あらすじ
国分太一主演の映画原作。しゃべれどもしゃべれども想いは伝わらない――。若い落語家・今昔亭三つ葉は、前座より少し上の二ツ目。そんな三つ葉が話し方教室を開くことに。無愛想で失恋ばかりしている美人、関西弁でクラスでいじめにあう小学生、野球解説がド下手な元プロ野球選手……人に教えている場合ではない先生のもとに、自分を表現できない不器用な生徒が集まり……。さりげない展開の中に絶妙のテンポ感があり、読み始めたら止まらない! 癒されたい人、必読。
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読後感が心地良い。登場人物達が抱える葛藤、何が好きで何が嫌いか、何に怒り何に笑うのか。とてもよく伝わってきた。
何かが大きく変わったわけじゃない。解決したわけじゃない。でも快晴の朝を迎えたように、すっきりとした気持ちになれた。
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物語の雰囲気がとても好きな小説。登場人物や、出来事が、あたたかい。
みんな、何かを克服したくて落語を習いに来るのだが、いかんせん何かを抱えたメンバーなので、普通のようには打ち解けない。それなのに、物語はあたたかい。
弱さを抱えた者たちが集まると、こうも優しさが充満するものなのか。それとも主人公のなせるわざか。それを描くことのできる作者が素敵だと思った。
この小説に限らず、佐藤さんの小説はあたたかい。なんなら瀬尾まいこよりあたたかい。と私は思う。
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登場人物
今昔亭三つ葉
落語家。頑固で気が短く、すぐに角の立つようなことを言ってしまう
綾丸良
テニスのコーチ。吃音があり、本人もコミュニケーションに悩んでいる
十河五月
OL。顔立ちは整っているが、つっけんどんで口調もキツいために誤解されることも多い。
物語
「上手に話せるように、稽古をつけてほしい」良は友人の三つ葉相談しに来た。吃音のためにスクール生と円滑なコミュニケーションが取れず悩んでいるのだ。三つ葉は会話の教室に行くように勧め、付き添いで教室に行くようになる
ある時、寄席の席に仏頂面で座っている美人がいるのに気がつく。何とか笑わせてやる…と気になっていた矢先、会話の教室でその美人、十河とまさかの遭遇を果たす
お互いの口のキツさから始めは険悪だったが、良と十河に落語の稽古をつけることになる…
読後感
とても不思議な作品、口調に棘ありの曲者揃いのはずなのに、物語全体としてはとても温かい
それは、口の悪さの裏にある不器用さや秘めた本音が、読み手にはハッキリと伝わってくるからだろう
だから、登場人物はみんな、悪態をついて横道にそれながらも少しずつ前進しているのがわかるし、私自身みんなを好きになれた
人の温かさを多分に感じられる、また読み返したくなるような一冊
Posted by ブクログ
かなり前に国分太一主演の映画を観ていい映画だったという印象であり同級生の本棚で✮5つだったので読んでみた。登場人物の描写が秀逸です。主人公のもとに集まる弟子4人それぞれの個性をうまく表現できているので物語にひきこまれます。落語家にスポットをあてるとチャキチャキの江戸っ子言葉になることが多いのですが自然な感じがよかったと思います。佐藤多佳子さんの他の作品を読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
登場人物の性格、心の動き、情景の描写どれもが緻密で繊細ですぐそばでみているようだった。
特に三つ葉の噺の前は、自分の出番待ちかのように気持ちが高まって、だけど身体が重くて心臓が締め付けられた。早く早くとどんどんページが進む。
本を読んでこんなに感情が同調してしまったことはないかも。
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母親から薦めてもらった本。とっても面白かった!
ひょんな経緯で落語家から落語を習うことになった人たち。みんなキャラがいきいきしていて、一つ一つのエピソードも面白くて夢中になって読んだ。
Posted by ブクログ
非常に良かった。
突き放すようで引き付ける文章だなぁと思う。
さっぱりしていて良い。
もう少し十河のエピソードが読みたかったけれど。
読んで良かった。
映画もそのうち観てみようと思う。
Posted by ブクログ
ひょんな事から、噺家の下に集まった話すことに難を抱える人達のお話
以下、公式のあらすじ
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俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ッ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで……胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%!
