伊藤計劃のレビュー一覧

  • ハーモニー

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    人生で一番好きな本。しばらく揺らがないと思う。
    世界情勢が変化したときや自分の中ですごく嫌な出来事があったときに自然とこの本のことを思い出して、もしハーモニーの世界が現実になったら…ということを考えて何度も読み返している。
    個人の意志や感情は自分自身のものであり管理されるべきじゃないと思っているけれど、本当にそうなのかまだ自信を持って言えない。
    でも、バズる曲のコード進行が同じだったり整形して目指す顔が似てたり昔よりも思考や趣味嗜好は均一化されていってると思う。

    オーウェルの一九八四年を読んで再読(2026/6/30)

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    2026年06月30日
  • ハーモニー

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    4.5 -

    ディストピア小説と聞いていたので勝手に1984のような世界観を想定していたが、全然違った。
    平和・幸福を追求しようとした先の世界として生命至上主義(一人一人が社会や共同体の共有リソースとして重要であるという価値観のもと、人の健康・安全・生が社会にとっての至上命題とする考え方。そのためにそれぞれの人々の健康をモニターする分子を体内に入れ、健康に良いものだけを取捨選択するように勧め、また人々が可能な限り互いに情報を可視化して信頼関係を作るという社会)が勃興→その中で人々はより幸福・健康的な生活を送っているはずなのに、その社会での閉塞感を感じ始め、それに違和感を持つ主人公達が社会に反

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    2026年06月27日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

     世界で起きている大量虐殺の裏にはジョン・ポールという謎の男が関わっていることが判明し、アメリカの暗殺部隊にいる主人公が謎の男ジョン•ポールを追っていくというストーリだ。
     監視社会が進み、全てのことにIDが必要な社会という現実でも将来起きそうな世界観で話が進んでいく。そんな監視社会の中で起きるテロ。自由について考えさせられた。

    「人間はみたいものだけしかみないように出来ている。」

    確かに世界で起きている虐殺といった非人道的な行為を日本にいてあまり見ることはないし、考えることもない。私たちは世界で起きている虐殺や非人道的行為によって積み上げられた屍の上で豊かな生活をしていることを実感する。

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    2026年06月27日
  • ハーモニー

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    虐殺器官のその後の話。哲学とか好きな人にも刺さりそう。最後まで読んで最初の描写が腹落ちするスッキリさ。もっとこの人の小説、映画を消費したかった。

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    2026年06月26日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    ものすごく、「幸福とは?」ということについて考えさせられる話だった。

     私は常に主人公に感情移入して読む癖があるので、当然のごとく、トァンの感情とリンクさせながら話を追っていた。
     トァンの立場からいくと、ミァハがあのころカリスマ的にまぶしくみえる存在であったことも、でも完全に同じ“人間”にはなれなかったからこそ、今も生きて「ミァハだったらこうするんじゃないか」という人生を生きているのもなんだか分かる。
     そして、もう1人の友達・キアンが自死してからの彼女の焦り・不安・恐さ、そしてそれでも自分の意志で、自分が確かめたい、という強さ。
     この本ではまさに「意志」「意識」つまり、「わたし自身」に

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    2026年06月26日
  • ハーモニー

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     「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」そんなことを考える必要はあるのだろうか。読み終わってよぎったのはゴーギャンの絵の題目だった。
     欲しいものランキングのトップにくる「健康」。その健康が保証されている世界のなかで私たちは果たして正常に生きていけるのか。そもそも生きるとは何をもって生きるというのか。
     私の体が私の支配下にあることか、将来を自由に選ぶことができることか、私という自己意識が存在していることか。
     自然、死、生、精神、これらの意味を根本から問うている作品だと思う。
     設定は難解だが読み進めて行く分にはそこまで苦ではない。決して分かりやすくはないが、重要な部

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    2026年06月22日
  • ハーモニー

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    めちゃくちゃ好きでした。
    前作の虐殺器官よりも好みです。
    ユートピアとディストピアは表裏一体

    すばらしい新世界も作品の中で触れられていたりすることもあり好きな人には刺さると思います。

    今の世界とも交差する部分もあり怖さすら感じました

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    2026年06月04日
  • 虐殺器官

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    思想強めの濃厚な小説で、ハマるかどうかは人を選びそうな作品ではあるが、自分にはとてもハマった。

