるという読書体験の中で、欠点を持ちながらも一緒に何かを成し遂げようとする主人公たちを応援しようとする気持ちが、とてつもない臨場感をもって沸き上がってきます。まるでラジオをリアルタイムで聞いているような。そんな著者のラジオに対する愛と、そこから生まれてくる物語の面白さを一緒になって楽しむことが出来ます。
Posted by ブクログ 2023年03月16日
ラジオリスナーとコミュニケーションのお話。
語り口が喋り言葉風でもあって好き嫌いは分かれそうだけど、主人公の価値観みたいなものが垣間見えて良いんじゃなかろうか。
ラジオを聞いてみようという気にはなった。
Posted by ブクログ 2023年03月07日
今を生きること。そして、無理に明るくしないこと。その大切さを教えてくれる、優しい絆と熱い情熱のお話し。著者のまなざしに底なしの温かさを感じました。