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落語好きの祖父の影響もあって噺家になった今昔亭三つ葉(外山達也)はお茶の先生をしている祖母と二人暮らし
噺家には前座、二つ目、真打ちという段階があって、三つ葉は二つ目
大体は前座を3年から5年、二つ目を10年前後で昇進するが、人にもよる
三つ葉は18歳で今昔亭小三文の内弟子に入り、21歳で二ツ目になり、現在は26歳
従兄弟でテニススクールコーチをしている綾丸良から話し方の指導を頼まれた事をきっかけに、妙な落語講座をする羽目になる
美人でツンツンした雰囲気の十河
関西弁の小学生で、いじめられているのはでなく戦いだと嘯く村林優
様々な球団を渡り歩いた元プロ野球選手で、解説ではうまく喋れなくなてしまう湯河原
そんな、不器用な人たちの物語
三つ葉は、古典落語しかしないし、普段も着物という徹底ぶり
しかし、そんなに上手くはない
落語も師匠から教わった通りにやっていて、自分のものとしていない
自分らしいものをやっても下手にしかできないので、師匠の通りにやているという消極的な理由
湯河原が言うには野球解説は正しさが必要だという
しかし、落語が正しくて、客が喜ぶのか?
同期の柏家ちまきは新作て客を喜ばせているのとは対照的に、三つ葉は古典落語一辺倒
多分、この人達には自己肯定感が必要あのだろうなぁ
三葉も含めて
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自信って、一体何なんだろうな。
自分の能力が評価される。自分の人柄が愛される。自分の立場が誇れる――そういうことだが、それより、何より、肝心なのは、自分で自分を“良し”と納得することかもしれない。”良し”の度が過ぎると、ナルシズムに陥り、”良し”が足りないとコンプレックスにさいなまれる。だが、そんなに適量に配合された人間がいるわけがなく、たいていはうぬぼれたり、いじけたり、ぎくしゃくとみっともなく日々を生きている。
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私もこの小説をきっかけに落語に興味を持ち始め
今はたまに寝る前にYouTubeにアップされている動画を流しながら値落ちしている
この小説に登場している、「茶の湯」も結構面白い
映画だと、何故か「火焔太鼓」に変わってたなぁ
あと、「まんじゅうこわい」も人によって長さが違うのは作中の通り
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<目次>
略
<内容>
二つ目の落若き語家、今昔亭三つ葉。そこに対人恐怖の親戚のテニスコーチ、口下手で失恋した女性、クラスのボスに迎合したくない生意気な小学生、最後にあがり症で無骨な野球解説者が、ひょんなことから落語を習うために集まる。恋も友情も学校カーストも仕事も、全部ひっくるめてどのような展開になるのか?登場人物がみな生き生きと動いているのが、とても面白かった。
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その年の本の雑誌年間ベスト1位にも輝いた著者の代表作の一つ。小気味いいテンポと魅力的なキャラが物語を鮮やかに彩る傑作。噺家の主人公の元へ集まる話下手な人たちを巻き込みながら人間として噺家として成長していく姿はちょっと笑えてちょっと泣ける。江戸っ子気質の三つ葉がいい。カッとなりやすく皮肉屋だが、正義感も強く何にでも首を突っ込んでいく。さらには大阪弁を話す村林と元プロ野球選手の湯河原の関係性もいい。終盤に湯河原から村林へのプレゼントには図らずもグッときてしまった。
Posted by ブクログ
登場人物の描写が素晴らしい
それぞれが個性的で人間臭くて、凄く取っ付きにくいキャラなのに、読み終わる時には全員を好きになっている
そんな魅力的な書き方をする作者の作品は初読みでしたが、大好きな作家の1人になりました
Posted by ブクログ
話すことにトラブルを抱えた4人が、話しのプロである落語家に弟子入りして成長する物語。
