伊藤計劃のレビュー一覧
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ネタバレかなり久々の再読。
まずこれがデビュー作ってのが、作家のセンスが計り知れない…。その世界観に圧倒的に引き込まれる。
難しい用語とかも多々出てくるけど、難解ではないから読みやすい。
考えさせられる事が多すぎて、言葉で感想を纏めるのが特に難しい作品。
■言葉は毒にも薬にもなる
■他人の犠牲の上に成り立つ普遍の生活
■罪と罰とは?そして赦しとは…
ラスト、
ルツィアと対話できていたならば、ああはならなかったのだろうと思うと…うーん。
でも自分で決断を下したのだから、彼の物語としてはこれで良かったのかも。
しかし母の中に彼の姿が無かったのには、あまりにも物哀しい………言葉にならない。
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Posted by ブクログ
虐殺器官とハーモニーどちらも読むことが良い。とても良かった。
精神(質的)と肉体(物質的)について。
何となく自分がさも当然のように精神が肉体より、大切な概念であると思っていたことに気づかされた。そもそもその前提自体、私が勝手に思っていたことだったなぁ、と。
解析されてしまっていろんなことが分かってしまった。
私たちは「ただの生物」なのに。
そこにあるものは何も意味がなくって、意味とはそもそもあるものではないのに。意味は主観でつくるもの。
だから、そのままでいいのだけれど、なかなかそうもいかないエゴとか欲とかそういうものが、なんだかねぇ、と。
正解もないしそういう風に考えるものでもないんだけど、考えてしまう人間という生き物がいて、それで本当にOKであることを凪のように理解したとき、うーん。なんといったらいいかしら。
それでも私は生きていくので、ずっとずっとまどうのですかね。 -
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ネタバレ伊藤計劃さんのこの短編集もとても面白かったです。
この小説の題名にもなっている『The Indifference Engine』を読んでいて、ふとしたサプライズがありました。
『虐殺器官』を先に見た人には嬉しいサプライズだと思います。
黒く動く生物のような機械って言葉を見つけてから似てるなって思っていたのだけれど、同じ世界の話だったのには驚きました。
『Heavenscape』は短編でありながらもとても考えさせられるお話でした。
頭お花畑でわかった風に平和を歌う奴等ほど薄情な奴等はいない。
勝手に自分達の理想を押し付けてきて、立場が悪くなるだけで直ぐに逃げ出す。
私達は何もやっていないと言う風に。
金がなくなれば直ぐに引き上げる。やってきたことも全てほっぽりだして、何もなかったかのように、これが本当の悪い意味で本来の偽善だよな。
本人達の事を何も考えずに、勝手に外で考えた平和を押し付けたせいで、また新しい戦争が産まれた。
「白人たちは逃げていったの。これを売り込んできたNGOは、本国で何かスキャンダルがあったらしくて、あっという間に寄付者も逃げ出して、左前になって引き上げていったわ 『本国で態勢を立て直す』んですって 。もうあのホテルには誰もいないし、cmiの人たちはあのNGOの支払いがなくなると さっさといなくなったわ」
他の短編もどれも面白かったです。
あ、でも最後の本書の解説に『ハーモニー』のラストがデッド・エンドだって言葉が目に入って面食らいました。
まだ読んでないのだけれど、これは完全なネタバレなのか?
