伊藤計劃のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
同名のゲームの原作本・・と ひとくくりに言えない密度の濃さでゲームの世界観を緻密に表現しています。
特に各キャラクターの心理描写はゲームでは語られないことなのでゲームをプレイされる方・興味のある方にはぜひ読んでいただきたいです。
もちろん この本だけでも十分楽しめます(そしてぜひゲームのムービーで映像を確認してください)。
主人公のスネーク視点ではなく相棒のオタコン視点で語られていることでより広く・深くエピソードを理解できます。
洋画のように練られたストーリーと世界観 熱いメッセージはどの世代にも共感を与え日本国内よりも海外からの支持が多いシリーズなので他作もぜひ読んで(ゲームプレイして)いただきたい。
ゲームの各ステージのボス戦であるBB(ビューティービースト)との戦闘はあえて省略。
最後に一つだけ残念なことは MGS1・MGS2・MGS3・MGS-PW・MGS-GZ・MGOなどシリーズ全作品 伊藤 計劃氏に小説化していただきたかったことです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ平和な先進国の裏側で、誰が暴力を受け入れてるのかについて描かれている小説。
テロ、監視社会、言語、自由意志、先進国と途上国の関係などテーマが難しく感じられたけど、ポールとシェパードの対話を通して少しずつ理解できた。
虐殺器官とは、人間を虐殺に向かわせる言語の機能。
9.11以降のアメリカでは、テロを防止するために監視社会化が進んだ。それにより平和は守られたのように見えていたが、暴力は世界から消えたわけではない。そこでポールは、途上国側に暴力や社会的不安を集中させてそこで虐殺を行う事で、その地域を混乱させ、国際テロの発生を抑えるという仕組み。
最後には、シェパードがポールの思想とこの器官を理解し、アメリカ側に持ち込むという結末で衝撃。他国の犠牲の上に成り立つ平和は本当に平和なのかという問いに対するシェパードなりの答えなのだな。 -
Posted by ブクログ
虐殺器官・ハーモニーのエッセンスを感じる短編集だった。
ゲーム作品の二次創作や、世界史など、背景知識分からないものも多く、おそらく100パーセントで楽しめたわけでは無かったとは思うけど、それでも内容に思わず引き込まれる、さすが伊藤計劃としか言いようのない魅力ある短編ばかり。夢物語ではない問題提起的なSFというのが本当に好みです。
伊藤計劃の話って、どれも戦争や死生観に対するメッセージ性が強いなと思うけど、著者が本当に言いたいこと、考えてることは明記されてなくて、非常に考えさせられるもの。
特に、ハーモニーでもテーマになっていた人間の意識を扱う短編(From the Nothing, With Love.)が好み。切り口がすごく良いよなあ。
今このAIがどんどん進化する中で、まさに大事になるテーマだと思う(まさに未来を見ていたとしか!)。
AIと人間を隔てるものは意識・感情の有無だと思う。
効率・正確性を今のまま重視するなら、意識は最も不要なものに。
人間として生きることの定義ってなんなんだろうって改めて考えさせられた。
あと、屍者の帝国が、入りからすごく引き込まれ!
世界観が好みだった。
あ〜!この作品を著者自身で書ききった完成作を読みたかった!本当に日本が誇る偉大な作家だと思います。あまりに短い作家人生。惜しいなぁ。もっとたくさん読みたかった。
どの作品も本当に素晴らしく、考えさせられるものばかりなので、時間を空けて何度も読み返したいと思います。 -
Posted by ブクログ
ちょっと読みにくくて
読み終わるのに時間がかかるお話だったけど
内容自体は面白く…と言っていいかは分からないけど
読んだ
主人公のクラヴィスが追っているジョン・ポールという人物
どれだけか進んだ先の世界の話かと思いきや
後退しているようにも感じたり
でも使っているものは進んだ先のものだったりして
物事は巡る
ということを感じたり…
読み進めていくと
出てくる題名の
虐殺器官
が出てくる
これが変に納得してしまいそうになる説明があって
クラヴィスの心の不安定さが
ゆらゆらと見えて
物語の終わりに向かう
どれだけ世界が進んでも壊れていても
人と人の関係とか繋がり
人の放つ言葉に翻弄されていることが
世界を作っているのかなと思ったりもした
一冊だった…
終わりに載っている
円城塔さんとの対談も楽しく面白く興味深く
読ませていただいた -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めての伊藤計劃に本作品を選ぶというかなりイレギュラーなことをしたが、しっかり楽しめた。
最初は屍者と主人公ワトソンの関わりがどこにいくのか読めなかったが、中盤、終盤と物語が進むにつれ実在的なものへの意識だけでなく、「人間の意識」の根源と倫理の話になってくる。
ワトソンたちがザ・ワンに出会ってからは、かなりワクワクしながら読むことができた。
ワトソンやフライデー、ザ・ワンなどフィクションの登場人物として有名な名前たちが後にその物語たちに回収されていく様も素敵だった。
どこから円城塔が加筆したのかは全くわからなかったが、言葉のリズムからこのあたりはそうかも?と想像したりして楽しかった。 -
Posted by ブクログ
全国8000万人のディストピアファンのみなさん、お待たせしました。
ハーモニーです。和製ディストピアです。核戦争タイプです、ポストアポカリプスです。
いちディストピアファンとして、涎が止まりません。
いやー管理されたいですよね?みなさん?
ドMのワタシは勿論、ハードに管理されたい派です。
脳死バンザイ、僕等はリソース!
もはやナンバーワンどころかオンリーワンも許されません。
無個性バンザイ、僕等はリソース!
しかし、異端はいるもので主人公も例に違わず管理社会に疑問を持ちます。困ったものです。
人間とは、個人とは、
ここまで管理された社会の意味とは、
殺伐とした今の社会よりマシなんでしょうか、
個人を取り戻す物語。
伊藤計劃氏の遺作です、長編2作目?でこの仕上がりとは
いや、オモロい。想像力の暴力ですってば。
今敏といい、才能はすぐ神に呼ばれてしまうのでしょうかね。そりゃ神さまもハーモニー読みたいよな…。
まいったね。