伊藤計劃のレビュー一覧

  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    なんとか虐殺器官を読みきった。
    最後までSAN値をガリガリ削られ続ける作品だった。

    ジョンポールと主人公が会話する辺りから
    虐殺の文法を主人公が最後継承するのだろうと
    予想したが、その通りだった。

    救いがないのが主人公もジョンも正気で 犯行動機が愛する者の喪失ということだ。

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    2026年04月29日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    何とかハーモニーをオーディオブックで聴き終えた。
    HTML構文みたいな文章が頻出するので、すごく聞き辛かった。

    感想
    序盤で仮想現実の話かなと予測したけれど、
    もっとグロテスクな話だった。

    意識が不要なものとして、人類が捨て去ってしまった世界に残された文章だったとは。
    しかも意識を理解する為だけに残された記録。

    この記録を読んでいるのは誰か?
    もしかして、意識を持った人類が勝ち残り この記録を発見したということかもしれない。

    生成AIがまるで意識があるかのように振る舞う現代で、
    意識とは何かを問う作品だった。

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    2026年04月25日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    人間の思考は、言語や環境といった構造に強く支配されている。
    自分の意思だと思ったものが、構造によって引き起こされたものであるかもしれない。
    それでも、人は自分は選択の主体であるという感覚から逃れることはできない。構造によって導かれた選択だとしても、その責任を引き受けなければならない。
    この自由意思による選択が、どこまで主体的であるのか、その純粋性によらず人はその責任を、罪を、背負わざるを得ない。

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    2026年04月25日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    人類としての暴力の発散の話。

    昔、読んでとんでもなく面白かった記憶があり再読。
    時代を経たせいか年を取って色んな作品に触れたせいか、昔ほどの衝撃はなかったけど、充分面白く再読して良かったと思えた。





    p. 52
    「地獄はここにあります。頭のなか、脳みそのなかに。大脳皮質の襞のパターンに。目の前の風景は地獄なんかじゃない。逃れられますからね。目を閉じればそれだけで消えるし、ぼくらはアメリカに帰って普通の生活に戻る。だけど、地獄からは逃れられない。だって、それはこの頭のなかにあるんですから」
    「天国もそこにあるのかい」


    p. 392
    スペクタクルとしての戦争は、常に必要だ、と。どこか

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    2026年04月19日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    私はラストの展開について、人間の意思を取り除くことによって生命主義システムの存続のためにを人類が行動するようになった世界、人間が何をすべきかというのはシステムが自ずと示してくれるため、人間が迷わなくなった、悩まなくなった世界になったという解釈をしています。

    この本の中では大部分を実存主義的なものの見方で人間の自我というものを定義している気がしています。作中にもあった「このからだも、このおっぱいも、このおしりも、この子宮も、わたしのもの」というところにも現れていた気がします。

    一方で、構造主義的な見方によると、人間の自我というのは、その人の中にあるのではなく、その人が発する言葉の中、人間関係

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    2026年04月14日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    ジョン・ポールがどうやって虐殺を引き起こしたか明かされたときにタイトルに合点がいって、虐殺器官と形容した作者に感服した。
    エピローグのこの世界観の閉じ方が衝撃的ですごく良かった。ネームドの同僚が生きていたとしても、クラヴィスは同じ選択をしたんだろうなぁ…

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    2026年04月09日
  • ハーモニー

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    虐殺器官の直後に読みました。空っぽに吹き抜けている中を涙を流しながらただ歩いているような。その時々にできる最善の選択をし続けた結果が人類の進化であるなら、人間は動物と何が違い、何が我々を人間たらしめるのか。
    こうして感想を書いていて、ああ、あそこのあのフレーズはそういうことか…と走馬灯のように文字が浮かんでくるのが、伊藤計劃さんの文章と表現の素敵なところですね。ちりばめられている。

    文庫版巻末の佐々木敦さんの解説もぜひ読んでいただきたいです。

    以下、早々に17ページ目で心ごと引きずり込まれた好きなやり取りを。ネタバレではありませんが、すべて自分の目で読みたい方はご注意ください。





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    2026年04月05日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    アメリカ情報軍のクラヴィス・シェパードは、日々暗殺任務をこなしながら、自らが生命維持装置を止める決断をして死なせた母親への罪の意識を持って暮らしていた。そんな中、大量虐殺の地に必ず現れ、捕まりそうになると姿をくらます男、ジョン・ポールを捕らえるため、チェコに向かうも、罠にはめられて逆に捕まってしまう。現れたジョン・ポールが語ったのは、人々を大量虐殺へと導く「虐殺の文法」の存在だったーーー。

