伊藤計劃のレビュー一覧
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伊藤計劃の遺作を円城塔が仕上げた合作!!
あとがきで思わず涙が……。
伊藤計劃が書いたのはどの程度なのだろう。
何にせよ、彼がプロットを書いた作品である以上、たとえ中途半端でもファンは読みたいハズですよね。
後を引き継ぎ仕上げて出版するのはかなり勇気がいる事だと思う。
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原稿用紙にして三十枚ほどの試し書きと、A4用紙一枚ほどの企画用プロット、集めはじめた資料が残され、『屍者の帝国』は中断された。
(文庫版あとがきより)
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原稿用紙30枚程…
プロローグ部分のみと言う事かな。
元々『虐殺器官』や『ハーモニー』との関連付けはなさそうだし、構えずに『合作』を楽しんで読みました。
屍者と言ってもゾンビものではなく、この作品は「歴史改変もの」と言うそうです。
時代背景は、1878〜1881年。
何事にも屍者が必要不可欠な世界。
主人公はジョン・ワトソン。
そう。あの有名な彼。
ワトソン君です(〃´-`〃)
他にも知った名前が目白押し♡
ヴァン・ヘルシング
ウォルシンガム
リットン
カラマーゾフ
ヴィクター・フランケンシュタイン
アイリーン・アドラー
なんかもう遊び心満載でワクワクします♡
屍者技術を開発したヴィクター・フランケンシュタイン。
その全てが記されているという『ヴィクターの手記』を手に入れるため、ウォルシンガム機関の諜報員であるジョン・ワトソンは、助手の屍者フライデーと、フレデリック・バーナビー大尉と共に旅に出る。
ロシア帝国、日本、アメリカ、大英帝国をめぐり、手記と、それを手にしている『ザ・ワン』を追う。
手記の存在が現在の屍者の世界をどう変えていくのか、次々と行手を阻む屍者の群れと支配者たちの存在で徐々に明らかになっていく。
賛否両論あったというアニメも観ました。
やはり内容は少し違いますが、映像がめちゃめちゃ綺麗だったし、アニメはアニメで面白かったです( ˶'ᵕ'˶)♡
何より映像で観ると世界観が分かりやすい。
なので、イメージが少し違うなぁと思ってもそれはそれで脳内で変換すればよいのです(๑¯∇¯๑)
日常で屍者が料理してたり仕事してたり…。
すごい想像力だなぁ…(*´﹃`*)
伊藤計劃のプロフィール見たら、私同じ歳…。
私のような凡才が生きてて彼のような天才が亡くなるなんて……(、._. )、
円城塔さんのあとがき読んでて涙出ました。
続きは読めないにしても、感動した作品はずっと人の心に残ります。
他の作品も読みたい欲が湧いてきます(*´˘`*)♡
やっぱりSFは面白い!!
ミステリ大好きだけど、SFも同じくらい好きだなぁ。
また虐殺器官とハーモニー読みたくなりました♡ -
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ネタバレ「作家刑事毒島」に作者の名前が出て来たので。
といっても、あとがきによると、
「原稿用紙にして三十枚ほどの試し書きと、
A4用紙一枚ほどの企画用プロット、集めはじめた資料」が残され、
伊藤計劃は亡くなり、円城塔が書いたものということだった。
個人的には違和感はなかった。
「歴史改変もの」と言うらしい。
実際の歴史のどこかを変えて展開するストーリー。
その「どこか」は、
フランケンシュタインが作り出した技術が一般化されたということ。
死者を労働力として利用している世界、明治が始まったばかり。
それゆえ、少年や女性は炭鉱の労働から解放され、
戦争は銃を意味をなさず、肉弾戦が有効とされ、
日本刀が最高の武装とされる世界。
パラレルワールドと言った方がしっくりくるかな。
実際の世界とのねじりが起こすめまいに翻弄されたまま、話は進む。
哲学的な内容はついていけなかったが、
大英帝国の大尉、筋肉製の大男が暴れまわるのが楽しかった。
そうそう、自分もフランケンシュタインが
死者から生まれた怪物の名前だと思っていた。
その創造物は生まれた時から青年の姿だった、と書かれているが、
生まれた時から大人とはどんな気持ちなのだろう。 -
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虐殺器官との繋がりもあり、面白かった。
自分は、この中では『the indifference engine 』が一番面白かった。虐殺器官と比べてみることができ、また、「戦争が終わっても、本当の意味での戦争は終わっていない」というのがとても印象的だったからだ。
その他の作品で、読みづらいものや難しいものもあったが全体的にとても面白かったと思う。
