佐藤多佳子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大好きな作家、佐藤多佳子の作品。期待以上の傑作だ!
まず、具体的な芸人や番組を取り上げてくれている。著者は私と同年代だから、すごい取材をしたんだろう。私たち世代なら谷村新司「セイヤング」鶴光「オールナイトニッポン」などになるが、アルコ&ピースを綿密に描写していて頭が下がる。風景描写も素晴らしく、後半の平潟湾の富山と佐古田の夜の散歩?は風景が目の前に鮮明に現れた。そして、佐古田、つまりは虹色ギャランドゥがめちゃくちゃ魅力的なキャラで、富山との不器用な恋路の行き先が気になってしまう。今を生きる若者の成長を綴った本作は「サマータイム」「一瞬の風になれ」と並ぶ、著者の代表作だと感じた。 -
Posted by ブクログ
本との出会いってすごく運命的 適当に手にとったこの小説でそんなことを改めて感じた
なぜなら私は中学高校の頃から二十数年ぶりに、今まさに、ラジオ(正確にはポッドキャスト)にハマっているから!こんな偶然!
佐藤多佳子先生はいいイメージ 2-3作品?読んだことある それだけで裏表紙のあらすじも見ずに読みはじめた
コミュ障のコンビニバイト話かと思ったらまさかこんな素敵4人のストーリーとは!鹿沢はかっこいいし佐古田は天才でかわいい 年もいい感じな距離感 ラジオだけじゃなく歌い手にアメーバピグ 後半のアルピーANN実況の熱量!これこれ佐藤先生の文章 主人公頭の中の言葉がどばーと溢れてくる感じ 止まらな -
Posted by ブクログ
久々に引き込まれた本に会えた
実在する登場人物が出てくることで
実際あった話のように感じられたところが
夢中になれた理由のひとつだろうか
誰でも何かしらの人とは違ったところを持っていて
それを個性と呼ぶのだろうが
主たる登場人物の4人は
普通よりもより個性的で
それ故に生きづらさも抱えていて
その部分を補い合うわけでも認めるわけでもなく
ただそのままでいいから
一緒にいられるようになっていった
そのままの4人が
お互いに影響し合って
それぞれが変化していく
そんな関係が
「いい」関係というのだろうなと思わせてくれた
読み終えるのに年をまたいでしまったけれど
よい年末年始だった
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Posted by ブクログ
稲光が閃いた瞬間、ビリビリする星明石に6人が手を触れると凄まじい音がして、全員気を失った…。
2巻では、その後、それぞれにある種の能力が身についていることが次第に分かる。
あ、またそういう系?みたいに思いがちだが、いやいや、そんな薄っぺらい話ではない。
6人は神楽を舞うという目的だけで繋がっていたので、決して仲が良いわけでない。
目立つ子も地味な子も、頼られる子も怖がられる子も…力関係は様々である。
その関係は、まさに教室の縮図。敏感な子も無頓着な子もいるので、険悪な雰囲気になりがちだが、強者と弱者の間に入って緩衝材の役割する子がちゃんといる。
そういったイザコザをいくつも経験して、6人は -
Posted by ブクログ
私はこの作品に郷愁を感じました。
カトリックの初等部から大学まである一貫校の高等部に通う、主人公鳴海一哉は、父は牧師、母は元ピアニストです。父と母はドイツでバッハを通して知り合いましたが、母は一哉が10歳の時にドイツ人のオルガン教師と出会い、離婚してドイツに渡ってしまい、祖母と三人で暮らしています。
一哉はキリスト教を全く信仰していませんが、聖書研究会とオルガン部に所属しています。
メインの話はオルガン部の五人の活動なのですが、母が元ピアニストの一哉は、皆に一目置かれている存在です。
しかし、一哉はオルガン奏者として最も、素質のあるのは、五人の中では、天野真弓だと見抜いています。
俺は天野 -
Posted by ブクログ
小学校、中学校、高校での、それぞれ音楽に関するお話の中短編集。
「デュエット」「FOUR」は中学生、「裸樹」は高校生が主役のお話。まだまだ、子供のような、彼、彼女らのお話しにもそれぞれ、様々な感情やドラマがありました。
「第二音楽室」
第二音楽室は屋上にたった一つだけある教室。
後ろ姿だけイケてる男子、久保田。
体の大きいジャンボ山井。
クラスで一番頭がいい女子ルーちゃん。
無口で絶対音感のある江崎。
のんびりやの佳代。
そしてウチこと史江。
クラスで六人だけの5年生鼓笛隊のピアニカ組。
漫画、ゲーム、ルーちゃんが持ってきたポテチ、チョコ、キャンデイ、カフェオレの甘く香ばしいにおい。
江崎 -
ぜんぶが眩しい!
夢、友情、憧れ、嫉妬、挫折…。 さわやかでみずみずしい青春の全てが詰まった傑作陸上小説。 かけがえのない一瞬の高校生活、明るくてひたむきな努力、部活というコミュニティを通して、体だけでなく、成長していくしなやかな精神、仲間への純粋な愛情と思いやりが眩しい。