伊藤計劃のレビュー一覧

  • ハーモニー

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    よかった。本当によかった。

    大災禍後、過剰な福祉により病気や不健康、不道徳というものがなくなり、統制された個人=社会となった「ユートピア」が舞台。
    SFであり哲学。病床に伏せながら本作を執筆していた著者は、自身の命にいかに向き合っていたのか、否応なしに意識させられる。
    2006年の作品だけど、最近いわれている「ホワイト社会」という言葉とも重なる。

    テレビアニメ「攻殻機動隊」や古屋兎丸の漫画作品「Marieの奏でる音楽」を思い出した。

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    2025年12月28日
  • The Indifference Engine

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    『虐殺器官』から随分と空いてしまった。
    伊藤計劃のストーリーは彼が踠いているように思えて苦しくなってしまう。
    The Indifference Engine
    ルワンダの歴史を感じさせる。

    From the Nothing,With Love.
    何を読まされているのだろう…からラストが素晴らしい。


    『俺』と『お前』が憎み合うから戦争が起こるんじゃない。
    戦争するために『俺』なんてものは存在するんだ

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    2025年12月28日
  • 虐殺器官

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    1.なにのために戦うか。
    諸悪の根源のように描かれていたジョン・ポールにも、明確な行動原理があった。彼は「破壊するために戦った」のではなく、「守るために破壊した」。単純な善悪の対立ではなく、葛藤のなかで揺れ動く主人公クラヴィスを通して、それぞれの「正義」の輪郭を見ていく物語だった。誰もが誰かを守ろうとしているのに、結果として誰かを殺してしまう。そこに人間の矛盾が凝縮されていた。

    2.SF的な要素
    IDタグ、環境追従迷彩、人工筋肉……。「ありそうな未来」を想像させるテクノロジーの描写がリアルで良かった。倫理と科学がどこで交わり、どこで断絶するのか。虐殺器官という発想も、単なる空想のようには思え

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    2025年12月08日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    伊藤計劃の長編の素晴らしいところは、「人間を人間たらしめるのはなにか」という本質を突きながら、常に“社会的生物としての人間”という集団にフォーカスしている点だと思っています。

    長編第一作『虐殺器官』では、「言葉」が虐殺のための臓器として描かれていました。デマ、欺瞞、対立──それらは言葉によってもたらされ、人間は集団の中でいかに安易に誘導されうるか、その危うさが描かれていたように感じます。

    今作『ハーモニー』では、大災厄を経た後の社会が、WatchMe に代表される総監視社会・究極の合理社会として描かれ、その中に生きることについての思考実験のような要素を強く感じました。WatchMe による

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    2025年12月07日
  • ハーモニー

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    人類の救済は最終的にアポカリプスによってしか成されないんやなぁと。
    テクノロジーの力で人類が死を乗り越えられるようになってしまえば、こういう結末が必要になるかもなぁ。

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    2025年11月23日
  • ハーモニー

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    今の価値感で想像すると、ハーモニー後の世界はぞっとしないけど、意識を理由づけする存在とするなら、自分で選んだと思い込んで案外幸福でいられるのかも⁈今の世界だって選んだつもりになってることの方が多いし、そう考えると大差ない⁈私が目指したい調和はどんな形⁈とか
    とにかくいろいろ考えさせられる本

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    2025年10月24日
  • ハーモニー

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    読み終わった後に本文冒頭を見てハッとした。

    幸福とはなんだろう。誰もが幸せな世界は実現不可能なのだろうか。
    いつかこんな未来がくるんじゃないかと思わせる説得力がある。

    とてもおもしろかった。作中の仕掛けに驚いたし、登場人物たちも魅力的な人ばかり。「姉御(クイーン)」って呼ばれてるのかっこよくて好き。世界観を理解するのにも時間は掛からず、ぐいぐい読み進められた。
    大好きな一冊になりました。「虐殺器官」も読みます。

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    2025年10月18日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    読みながら、ノベライズ版の『PSYCHO-PASS』との共通点を感じた。『虐殺器官』風に書くと、語る内容は違うが文法は同じ様な印象。テクノロジーによる人間の制御を主題にしたSF的な世界観、静かでどこかグロテスクな文体、人文学的な引用を織り交ぜながら展開する物語。どちらにも、文学的マッドサイエンティストのような犯人が登場し、事件の裏でフィクサーとして暗躍する。
    また、犯人と主人公の関係性にも通じるものがある。『虐殺器官』では「言語」を、『PSYCHO-PASS』では「犯罪係数」を軸に、正義と悪の曖昧な世界を描いている。物語の最終舞台が社会を支えるインフラ(人工筋肉製造工場/食料供給プラント)であ

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    2025年10月17日
  • 虐殺器官

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    ★4.5ですけどおまけで。
    日本のレベルに収まっていないストーリー展開と設定、返す返すも惜しい作家を失ったなと。
    ただ小松左京が感じたようですけど、全体として軸に据えた虐殺の文法が物語として大きく昇華し切れていない感が否めない。
    才人なれどデビュー作であるという粗さであり、だからこそもっと読みたかったなぁ、この作家の作品を。

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    2025年09月25日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    文体が綺麗で、残酷。
    「調和」と「意識」という哲学的なテーマで、こんなにも惹かれるとは思わなかった。「意識の消失は死なのか」という命題に、真っ向から勝負している。
    病気が根絶され、「福祉」という公共的な優しさで満たされた息苦しい社会。
    苦痛や自殺を悪と見なし、「セラピー」という論理的な優しさで抑えつける社会。
    まるで予言書のようで恐ろしかった。
    結末がハッピーエンドかバッドエンドか、どっちとも解釈できるのが魅力的だった。

