佐藤多佳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
野球については全くわからないけれど、物語に引き込まれていった。野球に限らず何かを応援している人たちには、必ず何かしらの物語がある。応援するまでの経緯であったり、少し離れてしまう理由であったり。
スポーツ、エンタメ等は、インフラのように無くてはならないものではないかもしれないが、人生に彩りを添えるうえで欠かせないコンテンツだと思う。
この土地に住んでたから、この球団を好きになったから、この人と出会ったから……
いろんな要因が交差して人の人生は形づくられている。その過程の一つひとつの出会いが、どれほど尊いものかを気づかせてくれる物語だった。 -
Posted by ブクログ
痛くて切なくて頑なで…こんな物語に若い頃出会いたかった!
木島悟と村田みのりの心情が、小説というキャンバスの中に広がって見えた。
「りんごの顔」
小学五年生の木島悟はろくでなしの父親、テッセイの暮らすアパートで一晩を過ごすことになる…
悟の意地らしさに思わずうるっときた。夢の中でりんごが「顔を描け」と迫る。怖くて泣き出す悟の代わりにりんごの顔を描くテッセイ。この夜の父の後ろ姿を悟は決して忘れないだろう。
「黄色い目の魚」
みのりちゃん、魚は動物じゃないのよ…
家でも学校でも嫌われる村田みのりは、イラストレーターの叔父、木幡通のアトリエに入り浸る。
テンポが良くさくさく読める。
中学生になり、知り合ったみのりと美和子。
みのりを『サンカク』三角の目をした魚のサザナミヤッコに、美和子を『オサシミ』マヌケなアワビに例えて、女子二人の関係が描かれていく。
最後はホロリとさせられた。
「からっぽのバスタブ」
高校で同級生になった村田みのりと木島悟。絵の上手い悟と絵(を見ること)が好きなみのり。敏感で傷つきやすい"思春期"の表現がとても上手い。
後ろの扉は閉ざされて前の扉には手が届かない。暗い廊下のような場所で私はぼんやり佇んでいる。
前に歩いて行けるだろうか。
次の扉を開けるだろうか。
「サブ・キーパー」
木島悟は母と妹と、葉山のおじいちゃんの家で暮らし始めた。おじいちゃんがいいなぁ!
「彼のモチーフ」
「ファザー・コンプレックス」
「オセロ・ゲーム」
「七里ヶ浜」
サッカー部のこと、家族のこと、好きの気持ちとジェラシー、大人に少しずつ近づく悟とみのり。二人の心の機微が繊細に描かれていた。
「りんごの顔」と表題作「黄色い目の魚」が特に良かった。
後半は少し長めに感じられた。
悟が描いたみのりの水彩画を見てみたい!著者は「心の空洞」「居場所」「大切なもの」を上手く文に落とし込んでいると思う。
過ぎ去った遠い日々が寄せる波のように現れては消えていき、海の音がいつまでも心に残った。
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Posted by ブクログ
ひょんな事から、噺家の下に集まった話すことに難を抱える人達のお話
以下、公式のあらすじ
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俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ッ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで……胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%!
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落語好きの祖父の影響もあって噺家になった今昔亭三つ葉(外山達也)はお茶の先生をしている祖母と二人暮らし
噺家には前座、二つ目、真打ちという段階があって、三つ葉は二つ目
大体は前座を3年から5年、二つ目を10年前後で昇進するが、人にもよる
三つ葉は18歳で今昔亭小三文の内弟子に入り、21歳で二ツ目になり、現在は26歳
従兄弟でテニススクールコーチをしている綾丸良から話し方の指導を頼まれた事をきっかけに、妙な落語講座をする羽目になる
美人でツンツンした雰囲気の十河
関西弁の小学生で、いじめられているのはでなく戦いだと嘯く村林優
様々な球団を渡り歩いた元プロ野球選手で、解説ではうまく喋れなくなてしまう湯河原
そんな、不器用な人たちの物語
三つ葉は、古典落語しかしないし、普段も着物という徹底ぶり
しかし、そんなに上手くはない
落語も師匠から教わった通りにやっていて、自分のものとしていない
自分らしいものをやっても下手にしかできないので、師匠の通りにやているという消極的な理由
湯河原が言うには野球解説は正しさが必要だという
しかし、落語が正しくて、客が喜ぶのか?
同期の柏家ちまきは新作て客を喜ばせているのとは対照的に、三つ葉は古典落語一辺倒
多分、この人達には自己肯定感が必要あのだろうなぁ
三葉も含めて
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自信って、一体何なんだろうな。
自分の能力が評価される。自分の人柄が愛される。自分の立場が誇れる――そういうことだが、それより、何より、肝心なのは、自分で自分を“良し”と納得することかもしれない。”良し”の度が過ぎると、ナルシズムに陥り、”良し”が足りないとコンプレックスにさいなまれる。だが、そんなに適量に配合された人間がいるわけがなく、たいていはうぬぼれたり、いじけたり、ぎくしゃくとみっともなく日々を生きている。
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私もこの小説をきっかけに落語に興味を持ち始め
今はたまに寝る前にYouTubeにアップされている動画を流しながら値落ちしている
この小説に登場している、「茶の湯」も結構面白い
映画だと、何故か「火焔太鼓」に変わってたなぁ
あと、「まんじゅうこわい」も人によって長さが違うのは作中の通り -
Posted by ブクログ
ネタバレ再読。
主人公富山は、アルコ&ピースのオールナイトニッポンのヘビーリスナー。
とある事情で大学を休学して、コンビニで深夜アルバイトをしている。
バイトの先輩の鹿沢、バイト先によく現れる女子高生の佐古田、高校の友人永川は何かと富山を気にかけてくれ、ラジオを共通の話題として仲を深めていくうちに少しずつ富山の心境に変化が生まれていく。
実在した伝説のラジオ番組を軸とした、深夜に「明るい夜」を探して出かける若者たちの交流の話。
私自身、富山たちほどではないし投稿はしないけれど、いくつかのラジオのリスナーなので、実際の放送をイメージしながら読めて楽しかった。
深夜ラジオはリアルタイムではなく日中に聴くことが多いけれど、たまに眠れなかったり落ち込んだりした夜にイヤフォンで聴くと、「色々あるけれど世界はちゃんと回ってるなぁ」と思うことができて安心する。その内容がくだらなければくだらないほどありがたい。
と、話は逸れたけれど、猛烈にラジオが聴きたくなる小説。