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作者の作品に共通して言えることですが、難しい単語や見慣れない言葉が多い。それら全てを理解しようとすると大変なのでわからないものはわからない、と飛ばしながらエンタメ要素を楽しむ形で読みました。側から見たら浅い読書になっているかもしれませんが、ちゃんとおもしろかったと思えているので自分としては満足。
『Tne Indifference Engine』
戦争が終わった五秒後に友達を目の前で亡くした主人公。彼の中で続く戦争を終わらせるために施された「心の注射」が、皮肉にも新たな惨劇を生む。
戦争に振り回される主人公が戦時中との変化やギャップを目の当たりにする度に胸の辺りがぎゅっとした。作中わかることだが主人公はかつて医者を目指していたらしく、それが敵をあんなにも憎んで、スティックが無いAKが無いと思考する少年兵になるだなんて戦争はなんて残酷なんだろうと思った。私がこう思うことでさえ、彼にとっては煩わしいことなのかもしれないが。終わり方が特に好きでした。 -
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ネタバレ私はラストの展開について、人間の意思を取り除くことによって生命主義システムの存続のためにを人類が行動するようになった世界、人間が何をすべきかというのはシステムが自ずと示してくれるため、人間が迷わなくなった、悩まなくなった世界になったという解釈をしています。
この本の中では大部分を実存主義的なものの見方で人間の自我というものを定義している気がしています。作中にもあった「このからだも、このおっぱいも、このおしりも、この子宮も、わたしのもの」というところにも現れていた気がします。
一方で、構造主義的な見方によると、人間の自我というのは、その人の中にあるのではなく、その人が発する言葉の中、人間関係の中にあるというような考え方です。(だとわたしは解釈してますが、違ってたらすみません。)
そして、構造主義的な見方でこの本に描かれたラストの世界観をみると、わたしはシステム= 世界であり、システム=世界はわたしだというように思えるようになったという見方ができます。この考え方自体は仏教の中には近い思想のものがありますし、個人的には好きな考え方です。
しかし、このシステムの一番の問題点も浮かび上がってきました。
それは失われてしまった意思の中に、現実を解釈するという機能も入っていて、それさえも失われてしまっている、つまり「システム・世界=わたし」という解釈さえも思えなくなってしまい、ただの部品になってしまっている可能性が高いという点です。(そういう記述もあったし。)
「私は世界で、世界は私である」と解釈できる力が残されていれば、人はこのシステムに従いながらでも、より良いものにしていけると思うのです。なぜならそれは自分自身なんですから。そして、ここに自我が残ると思います。
しかし、もしその力が完全に無くなっていれば、ただの物体になってしまったということですので、現状のシステムを維持する方向にしか動けないでしょう。これは完全に自我が消滅した状態だと思います。
停滞は衰退です。きっとこのシステムは将来的に何らかしらの変化に耐えられず消滅する気がします。例えば、敵が現れてこのシステム内の人間を殺戮しようとしてきたら。Watchmeをつけていない人類はこの人たちを殺さずに生かしておこうとするでしょうか。
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Posted by ブクログ
虐殺器官の直後に読みました。空っぽに吹き抜けている中を涙を流しながらただ歩いているような。その時々にできる最善の選択をし続けた結果が人類の進化であるなら、人間は動物と何が違い、何が我々を人間たらしめるのか。
こうして感想を書いていて、ああ、あそこのあのフレーズはそういうことか…と走馬灯のように文字が浮かんでくるのが、伊藤計劃さんの文章と表現の素敵なところですね。ちりばめられている。
文庫版巻末の佐々木敦さんの解説もぜひ読んでいただきたいです。
以下、早々に17ページ目で心ごと引きずり込まれた好きなやり取りを。ネタバレではありませんが、すべて自分の目で読みたい方はご注意ください。
「誰かが孤独になりたいとしたら、デッドメディアに頼るのがいちばんなの。メディアと、わたしと、ふたりっきり」
とミァハは答えた。あの冷たくなめらかで、ヒトを眠りに誘うような声でさらに続ける。
「映画とか、絵画とか。でも、持久力という点では本が一番頑丈よ」
「持久力、って何の」
「孤独の持久力」 -
Posted by ブクログ
場面設定の理解に苦戦しつつも読み始めればやはりSFというものは面白く奥深いと心底思います。
ハーモニーは近未来で、だれも病気やケガでは死ななくなった世界、でも若年層の自殺だけは増えているという状況が舞台である。福祉社会に完璧に近づき優しさで包み込まれるようなはずなのになぜか虚しい、寂しい、辛いのである。優しさというものがここまで鋭い刃になることをこの作品で改めて突き付けられた気がする。
誰も死なないこと、だれも体調を崩さないこと、健康的な毎日を送れることというのはこの上ないことだと思っていた。だが、「死」ということを老衰、事故、または自殺でしか達成できないとなった場合、我々はこのような結末をたどってしまうのだろうか。
悩み、苦しみ、もがき、常に不安が付きまとうことが生への実感ということなのだろうか。生死というものが神の采配のように不条理に感じる今の世界だからこそ味わう苦痛なのであって、それがなくなっても結局は苦しいままなんじゃないか。人生自分次第なんて何百回も言われてきている。ハーモニーのように意思のない世界にちょっとでもあこがれてしまう自分はもう終わってしまったのだろうか。 -
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魂は人間に特有のものなのか?
―ではその魂とはなんなのだね?
