佐藤多佳子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
十代(小学五年生も辛うじて十代だ)の女の子たちを主人公にした短編小説集。
それぞれの短編の関連はない。
ただ、どれも少女たちの心を繊細に描いていく中で、音楽が重要な役割を持つという共通性がある。
鼓笛隊の「あまりもの」、ピアニカ組になった男女のグループ。
全体としてはちょっとやさぐれた感じが漂う彼らの秘密基地、第二音楽室。
主人公フーミンは、江崎という男子がモーツァルトの15番のソナタを、特に目的があるわけでもないのに少しずつ練習していく姿に、恋愛感情というのではなく、心惹かれる。
「デュエット」は一番短く、ここの作品の中では最ものんびりした雰囲気。
(申し訳ないけれど、あまり印象に残らな -
Posted by ブクログ
青春小説は嫌いだ。正確には青春小説に出てくる「登場人物」が嫌いだ。
彼らは自分勝手で思い上がっていて中途半端で性に飢えている。
恥ずかしい過去の自分と重なってしまう。だから嫌い。
タイトルに惹かれて手にとった本作。
読みはじめて気づいた。青春じゃないか。
読むのをやめようかどうしようか、そう迷っているうちに、迷っていることも忘れ読み終えてしまった。
あろうことか余韻に浸りながら。
確かに青春濃度はかなり高く、そういった意味では間違いなく青春小説なのだが、登場する人物は決して「登場人物」ではなく、木島悟と村田みのりという二人の人間なのだ。
彼らは真っ暗な道をか細い懐中電灯(よく電池切れにな -
Posted by ブクログ
音楽を題材にした小説が好きで、もっというと音楽室が風景に出てくる小説が好き。
中高と吹奏楽部に所属をし、青春時代の大半を音楽室で過ごしただけあって自分にとって大事な場所だからなのか。
第二音楽室は吹奏楽部員の物語ではなく、音楽に触れたことのない子や音楽に救われた子等、様々な子達が様々な楽器(声)に出会いその中で葛藤し、成長する短編小説だ。
音楽に触れ合う中で青春を謳歌する彼女達に昔の自分を重ねたり、音楽で周りが変わるこの感じがとても良かった。
個人的には最初の「第二音楽室」、「FOUR」が好きだった。
リコーダーの種類があんなにあるのも驚き。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ1巻の最初はぜんぜん面白くありませんでしたが、途中からちょっと惹かれてきて、2巻目読み終えました。
シリーズものでも、だいたい1巻ごとに話がまとまってるものが多い中、この作品は、どーんと最後までぶっとうしでいく心意気が見られました(笑)。そう思うと、登場人物それぞれの視点で描かれて、ぐるぐる立ち位置が変わりながら物語が進んでいくのも、まあ、いいかなと思いました。
小学生の子供たちが主人公ですが、安易に話が進んでいかないところも、ちょっと現実に寄り添ってて面白かったです。すぐに受け入れられないってのも、そりゃそうだよなーと思いつつ、それだと物語が進まないだろうなと思います。なので、そこら辺の葛藤 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「俺は不言実行のコーチだからな。ハッタリはかまさんよ」
三輪先生は俺の頭をハタきながら、そんなことを言う。
「実行するのは選手だ。コーチが不言でどうする? そんなコーチはいらんだろう」
大塚先生がイライラしたような口調で言った。三輪先生は笑っている。
「何が不言実行だ。いつも適当な目標をぺらぺら言って、ろくにクリアしたことないじゃねえか」
「そりゃ、選手時代の、高校の時の話でしょう、先生」
「指導者になって変わったか?」
「そりゃ違いますよ! 自分のことはいいですけど、生徒は傷つけたくないですよ。適当なことなんか言いませんって」
「高い目標を立ててやれ。引っ張り上げてやれ。尻を押してやれ。そ