佐藤多佳子のレビュー一覧
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自分をうまく表現するのが下手で、まわりとケンカばかりしてしまうが、絵を見る才能はある女の子と、離婚した画家の父親の幻にとらわれつつも、自分なりの絵のスタイルを見つけようと模索している男の子のラブストーリー。
ストーリーオムニバス(そんな言葉があるのかはわからないが)形式。
この本を読んでイメージされる言葉は「透明感」。ラブストーリーと言ってしまうにはちょっと語弊がありそうなほど、どちらもピュアで、懐かしさと切なさが入り混じったようななんともいえない後味をのこす物語。
何かにつまずいたり、自分を見失っているような時に読むと元気になれるかもしれない。 -
Posted by ブクログ
「学校」と「音楽」をキーワードにした短編集。
リコーダーアンサンブルに参加する小学生やら、
軽音楽部でベースを弾く女子高生やら、
登場人物はみな音楽を「演奏する側」の人。
みなアマチュア...と言うか子供や若者で、
決して上手・立派な演奏をしている訳ではない。
むしろ「初心者が頑張ってる」シーンの連続。
だが、自分の演奏のふがいなさにもがく中で、
ふと訪れる「息が合ったときのゾクッとする心地よさ」
を丁寧に描いていて、そこにぐいぐいと引き込まれる。
演奏する側に回ったことのある人なら、
一度は経験したことがあるモーメントでは。
自分の出す音だけに集中している時期から、
だんだん「周りの音 -
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ネタバレサッカー少年で、離婚した父”テッセイ”に会ったことで絵に目覚めた木島
家に居場所が無く、イラストレーターの叔父”通ちゃん”ちに入り浸っている村田みのり
高校生って学校で友達に見せる顔と違う顔を持ち始める
それが魅力
2人は絵を通して それに気が付いた
ゆっくり恋愛が始めっていく
みんな悪い人すぎず、良い人すぎず、普通に描かれていて好きだな
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「もっと描いたら?絵をたくさん」
「もっと」「本気で」
…
『本気って、ヤじゃない?』
僕が聞くと、村田は理解できないという顔つきになった。
『こわくない?自分の限界とか見ちまうの?』
…
「いいな木島クンは -
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ネタバレ本気ってこわくない?限界見えちゃいそうで。
見たこともない限界にたいして、おびえていた頃。
あの頃、あんなにもまっすぐで、伸びやかだった気持ち。
いつのまになくしちゃったのかな。
ふたりがであってくれてほんとうによかった。
14歳は大人が考えるよりずっと大人なんだと思う。
確かそうだった。
自分と重なるところもあったせいか、木島にも村田にも終始心がゆさぶられてばかりだった。
大人になった今に、こんなにも十代の恋愛をテーマに書いた小説に心揺さぶれるなんておもっていなかった。
本当に、10代の頃にであっておきたかったな、ってつくづく思った。
でも今でも出会えてよかったと思う。 -
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『本自体が放つ品格』
大好きな、大好きな小説の漫画版です。
書店でこのコミックを見つけたときに「なんと無謀なことを」と
斜に構えていたはずなのに、
どうも本自体が放つ品格が気になってレジへ。
結論として、ジーンとしてしまいました。
軽いタッチの絵柄ですが、原作への敬意と自己表現のせめぎ合いが
全ページから感じ取れて、思わず背筋が伸びます。
勝田文は未知の作家でしたが、良い。
不明を恥じつつ作品を追いかけてみます。
もちろんこの後、原作も再読しました。
やはり良い。
何度読んでも薄れることがありません。
良い本との出会いはそれだけで財産ですね。 -
Posted by ブクログ
原作を先に読んでいるので、勝手に脳内で補強しているかもしれないが…
マンガはかなりバッサリと短縮している部分があるので、いきなりマンガから入る人にはちょっとサクサクし過ぎている様に見えるんではないかと思ったりしつつ。
勝田文好きだーーー!
特に、今回のキャラクターはみんなビジュアル的に大好き。
三つ葉みたいなタイプの絵が主人公なのは珍しいよね?
原作の雰囲気は全く壊れてなくて、原作は色々と話が広がりすぎてというか、生徒達のそれぞれの心象について丁寧に扱おうとして、かえって全体のバランスが悪くなった気がするので、三つ葉と十河に焦点があってるマンガ版のほうが二人の話としてまとまり良くなった気がす