    軍や戦争に特化したSFものということで、読んだことのないジャンルだったが、特に後半はどっぷりハマった。虐殺の文法、愛するものを守るための虐殺など、身近ではない題材だったが、我々先進国に暮らすものがあえて目

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    2026年03月21日
  • 虐殺器官

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    一生本棚に置いておく。今、世界がこうなっている時にこそ、読んで欲しい。

    「小説はラインマーカーを引いたりするのではなく印象で楽しみたい。実用書とは読み方が違うよね」と夫と話した直後でした。メモして大事にしたいフレーズがこんなにもたくさん出てくる。読書メモがパンクしてます。

    優しく、大きな叫びはなく、そこに世界があり社会構造があり、人間の脳と感情と肉体としての構成物があり、情報と歴史があり。
    ただ静かにすぐそこに、体内に、あらゆるところに地獄がある。
    どうしたらこんな文章が書けるんでしょう。伊藤計劃さんの本、全部買います。

    15年ほど前になんとかなく手に取り、ずっと実家の本棚に置きっぱなし

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    2026年03月15日
  • 虐殺器官

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    ジャーナリズムからスルーされた虐殺の悲鳴は、ネットの海に埋もれてしまっていた。取り上げられる主要な残虐行為以外は、さして注目もされないウェブページとしてアーカイヴされているにすぎない。情報を発信するのは容易だが、注目を集めるのはより難しくなっている。世界は自分の欲する情報にしか興味がなく、それはつまり情報そのものは普通に資本主義の商品にすぎないということだった。

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    2026年02月21日
  • ハーモニー

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     場面設定の理解に苦戦しつつも読み始めればやはりSFというものは面白く奥深いと心底思います。
     ハーモニーは近未来で、だれも病気やケガでは死ななくなった世界、でも若年層の自殺だけは増えているという状況が舞台である。福祉社会に完璧に近づき優しさで包み込まれるようなはずなのになぜか虚しい、寂しい、辛いのである。優しさというものがここまで鋭い刃になることをこの作品で改めて突き付けられた気がする。
     誰も死なないこと、だれも体調を崩さないこと、健康的な毎日を送れることというのはこの上ないことだと思っていた。だが、「死」ということを老衰、事故、または自殺でしか達成できないとなった場合、我々はこのような結

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    2026年02月08日
  • ハーモニー

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    去年、「虐殺器官」を読んでハマったから読んだけど、期待を軽々超えて来た。もちろん本編も最高に面白かったし、解説もとても面白かった。二作続けて「次元が違う」面白さを感じたからこそ、もう彼の新作を待てないことがとても残念、、
    きっとここ15年くらいの社会についても、面白い小説書いたんだろうな。

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    2026年01月27日
  • 虐殺器官

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    「ジョン・ポール」
    「この男が入った国は、どういうわけか混沌状態に転がり落ちる。」
    「この男が入った国は、どういうわけか無辜の命がものすごい数で奪われる。」

     どこからが「わたし」なのか。この意思は、選択は、本当に「わたし」のものなのか。
     いろいろと考えさせられた。これが『ハーモニー』に繋がっていく辺り、作者自身も答えは出ていないのかなと思う。もっと伊藤計劃さんの書く物語が読みたかった……。
     昨今の世界情勢に通じるところがありつつも重くなり過ぎず、SF・ミステリ・ミリタリー小説として楽しめた。
     人は見たいものしか見ない。ほんとうにその通りだと思う。

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    2026年01月14日
  • 虐殺器官

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    少し未来の科学が進んだ世界の軍隊の話です。
    リアリティがすごくあるのと、ストーリーとキャラクターが上手いことマッチしていて、最初から最後までずっと面白かったです。
    ただ、バイオレンスなシーンも多いので、好き嫌いが分かれるかもしれません。ただ、自分はおススメしたい一冊です。

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    2026年01月09日
  • 屍者の帝国

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    魂は人間に特有のものなのか?
     ―ではその魂とはなんなのだね?

