伊藤計劃のレビュー一覧

  • ハーモニー

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    虐殺器官の直後に読みました。空っぽに吹き抜けている中を涙を流しながらただ歩いているような。その時々にできる最善の選択をし続けた結果が人類の進化であるなら、人間は動物と何が違い、何が我々を人間たらしめるのか。
    こうして感想を書いていて、ああ、あそこのあのフレーズはそういうことか…と走馬灯のように文字が浮かんでくるのが、伊藤計劃さんの文章と表現の素敵なところですね。ちりばめられている。

    文庫版巻末の佐々木敦さんの解説もぜひ読んでいただきたいです。

    以下、早々に17ページ目で心ごと引きずり込まれた好きなやり取りを。ネタバレではありませんが、すべて自分の目で読みたい方はご注意ください。





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    2026年04月05日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    アメリカ情報軍のクラヴィス・シェパードは、日々暗殺任務をこなしながら、自らが生命維持装置を止める決断をして死なせた母親への罪の意識を持って暮らしていた。そんな中、大量虐殺の地に必ず現れ、捕まりそうになると姿をくらます男、ジョン・ポールを捕らえるため、チェコに向かうも、罠にはめられて逆に捕まってしまう。現れたジョン・ポールが語ったのは、人々を大量虐殺へと導く「虐殺の文法」の存在だったーーー。

    軍や戦争に特化したSFものということで、読んだことのないジャンルだったが、特に後半はどっぷりハマった。虐殺の文法、愛するものを守るための虐殺など、身近ではない題材だったが、我々先進国に暮らすものがあえて目

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    2026年03月21日
  • 虐殺器官

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    一生本棚に置いておく。今、世界がこうなっている時にこそ、読んで欲しい。

    「小説はラインマーカーを引いたりするのではなく印象で楽しみたい。実用書とは読み方が違うよね」と夫と話した直後でした。メモして大事にしたいフレーズがこんなにもたくさん出てくる。読書メモがパンクしてます。

    優しく、大きな叫びはなく、そこに世界があり社会構造があり、人間の脳と感情と肉体としての構成物があり、情報と歴史があり。
    ただ静かにすぐそこに、体内に、あらゆるところに地獄がある。
    どうしたらこんな文章が書けるんでしょう。伊藤計劃さんの本、全部買います。

    15年ほど前になんとかなく手に取り、ずっと実家の本棚に置きっぱなし

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    2026年03月15日
  • 虐殺器官

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    ジャーナリズムからスルーされた虐殺の悲鳴は、ネットの海に埋もれてしまっていた。取り上げられる主要な残虐行為以外は、さして注目もされないウェブページとしてアーカイヴされているにすぎない。情報を発信するのは容易だが、注目を集めるのはより難しくなっている。世界は自分の欲する情報にしか興味がなく、それはつまり情報そのものは普通に資本主義の商品にすぎないということだった。

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    2026年02月21日
  • ハーモニー

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     場面設定の理解に苦戦しつつも読み始めればやはりSFというものは面白く奥深いと心底思います。
     ハーモニーは近未来で、だれも病気やケガでは死ななくなった世界、でも若年層の自殺だけは増えているという状況が舞台である。福祉社会に完璧に近づき優しさで包み込まれるようなはずなのになぜか虚しい、寂しい、辛いのである。優しさというものがここまで鋭い刃になることをこの作品で改めて突き付けられた気がする。
     誰も死なないこと、だれも体調を崩さないこと、健康的な毎日を送れることというのはこの上ないことだと思っていた。だが、「死」ということを老衰、事故、または自殺でしか達成できないとなった場合、我々はこのような結

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    2026年02月08日
  • ハーモニー

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    去年、「虐殺器官」を読んでハマったから読んだけど、期待を軽々超えて来た。もちろん本編も最高に面白かったし、解説もとても面白かった。二作続けて「次元が違う」面白さを感じたからこそ、もう彼の新作を待てないことがとても残念、、
    きっとここ15年くらいの社会についても、面白い小説書いたんだろうな。

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    2026年01月27日
  • 虐殺器官

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    「ジョン・ポール」
    「この男が入った国は、どういうわけか混沌状態に転がり落ちる。」
    「この男が入った国は、どういうわけか無辜の命がものすごい数で奪われる。」

     どこからが「わたし」なのか。この意思は、選択は、本当に「わたし」のものなのか。
     いろいろと考えさせられた。これが『ハーモニー』に繋がっていく辺り、作者自身も答えは出ていないのかなと思う。もっと伊藤計劃さんの書く物語が読みたかった……。
     昨今の世界情勢に通じるところがありつつも重くなり過ぎず、SF・ミステリ・ミリタリー小説として楽しめた。
     人は見たいものしか見ない。ほんとうにその通りだと思う。

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    2026年01月14日
  • 屍者の帝国

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    魂は人間に特有のものなのか?
     ―ではその魂とはなんなのだね?