4人の性格、原因も色々で、生活に支障が出るぐらいな上に、師匠である落語家で二つ目の今昔亭三つ葉も失恋で話せない状況に。5人の関係もお互いコミュニケーションが取れずに暗い状況が続く。
強烈な個性を持ったメンバーが変われるかどうか。徐々に関係が改善して行き、最後は皆んなで落語の発表会。全員が改善したわけでも無いが、何とかハッピーエンドでホッとした。
Posted by ブクログ
温くて、ほっこり良いお話です。それにしても終盤のラブシーンは
ダサい。最悪のオチ
装飾文がやたら多くて目障り
〇ボス猿の暗殺計画を思いついた小猿のよう
〇
泉から清水がさらさらとこぼれる様に透明な自然な笑い
Posted by ブクログ
喋ることに難を持つ登場人物たちの心の機微が表現されていて、感情移入がしやすかった。
自分と重ねながら登場人物の感情をイメージしているうちにあっという間に読み終えてました。
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落語は、「まんじゅうこわい」ぐらいしか知らないわたしでも楽しむことが出来ました。問題を抱えた5人が落語を通して、成長していく姿が良かったです。自信をもつこと、真似でも良いのでそれを極めることの大切さが印象に残りました。
Posted by ブクログ
もう23年前に発表された作品になりますが、
当時「本の雑誌が選ぶ年間ベストテン 第一位」にも選ばれた、
傑作エンタテイメント小説が本作です。
また、1万円選書でおなじみのいわた書店・店主氏のおすすめ本のひとつでもあります。
主人公はまだ真打にあがっていない、
二枚目の序列にある落語家、今昔亭三つ葉。
ふとしたきっかけで、
しゃべることに難を感じている4人が、
三つ葉のもとで落語を習い始めます。
その、日常ドラマがとても楽しく、そして尊いものに感じられました。
巻末の北川次郎氏による解説には、
物語を構築しつつも物語の背後にあって素人目には気付けないような
作者の文章技術についてが書いてあります。
恥ずかしながら、僕は物語そのものと、
ごくごく狭い範囲の文章術にだけ気を取られてしまい、
北川氏が見抜いたような構造には、
まるで意識的になれませんでした。
本文読後になってようやく「そうだったか!」と得心しました。
それがどんな技術かといえば、
かいつまむと、物語の起伏においてなんですが、
物語がポジティブに進行していくところで、
すこし狭い範囲の文章、段落で、マイナスのイメージを
読者に与えるような書き方をしていることがそれでした。
つまり、登場人物の表情などの描写、
主人公の心理、などなどが、ネガティブに書かれている。
それは、人と人がわかりあったり、心理的に近づいたりすることって、
それほど単純にはいかないものだという作者の洞察があるし、
登場人物たちがしゃべりに困っている、つまり、
自己表現に困っている人たちなのだから、
なおさらネガティブな心理が的を射るし、
物語に深みを与えるし、
真に迫るんだと思いました。
僕が自分で書くときも、それなりに考えてはいるのですが、
今作品のような考え方を未だしたことがなかったので、
勉強にも参考にもなりました。
しっかり考えて執筆に臨めば、
必然的に物語の背後からこういう技術が要求されるものだろうとも思うわけで、
執筆に取り組むときの気持ちをちょっとでもないがしろにしてはいけない、と、
まあ今後もそうするつもりは微塵もないのですが、しっかり覚えておこうと思います。
そうはいっても、先に書いたような技術点など考えずにいて、
物語の面白みが減ってしまうわけではないです。
逆に、物語に没頭することで、すごく楽しませてくれる作品です。
出合えてうれしい大切な小説をまたひとつ、
知ることができた喜びをひしひしと感じています。
Posted by ブクログ
話すことに問題を抱える人たちが、
落語を通して解決しようと集まるのだが、
みんな頑固だったり不器用だったり…
とても温かくて読後感の良い話です。
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きっかけも理由も思い出せないが「読みたい」リストに入っていて、実家の親の本棚にあったので読んだ。
