伊藤計劃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
同名のゲームの原作本・・と ひとくくりに言えない密度の濃さでゲームの世界観を緻密に表現しています。
特に各キャラクターの心理描写はゲームでは語られないことなのでゲームをプレイされる方・興味のある方にはぜひ読んでいただきたいです。
もちろん この本だけでも十分楽しめます(そしてぜひゲームのムービーで映像を確認してください)。
主人公のスネーク視点ではなく相棒のオタコン視点で語られていることでより広く・深くエピソードを理解できます。
洋画のように練られたストーリーと世界観 熱いメッセージはどの世代にも共感を与え日本国内よりも海外からの支持が多いシリーズなので他作もぜひ読んで(ゲームプレイ -
Posted by ブクログ
ハーモニー。そういうことでしたか。
SF小説ですが、どう読むか難しかったです。
本書内の設定は、何百年先にも実現はしないもののように個人的には思いますが、そのイデオロギーは今の現実世界に確かに存在しているようにも思えます。
現代は日々、人間への抑圧が強くなっているように感じますが、抑圧されているものの中には、きっと必要性があって、存在していたものもあるんだろうなと時々考えます。
それが、そのときには悪く見えるようなものでもです。
このまま抑圧されることが加速していったとしたら、その先にはどんな世界があるのでしょうか。
こうならないことを願います。 -
Posted by ブクログ
「虐殺器官」と同じ世界観の未来の話。
「虐殺器官」のラストは「この先、世界は壊滅的な状況になるんだろうなぁ」エンドだったけど「ハーモニー」は言わば終わりのその先の物語。ジャンルはディストピアSFで、「こんな社会はやっていられないよ」という書き方がされているのだけれど、でもどうしても頭の片隅で「この社会で何も気がつかず一生を終えることができたら一種の幸せかも」という思いが読んでいるとどうしても消しきれない。読み終わったらどっと疲れちゃった。
「虐殺器官」で一度崩壊した世界では新たな社会体制が生まれ高度な医療経済社会となり、その社会体制で生きる人々は「個人」ではなく公共のリソースと見なされるよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ『虐殺器官』の“genocidal organ”は、人間の内側にある「虐殺を引き起こす臓器」──すなわち認知や集団心理そのものを指しているように感じた。
ジョン・ポールは「虐殺の文法」を操り、後進国での内戦や武装蜂起を恣意的に発生させていく。だが、プロパガンダや情報統制、戦意高揚のための国民精神統一など、現実世界にも同じ構造は存在していて、それらによって民意が扇動され、国家的犯罪へと進んでいった例は枚挙に暇がない。
民族浄化や歴史修正主義も、他者への憎悪と、同胞への強すぎる一体感の裏返しとして起こる。そして現代では、憎悪や対立でさえ「マーケット」になり、平和そのものはビジネスになりにくいと -
Posted by ブクログ
「〇〇のジャンルが好きなんですよね~」という会話をしていると「じゃあ、これは読んだことある?」という流れで出てくるタイトルってあるじゃないですか。例えばSFなら「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」、「三体」、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」とか。色々。
これって、共通の話題を求めてるだけじゃなくて「もし、まだ読んでないなら読んだ方が良いよ!」っていう気持ちも結構あるんじゃないかな、と思っています。私、読書歴が浅いので、いつも読む本は人に教えてもらったものばかり。
「虐殺器官」もそういう「SF好きなんですよね〜」という会話の中で出てきそうなタイトルの一つだと思います。どっぷりハマり込んで -
Posted by ブクログ
いつ果てるとも知れない意識ばかりが先になって、ひとは生を実感できているのだろうか。無意識をいいことに、生のなんたるかなどは置き去りにして。
この物語を読んでいるあいだに出会した思いがけない事実がある。太陽は宇宙空間を秒速230キロメートルで、天の川銀河の周回軌道に乗り移動し続けているというのだ。一周するのに2億年という時をかけて。
太陽系の惑星たちも、太陽の移動に付随して、飛びまくっている。ぼくらの大地も、当然のごとく。ぼくらは、まったく意識をしないけれど。
ひとは、ひとの一生を至上のものと信じて揺らがない。それはそれで、ひとつの真理だろう。疑念の余地もないけれど、本音を漏らせば、いささか -
Posted by ブクログ
SF小説は普段全く読まないけど、印象的なタイトルと評判の良さから、なんとなく気になっていた本。
いやー、面白かった。
SFと聞くと、自分のような文化に疎い人間には 『STAR WARS』や『ターミネーター』ような、無骨な機械と宇宙と大戦争みたいなストーリーをイメージしてしまうけれど、本作ではSF要素はあくまでスパイスとして盛り込まれているような印象。取り上げられている題材は、今の世界にも存在する諸問題や哲学に関連したもので、はるか未来の空想というよりは、隣り合った世界の話のようで、不思議なリアリティさも感じる。
タイトルの"虐殺器官"が何なのかについては、ネタバレにも -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後は『屍者の帝国』だったが、フランケンシュタイン、ホームズ、吸血鬼ドラキュラなどが下敷きとなった作品で好みの題材だしこの先も超面白そうなのに絶筆なのが本当に本当に残念!!!
『セカイ、蛮族、ぼく。』は冒頭から食パンをくわえて走ってくるというコミカルな女性が、僕にぶつかってきて転倒したので犯した。という2度見するスタートから始まり、本編中でもう一人強姦する。
好きでやってるわけじゃない、蛮族という血に従ってるんだ、などと、今の時代では問題アリな作品だが、依頼されて同人誌に寄稿した作品だという説明で少しは納得できた笑
著者作品はそこまで書かなくても良いんじゃないか?と突っ込みたい女性の性・強姦 -
Posted by ブクログ
普段、重厚なSF小説を読み慣れていない為、最初は世界観に入り込めるか不安だった。しかし、少しずつ舞台である世界の常識や歪みが分かってきて、丸ごと楽しんで読むことができた。
自意識を手放すことが本当の幸福なのではないか、という点まで行き着いてしまうのがすごかった。自意識があるからこそ選択に迷う。意識がなければ自明である、という所までいってしまうのがゾクゾクして、終盤は一気読みしてしまった。
中盤、徹底してロジカルに構成しながら、トァンの一人称で進むのでエモーショナルな点もきっちり味わうことができるのが良かった。
終盤は、いきすぎたロジックでしか魅せられない景色まで連れて行かれたような感じがしてゾ