伊藤計劃のレビュー一覧
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ネタバレ『ハーモニー』、めちゃくちゃ面白かった!
世界観の設定がぶっ飛んでるのに整合性がとれててすごすぎる。意識とか、「わたし」であることの意味を改めて考えさせられて、かなり楽しかった。意識のないユートピアが最後には実現されていたけど、だからこそ私は意識の非合理性の美しさを再確認した。ハーモニーっていうタイトルの意味がわかったとき震えた。極論で理想論的なものではあるけど、そんな世界が実現したら本当にこんな感じなんだろうなぁとリアルに感じられて凄かった。ジャンルはSFではあるんだろうけど、それ以上の重いテーマを感じられてかなり良かった。
あとは、文章の表現やテンポ感が面白くて好きだった。コードで表現され -
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体内デバイス「WatchMe」で体内を監視し、コンサルやアドバイザーによって日常生活が完璧に設計され、他者を気遣う精神が根付く世界。
自分は「何のために生きるか?」「極限まで調和した社会が幸か不幸か?」と投げかけられる一冊。SFとしてもディストピアとしても設定が細かく世界観が作り込まれていてとても面白かった。
プログラミングのような独特な本の進行もちゃんと意味が有り◎
↓(以下若干のネタバレ含む感想)
個人的には完璧に社会が調和し、幸福も絶望も戦争も経済も無くなった場合、社会は半永久的に続いていくように思える。しかし調和した社会は病気や自殺が無くても外部からの脅威(自然災害や致命的な疫病 -
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(備忘)個人的初の伊藤計劃作品。妻が好きな作者ということで読みましたがとにかく脱帽。どんな生き方したら"虐殺器官"なんてタイトルが思いつくんだ。。SFとしても勿論面白いんだけど、虐殺ではないとしても何かしらの悪意が秘められた文法が現代でも流布されているかも。。と考えるだけで身震いする。とある方のブログにも書いてあったが、非正規雇用を派遣社員、売春をパパ活とオブラートに包むのも人の判断鈍らせる言葉として開発されたのだろう。言葉のニュアンスだけでなく、本質をしっかり掴むことが重要と改めて認識した一冊でした。何にせよもっと彼の作品を読みたかった。。
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やっぱ伊藤計劃ですわ!とニコニコせずにはいられない素敵な短編集だった。現実世界に対する皮肉が込められた視点、それでいて悲観的ではないユーモアに富んだ描写、世界観に説得力を持たせるSF的なディテールといった具合に、伊藤計劃らしさを余さず感じられる作品だと感じた。
「The Indifference Engine」
上記の3要素が最も色濃く感じられたのがこの短編。虐殺器官とハーモニーを読んでからしばらく時間が空いていたが、一気に伊藤計劃ワールドに引き戻される感覚だった。俺は今伊藤計劃を読んでいるんだ〜!みたいな。極々身近なものとして暴力を振るい振るわれる主人公は、エリスンの少年と犬を彷彿とさせる -
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ネタバレメタルギアシリーズの総復習にもなる1冊
メタルギアサーガの最終章ということもあり、これまでのメタルギアシリーズのストーリーもまとめられていて、ゲームをプレイしていた時から忘れてしまった内容も思い出すことができた。登場人物も今までのシリーズのキャラが集結しており、まさに総決算といったところ。著者の伊藤計劃氏は大のメタルギアファンだったとされているが、言われてみれば、確かに虐殺器官などメタルギアから影響を受けている世界観だったなぁと今更気づいた。そして今回の作品では、ゲームのストーリーをただ語るだけではなく、作者が感じた思いもうまく織り混ぜられており、伊藤計劃氏の書いたメタルギアを読むことができて -
購入済み
電子書籍でこそ読んでほしい
データとして記述されたトァンの人生を参照しているという設定が面白い。
感情の動きなどもわかり親切設計だなと思ったが、エピローグを見てそれが必要な理由に納得した。
ストーリーも面白い。
『虐殺器官』から半世紀。
監視の目がついに身体の中にまで行き届いた生命主義社会。
そんな世界に抗う組織が出てくる。
でも実は世界よりも別のものが間違っているという答えに辿り着くのは、さすが伊藤計劃と言わざるを得ない。
これは小説を先に読むことをおすすめする。
小説の細かい描写を読むことでアニメ作品とは印象が変わってくる。
特に変化したのがキアン。
昔話で語られるキアンの思いを聞いたトァンの心情を垣間見 -
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めちゃくちゃおもしろい!
言語化が難しいが、身体が熱くなって動悸が速まる、そんな物語。
社会のリソースとして「生命主義」を敷く生府という構造は、フーコーの「生権力」論による。フーコーの著作を読んで唸らされた諸事象が、フィクション作品として再度衝撃を与えてくれた。その他にも、自由意志・意識・死といったテーマが扱われているが、これらのようないわば陳腐なテーマも、読者にとって新たな側面で描き出されていて、改めて考えさせられるよいきっかけとなった。
もし自分が「メイルストローム」を止められるなら、ボタンを押すだろうか。『三体』の葉先生と同じ状況だ。人間なんてどうしようもないのだろうか。綺麗事で片付く -
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今も至る所で発生している紛争、暴力、自殺。これらをこの世から消し去ることができれば、きっと人類は幸福になれるだろう。理不尽な不幸に見舞われないように、人類は進化を続けてきた。医学を進歩させ、法律を作り、国際秩序を保とうとしてきた。最終的にどんな進化をすれば、紛争は、殺人は、自殺はなくなるのだろう。本書はそれに対する回答を示すと同時に、人間が人間らしくあるとはどういうことなのかを問うている。
ユートピア感のあるディストピアの話は個人的にとても大好き。終わり方も最高に好き。
「病気にならないこと」と「病気になることが許されないこと」は似て非なるものではあるけれど、じゃあどうすれば人類は幸福になれ -
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人が病気にならない世界。
身体は社会皆の共有物で大切にしなければいけない、ボランティアにも倫理活動にも出ないと可視化された評価が上がらず信用を得られない世界。1984みたい、と思った。
高度過ぎるシステムが人の意思を自在に制御でき、好きに自殺させられるようになり、社会的大混乱を起こす。これを解決するには、合理的判断を最大化し結果無用の長物となった意識を排除するしかない。
意識を残したい主人公が勝利?するかと思ったが、結果意識は無くなった。敵?のやり方はともかく、目的には納得する形。まぁ、、、そっか、なるほどって感じ。
リアリティーもあって、展開も早くとても面白い!
満足です。
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Posted by ブクログ
アニメ映画が公開されたとき、友人に誘われて観に行ったのが『屍者の帝国』との出会いだった。出演声優のファンであった友人も、もちろん私も、作者も作品も詳しく知らないまま鑑賞。にもかかわらず、舞台設定とそのストーリー運びに一気に夢中になった。
これは原作にあたらねばならぬーーと原作を入手。2時間でまとめられた映画とはやはり違う部分があるが、この世界観はやはりゾクゾクする。改めて読んでもその印象は変わらない。
屍者技術の発展と19世紀末の歴史的な出来事がさも当然のように織りこまれ、「屍者がすぐそこにいる」リアリティに現実と虚構の境目が曖昧にさせられる。視点者としてのワトソンというキャラクターも滋味深い