衝撃的だった作品は、『セカイ、蛮族、ぼく』だ。冒頭から凄かった。曲がり角でぶつかる、漫画、ゲームで定番のシチュエーションで、伊藤計劃さんらしくないと思ったが、その後で納得(というか圧倒された)した。長さは短いが、内容が深かった。
『屍者の帝国』の冒頭も収録されていた。面白かったので、今度本編を読んでみようと思った。 -
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ネタバレぼくらのまわりを見てごらん、自然物がどれだけある?人間の手によって植えられた草や鉢植えや街路樹や、駐車場の雑草が「自然」かな?近所を流れている川、それは自然の川かね。何か最近になって出来た用水路は論外としても、実は昭和、明治、さかのぼって江戸時代につくった農業用水だったりしないかね。
ぼくらは人工物に囲まれて生きている。ぼくらは人間が思考してそう望んだ環境に囲まれて生きている。人間の思考の結果に囲まれて生きている。なぜ大地震で5000人の人が死ぬことにみな驚きながら、年間の交通事故によるものすごい数の死者には驚かないのかな?それはすなわち、自然は「降ってわいた災害」で、予測できないファクターだったのに対し、交通事故は「社会的に予測の範囲内であり、許容できる副産物」に過ぎないからだ。自身は自然の災難だけど、交通事故は人間の思考の守備範囲なのだ。道路も、ビルも、家も、食料も、すべては人工物にすぎない。 -
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ネタバレ要注意ワードは「深い/浅い」です。あと「薄い」。
これは、責任とか自分といったものからものすごく遠い単語です。深い/浅いは具体的にどうだったのかを全く述べないときに使われる、印象批評では下の下の下下々の下ぐらいの単語でしょう。テーマが深い。よござんす。しかし、「どう」テーマが深いのかを書くのが文章というものの機能なのであって、それをきちんと書けている人はわざわざ「深い/浅い」とは書きません。つまり「深い」と書くのは馬鹿です。要するに何も考えていないということのぶっちゃけというか告白なので、その文章の知性を駄目な方向に数ランク引き下げたいのだったらがんがん使うべきです。 -
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伊藤計劃氏の映画批評。エッセイに近いラフな調子でぐいぐいと進んでいく。口調は軽快ですが、映画への思い入れや知識、監督や役者の個性やカラーまでを熟知して書かれる批評は絶品。一般的には駄作と評されるような作品についてもだめな部分は明確にしつつ、それでも愛すべき箇所を伊藤氏しか書けないだろう視点で書いているところには、映画という文化、媒体そのものへの愛を感じました。
そのかわり、世間では名作と呼ばれているようないくつかの作品は容赦なく喝破されていましたが…笑
ほんとうに早逝が惜しまれる人、というのは伊藤さんのような人なのだと思う。生きていたとしたら今の世界、映画をどう観てどう論じたのだろうか、そんなことばかりが頭をよぎりました。 -
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伊藤計劃三冊目。
デビュー前に「スプークテール」という著者自身が運営していたウェブ・サイトにアップされた映画に関するレビュー全51作をまとめたもの(「今月のまとめ」としてまとめて紹介された作品も勘定にいれた)。
僕自身はそれほどに映画に詳しくはなく、かといって全然見ないわけでもない、まぁそこそこ映画好きな人間、ってところだろうか。
本書に掲載されている51作品のうち、22作品は劇場、あるいはDVD等で鑑賞済。
決して多い数字ではないだろうけれど、「映画に全然興味ないもんね」と胸を張って言える(?)には多い数字だろう。
僕としては、映画のレビューを読みたい、というよりも、あれだけの面白い作品を作り上げることが出来た人間が、どんな映画を観て、どんな感想を抱いたのか、に興味があった。
なるほど、と思ったのは、物語の流れだけでなく、一つ一つのカット割り、場面構成、オブジェ、建物、シーン全体に漂う雰囲気、そういったものにかなり強い視点を当てて映画を観ているなぁ、ということ。
そういった本流(物語)以外の、本流を支えている重要な要素にきちんと目配りが出来る、ということが彼の小説世界を支えている要因の一つなのかも知れないなぁ、と思った。
そういえば彼は武蔵野美術大学の出身。
だから美術的な要素に神経が向かうのかも知れない。
ちなみに武蔵野美術大学の少し東には僕が卒業した中学校が、少し西には僕が卒業した小学校と高校があり、昔はよくこの美大の文化祭に遊びにいっていた(こう書くと、ネットで検索すればすぐに「あ、この学校か」と判ってしまうだろうなぁ)。
