伊藤計劃のレビュー一覧

  • メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット

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     同名のゲームの原作本・・と ひとくくりに言えない密度の濃さでゲームの世界観を緻密に表現しています。
     特に各キャラクターの心理描写はゲームでは語られないことなのでゲームをプレイされる方・興味のある方にはぜひ読んでいただきたいです。
     もちろん この本だけでも十分楽しめます(そしてぜひゲームのムービーで映像を確認してください)。
     主人公のスネーク視点ではなく相棒のオタコン視点で語られていることでより広く・深くエピソードを理解できます。
     洋画のように練られたストーリーと世界観 熱いメッセージはどの世代にも共感を与え日本国内よりも海外からの支持が多いシリーズなので他作もぜひ読んで(ゲームプレイ

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    2012年11月14日
  • メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット

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    壮大な男の一代記。相棒のオタコンが語る過去と現在。こんがらがったが、なぜそういう作りなのかがわかった瞬間、泣けた。

    好きだから大切にしたいモノがある。大切にしたいけど好きだから…。こう「好き」が詰まった宝物のような物語。長かったけど、気持ちいい読後感だった。

    「毎日の食卓にも、誰かの物語が生きている。この世界は、そんなささやかな物語の集合体なんだ。」たとえ。まずい目玉焼きがでてこようと…。

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    2012年11月14日
  • 虐殺器官

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    ネタバレ

    『虐殺器官』の“genocidal organ”は、人間の内側にある「虐殺を引き起こす臓器」──すなわち認知や集団心理そのものを指しているように感じた。

    ジョン・ポールは「虐殺の文法」を操り、後進国での内戦や武装蜂起を恣意的に発生させていく。だが、プロパガンダや情報統制、戦意高揚のための国民精神統一など、現実世界にも同じ構造は存在していて、それらによって民意が扇動され、国家的犯罪へと進んでいった例は枚挙に暇がない。

    民族浄化や歴史修正主義も、他者への憎悪と、同胞への強すぎる一体感の裏返しとして起こる。そして現代では、憎悪や対立でさえ「マーケット」になり、平和そのものはビジネスになりにくいと

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    2025年12月07日
  • ハーモニー

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    医療分子により病気がほぼ消滅、健康、標準体型を維持できる高度な福祉社会
    健康面の生活が保障された社会に女子高生が叛旗を翻す
    10年以上前に読んだ今回再読
    今の世の流れにふとこの本を思い出したから
    大変なテーマを綺麗な文体で描かれているし
    最後の結末は究極のホラーとも取れるし
    とにかく面白かった

    けれど、伊藤計劃さんはこの本を最後に病に倒れ亡くなったことを知っている今は
    何か違う読み方、悔しさとも似た
    表紙の真っ白加減がまた……ハーモニーだった
    10年以上経っても細部まで覚えていた
    だからこそ冒頭から痺れるものがあった。名作と思う

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    2025年12月02日
  • 虐殺器官

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    「〇〇のジャンルが好きなんですよね~」という会話をしていると「じゃあ、これは読んだことある?」という流れで出てくるタイトルってあるじゃないですか。例えばSFなら「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」、「三体」、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」とか。色々。

    これって、共通の話題を求めてるだけじゃなくて「もし、まだ読んでないなら読んだ方が良いよ!」っていう気持ちも結構あるんじゃないかな、と思っています。私、読書歴が浅いので、いつも読む本は人に教えてもらったものばかり。

    「虐殺器官」もそういう「SF好きなんですよね〜」という会話の中で出てきそうなタイトルの一つだと思います。どっぷりハマり込んで

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    2025年11月24日
  • 屍者の帝国

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    いつ果てるとも知れない意識ばかりが先になって、ひとは生を実感できているのだろうか。無意識をいいことに、生のなんたるかなどは置き去りにして。

    この物語を読んでいるあいだに出会した思いがけない事実がある。太陽は宇宙空間を秒速230キロメートルで、天の川銀河の周回軌道に乗り移動し続けているというのだ。一周するのに2億年という時をかけて。
    太陽系の惑星たちも、太陽の移動に付随して、飛びまくっている。ぼくらの大地も、当然のごとく。ぼくらは、まったく意識をしないけれど。

    ひとは、ひとの一生を至上のものと信じて揺らがない。それはそれで、ひとつの真理だろう。疑念の余地もないけれど、本音を漏らせば、いささか

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    2025年11月03日
  • ハーモニー

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    前作『虐殺器官』に引き続き面白かった。個人の意思と社会の調和の終着点、というテーマでここまで話を広げていけることに驚き。前作は扱っているテーマからして取っ付きやすさがあった分、今作は退屈さもあるかと思いきや、むしろ前作よりものめり込んでしまった。

    余談だが、先に前作を読んでおくと、ニヤリとさせられる一文もあるので、可能ならば先に読んでおくと良い。

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    2025年11月01日
  • 虐殺器官

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    SF小説は普段全く読まないけど、印象的なタイトルと評判の良さから、なんとなく気になっていた本。

    いやー、面白かった。

    SFと聞くと、自分のような文化に疎い人間には 『STAR WARS』や『ターミネーター』ような、無骨な機械と宇宙と大戦争みたいなストーリーをイメージしてしまうけれど、本作ではSF要素はあくまでスパイスとして盛り込まれているような印象。取り上げられている題材は、今の世界にも存在する諸問題や哲学に関連したもので、はるか未来の空想というよりは、隣り合った世界の話のようで、不思議なリアリティさも感じる。