伊藤計劃の遺稿を、円城塔が引き継ぐ形で生まれた『屍者の帝国』。
伊藤氏の作品、『虐殺器官』『ハーモニー』が好きで、今でも時々読み返している。
一方で本書は、以前途中で離脱してしまいそのままになっていた。
もし同じく途中で離脱してしまった方がいたら、登場人物たちの目的をなんとなく掴んだうえで、398ページからだけでも読んでみてほしい。
(失礼かもしれないけれど、途中でやめてしまった方にこそ、ぜひ)
そこからの展開はドキドキが止まらず、もっと早く読んでしまえばよかった!と思ったくらいだった。
『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』。
この三作は突き詰めれば、人の“意識”や“言葉”をめぐる物語のように思える。同じテーマから、切り込み方が違うだけでここまで異なる景色が見える。この三作を並べて読むのは、ひとつの贅沢な読書体験だと思う。
“自動的に決定され、選択の余地のないこの状態こそが自由である”
本書のこの一文は、読み終えたあと何度も思い返してしまう。
そして改めて考えると、“自由”の解釈がそれぞれの作品で微妙に異なっているのも面白い。この三作は、「自由とは何か」という問いを少しずつ解体し、形を変えていく。
人が何をもって「自由だ」と感じているのか、
その拠りどころが、三作を通して、読者の中でも少しずつずれていくように思える。
「伊藤計劃は絶えず前に進み、変化しようとし続けていた。変化を続ける相手の過去に追いつこうとすることは、ただの回顧と変わりがない。
伊藤計劃ならどう考えるかではなく、伊藤計劃の書いたものを通じて得たものから、自分ならどう考えることができるのかが問題だ。」
あとがきを読んだあとで本編を振り返ると、円城氏の込めた想いが物語とリンクしている部分もあり、特にエピローグでは思わず涙が出た。
わたしも、
ありがとう。
と言いたい
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やっぱ伊藤計劃ですわ!とニコニコせずにはいられない素敵な短編集だった。現実世界に対する皮肉が込められた視点、それでいて悲観的ではないユーモアに富んだ描写、世界観に説得力を持たせるSF的なディテールといった具合に、伊藤計劃らしさを余さず感じられる作品だと感じた。
「The Indifference Engine」
上記の3要素が最も色濃く感じられたのがこの短編。虐殺器官とハーモニーを読んでからしばらく時間が空いていたが、一気に伊藤計劃ワールドに引き戻される感覚だった。俺は今伊藤計劃を読んでいるんだ〜!みたいな。極々身近なものとして暴力を振るい振るわれる主人公は、エリスンの少年と犬を彷彿とさせる。
「セカイ、蛮族、僕。」
初めの一文の唐突さと勢いに3度見してしまった。また委員長のベタベタなツンデレ長台詞の後速攻で犯してるのも大笑いした。こういうSF(?)もいいよね、めっちゃ楽しい。
「From the Nothing, With Love」
書き出しの意味が終盤に理解できるところや意識というテーマがハーモニーに共通していた。人間のようなAIについて扱う作品は多々あるが、AI(というのも正確ではないが)のような人間という側面から物語を描くのはさすが。手紙の下りでタイトルの意味が分かった時にはオシャレ〜!これ書くのかっけえ〜!と天井を仰いでしまった -
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ネタバレメタルギアシリーズの総復習にもなる1冊
メタルギアサーガの最終章ということもあり、これまでのメタルギアシリーズのストーリーもまとめられていて、ゲームをプレイしていた時から忘れてしまった内容も思い出すことができた。登場人物も今までのシリーズのキャラが集結しており、まさに総決算といったところ。著者の伊藤計劃氏は大のメタルギアファンだったとされているが、言われてみれば、確かに虐殺器官などメタルギアから影響を受けている世界観だったなぁと今更気づいた。そして今回の作品では、ゲームのストーリーをただ語るだけではなく、作者が感じた思いもうまく織り混ぜられており、伊藤計劃氏の書いたメタルギアを読むことができて本当によかった。 -
購入済み
電子書籍でこそ読んでほしい
データとして記述されたトァンの人生を参照しているという設定が面白い。
感情の動きなどもわかり親切設計だなと思ったが、エピローグを見てそれが必要な理由に納得した。
ストーリーも面白い。
『虐殺器官』から半世紀。
監視の目がついに身体の中にまで行き届いた生命主義社会。
そんな世界に抗う組織が出てくる。
でも実は世界よりも別のものが間違っているという答えに辿り着くのは、さすが伊藤計劃と言わざるを得ない。
これは小説を先に読むことをおすすめする。
小説の細かい描写を読むことでアニメ作品とは印象が変わってくる。
特に変化したのがキアン。
昔話で語られるキアンの思いを聞いたトァンの心情を垣間見ることで、キアンという人間の凄さに気付かされた。
世界に溢れたリソース意識としての思いやりの中で、キアンだけが本当の意味で思いやる心を持っていたんだと感じた。