    伊藤計劃の遺稿を、円城塔が引き継ぐ形で生まれた『屍者の帝国』。
    伊藤氏の作品、『虐殺器官』『ハーモニー』が好きで、今でも時々読み返している。
    一方で本書は、以前途中で離脱してしまいそのままになっていた。

    もし同じく途中で離脱してしまった方がいたら、登場人物たちの目的をなんとなく掴んだうえで、398ページからだけでも読んでみてほしい。
    (失礼かもしれないけれど、途中でやめてしまった方にこそ、ぜひ)
    そこからの展開はドキドキが止まらず、もっと早く読んでしまえばよかった!と思ったくらいだった。

    『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝

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    2026年01月06日
  • 虐殺器官

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    日本を代表するSF作品という評価に偽りないと感じました。

    SF作品の面白さは設定の作りこみ、本当に起きているかのようなリアルさにあると思うため、舞台設定から描写まで非常に緻密でした。
    今の世界情勢についても考えてしまう嫌な読後感ですが、そういった目を背けたくなるようなテーマを扱うことこそSF作品の価値だなと感じました。

    テーマとなっている虐殺器官の真相、主人公の葛藤、世界観の残酷さと、読んでいてちゃんと嫌な気持ちになる作品で、様々な観点から考えさせられる作品でした。
    こんな世界になっていたら自分もそうしてしまうんじゃないかと思う場面が多々あり、そんな葛藤の気持ちもテクノロジーにより制御され

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    2026年01月04日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    1.最適化
    合理性を求めていった結果、規則や、空気に縛られて、最終的に人類の意識はなくなってしまう。そのきっかけが医療の高度化によって引き起こされるのは面白かった。「脳もまた肉体の一部である以上、それを制御してはならない根拠など、どこにあるだろうか。」脳を制御し始めた場合、自分の意志はどこに存在するのだろうか。正しい報酬設定のために生きることに意味はあるのだろうか。


    2.美
    トァンの最後の意志としてミァハを撃った。そして意識は消滅した。その表現がとても綺麗に感じた。文中のタグ表現で無機質に見えるような場面も多かったが、後半になるにつれて、そして一番最後の場面は「感情のテクスチャを生起」させ

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    2026年01月01日
  • 虐殺器官

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    内戦や大虐殺の陰に存在する謎の男ジョン・ポールを追う、お話(?)。

    近未来SF(?)作品。残酷なシーンや思想的な難解さもありながら、世界観に引き込まれて一気読みしてしまった。

    ミーム、モジュール、虐殺の文法、マスキング。
    完全な理解はできていないけども。



    途中まで読んで、ぽいっと置いておいて年越してもよかったけど、何故だかぐいっと引き込まれて、読まされたという感じ。

    読書熱高まった今年最後にふさわしい素晴らしい作品だったな、と思いました。

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    2025年12月31日
  • 虐殺器官

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    個人情報の管理が進んだ社会でアメリカ情報軍の暗殺部隊に所属する主人公が、「言語」によって虐殺を引き起こしていると考えられる人物を追う物語。

    社会の設定が現代よりも進んだ管理社会になっているが、今の情報管理の流れを考えるとありそうだと感じる。そのような社会の中で足がつかずに犯罪やテロを引き起こすのは難しそうだが、そこの方法は準備されていて非常に良かった。

    また表題の『虐殺器官』もそれ自体の明確な原理の説明はない(まぁそりゃそうか)が非常に面白い設定。言葉で虐殺が起きるなんて、なんて思うがちょっと前に読んだローティの解説本(100de名著)でも取り上げられていたから、受け入れられました。とても

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    2025年12月31日
  • ハーモニー

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    よかった。本当によかった。

    大災禍後、過剰な福祉により病気や不健康、不道徳というものがなくなり、統制された個人=社会となった「ユートピア」が舞台。
    SFであり哲学。病床に伏せながら本作を執筆していた著者は、自身の命にいかに向き合っていたのか、否応なしに意識させられる。
    2006年の作品だけど、最近いわれている「ホワイト社会」という言葉とも重なる。

    テレビアニメ「攻殻機動隊」や古屋兎丸の漫画作品「Marieの奏でる音楽」を思い出した。

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    2025年12月28日