伊藤計劃のレビュー一覧
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「ジョン・ポール」
「この男が入った国は、どういうわけか混沌状態に転がり落ちる。」
「この男が入った国は、どういうわけか無辜の命がものすごい数で奪われる。」
どこからが「わたし」なのか。この意思は、選択は、本当に「わたし」のものなのか。
いろいろと考えさせられた。これが『ハーモニー』に繋がっていく辺り、作者自身も答えは出ていないのかなと思う。もっと伊藤計劃さんの書く物語が読みたかった……。
昨今の世界情勢に通じるところがありつつも重くなり過ぎず、SF・ミステリ・ミリタリー小説として楽しめた。
人は見たいものしか見ない。ほんとうにその通りだと思う。 -
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魂は人間に特有のものなのか?
―ではその魂とはなんなのだね?
伊藤計劃の遺稿を、円城塔が引き継ぐ形で生まれた『屍者の帝国』。
伊藤氏の作品、『虐殺器官』『ハーモニー』が好きで、今でも時々読み返している。
一方で本書は、以前途中で離脱してしまいそのままになっていた。
もし同じく途中で離脱してしまった方がいたら、登場人物たちの目的をなんとなく掴んだうえで、398ページからだけでも読んでみてほしい。
(失礼かもしれないけれど、途中でやめてしまった方にこそ、ぜひ)
そこからの展開はドキドキが止まらず、もっと早く読んでしまえばよかった!と思ったくらいだった。
『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝 -
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日本を代表するSF作品という評価に偽りないと感じました。
SF作品の面白さは設定の作りこみ、本当に起きているかのようなリアルさにあると思うため、舞台設定から描写まで非常に緻密でした。
今の世界情勢についても考えてしまう嫌な読後感ですが、そういった目を背けたくなるようなテーマを扱うことこそSF作品の価値だなと感じました。
テーマとなっている虐殺器官の真相、主人公の葛藤、世界観の残酷さと、読んでいてちゃんと嫌な気持ちになる作品で、様々な観点から考えさせられる作品でした。
こんな世界になっていたら自分もそうしてしまうんじゃないかと思う場面が多々あり、そんな葛藤の気持ちもテクノロジーにより制御され -
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ネタバレ1.最適化
合理性を求めていった結果、規則や、空気に縛られて、最終的に人類の意識はなくなってしまう。そのきっかけが医療の高度化によって引き起こされるのは面白かった。「脳もまた肉体の一部である以上、それを制御してはならない根拠など、どこにあるだろうか。」脳を制御し始めた場合、自分の意志はどこに存在するのだろうか。正しい報酬設定のために生きることに意味はあるのだろうか。
2.美
トァンの最後の意志としてミァハを撃った。そして意識は消滅した。その表現がとても綺麗に感じた。文中のタグ表現で無機質に見えるような場面も多かったが、後半になるにつれて、そして一番最後の場面は「感情のテクスチャを生起」させ -
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ネタバレ伊藤計劃の長編の素晴らしいところは、「人間を人間たらしめるのはなにか」という本質を突きながら、常に“社会的生物としての人間”という集団にフォーカスしている点だと思っています。
長編第一作『虐殺器官』では、「言葉」が虐殺のための臓器として描かれていました。デマ、欺瞞、対立──それらは言葉によってもたらされ、人間は集団の中でいかに安易に誘導されうるか、その危うさが描かれていたように感じます。
今作『ハーモニー』では、大災厄を経た後の社会が、WatchMe に代表される総監視社会・究極の合理社会として描かれ、その中に生きることについての思考実験のような要素を強く感じました。WatchMe による -
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やっぱ伊藤計劃ですわ!とニコニコせずにはいられない素敵な短編集だった。現実世界に対する皮肉が込められた視点、それでいて悲観的ではないユーモアに富んだ描写、世界観に説得力を持たせるSF的なディテールといった具合に、伊藤計劃らしさを余さず感じられる作品だと感じた。
「The Indifference Engine」
上記の3要素が最も色濃く感じられたのがこの短編。虐殺器官とハーモニーを読んでからしばらく時間が空いていたが、一気に伊藤計劃ワールドに引き戻される感覚だった。俺は今伊藤計劃を読んでいるんだ〜!みたいな。極々身近なものとして暴力を振るい振るわれる主人公は、エリスンの少年と犬を彷彿とさせる -
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ネタバレメタルギアシリーズの総復習にもなる1冊
メタルギアサーガの最終章ということもあり、これまでのメタルギアシリーズのストーリーもまとめられていて、ゲームをプレイしていた時から忘れてしまった内容も思い出すことができた。登場人物も今までのシリーズのキャラが集結しており、まさに総決算といったところ。著者の伊藤計劃氏は大のメタルギアファンだったとされているが、言われてみれば、確かに虐殺器官などメタルギアから影響を受けている世界観だったなぁと今更気づいた。そして今回の作品では、ゲームのストーリーをただ語るだけではなく、作者が感じた思いもうまく織り混ぜられており、伊藤計劃氏の書いたメタルギアを読むことができて -
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電子書籍でこそ読んでほしい
データとして記述されたトァンの人生を参照しているという設定が面白い。
感情の動きなどもわかり親切設計だなと思ったが、エピローグを見てそれが必要な理由に納得した。
ストーリーも面白い。
『虐殺器官』から半世紀。
監視の目がついに身体の中にまで行き届いた生命主義社会。
そんな世界に抗う組織が出てくる。
でも実は世界よりも別のものが間違っているという答えに辿り着くのは、さすが伊藤計劃と言わざるを得ない。
これは小説を先に読むことをおすすめする。
小説の細かい描写を読むことでアニメ作品とは印象が変わってくる。
特に変化したのがキアン。
昔話で語られるキアンの思いを聞いたトァンの心情を垣間見 -
Posted by ブクログ
今も至る所で発生している紛争、暴力、自殺。これらをこの世から消し去ることができれば、きっと人類は幸福になれるだろう。理不尽な不幸に見舞われないように、人類は進化を続けてきた。医学を進歩させ、法律を作り、国際秩序を保とうとしてきた。最終的にどんな進化をすれば、紛争は、殺人は、自殺はなくなるのだろう。本書はそれに対する回答を示すと同時に、人間が人間らしくあるとはどういうことなのかを問うている。
ユートピア感のあるディストピアの話は個人的にとても大好き。終わり方も最高に好き。
「病気にならないこと」と「病気になることが許されないこと」は似て非なるものではあるけれど、じゃあどうすれば人類は幸福になれ