伊藤計劃のレビュー一覧

  • 虐殺器官

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    日本を代表するSF作品という評価に偽りないと感じました。

    SF作品の面白さは設定の作りこみ、本当に起きているかのようなリアルさにあると思うため、舞台設定から描写まで非常に緻密でした。
    今の世界情勢についても考えてしまう嫌な読後感ですが、そういった目を背けたくなるようなテーマを扱うことこそSF作品の価値だなと感じました。

    テーマとなっている虐殺器官の真相、主人公の葛藤、世界観の残酷さと、読んでいてちゃんと嫌な気持ちになる作品で、様々な観点から考えさせられる作品でした。
    こんな世界になっていたら自分もそうしてしまうんじゃないかと思う場面が多々あり、そんな葛藤の気持ちもテクノロジーにより制御され

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    2026年01月04日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    1.最適化
    合理性を求めていった結果、規則や、空気に縛られて、最終的に人類の意識はなくなってしまう。そのきっかけが医療の高度化によって引き起こされるのは面白かった。「脳もまた肉体の一部である以上、それを制御してはならない根拠など、どこにあるだろうか。」脳を制御し始めた場合、自分の意志はどこに存在するのだろうか。正しい報酬設定のために生きることに意味はあるのだろうか。


    2.美
    トァンの最後の意志としてミァハを撃った。そして意識は消滅した。その表現がとても綺麗に感じた。文中のタグ表現で無機質に見えるような場面も多かったが、後半になるにつれて、そして一番最後の場面は「感情のテクスチャを生起」させ

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    2026年01月01日
  • 虐殺器官

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    内戦や大虐殺の陰に存在する謎の男ジョン・ポールを追う、お話(?)。

    近未来SF(?)作品。残酷なシーンや思想的な難解さもありながら、世界観に引き込まれて一気読みしてしまった。

    ミーム、モジュール、虐殺の文法、マスキング。
    完全な理解はできていないけども。



    途中まで読んで、ぽいっと置いておいて年越してもよかったけど、何故だかぐいっと引き込まれて、読まされたという感じ。

    読書熱高まった今年最後にふさわしい素晴らしい作品だったな、と思いました。

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    2025年12月31日
  • 虐殺器官

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    個人情報の管理が進んだ社会でアメリカ情報軍の暗殺部隊に所属する主人公が、「言語」によって虐殺を引き起こしていると考えられる人物を追う物語。

    社会の設定が現代よりも進んだ管理社会になっているが、今の情報管理の流れを考えるとありそうだと感じる。そのような社会の中で足がつかずに犯罪やテロを引き起こすのは難しそうだが、そこの方法は準備されていて非常に良かった。

    また表題の『虐殺器官』もそれ自体の明確な原理の説明はない(まぁそりゃそうか)が非常に面白い設定。言葉で虐殺が起きるなんて、なんて思うがちょっと前に読んだローティの解説本(100de名著)でも取り上げられていたから、受け入れられました。とても

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    2025年12月31日
  • ハーモニー

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    よかった。本当によかった。

    大災禍後、過剰な福祉により病気や不健康、不道徳というものがなくなり、統制された個人=社会となった「ユートピア」が舞台。
    SFであり哲学。病床に伏せながら本作を執筆していた著者は、自身の命にいかに向き合っていたのか、否応なしに意識させられる。
    2006年の作品だけど、最近いわれている「ホワイト社会」という言葉とも重なる。

    テレビアニメ「攻殻機動隊」や古屋兎丸の漫画作品「Marieの奏でる音楽」を思い出した。

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    2025年12月28日
  • The Indifference Engine

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    『虐殺器官』から随分と空いてしまった。
    伊藤計劃のストーリーは彼が踠いているように思えて苦しくなってしまう。
    The Indifference Engine
    ルワンダの歴史を感じさせる。

    From the Nothing,With Love.
    何を読まされているのだろう…からラストが素晴らしい。


    『俺』と『お前』が憎み合うから戦争が起こるんじゃない。
    戦争するために『俺』なんてものは存在するんだ

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    2025年12月28日
  • 虐殺器官

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    1.なにのために戦うか。
    諸悪の根源のように描かれていたジョン・ポールにも、明確な行動原理があった。彼は「破壊するために戦った」のではなく、「守るために破壊した」。単純な善悪の対立ではなく、葛藤のなかで揺れ動く主人公クラヴィスを通して、それぞれの「正義」の輪郭を見ていく物語だった。誰もが誰かを守ろうとしているのに、結果として誰かを殺してしまう。そこに人間の矛盾が凝縮されていた。