    伊藤計劃の遺稿を、円城塔が引き継ぐ形で生まれた『屍者の帝国』。
    伊藤氏の作品、『虐殺器官』『ハーモニー』が好きで、今でも時々読み返している。
    一方で本書は、以前途中で離脱してしまいそのままになっていた。

    もし同じく途中で離脱してしまった方がいたら、登場人物たちの目的をなんとなく掴んだうえで、398ページからだけでも読んでみてほしい。
    (失礼かもしれないけれど、途中でやめてしまった方にこそ、ぜひ)
    そこからの展開はドキドキが止まらず、もっと早く読んでしまえばよかった!と思ったくらいだった。

    『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝

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    2026年01月06日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    1.最適化
    合理性を求めていった結果、規則や、空気に縛られて、最終的に人類の意識はなくなってしまう。そのきっかけが医療の高度化によって引き起こされるのは面白かった。「脳もまた肉体の一部である以上、それを制御してはならない根拠など、どこにあるだろうか。」脳を制御し始めた場合、自分の意志はどこに存在するのだろうか。正しい報酬設定のために生きることに意味はあるのだろうか。


    2.美
    トァンの最後の意志としてミァハを撃った。そして意識は消滅した。その表現がとても綺麗に感じた。文中のタグ表現で無機質に見えるような場面も多かったが、後半になるにつれて、そして一番最後の場面は「感情のテクスチャを生起」させ

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    2026年01月01日
  • ハーモニー

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    よかった。本当によかった。

    大災禍後、過剰な福祉により病気や不健康、不道徳というものがなくなり、統制された個人=社会となった「ユートピア」が舞台。
    SFであり哲学。病床に伏せながら本作を執筆していた著者は、自身の命にいかに向き合っていたのか、否応なしに意識させられる。
    2006年の作品だけど、最近いわれている「ホワイト社会」という言葉とも重なる。

    テレビアニメ「攻殻機動隊」や古屋兎丸の漫画作品「Marieの奏でる音楽」を思い出した。

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    2025年12月28日
  • The Indifference Engine

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    『虐殺器官』から随分と空いてしまった。
    伊藤計劃のストーリーは彼が踠いているように思えて苦しくなってしまう。
    The Indifference Engine
    ルワンダの歴史を感じさせる。

    From the Nothing,With Love.
    何を読まされているのだろう…からラストが素晴らしい。


    『俺』と『お前』が憎み合うから戦争が起こるんじゃない。
    戦争するために『俺』なんてものは存在するんだ

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    2025年12月28日
  • ハーモニー

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    読み終わった後に本文冒頭を見てハッとした。

    幸福とはなんだろう。誰もが幸せな世界は実現不可能なのだろうか。
    いつかこんな未来がくるんじゃないかと思わせる説得力がある。

    とてもおもしろかった。作中の仕掛けに驚いたし、登場人物たちも魅力的な人ばかり。「姉御(クイーン)」って呼ばれてるのかっこよくて好き。
    世界観を理解するのにも時間は掛からず、ぐいぐい読み進められた。
    大好きな一冊になりました。「虐殺器官」も読みます。

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    2026年01月12日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    文体が綺麗で、残酷。
    「調和」と「意識」という哲学的なテーマで、こんなにも惹かれるとは思わなかった。「意識の消失は死なのか」という命題に、真っ向から勝負している。
    病気が根絶され、「福祉」という公共的な優しさで満たされた息苦しい社会。
    苦痛や自殺を悪と見なし、「セラピー」という論理的な優しさで抑えつける社会。
    まるで予言書のようで恐ろしかった。
    結末がハッピーエンドかバッドエンドか、どちらとも解釈できるのが魅力的だった。

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    2026年01月18日
  • The Indifference Engine

