佐藤多佳子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
School & Musicシリーズ第二弾。
前作が短編集だったのに対して、本作は一作で一冊。
主人公は、キリスト教系の高校でオルガン奏者を弾く
高校三年生男子。オルガン部の部長も務めている。
牧師一家で育ったり、母親が出て行ってたりと
かなり普通ではない生い立ちのためか、
性格はかなり屈折している。
といっても、物語が主人公の一人称で語られるため
読んでいる我々には分かる訳で、周りの人からは
そこまでひねくれているとは思われていない様子。
その証拠に「隠れファン」が結構いるとか(^ ^
その彼が、文化祭で発表するオルガンの難曲に挑みつつ、
音楽のこと、自分のこと、家族のこと、 -
Posted by ブクログ
佐藤多佳子を読んだのは「一瞬の風になれ」だけだけど、これが凄く良くて、この本出たのはすぐに購入。
音楽室や軽音部の部室などを舞台に、音楽をモチーフにしながら、小学生から高校生女子の心情を描く。
二話目と三話目には、恋の成就は勿論だけど、それよりも何よりも恋することが自体に意味がある、この年頃の結構マセた嬉し恥ずかしの恋心が描かれていて、好感。
ふたつとも似たようなテイストのお話しなのだけど、短い話にギュッとその感情を押し込んだ二話目が好きかな。
最後の話は結構イタい話のなのだけど、些細なことで傷つき易く些細なことで立ち直ることが出来る、若さの脆さと逞しさの描写に、上手いこと音楽が絡めてあって、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・バスタブ。
銀色のバスタブ。
ステンレスのバスタブ。
冷たいバスタブ。
からっぽのバスタブ。
私の宇宙船。
虚空を飛び、数多の世界へ旅立つ船。
・「自分の顔ってわかんないよ」
私は言った。
・「もう、入らない」
私は言った。
「入れない」
言い直すと、得体の知れない悲しさが、じわじわとわきあがってきた。
・「いいな、木島くんは」
村田はポソリと言った。
「やれることが、いっぱいある」
「やれてないってば」
「やってるじゃん」
村田はきつい調子で言った。
「私は何もしてない。限界が見えるようなこと、何もできない」
俺は黙っていた。
村田も口をつぐんだ。かなり長いこと黙っていてから、