佐藤多佳子のレビュー一覧
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横浜大洋ホエールズから現在の横浜DeNAベイスターズに至る球団の歴史を主軸にし、各時代のチームを応援していた、様々なファンの群像劇です。
舞台となる時代も違えば、ファンの年齢・職業・性別、更には応援歴も違う人たちが、たまたま同じ時間を過ごし、喜怒哀楽を共有する様子が巧みに描かれています。
加えて著者は、球場で生観戦する醍醐味を詳細に伝えます。解放的な広さ、照明のカクテル光線、芝の緑、バットが捉える打撃音、歓声の高揚感など、五感を通して味わった経験は、確実に記憶に刻まれるんですね。
遠い昔、学生時代に神宮球場でヤクルト×巨人戦を観た記憶が、まざまざと蘇ってきました。何でもそうかもしれ -
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ホエールズ~ベイスターズファンの人たちを描くお話。
贔屓の球団があるというのはいいよねえ。
私は福岡に住んでいたのでその時からのライオンズファンで、埼玉に行ってからもずっと応援していたのだが、もう何年も前から日常的に試合を目にする環境にもなく、いつしか知らない選手ばかりになって、もはや昔ほど応援したいチームでなくなった。
かと言って、テレビでよく見る関西のチームのファンになるかと言えば、それも違うという感じで、なんだか応援するチームを持てないという宙ぶらりんな心持ちなのだな。
そもそも球場に足を運ぶのも年に一回あるかないかで、野球に対する興味も薄くなっているのだが、とは言え、この本の登場人物 -
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深夜のコンビニバイトをしている富山(とみやま)は、ある理由で大学に通えなくなり、実家を離れて一人暮らしをしている。
バイト先の先輩鹿沢(かざわ)、店にお客としてやってくる一風変わった女子高生佐古田(さこだ)、高校の同級生だった永川(ながかわ)との交流が始まり、孤独だった富山が少しずつ変わり始める。
実在する深夜ラジオ番組をふんだんに織り込みながら、夜の闇を明るく照らすコンビニを舞台に、主人公の独白のような形で物語が進んでゆく。
夜を彷徨う若者たちに、ほのかに光が射していく感じがして、心が震える。
これもまた青春の一ページなのだなぁと思う。
朝井リョウさんの解説がとてもよかったです。 -
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ネタバレ今昔亭三つ葉
外山達也。噺家。短期で有名。あだ名は『坊ちゃん』。
綾丸良
達也の従弟。K大テニスサークル所属。落語を習う。
今昔亭三角
後輩。
今昔亭小三文
滑稽噺を得意とする飄逸な噺家。師匠。
柏屋ちまき
二年ほど前に三つ葉と居酒屋で喧嘩し前歯を二本折られた。三つ葉の三つ年上。
外山春子
達也の祖母。お茶の先生をしている。
永田郁子
お茶の生徒。三つ葉の踊りの師匠の娘。名門女子大に通うお嬢さん。
十河五月
カルチャーセンターの話し方教室に来ている。落語を習う。
村林の母
良のテニススクールの生徒。四十前後の婦人。
村林優
転校してきたばかりで、クラスになじめないらしい。落語 -
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2017年山本周五郎賞
接触恐怖症に悩む主人公・富山は、インターネット上のトラブルをきっかけに、大学を休学。一年間の一人暮らしを、始める。生活の糧は、コンビニバイト。
深夜ラジオのヘビーリスナーであり、ちょっとしたハガキ職人だった。
深夜ラジオの生放送シーンが、実名で頻繁に登場する。この作品の主要部分でもある。臨場感あり。ラジオ愛満載。(私は、深夜ラジオもニコニコもアメーバピグも、加えてお笑い番組に至るまで、未経験。雰囲気は、頂きました。)
モラトリアムにしては、ちょっとキツ目の一年だけど、富山は、この期間に出会ったコンビニ仲間やハガキ職人仲間に恵まれて、徐々に未来を見出し始める。
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感情の迸り、絵を通しての個性、自分自身もここまでじゃないけれど通じるところがある。大人になるって切ない。
喧嘩をしないでいるためには嘘つきにならないといけないのかな。ホントの気持ちも隠して少しお芝居をして。いろんなこと考えて失敗しないように地雷を踏まないように。いっぱい気をつかって生きているのかも大人になるってそういうこと?
もっと一緒にいたい。一緒に色んなものを見たい。一緒に色んなものにぶつかりたい。もっと知りたい。消そうと思っても消えないくらい大きな存在になりたい。お互いになりたい。消えない女になりたい。
ここで会えたのが奇跡みたいな気がした。絶対的な運命の様な気もした。多分、俺たち