佐藤多佳子のレビュー一覧

  • 第二音楽室
    十代(小学五年生も辛うじて十代だ)の女の子たちを主人公にした短編小説集。
    それぞれの短編の関連はない。
    ただ、どれも少女たちの心を繊細に描いていく中で、音楽が重要な役割を持つという共通性がある。

    鼓笛隊の「あまりもの」、ピアニカ組になった男女のグループ。
    全体としてはちょっとやさぐれた感じが漂う彼...続きを読む
  • 明るい夜に出かけて

    よく

    よくここまで、言葉使いとか、表現とか、臨場感よく、感心します。
    多佳子さんの1人称の表現が好き。神目線でなくていい。
    この方が感じやすい。いつもそう思う。
  • 黄色い目の魚
    青春小説は嫌いだ。正確には青春小説に出てくる「登場人物」が嫌いだ。
    彼らは自分勝手で思い上がっていて中途半端で性に飢えている。
    恥ずかしい過去の自分と重なってしまう。だから嫌い。

    タイトルに惹かれて手にとった本作。
    読みはじめて気づいた。青春じゃないか。
    読むのをやめようかどうしようか、そう迷って...続きを読む
  • 第二音楽室
    音楽を題材にした小説が好きで、もっというと音楽室が風景に出てくる小説が好き。
    中高と吹奏楽部に所属をし、青春時代の大半を音楽室で過ごしただけあって自分にとって大事な場所だからなのか。
    第二音楽室は吹奏楽部員の物語ではなく、音楽に触れたことのない子や音楽に救われた子等、様々な子達が様々な楽器(声)に出...続きを読む
  • 聖夜
    School and Music第二弾。第一弾が短編と中編が四つの「第二音楽室」第二弾は長編が一つの「聖夜」前作のさわやかな感じもよかったけど、重たくても主人公の気持ちが丁寧に描かれている「聖夜」の方が好きでした。正しくて神様みたいな父親が、らしくない普通の父親としての思いを、感情をさらけ出した会話...続きを読む
  • 第二音楽室
    自分には全く無縁だった甘酸っぱい青春が詰まった短編集。お気に入りは『FOUR』。いつか西澤君の思いが伝わりますように。
  • 黄色い目の魚
    特定の家族(父親、叔父)にコンプレックスを持つ高校生の男女の恋愛(?)を描く青春小説。2人の主人公、木島悟、村田みのりそれぞれの視点で各章が交互に描かれる。
    正直、2人の子供時代のエピソードの2章は、「ちょっととっつきにくいな」と感じたのだが、高校生になって絵を通して惹かれあう2人のやりとりが始ま...続きを読む
  • 黄色い目の魚
    キャラクターが濃い。
    一瞬の〜から読むと、キャラクターの濃さ、強さにおののいた。
    読みながら、ドキドキした。この作家さんすごい。
  • 聖夜
    School & Musicシリーズ第二弾。
    前作が短編集だったのに対して、本作は一作で一冊。

    主人公は、キリスト教系の高校でオルガン奏者を弾く
    高校三年生男子。オルガン部の部長も務めている。

    牧師一家で育ったり、母親が出て行ってたりと
    かなり普通ではない生い立ちのためか、
    性格はかなり屈折して...続きを読む
  • 聖夜
    『東京ピーターパン』小路幸也に続き、音楽を題材にした作品です。
    『ピーターパン』の星矢も、『聖夜』の主人公の一哉も高校生です。しかし、面白い位「似て非なるもの」です。
    引き篭りの星矢の音楽はロック、一哉は聖歌やクラシックを弾く高校オルガン部です。星矢の母親は病死、一哉の母親は不倫の果ての離婚です。...続きを読む
  • 黄色い目の魚
    この作家さん、丁寧な感じがします。
    この10代の頃の感覚を表現できるなぁ、と不思議。
    エネルギーがあり余ってて、行き場が分らない感情が
    違和感なく読める。
  • 聖夜
    オルガンを弾く高校生の話。

    ピアノを弾けるのもすごいと思うけど
    オルガンはまたそれも素敵だよね。
    パイプオルガンなんてなおさらに。

    親の性格、親の有無、育った環境が
    人格形成に影響を与えることが身にしみてわかったから
    途中はいろいろ思うことがあったですよ。。
  • 第二音楽室
    学校で音楽する短編集。

    あの頃はその世界がほぼ全てなんだけど
    その中で精一杯悩んでがんばっているんだ。

    音楽に上手い下手はあれど
    それよりも結局は人の感じ方なんだな。
  • 黄色い目の魚
    絵を描くことが好きな少年

    絵を見ることが好きな少女

    高校ラブストーリー

    一生君の絵を描き続けるっ!
    だってさ、熱いねぇ。青い春だよ。全く。心模様が大変良く描写されていた。良かった。

    一人でも平気なタチなんだけど、学校というのはヘンなところだ。誰かが一人でいると犯罪者のような...続きを読む
  • 第二音楽室
    佐藤多佳子を読んだのは「一瞬の風になれ」だけだけど、これが凄く良くて、この本出たのはすぐに購入。
    音楽室や軽音部の部室などを舞台に、音楽をモチーフにしながら、小学生から高校生女子の心情を描く。
    二話目と三話目には、恋の成就は勿論だけど、それよりも何よりも恋することが自体に意味がある、この年頃の結構マ...続きを読む
  • 第二音楽室
    音楽だけが持っている力を、文字だけが持っている力で伝える素晴らしい小説。
    小学生の青春と中学生の青春と高校生の青春は、どれも違っている。その甘酸っぱさの違いがちゃんと書き分けてあるのには舌を巻く。
    私はひどい音痴なので、演奏や歌唱にあまりいい思い出がない。その私ですら、「あ、そうそう、音があってきて...続きを読む
  • 黄色い目の魚
    ・バスタブ。
    銀色のバスタブ。
    ステンレスのバスタブ。
    冷たいバスタブ。
    からっぽのバスタブ。
    私の宇宙船。
    虚空を飛び、数多の世界へ旅立つ船。


    ・「自分の顔ってわかんないよ」
    私は言った。


    ・「もう、入らない」
    私は言った。
    「入れない」
    言い直すと、得体の知れない悲しさが、じわじわとわき...続きを読む
  • 一瞬の風になれ(6)
    個性のあるキャラと迫力ある情景を良くうまく纏めたと思います。原作を読んでいたら満足できる作品。読んでいないと、どうだろう。
  • 黄色い目の魚
    マジになるのって、こわくない?自分の限界とか見えちゃいそうで。木島悟、16歳。世界で最高の場所は、叔父の通ちゃんのアトリエ。ずっと、ここに居られたらいいと思ってた。キライなものを、みんな閉め出して…。村田みのり、16歳。鎌倉、葉山を舞台に木島とみのり、ふたりの語りで綴られるまっすぐな気持ちと揺れる想...続きを読む
  • 一瞬の風になれ(1)
    主人公の可愛さ・凛々しさが原作のイメージとピタリ一致。
    原作の主人公のモノローグも違和感なく取り入れられています。
    個人的にやや不満なのは連のキャラクター。
    女の子にモテる辺りの設定が進行上の都合か省かれている。
    あの辺りは、願っても届かないものがある、同じような悩みを持つ
    主人公とライバル、として...続きを読む