伊藤計劃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ体の中に入れられた「WatchMe」のおかげで病気がなくなった世界。
危険な事も先回りして勝手に回避され
個人情報も常に公開されている社会の中で、人々はお互い慈しみ支え合い暮らす。そんな少し未来の話。
3人の女子高生、トァンとミァハ、キアンの関係とか、ミァハの存在感に掴まれます。
トァンの退廃的でちょっと投げやりな感じ、そしてミァハに傾倒している感じも…ビジュアル的にも「真紅のコート」だし!
こんなふうにキャッキャと読んでも、雰囲気やストーリーに浸れて、うすら寒さも感じて、ホントに面白いのですが
何やらわかる人にはわかるものすごい仕掛けがあるらしいですね!
〈えー?〉
どなたかの解説を読んで
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Posted by ブクログ
ネタバレふとした時に読み返したくなる、大好きな作品。
私にとって、この小説の世界はユートピア風のディストピアである。そんな不穏な世界を読んでいるとなぜか心が落ち着く。
極端に行き過ぎた世界を目の当たりにすることで、むしろ自分が本当に望んでいるものと、そうでないものとがはっきり浮かび上がってくるからかもしれない。
「WatchMe」と「メディケア」によって基本的に事故と老衰以外で人が死ななくなった世界。国家や政府がなくなり、自分と他人の健康を最大限に尊重する〈生命至上主義〉が前提となった世界では、争いも起こらない。
若くして病気で亡くなった著者の伊藤計劃さんにとって、誰よりも健康な身体は切実に欲しい -
Posted by ブクログ
ネタバレ重いSF(想像の域を超えすぎているもの?スターウォーズみたいな、もうそれはその人にしか思いつくのも無理や!みたいなの)は割と苦手で、SFという先入観で読み入ったので自分に合う作品かかなり不安だったけどとても面白く読めたので嬉しかった。
ただ、本の前半35%ぐらいは割と世界観の説明づくしで物語としては詰まらなかったかな。後半はその世界の解像度がグンと上がってテンポよく読めたのでおすすめ。
内容は人類がほぼすべての病気を克服したらどうなっていくだろうという思考実験を物語にしました!みたいな感じ。
伊藤計劃は初めて読んだので、とにかく理屈と予測が丁寧でそれでかつ読みやすいように没頭しやすいように -
Posted by ブクログ
ネタバレ『ハーモニー』、めちゃくちゃ面白かった!
世界観の設定がぶっ飛んでるのに整合性がとれててすごすぎる。意識とか、「わたし」であることの意味を改めて考えさせられて、かなり楽しかった。意識のないユートピアが最後には実現されていたけど、だからこそ私は意識の非合理性の美しさを再確認した。ハーモニーっていうタイトルの意味がわかったとき震えた。極論で理想論的なものではあるけど、そんな世界が実現したら本当にこんな感じなんだろうなぁとリアルに感じられて凄かった。ジャンルはSFではあるんだろうけど、それ以上の重いテーマを感じられてかなり良かった。
あとは、文章の表現やテンポ感が面白くて好きだった。コードで表現され -
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やっぱ伊藤計劃ですわ!とニコニコせずにはいられない素敵な短編集だった。現実世界に対する皮肉が込められた視点、それでいて悲観的ではないユーモアに富んだ描写、世界観に説得力を持たせるSF的なディテールといった具合に、伊藤計劃らしさを余さず感じられる作品だと感じた。
「The Indifference Engine」
上記の3要素が最も色濃く感じられたのがこの短編。虐殺器官とハーモニーを読んでからしばらく時間が空いていたが、一気に伊藤計劃ワールドに引き戻される感覚だった。俺は今伊藤計劃を読んでいるんだ〜!みたいな。極々身近なものとして暴力を振るい振るわれる主人公は、エリスンの少年と犬を彷彿とさせる -
Posted by ブクログ
ネタバレメタルギアシリーズの総復習にもなる1冊
メタルギアサーガの最終章ということもあり、これまでのメタルギアシリーズのストーリーもまとめられていて、ゲームをプレイしていた時から忘れてしまった内容も思い出すことができた。登場人物も今までのシリーズのキャラが集結しており、まさに総決算といったところ。著者の伊藤計劃氏は大のメタルギアファンだったとされているが、言われてみれば、確かに虐殺器官などメタルギアから影響を受けている世界観だったなぁと今更気づいた。そして今回の作品では、ゲームのストーリーをただ語るだけではなく、作者が感じた思いもうまく織り混ぜられており、伊藤計劃氏の書いたメタルギアを読むことができて -
購入済み
電子書籍でこそ読んでほしい
データとして記述されたトァンの人生を参照しているという設定が面白い。
感情の動きなどもわかり親切設計だなと思ったが、エピローグを見てそれが必要な理由に納得した。
ストーリーも面白い。
『虐殺器官』から半世紀。
監視の目がついに身体の中にまで行き届いた生命主義社会。
そんな世界に抗う組織が出てくる。
でも実は世界よりも別のものが間違っているという答えに辿り着くのは、さすが伊藤計劃と言わざるを得ない。
これは小説を先に読むことをおすすめする。
小説の細かい描写を読むことでアニメ作品とは印象が変わってくる。
特に変化したのがキアン。
昔話で語られるキアンの思いを聞いたトァンの心情を垣間見 -
Posted by ブクログ
今も至る所で発生している紛争、暴力、自殺。これらをこの世から消し去ることができれば、きっと人類は幸福になれるだろう。理不尽な不幸に見舞われないように、人類は進化を続けてきた。医学を進歩させ、法律を作り、国際秩序を保とうとしてきた。最終的にどんな進化をすれば、紛争は、殺人は、自殺はなくなるのだろう。本書はそれに対する回答を示すと同時に、人間が人間らしくあるとはどういうことなのかを問うている。
ユートピア感のあるディストピアの話は個人的にとても大好き。終わり方も最高に好き。
「病気にならないこと」と「病気になることが許されないこと」は似て非なるものではあるけれど、じゃあどうすれば人類は幸福になれ -
Posted by ブクログ
アニメ映画が公開されたとき、友人に誘われて観に行ったのが『屍者の帝国』との出会いだった。出演声優のファンであった友人も、もちろん私も、作者も作品も詳しく知らないまま鑑賞。にもかかわらず、舞台設定とそのストーリー運びに一気に夢中になった。
これは原作にあたらねばならぬーーと原作を入手。2時間でまとめられた映画とはやはり違う部分があるが、この世界観はやはりゾクゾクする。改めて読んでもその印象は変わらない。
屍者技術の発展と19世紀末の歴史的な出来事がさも当然のように織りこまれ、「屍者がすぐそこにいる」リアリティに現実と虚構の境目が曖昧にさせられる。視点者としてのワトソンというキャラクターも滋味深い