    タイトルの"虐殺器官"が何なのかについては、ネタバレにも

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    2025年10月29日
  • ハーモニー

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    久々に手に取りました。
    返す返すも日本は天才を早くに喪ってしまいました、痛恨の極みとはまさにこのことか。
    この才人でも時代という制約を感じさせる設定もなくはない(解説を読むとその感を強く意識せざるを得ないかと)ですが、それを超えた普遍性というか先見性が尋常ではない。
    おそらくは完全に弱肉強食が剥き出しになって究極の既得権益の保持を隠そうともしない現在、そしてこの先の方が読む意義があると思われ。
    この作家のもっと大きな法螺話を読みたかったなぁ。

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    2025年09月14日
  • 虐殺器官

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    SFもので、そう遠くない未来のようで、描写もイメージしやすかった。
    死の描写はちょっとだけグロい。
    語り部である主人公の語り口がちょっとキザで鼻についた。

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    2025年08月29日
  • The Indifference Engine

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    ネタバレ

    最後は『屍者の帝国』だったが、フランケンシュタイン、ホームズ、吸血鬼ドラキュラなどが下敷きとなった作品で好みの題材だしこの先も超面白そうなのに絶筆なのが本当に本当に残念!!!

    『セカイ、蛮族、ぼく。』は冒頭から食パンをくわえて走ってくるというコミカルな女性が、僕にぶつかってきて転倒したので犯した。という2度見するスタートから始まり、本編中でもう一人強姦する。
    好きでやってるわけじゃない、蛮族という血に従ってるんだ、などと、今の時代では問題アリな作品だが、依頼されて同人誌に寄稿した作品だという説明で少しは納得できた笑
    著者作品はそこまで書かなくても良いんじゃないか?と突っ込みたい女性の性・強姦

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    2025年08月22日
  • 虐殺器官

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    読み慣れないSFだけど一気に読めた。おもしろ。
    映画みたいだなと思った。主人公がアメリカ人だから?
    なんで主人公がチェコガールにそんなご執心なのかはいまいちわからず、アレックスが気の毒だった。

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    2025年08月19日
  • ハーモニー

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    ネタバレ

    久しぶりに紙の本でSFを読みました。そのため、読み疲れしました。ただ、この世界から病気というものがなくなったらどうなるのかということが書かれていて面白かったです。作者が36歳でなくなっており、賞を受賞しているが、直接受け取っていないことが解説に書かれていました。そういう背景もあり、この小説に繋がったのかも知れないと想像すると色々考えるものがありました。

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    2025年08月16日
  • ハーモニー

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    途中から混乱してきたのでまた、再読する。
    調和のとれた世界を目指す事で意識が消滅につながる。
    今の現代と重なるところもあり、SFを面白く感じさせてくれた。

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    2025年08月09日
  • The Indifference Engine

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    私をわたしと認識しているワタシは私なのか?
    答えの出ない問いを自分の貧弱な脳味噌で捏ねくり回し、考えるのに疲れたら、蛮族くんにアックスを頭蓋に振りおろしてもらえる素敵な小説です。

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    2025年08月05日
  • ハーモニー

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    普段、重厚なSF小説を読み慣れていない為、最初は世界観に入り込めるか不安だった。しかし、少しずつ舞台である世界の常識や歪みが分かってきて、丸ごと楽しんで読むことができた。
    自意識を手放すことが本当の幸福なのではないか、という点まで行き着いてしまうのがすごかった。自意識があるからこそ選択に迷う。意識がなければ自明である、という所までいってしまうのがゾクゾクして、終盤は一気読みしてしまった。
    中盤、徹底してロジカルに構成しながら、トァンの一人称で進むのでエモーショナルな点もきっちり味わうことができるのが良かった。
    終盤は、いきすぎたロジックでしか魅せられない景色まで連れて行かれたような感じがしてゾ

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    2025年07月28日
  • 虐殺器官

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    現実に起きかねない物語だなと思った
    もし誰かが何かの影響で道を踏み外しただけで世界の歴史が変わるのかもしれない
    歴史だけじゃなくその人の未来や過去までも価値が変化するのかもしれない
    小説、SFというよりある意味哲学書みたいな本だったな〜

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    2025年07月08日
  • 屍者の帝国

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    医学生が主人公で各地を旅することに
    その世界は・・・屍者たちがいる世界
    労働に使われたり戦闘に使われたりの
    実際の歴史を改変しての物語のようですが
    死者が屍者として生きているのがなんとも
    いずれそんな世界がやってくるのだろうか?

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    2025年06月17日
  • 虐殺器官

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    面白いけど疲れました。個人的な読後感ですが、押井守監督の攻殻機動隊の楽しさと疲労感に似てます。SFはほとんど読まないから、というのもあります。読むスピードも普段の倍くらいかかりました。でも面白い。

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    2025年05月29日
  • ハーモニー

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    思いやりと健康に満ちた美しく「完璧」な世界。
    そんな世界でも、自分の感情や意識が世界と同じ方向を向き同調出来ていないと息苦しさを感じる。
    その苦しさは当人にとっての真実だ。

    優しさは、対価としての優しさを要求する。
    そう感じてしまっている時点で、ミァハやトゥアンは「ハーモニー」の世界では異質だった。
    「意識があること」をどう捉えるかによってハッピーエンドともバッドエンドとも捉えられる。
    読み手が置かれている状況によっても解釈が変わるだろう。
    自分は、あんなにハーモニーの世界を像をしていたミァハがこのような結末を選んだのには、「異物」でありつづけることへの孤独や慢性的な疲労や絶望によるある種の

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    2025年05月15日