    主人公はアメリカの特殊部隊の一員で、潜伏する各地で内戦と虐殺を引き起こす謎の人物を追うという形でストーリーは進んでいく。

    タイトルからグロテスクな戦闘描写が想起されるが、そのような描写はあまりなく、語り口は淡々としていて、哲学的な問いが全編にわたって続く。

    ジョージオーウェルの「1984年」にも通じる監視社会への皮肉、安全と自由のトレードオフ、言葉がもたらす暴力、そして「人間性とは何か」という根源的な問いがストーリーを通じて問いかけられ、それらについて考えさせられる。

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    2026年05月30日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    面白かった。
    世界観を飲み込むのに時間がかかるが、100ページ辺りから急速に物語が進むので、そこからはサクサクいける。

    誰もが健康で"あるべき"世界なんて、理想郷だと思っていたけれど、そうでもないのかもしれないと気付かされる。
    自分の身体を外側からコントロールされることに違和感をもつ少女たち。学生時代はやっぱりルールというものを疎ましく思う人はどこでもそれなりにいて、そんなルールから脱しようとする子を世間では不良とよんでいる。ミァハたちもこの世界ではその立ち位置なのだろう。
    自由という言葉を前にすると途端に固まってしまう私からしたら、ルールはそれこそよく言うレールのような

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    2026年05月27日
  • メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット

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    この4はゲーム原作のノベライズとしては異質の出来なのでは。
    厄介な小島ファンでも認めざるを得ないほど、
    「伊藤計劃のメタルギアソリッド」として出来上がっていて文句がない。
    俗な言い方をすると二次創作っぽくなっているが、コアなファンかつ力量のある作家が語りなおすサーガは、新たな発見と驚きをくれた。
    まさかのサニーの夫になれたというね。

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    2026年05月24日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    かなり久々の再読。
    まずこれがデビュー作ってのが、作家のセンスが計り知れない…。その世界観に圧倒的に引き込まれる。
    難しい用語とかも多々出てくるけど、難解ではないから読みやすい。
    考えさせられる事が多すぎて、言葉で感想を纏めるのが特に難しい作品。

    ■言葉は毒にも薬にもなる
    ■他人の犠牲の上に成り立つ普遍の生活
    ■罪と罰とは?そして赦しとは…

    ラスト、
    ルツィアと対話できていたならば、ああはならなかったのだろうと思うと…うーん。
    でも自分で決断を下したのだから、彼の物語としてはこれで良かったのかも。
    しかし母の中に彼の姿が無かったのには、あまりにも物哀しい………言葉にならない。

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    2026年05月24日
  • ハーモニー

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    虐殺器官とハーモニーどちらも読むことが良い。とても良かった。

    精神(質的)と肉体(物質的)について。
    何となく自分がさも当然のように精神が肉体より、大切な概念であると思っていたことに気づかされた。そもそもその前提自体、私が勝手に思っていたことだったなぁ、と。

    解析されてしまっていろんなことが分かってしまった。
    私たちは「ただの生物」なのに。
    そこにあるものは何も意味がなくって、意味とはそもそもあるものではないのに。意味は主観でつくるもの。
    だから、そのままでいいのだけれど、なかなかそうもいかないエゴとか欲とかそういうものが、なんだかねぇ、と。
    正解もないしそういう風に考えるものでもないんだ

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    2026年05月21日
  • The Indifference Engine

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    ネタバレ

    伊藤計劃さんのこの短編集もとても面白かったです。

    この小説の題名にもなっている『The Indifference Engine』を読んでいて、ふとしたサプライズがありました。
    『虐殺器官』を先に見た人には嬉しいサプライズだと思います。
    黒く動く生物のような機械って言葉を見つけてから似てるなって思っていたのだけれど、同じ世界の話だったのには驚きました。


    『Heavenscape』は短編でありながらもとても考えさせられるお話でした。

    頭お花畑でわかった風に平和を歌う奴等ほど薄情な奴等はいない。
    勝手に自分達の理想を押し付けてきて、立場が悪くなるだけで直ぐに逃げ出す。
    私達は何もやっていない

