伊藤計劃のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
同名のゲームの原作本・・と ひとくくりに言えない密度の濃さでゲームの世界観を緻密に表現しています。
特に各キャラクターの心理描写はゲームでは語られないことなのでゲームをプレイされる方・興味のある方にはぜひ読んでいただきたいです。
もちろん この本だけでも十分楽しめます(そしてぜひゲームのムービーで映像を確認してください)。
主人公のスネーク視点ではなく相棒のオタコン視点で語られていることでより広く・深くエピソードを理解できます。
洋画のように練られたストーリーと世界観 熱いメッセージはどの世代にも共感を与え日本国内よりも海外からの支持が多いシリーズなので他作もぜひ読んで(ゲームプレイ -
Posted by ブクログ
おもしろかった。
SF小説でありながら、情景や心情がリアルで
その圧迫感に終始圧倒させられる。
作中では、子どもを殺しても罪悪感を抱かないようにする科学技術によって、虐殺が可能になる。しかしその「感じなくて済む」という状態を自覚した瞬間に、逆説的に罪悪感が立ち上がる。
残された者には想像しかない。そして地獄は、いつだって内側に存在する。
人は結局、選ばされる。自由であるはずの選択は、不自由という結果を引き受けることと引き換えであり、そこには逃れようのない責任が伴う。それでもなお、自分を損なわないためには、選ぶしかないのだと思う。選択肢が多いほど自由に見えて、実際には守れるものは限られている -
Posted by ブクログ
もはや伝説と言っていい早世の作家伊藤計劃のデビュー作。虐殺の文法によって世界中で内戦が起こる近未来を舞台に、主人公であるアメリカの諜報軍人は自ら発見した虐殺の文法を駆使して内戦を引き起こす謎の男を追う。
個人認証技術やバイオテクノロジー技術など細かな描写がリアルで近未来SFとしてめちゃくちゃ面白い。そして、ここで描かれる世界は今の現実を予言しているようにも見える。核爆弾の使用のタガが外れていたり、戦争がアウトソースされていたり、アメリカの介入が混乱を生んでいたり、認知戦が虐殺の文法のように思えたりと今と重なる点が多い。
トランプにも習近平にもプーチンにも自らの物語があるのだろう。それが虐殺 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本SF界において、伊藤計劃前・伊藤計劃後と言われるほど伝説的な作家とは聞いていた。「屍者の帝国」は読んで個人的にイマイチでそれから離れていたのだけれど、この「ハーモニー」には「なるほどぉ…」と唸るほどの魅力がある。
「健康」を盾にした息苦しいまでの管理社会という視点において、「一九八四年」や「素晴らしき新世界」に近い世界構造。作者へインタビューの内容を見るまでもなく「二分間憎悪」も出てくる。
その中で、合理的な社会で人間が苦しむのは人間を人間たらしめる意識のせい、そして、意識は神の与えた神秘的な能力ではなく、動物としての生命維持器官であり、進化の過程で切り離してもよいものだとのストーリー。