映画レビューにあまり視点を置かずに読み進めてはみたものの、何作かはぜひ見てみたい作品があった。
1998年~2000年にかけて上映された映画が紹介されているので、今ではDVDやブルー・レイで観ることになるのだろうが、伊藤計劃氏が語っている「ここでやっているのは映画批評じゃなく、読んでくれた人を映画館へ誘導すること」という彼の目標は、少なくとも僕に関しては達成されている。
映画ファンがこの本をどう読むのか、また伊藤計劃ファンがこの本をどう読むのか、僕には想像出来ないが、そこそこ映画ファンであり、遅まきながら最近やっと伊藤計劃ファンになった僕は、予想以上に面白く読み進めることが出来た。 -
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「Running Pictures: 伊藤計劃映画時評集 1」の続編。
2000年から2004年にかけての、全30作品の映画レビューが掲載されている。
そのうち僕が観たものは12本。
前作とそれほどページ数が変わらないのに、掲載されているレビューが少ないのは、それだけ1本に対する掲載量が増えているから。
また、「イントロ」「キャスト」「要約」「レビュー」と章分けされてもいる。
感想は前作を読んだときと殆ど変らず。
ただ今回は前出のように1作品に対する情報量が増えているので、読んでいて観たくなった作品の本数は増えたように思う。
他の映画評論家と違うポイントで映画を観ているのが面白く、僕が観た作品も「なるほど、こんな見方もあったのか」と感心してしまう。
なによりも著者自身が本当に映画が好きであり、愛情を抱いている様がひしひしと伝わってきて読んでいて気持ちが良い。
最初は、著者の小説の背景が垣間見られるかな、といった好奇心で読んできたシリーズだが、最終的には「映画ってやはり面白いんだな」というところに落ち着いた。
その意味では、本書(前作も含む)に込められた著者の気持ちは充分に伝わってきたと思う。 -
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書籍というきちんとした形でまとめられていなかった作品を集めた作品集。
6つの短編に、2つの劇画、1つの他の作品の解説、という構成になっている。
やはり6編の短編はどれも極上。
「セカイ、蛮族、ぼく。」という短編だけは少し毛色が違っているが、残りはどれも伊藤計劃らしさが漂ってくる作品となっている。
きっちりと論理立てされており、だからといって息苦しさを感じさせることもなく、読むものを良質のエンターテインメントへと誘ってくれる。
最後の「屍者の帝国」のみ未完(遺稿でもある)。
のちに円城塔が後を引き継いで完成させているが、購入してはいるがまだ未読(評判はあまり芳しくないようだが……)。
どの作品も面白いのだが、やはり一番強く心に残ったのは「本当に惜しい才能を失ってしまった。もっと彼の作品を読んでみたかった」という残念な気持ち。
特に未完に終わっている「屍者の帝国」の「これから先、どんな展開が待っているんだろう」と期待に胸を躍らさせてくれる内容を読んでしまうと、本当に残念でならない。 -
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夭折の天才、伊藤計劃の遺稿を含む短編集。同人誌に掲載した試作や未完の作品が多く、「お試し」感の強いラインナップで、一読しての印象は「なんか中途半端だなー」というのが正直なところ。
ただし、完結している作品ももちろん収録されてまして、この完成度が恐ろしく高いです。「虐殺器官」と同じ世界線にある表題作はもちろんのこと、鴨的には「From the Nothing, with Love」が衝撃的な出来。ぱっと見はあの世界的に有名なスパイ・アクション映画のパスティーシュで、なんでこの映画が題材なんだよ!と心の中で突っ込みながら読み進めたわけですが、これがちゃんとSFしていて、しかもいかにも伊藤計劃らしい深堀りした思索が静かに展開されていて、短編にも関わらずお腹いっぱいな読み応え。
うーん、鴨の全く個人的な感触ですが、伊藤計劃は短編向きの作家だったんじゃないのかな、という気がします。
長編は一通り読みました。スゴく面白かったんだけど、正直かなりリダンダントな印象を受けて、読後感は今ひとつでした。今にして思うと、鴨は伊藤計劃作品に「フツーのSF」を求め過ぎていたのかもしれません。先日師匠が初めて伊藤計劃作品を読んで、「村上春樹っぽいね」と評しておりました。正にその通りで、SFとして読む前に、この人の作品は「物語」なんでしょうね。歳を重ねて円熟した伊藤計劃がもし作品を世に出したら、どれほどの傑作になったんだろう、と今更ながらに思います。惜しい才能を無くしたなー。