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    2026年05月20日
  • The Indifference Engine

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     作者の作品に共通して言えることですが、難しい単語や見慣れない言葉が多い。それら全てを理解しようとすると大変なのでわからないものはわからない、と飛ばしながらエンタメ要素を楽しむ形で読みました。側から見たら浅い読書になっているかもしれませんが、ちゃんとおもしろかったと思えているので自分としては満足。

    『Tne Indifference Engine』
     戦争が終わった五秒後に友達を目の前で亡くした主人公。彼の中で続く戦争を終わらせるために施された「心の注射」が、皮肉にも新たな惨劇を生む。
     戦争に振り回される主人公が戦時中との変化やギャップを目の当たりにする度に胸の辺りがぎゅっとした。作中わか

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    2026年05月17日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    なんとか虐殺器官を読みきった。
    最後までSAN値をガリガリ削られ続ける作品だった。

    ジョンポールと主人公が会話する辺りから
    虐殺の文法を主人公が最後継承するのだろうと
    予想したが、その通りだった。

    救いがないのが主人公もジョンも正気で 犯行動機が愛する者の喪失ということだ。

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    2026年04月29日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    何とかハーモニーをオーディオブックで聴き終えた。
    HTML構文みたいな文章が頻出するので、すごく聞き辛かった。

    感想
    序盤で仮想現実の話かなと予測したけれど、
    もっとグロテスクな話だった。

    意識が不要なものとして、人類が捨て去ってしまった世界に残された文章だったとは。
    しかも意識を理解する為だけに残された記録。

    この記録を読んでいるのは誰か?
    もしかして、意識を持った人類が勝ち残り この記録を発見したということかもしれない。

    生成AIがまるで意識があるかのように振る舞う現代で、
    意識とは何かを問う作品だった。

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    2026年04月25日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    人間の思考は、言語や環境といった構造に強く支配されている。
    自分の意思だと思ったものが、構造によって引き起こされたものであるかもしれない。
    それでも、人は自分は選択の主体であるという感覚から逃れることはできない。構造によって導かれた選択だとしても、その責任を引き受けなければならない。
    この自由意思による選択が、どこまで主体的であるのか、その純粋性によらず人はその責任を、罪を、背負わざるを得ない。

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    2026年04月25日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    人類としての暴力の発散の話。

    昔、読んでとんでもなく面白かった記憶があり再読。
    時代を経たせいか年を取って色んな作品に触れたせいか、昔ほどの衝撃はなかったけど、充分面白く再読して良かったと思えた。





    p. 52
    「地獄はここにあります。頭のなか、脳みそのなかに。大脳皮質の襞のパターンに。目の前の風景は地獄なんかじゃない。逃れられますからね。目を閉じればそれだけで消えるし、ぼくらはアメリカに帰って普通の生活に戻る。だけど、地獄からは逃れられない。だって、それはこの頭のなかにあるんですから」
    「天国もそこにあるのかい」


    p. 392
    スペクタクルとしての戦争は、常に必要だ、と。どこか

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    2026年04月19日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    私はラストの展開について、人間の意思を取り除くことによって生命主義システムの存続のためにを人類が行動するようになった世界、人間が何をすべきかというのはシステムが自ずと示してくれるため、人間が迷わなくなった、悩まなくなった世界になったという解釈をしています。

    この本の中では大部分を実存主義的なものの見方で人間の自我というものを定義している気がしています。作中にもあった「このからだも、このおっぱいも、このおしりも、この子宮も、わたしのもの」というところにも現れていた気がします。

    一方で、構造主義的な見方によると、人間の自我というのは、その人の中にあるのではなく、その人が発する言葉の中、人間関係

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    2026年04月14日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    ジョン・ポールがどうやって虐殺を引き起こしたか明かされたときにタイトルに合点がいって、虐殺器官と形容した作者に感服した。
    エピローグのこの世界観の閉じ方が衝撃的ですごく良かった。ネームドの同僚が生きていたとしても、クラヴィスは同じ選択をしたんだろうなぁ…

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    2026年04月09日