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    2025年09月27日
  • 虐殺器官

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    ストーリーは奇想天外でありながら、会話や深層心理は哲学的で理路整然としていてなかなか興味深く面白かったです。
    ストーリー自体も面白いが、対話のやりとりも面白い。
    未来の創造上のアイテムも描写が細かく目に浮かんできます。

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    2025年09月08日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    体の中に入れられた「WatchMe」のおかげで病気がなくなった世界。
    危険な事も先回りして勝手に回避され
    個人情報も常に公開されている社会の中で、人々はお互い慈しみ支え合い暮らす。そんな少し未来の話。
    3人の女子高生、トァンとミァハ、キアンの関係とか、ミァハの存在感に掴まれます。
    トァンの退廃的でちょっと投げやりな感じ、そしてミァハに傾倒している感じも…ビジュアル的にも「真紅のコート」だし!
    こんなふうにキャッキャと読んでも、雰囲気やストーリーに浸れて、うすら寒さも感じて、ホントに面白いのですが
    何やらわかる人にはわかるものすごい仕掛けがあるらしいですね!
    〈えー?〉
    どなたかの解説を読んで

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    2025年09月01日
  • ハーモニー

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    ちょこちょこ科学的なのに,自意識みたいな非科学的なところに重点を置いているストーリー性が良い。

    2025年17冊目

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    2025年08月24日
  • 虐殺器官

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    SF的アイデアも、物語も、文体も、完璧。
    瀬名秀明が小林左京のトリビュートとして書いたミシェルを思わせた。(時系列的には逆だが。)

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    2025年08月06日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    虐殺器官

    久々の★5つを付けました。もっと前にちゃんと読んでおけばよかった・・・
    既読の「ハーモニー」に至る前の世界。
    暗殺を主務とする米国の特殊部隊の隊員が主人公。薬物とカウンセリングにより良心を封印し、紛争地域の紛争の首謀者を暗殺するミッションを淡々とこなしていく主人公。暗殺リストに常に存在するがいつも取り逃がしてしまうアメリカ人。そのアメリカ人が入る国では必ずジェノサイド(大量殺戮)が起こる。
    人は何故殺し合うのか?殺し合うことは進化の上でどういった意味があるのか?そんな哲学的な問いを内包しながら追跡の物語は進んでいきます。そして、どうやって一人の人間が殺戮を誘発することができるのか?

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    2025年08月04日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    ふとした時に読み返したくなる、大好きな作品。
    私にとって、この小説の世界はユートピア風のディストピアである。そんな不穏な世界を読んでいるとなぜか心が落ち着く。
    極端に行き過ぎた世界を目の当たりにすることで、むしろ自分が本当に望んでいるものと、そうでないものとがはっきり浮かび上がってくるからかもしれない。

    「WatchMe」と「メディケア」によって基本的に事故と老衰以外で人が死ななくなった世界。国家や政府がなくなり、自分と他人の健康を最大限に尊重する〈生命至上主義〉が前提となった世界では、争いも起こらない。

    若くして病気で亡くなった著者の伊藤計劃さんにとって、誰よりも健康な身体は切実に欲しい

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    2025年08月03日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    重いSF(想像の域を超えすぎているもの?スターウォーズみたいな、もうそれはその人にしか思いつくのも無理や!みたいなの)は割と苦手で、SFという先入観で読み入ったので自分に合う作品かかなり不安だったけどとても面白く読めたので嬉しかった。
    ただ、本の前半35%ぐらいは割と世界観の説明づくしで物語としては詰まらなかったかな。後半はその世界の解像度がグンと上がってテンポよく読めたのでおすすめ。

    内容は人類がほぼすべての病気を克服したらどうなっていくだろうという思考実験を物語にしました!みたいな感じ。

    伊藤計劃は初めて読んだので、とにかく理屈と予測が丁寧でそれでかつ読みやすいように没頭しやすいように

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    2025年08月13日
  • The Indifference Engine

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    生誕50周年記念限定カバー版。

    この強烈に作品を理解りたいという感覚をもたらしてくれる数ある作家の内の一人。これが愛するということ、カリスマということか。

    変な話、夭折の作家というのは、もう続きが見られない、新たな境地を辿れないからこそ、数少ない断片の希少性が上がるわけで、亡くなって良かったなんて全く思わないが、渇望の度合いは他の比じゃないんだよな。

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    2025年06月27日
  • 虐殺器官

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    数年前にトライしたときは難しくてリタイアしたんですけど、リベンジしてよかった…。
    ラストは大抵の現実はどうでも良くなるくらいの衝撃を受けました。膝から崩れ落ちたSF。

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    2025年06月22日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    ☆僕が最初にタイトルを見た時、10年前になると思うが、タイトル・作者名・装丁の無骨なカッコ良さに大変惹かれたことをよく覚えている。当時はコテコテの、メカがたくさん登場するSF、おそらくロボットかサイボーグかが「虐殺」を起こす物語なのだろうなと想像していた。多分「器官」を「機関」と無意識的に読み違えてたのだと思う。10年経ちそのイメージは誤りであったことが分かる。本書の核である、「虐殺」と「器官」の意味するところがつながった時である。そしてその時初めてこの小説にのめり込むことができた。

    ☆「ことば」が人間の思考や行動に影響を与えるというアイデアから、オーウェルの1984年が想起される。ただ「虐

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    2025年06月09日