伊藤計劃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ノベライズ、ということでなんというか、伊藤計劃成分は薄味で、物語に重点がおいてありました。もちろんそれがノベライズであり当たり前のことなので読む前から重々承知してたのですが。
メタルギアのノベライズ。ゲームの1作目からのノベライズではなく、急に4作目のノベライズは非常に難しかったのでしょう。詳細に物語のルーツを書いてありますが、それでも伝わり切るものではありませんでした。それはとりもなおさずメタルギアシリーズの、ゲームという枠に収まり切らない物語性を示しているのでしょう。
私はメタルギアシリーズをプレイしたことはありませんが、本作を読んで「自分がこのゲームを理解しきるのは不可能だ」と思 -
Posted by ブクログ
伊藤計劃が信者的に愛した小島秀夫の物語。「メタルギアソリッド」は、ぼくの中では戦争アクションゲームというジャンルとして抵抗があった。しかしそれは大きな思い違いだった。小島秀夫がPS3で一番新しい「メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」で描こうとしたテーマは反戦であった。
また、このメタルギアのステルスアクションと称されるゲーム性は、いかに敵と遭遇せず、敵を殺さずにミッションを遂行するかというゲームであり、このゲーム性自体が先のテーマを象徴している。そういえば「4」が出た当時、興味本位で体験版をDLしプレイしてみたが敵を前にして速攻死んでしまった記憶があるが、つまるところ戦わない -
Posted by ブクログ
とある人物が世間のしがらみから逃れて、再生技術を用いた屍者の軍隊を束ねて、中央アジア奥地で独自の王国を作る……そんな伝聞を確認する任務のために、主人公ワトソンはアフガニスタンへ向かう。
その様子は、小説「闇の奥」または映画「地獄の黙示録」を彷彿させる。
その後、新型の屍者の謎を追い、明治初期の日本、南北戦争ののち勢いづくアメリカへ。
時代は19世紀、設定は“屍者の行動再生技術”のあるSF設定。
死者と生者の違い
屍者と生者の違い
死者と屍者の違い
科学は時に混沌を産み出す。
人物名が「カラマーゾフ」「フランケンシュタイン博士」「ヴァン・ヘルシング」「ナイチンゲール」「レッド・バトラー -
Posted by ブクログ
内容は戦争ものなのに、なぜか哲学的な思いを感じた。
個人を殺して望まなくてはならない暗殺機関に属する主人公は人としての思いが強いために、相手に一部共感したのだろう。
これがわたし。
これがわたしというフィクション。
わたしはあなたの身体に宿りたい。
あなたの口によって更に他者に語り継がれたい。
━━伊藤計劃「人という物語」より
9・11を経て、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。
米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェ -
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もともと『ハーモニー』が好きで、SNSで紹介されているのをきっかけに手に取った一冊。正直、SNSで見かける絶賛ほどの期待値には届かなかったけど、普通に面白い。短編集ということもありテンポもよく、一気に読み進められる構成になっている。
なかでも印象的だったのは、伊藤計劃氏の過去作とつながりを感じられる点。直接的な続編ではないものの、世界観や設定がリンクしているような作品がいくつかあって、ファンにはニヤリとできる仕掛けが随所に散りばめられている。時系列や設定の裏側に想像を巡らせながら読むのが楽しい。
伊藤計劃作品をすでに読んでいる人にはより深く楽しめる構成だし、初めて読む人にも短編としてサクッ