    2.SF的な要素
    IDタグ、環境追従迷彩、人工筋肉……。「ありそうな未来」を想像させるテクノロジーの描写がリアルで良かった。倫理と科学がどこで交わり、どこで断絶するのか。虐殺器官という発想も、単なる空想のようには思え

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    2025年12月08日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    伊藤計劃の長編の素晴らしいところは、「人間を人間たらしめるのはなにか」という本質を突きながら、常に“社会的生物としての人間”という集団にフォーカスしている点だと思っています。

    長編第一作『虐殺器官』では、「言葉」が虐殺のための臓器として描かれていました。デマ、欺瞞、対立──それらは言葉によってもたらされ、人間は集団の中でいかに安易に誘導されうるか、その危うさが描かれていたように感じます。

    今作『ハーモニー』では、大災厄を経た後の社会が、WatchMe に代表される総監視社会・究極の合理社会として描かれ、その中に生きることについての思考実験のような要素を強く感じました。WatchMe による

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    2025年12月07日
  • ハーモニー

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    人類の救済は最終的にアポカリプスによってしか成されないんやなぁと。
    テクノロジーの力で人類が死を乗り越えられるようになってしまえば、こういう結末が必要になるかもなぁ。

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    2025年11月23日
  • ハーモニー

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    今の価値感で想像すると、ハーモニー後の世界はぞっとしないけど、意識を理由づけする存在とするなら、自分で選んだと思い込んで案外幸福でいられるのかも⁈今の世界だって選んだつもりになってることの方が多いし、そう考えると大差ない⁈私が目指したい調和はどんな形⁈とか
    とにかくいろいろ考えさせられる本

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    2025年10月24日
  • ハーモニー

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    読み終わった後に本文冒頭を見てハッとした。

    幸福とはなんだろう。誰もが幸せな世界は実現不可能なのだろうか。
    いつかこんな未来がくるんじゃないかと思わせる説得力がある。

    とてもおもしろかった。作中の仕掛けに驚いたし、登場人物たちも魅力的な人ばかり。「姉御(クイーン)」って呼ばれてるのかっこよくて好き。
    世界観を理解するのにも時間は掛からず、ぐいぐい読み進められた。
    大好きな一冊になりました。「虐殺器官」も読みます。

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    2026年01月12日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    文体が綺麗で、残酷。
    「調和」と「意識」という哲学的なテーマで、こんなにも惹かれるとは思わなかった。「意識の消失は死なのか」という命題に、真っ向から勝負している。
    病気が根絶され、「福祉」という公共的な優しさで満たされた息苦しい社会。
    苦痛や自殺を悪と見なし、「セラピー」という論理的な優しさで抑えつける社会。
    まるで予言書のようで恐ろしかった。
    結末がハッピーエンドかバッドエンドか、どちらとも解釈できるのが魅力的だった。

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    2026年01月18日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    体の中に入れられた「WatchMe」のおかげで病気がなくなった世界。
    危険な事も先回りして勝手に回避され
    個人情報も常に公開されている社会の中で、人々はお互い慈しみ支え合い暮らす。そんな少し未来の話。
    3人の女子高生、トァンとミァハ、キアンの関係とか、ミァハの存在感に掴まれます。
    トァンの退廃的でちょっと投げやりな感じ、そしてミァハに傾倒している感じも…ビジュアル的にも「真紅のコート」だし!
    こんなふうにキャッキャと読んでも、雰囲気やストーリーに浸れて、うすら寒さも感じて、ホントに面白いのですが
    何やらわかる人にはわかるものすごい仕掛けがあるらしいですね!
    〈えー?〉
    どなたかの解説を読んで

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    2025年10月16日
  • The Indifference Engine

