佐藤多佳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
地方在住のささやかなベイスターズファンとしてはこの「熱」に触れることが出来る方たちがとても羨ましい限りなのです。
著者と年齢が近いこともあり、冒頭からホエールズの遠藤投手の登場に、読む心をわし掴みにされてしまいました。
自分も神宮球場で遠藤投手の活躍をレフトスタンドから応援していた人間なので、その臨場感に心が躍ります。
「スポーツには人の心を動かす力がある」この物語に登場する人物は誰もが心が動き、そこから自分の居場所を見出して歩み出していきます。
「熱狂的ベイスターズファンのストーリー」としてだけ読むにはとてももったいない。
この3つのストーリーはそんな読み説き方をしてみては如何でしょうか?
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購入済み
はじまりの一部
メインキャラクターに特別悪人はいないので、読んでいて嫌な気分になることがなく、比較的読みやすいと思いました。
主人公も基本的に良い子のようですし。特別面白いとも感じませんが、二部も読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
4編から成る短編集。小学校・中学校・高校の子どもたちと、それぞれの音楽との関わりが、瑞々しく爽やかに描かれている。
自分も小学生時代から、管弦楽や吹奏楽の部活動に精を出したり、学年合奏にウキウキしたりしていたので、心情や空間などの描写にかなり共感できた。学校生活の思い出は常に音楽とともにあるので、この本を読んでも「あぁ、あの時、楽しかったな〜」としみじみ思う。輝く思い出を懐かしく思い出させてくれたことに感謝。
特に良かったのは中学生のリコーダーカルテットを描いた「FOUR」。音を合わせる喜びと、中学生の笑えるような個性と、悩める自意識と、甘酸っぱさに溢れている。
鈴花がメロディーの表現に悩ん -
Posted by ブクログ
もう23年前に発表された作品になりますが、
当時「本の雑誌が選ぶ年間ベストテン 第一位」にも選ばれた、
傑作エンタテイメント小説が本作です。
また、1万円選書でおなじみのいわた書店・店主氏のおすすめ本のひとつでもあります。
主人公はまだ真打にあがっていない、
二枚目の序列にある落語家、今昔亭三つ葉。
ふとしたきっかけで、
しゃべることに難を感じている4人が、
三つ葉のもとで落語を習い始めます。
その、日常ドラマがとても楽しく、そして尊いものに感じられました。
巻末の北川次郎氏による解説には、
物語を構築しつつも物語の背後にあって素人目には気付けないような
作者の文章技術についてが書いてあり -
Posted by ブクログ
十代(小学五年生も辛うじて十代だ)の女の子たちを主人公にした短編小説集。
それぞれの短編の関連はない。
ただ、どれも少女たちの心を繊細に描いていく中で、音楽が重要な役割を持つという共通性がある。
鼓笛隊の「あまりもの」、ピアニカ組になった男女のグループ。
全体としてはちょっとやさぐれた感じが漂う彼らの秘密基地、第二音楽室。
主人公フーミンは、江崎という男子がモーツァルトの15番のソナタを、特に目的があるわけでもないのに少しずつ練習していく姿に、恋愛感情というのではなく、心惹かれる。
「デュエット」は一番短く、ここの作品の中では最ものんびりした雰囲気。
(申し訳ないけれど、あまり印象に残らな -
Posted by ブクログ
青春小説は嫌いだ。正確には青春小説に出てくる「登場人物」が嫌いだ。
彼らは自分勝手で思い上がっていて中途半端で性に飢えている。
恥ずかしい過去の自分と重なってしまう。だから嫌い。
タイトルに惹かれて手にとった本作。
読みはじめて気づいた。青春じゃないか。
読むのをやめようかどうしようか、そう迷っているうちに、迷っていることも忘れ読み終えてしまった。
あろうことか余韻に浸りながら。
確かに青春濃度はかなり高く、そういった意味では間違いなく青春小説なのだが、登場する人物は決して「登場人物」ではなく、木島悟と村田みのりという二人の人間なのだ。
彼らは真っ暗な道をか細い懐中電灯(よく電池切れにな