あまりふだん好んで読む系統の本ではなかったが、人物たちがまわりまわって案外素直であることや、主人公視点の言い回しに何度かぷふっと吹き出したところなどは、好き。五年三組の顛末も良かった。
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二つ目落語家、今昔亭三つ葉の語りによって進む物語は噺家らしい洒落やたとえの効いたテンポの良い文章が続く。
話は、まだ本格的にノっていない噺家三つ葉がそれぞれ闇を抱える4人を落語で救おうとして落語教室を開くことがメインとなる。
けれど一筋縄ではいかない彼らに自分の力がなかなか及ばないことに、そしてそんな力が自分にないことに腹を立てながらも彼らを見放す事ができない。
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小さな頃から祖父の影響で落語が好きで噺家になった「今昔三つ葉」
ひょんなことから落語教室を開くことになる。
容姿端麗ながら自分に自信がなく緊張するとどもってしまういとこの良。
昔の失恋を引きずる「十河」
大阪から東京に引っ越してきて、クラスのボスに目をつけられた小学生の「村林」
元野球選手の湯河原。
各々が悩みもをもち、その解決の糸口となればと落語を始める。
わたし自身、人は人、自分は自分。
悩みもいつまでも引きずらないし、そもそもそんなに悩む歳でもないので…共感しにくかったな…
でも村林くんのいじめっことの向き合い方はよかった。実際あんなはにうまくはいかないけどさ…感動したな。
Posted by ブクログ
コミュニケーションに問題を持つ人達が話し方を学ぶために落語を覚える事に。
抱えている問題は各々深刻だが、噺家三つ葉の軽妙な語り口で暗くはならない。
何であれ行動を起こせば変化が起き一歩進む。そんな一歩が愛おしくなる作品だった。
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子どもも大人も、男も女も、おしゃべりな人もそうでない人も"話す"って難しい。自分の気持ちを伝えるって大変だ。
落語をよく知らないので一度、聞きに行ってみたくなった。
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若手噺家の三つ葉と、ひょんなことで彼から落語を教わることになった4人の話。
落語のこと全然知らなくても楽しめた。
三つ葉が喧嘩っ早くて熱い男だからか、ちょっとくどいなぁと思ったけど、長さがあるわりにサラッと読めた。
人の数だけ悩みがあって、毎日色々なことがあるけど、登場人物も、読者も、背中を押してもらえる作品。
読み終わって歩く自分がたまたま鏡に映ったけど、なかなかいい表情してた。
背筋伸ばして前向いて歩いて、自分のことを自分が認めてあげれば、事はいい方向に向かっていくのかもしれない。
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今昔亭三つ葉
外山達也。噺家。短期で有名。あだ名は『坊ちゃん』。
綾丸良
達也の従弟。K大テニスサークル所属。落語を習う。
今昔亭三角
後輩。
今昔亭小三文
滑稽噺を得意とする飄逸な噺家。師匠。
柏屋ちまき
二年ほど前に三つ葉と居酒屋で喧嘩し前歯を二本折られた。三つ葉の三つ年上。
外山春子
達也の祖母。お茶の先生をしている。
永田郁子
お茶の生徒。三つ葉の踊りの師匠の娘。名門女子大に通うお嬢さん。
十河五月
カルチャーセンターの話し方教室に来ている。落語を習う。
村林の母
良のテニススクールの生徒。四十前後の婦人。
村林優
転校してきたばかりで、クラスになじめないらしい。落語を習う。
山田太郎
湯河原太一。ばあちゃんのお茶のお弟子さんの親戚。落語を習う。プロ野球選手。
冬風亭みぞれ
草原亭白馬
小三文師匠の弟弟子。
松家とび平
エネルギッシュな中堅の噺家。
岡田
落語研究家。九十歳。
今昔亭六文
真打ち。
宮田
優の五年三組のボス。
下座のお春さん
吉村春代。寄席で三味線を弾く女性。