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    生誕50周年記念限定カバー版。

    この強烈に作品を理解りたいという感覚をもたらしてくれる数ある作家の内の一人。これが愛するということ、カリスマということか。

    変な話、夭折の作家というのは、もう続きが見られない、新たな境地を辿れないからこそ、数少ない断片の希少性が上がるわけで、亡くなって良かったなんて全く思わないが、渇望の度合いは他の比じゃないんだよな。

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    2025年06月27日
  • The Indifference Engine

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    やっぱ伊藤計劃ですわ!とニコニコせずにはいられない素敵な短編集だった。現実世界に対する皮肉が込められた視点、それでいて悲観的ではないユーモアに富んだ描写、世界観に説得力を持たせるSF的なディテールといった具合に、伊藤計劃らしさを余さず感じられる作品だと感じた。

    「The Indifference Engine」
    上記の3要素が最も色濃く感じられたのがこの短編。虐殺器官とハーモニーを読んでからしばらく時間が空いていたが、一気に伊藤計劃ワールドに引き戻される感覚だった。俺は今伊藤計劃を読んでいるんだ〜!みたいな。極々身近なものとして暴力を振るい振るわれる主人公は、エリスンの少年と犬を彷彿とさせる

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    2025年04月15日
  • メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット

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    ネタバレ

    メタルギアシリーズの総復習にもなる1冊
    メタルギアサーガの最終章ということもあり、これまでのメタルギアシリーズのストーリーもまとめられていて、ゲームをプレイしていた時から忘れてしまった内容も思い出すことができた。登場人物も今までのシリーズのキャラが集結しており、まさに総決算といったところ。著者の伊藤計劃氏は大のメタルギアファンだったとされているが、言われてみれば、確かに虐殺器官などメタルギアから影響を受けている世界観だったなぁと今更気づいた。そして今回の作品では、ゲームのストーリーをただ語るだけではなく、作者が感じた思いもうまく織り混ぜられており、伊藤計劃氏の書いたメタルギアを読むことができて

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    2025年03月15日
  • 屍者の帝国

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    ネタバレ

    とても面白かった。
    けど、自分の読書力ではこの本を100%楽しめてない気がする。
    いつかもう一回読みたい
    ラストシーンは感動した

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    2025年01月11日
  • ハーモニー

    購入済み

    電子書籍でこそ読んでほしい

    データとして記述されたトァンの人生を参照しているという設定が面白い。
    感情の動きなどもわかり親切設計だなと思ったが、エピローグを見てそれが必要な理由に納得した。


    ストーリーも面白い。
    『虐殺器官』から半世紀。
    監視の目がついに身体の中にまで行き届いた生命主義社会。

    そんな世界に抗う組織が出てくる。
    でも実は世界よりも別のものが間違っているという答えに辿り着くのは、さすが伊藤計劃と言わざるを得ない。


    これは小説を先に読むことをおすすめする。
    小説の細かい描写を読むことでアニメ作品とは印象が変わってくる。

    特に変化したのがキアン。
    昔話で語られるキアンの思いを聞いたトァンの心情を垣間見

    #共感する #深い #タメになる

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    2024年09月08日
  • 虐殺器官

    購入済み

    SFで社会派小説

    作品内の何も知らないで平穏な生活を送るアメリカ人は、まさに今の日本人そのもの。
    皮肉が効いていて読み進めるたびに複雑な感情を抱く。

    ジョン・ポール(犯人)の大量虐殺を行う動機が予想外だった。
    そうきたか!って鳥肌もので私的には今までにないタイプの犯人像が魅力的。

    私はアニメ映画→小説という順番で観た。
    近未来的な世界観なので先に映像を見ておくとわかりやすいかもしれない。
    小説はクラヴィス(主人公)の過去の掘り下げや心理描写があるところがいい。
    終わり方は映画の方が好み。

    #ダーク #深い #タメになる

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    2025年08月15日
  • メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット

    nas

    ゲームノベライズのベストかも

    こんなに凄いゲームノベライズはちょっと他に思いつかないな。単体でも楽しめるけどメタルギアソリッドのゲームで1,2,3,4を知ってるともっと楽しい。ノベライズってことでゲームの4と同じ物語なんだけど違うというか、圧縮されて濃くなってるのに話やテーマが分かりやすくなってる気がする。「物語」のキーワードを使った描写は上手すぎる

    #アツい #深い #感動する

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    2024年06月25日