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    生誕50周年記念限定カバー版。

    この強烈に作品を理解りたいという感覚をもたらしてくれる数ある作家の内の一人。これが愛するということ、カリスマということか。

    変な話、夭折の作家というのは、もう続きが見られない、新たな境地を辿れないからこそ、数少ない断片の希少性が上がるわけで、亡くなって良かったなんて全く思わないが、渇望の度合いは他の比じゃないんだよな。

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    2025年06月27日
  • The Indifference Engine

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    やっぱ伊藤計劃ですわ!とニコニコせずにはいられない素敵な短編集だった。現実世界に対する皮肉が込められた視点、それでいて悲観的ではないユーモアに富んだ描写、世界観に説得力を持たせるSF的なディテールといった具合に、伊藤計劃らしさを余さず感じられる作品だと感じた。

    「The Indifference Engine」
    上記の3要素が最も色濃く感じられたのがこの短編。虐殺器官とハーモニーを読んでからしばらく時間が空いていたが、一気に伊藤計劃ワールドに引き戻される感覚だった。俺は今伊藤計劃を読んでいるんだ〜!みたいな。極々身近なものとして暴力を振るい振るわれる主人公は、エリスンの少年と犬を彷彿とさせる

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    2025年04月15日
  • メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット

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    ネタバレ

    メタルギアシリーズの総復習にもなる1冊
    メタルギアサーガの最終章ということもあり、これまでのメタルギアシリーズのストーリーもまとめられていて、ゲームをプレイしていた時から忘れてしまった内容も思い出すことができた。登場人物も今までのシリーズのキャラが集結しており、まさに総決算といったところ。著者の伊藤計劃氏は大のメタルギアファンだったとされているが、言われてみれば、確かに虐殺器官などメタルギアから影響を受けている世界観だったなぁと今更気づいた。そして今回の作品では、ゲームのストーリーをただ語るだけではなく、作者が感じた思いもうまく織り混ぜられており、伊藤計劃氏の書いたメタルギアを読むことができて

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    2025年03月15日
  • 屍者の帝国

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    ネタバレ

    とても面白かった。
    けど、自分の読書力ではこの本を100%楽しめてない気がする。
    いつかもう一回読みたい
    ラストシーンは感動した

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    2025年01月11日
  • ハーモニー

    購入済み

    電子書籍でこそ読んでほしい

    データとして記述されたトァンの人生を参照しているという設定が面白い。
    感情の動きなどもわかり親切設計だなと思ったが、エピローグを見てそれが必要な理由に納得した。


    ストーリーも面白い。
    『虐殺器官』から半世紀。
    監視の目がついに身体の中にまで行き届いた生命主義社会。

    そんな世界に抗う組織が出てくる。
    でも実は世界よりも別のものが間違っているという答えに辿り着くのは、さすが伊藤計劃と言わざるを得ない。


    これは小説を先に読むことをおすすめする。
    小説の細かい描写を読むことでアニメ作品とは印象が変わってくる。

    特に変化したのがキアン。
    昔話で語られるキアンの思いを聞いたトァンの心情を垣間見

    #タメになる #深い #共感する

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    2024年09月08日
  • 虐殺器官

    購入済み

    SFで社会派小説

    作品内の何も知らないで平穏な生活を送るアメリカ人は、まさに今の日本人そのもの。
    皮肉が効いていて読み進めるたびに複雑な感情を抱く。

    ジョン・ポール(犯人)の大量虐殺を行う動機が予想外だった。
    そうきたか!って鳥肌もので私的には今までにないタイプの犯人像が魅力的。

    私はアニメ映画→小説という順番で観た。
    近未来的な世界観なので先に映像を見ておくとわかりやすいかもしれない。
    小説はクラヴィス(主人公)の過去の掘り下げや心理描写があるところがいい。
    終わり方は映画の方が好み。

    #ダーク #深い #タメになる

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    2025年08月15日
  • メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット

    nas

    ゲームノベライズのベストかも

    こんなに凄いゲームノベライズはちょっと他に思いつかないな。単体でも楽しめるけどメタルギアソリッドのゲームで1,2,3,4を知ってるともっと楽しい。ノベライズってことでゲームの4と同じ物語なんだけど違うというか、圧縮されて濃くなってるのに話やテーマが分かりやすくなってる気がする。「物語」のキーワードを使った描写は上手すぎる

    #アツい #深い #感動する

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    2024年06月25日