あらすじ
「マトリックス」「シックス・センス」「ファイト・クラブ」「トゥルーマン・ショー」「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」――デビュー以前に著者が運営していたウェブサイト「スプークテール」で書き続けられていた映画時評67本+αを、2分冊で完全集成。数々の名作とほんの少しの「トンでもない」作品が、伊藤計劃のあらたな視点と映画に対する大いなる愛情をもって語り直される。第1巻は44本を収録。
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Posted by ブクログ
こんなに沢山の引用を登録した本は、他にありません。とても鋭く刺激的な文章です。
ざっと、十四、五年前の(前世紀の!)文章ですが、今でも響いてくる。
伊藤さんの小説作品のアイデアの元というか核になる発想や好みが随所に顔を出しているのも面白い。蒸気機関に対する熱い思いから『屍者の帝国』までは、まさに「あと一歩」。
ちなみに、取り上げられている44本は、名前を聞いたことがあるメジャな作品ばかりですが、実際みたことがあるのは、「踊る大捜査線」くらい。しかも、それもテレビで何となくみただけ。映画館に行ってみた作品は皆無。
ひどい青春時代をおくったもんです。
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伊藤劃好き、でもって映画好き、にはたまらない一冊。
もうこの作家の文章は読めないんだ、とあらためて感じる。
紹介43作中27作品映画館で鑑賞済み。
ヒット率6割か・・・
読んでて観たくなった作品も幾つか、「ガタカ」は必見かな。
Posted by ブクログ
彼の言葉は力を持っている。読む者の心を駆り立てる力がある。自分は彼の批評文を読んでいるだけなのに、なぜか、あらすじの説明部分では映画の予告編(とびきり完成度の高いやつ)を観ているようだし、解説部分では映画のメイキングを観ているような気分になるのだ。イメージを文章化する技術にかけて、私は彼以上の技巧に出会ったことがない。
この本を読んでから、今までの彼の著作を読んでみると、ああこういうのが好きだったんだ、気づかなかったけどコレってアレだよな、とか発見が多いからファンには嬉しい一冊。2が出るのが待ち遠しいです。
Posted by ブクログ
作家さんの書評はよくあるし楽しく読みますが、書評に比べて映画評の方はあまり見かけない気がします。
しかも基本的に褒めるスタンス、楽しく読みました。批評じゃないっておっしゃってますが、紛うかたなき批評です……
「面白そう!」と思っても、たぶん実際は楽しめないんだろうなわたし…という作品もチラホラあるので、伊藤計劃さんの感性好きだなぁ。
ストーリーもそこそこ大事だけど、それよりは世界観がキッチリ造られ作中で描かれているか、なのかな…?
SFは特に世界設計が大事なので頷けるものがありました。
伊藤計劃さんの書く小説がもう読めない、というところで早逝が悔やまれますが、「あの映画観たらどういう批評されたんだろうか…」みたいに思ってしまうところでも悔やまれます。
日本どころか世界も打ちのめす韓流映画、シンエヴァとシン・ゴジラ、ウェス・アンダーソン、ギレルモ・デル・トロやアリ・アスター…
読むのに何日かかかりましたが、その間に「もしご覧になってたらどういう評価になったんだろうかこれ…」と思いながら、クリストファー・ノーラン監督の『TENET』を観ました。
Posted by ブクログ
伊藤計劃氏の映画批評。エッセイに近いラフな調子でぐいぐいと進んでいく。口調は軽快ですが、映画への思い入れや知識、監督や役者の個性やカラーまでを熟知して書かれる批評は絶品。一般的には駄作と評されるような作品についてもだめな部分は明確にしつつ、それでも愛すべき箇所を伊藤氏しか書けないだろう視点で書いているところには、映画という文化、媒体そのものへの愛を感じました。
そのかわり、世間では名作と呼ばれているようないくつかの作品は容赦なく喝破されていましたが…笑
ほんとうに早逝が惜しまれる人、というのは伊藤さんのような人なのだと思う。生きていたとしたら今の世界、映画をどう観てどう論じたのだろうか、そんなことばかりが頭をよぎりました。
Posted by ブクログ
伊藤計劃三冊目。
デビュー前に「スプークテール」という著者自身が運営していたウェブ・サイトにアップされた映画に関するレビュー全51作をまとめたもの(「今月のまとめ」としてまとめて紹介された作品も勘定にいれた)。
僕自身はそれほどに映画に詳しくはなく、かといって全然見ないわけでもない、まぁそこそこ映画好きな人間、ってところだろうか。
本書に掲載されている51作品のうち、22作品は劇場、あるいはDVD等で鑑賞済。
決して多い数字ではないだろうけれど、「映画に全然興味ないもんね」と胸を張って言える(?)には多い数字だろう。
僕としては、映画のレビューを読みたい、というよりも、あれだけの面白い作品を作り上げることが出来た人間が、どんな映画を観て、どんな感想を抱いたのか、に興味があった。
なるほど、と思ったのは、物語の流れだけでなく、一つ一つのカット割り、場面構成、オブジェ、建物、シーン全体に漂う雰囲気、そういったものにかなり強い視点を当てて映画を観ているなぁ、ということ。
そういった本流(物語)以外の、本流を支えている重要な要素にきちんと目配りが出来る、ということが彼の小説世界を支えている要因の一つなのかも知れないなぁ、と思った。
そういえば彼は武蔵野美術大学の出身。
だから美術的な要素に神経が向かうのかも知れない。
ちなみに武蔵野美術大学の少し東には僕が卒業した中学校が、少し西には僕が卒業した小学校と高校があり、昔はよくこの美大の文化祭に遊びにいっていた(こう書くと、ネットで検索すればすぐに「あ、この学校か」と判ってしまうだろうなぁ)。
映画レビューにあまり視点を置かずに読み進めてはみたものの、何作かはぜひ見てみたい作品があった。
1998年~2000年にかけて上映された映画が紹介されているので、今ではDVDやブルー・レイで観ることになるのだろうが、伊藤計劃氏が語っている「ここでやっているのは映画批評じゃなく、読んでくれた人を映画館へ誘導すること」という彼の目標は、少なくとも僕に関しては達成されている。
映画ファンがこの本をどう読むのか、また伊藤計劃ファンがこの本をどう読むのか、僕には想像出来ないが、そこそこ映画ファンであり、遅まきながら最近やっと伊藤計劃ファンになった僕は、予想以上に面白く読み進めることが出来た。
Posted by ブクログ
恥ずかしながら伊藤計劃氏の作品を読むのはこれが初めて。映画批評だが面白かった。自身では批評ではないと書いているがそこら辺の批評やレビューよりずっと信頼できる。2巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
映画評にいきつくまでの、キャスト紹介・ストーリー・関係者話もろもろのウンチクやら派生話がごちゃごちゃしていて、それがとても鬱陶しくておもしろい(笑)
自分にとってそれは、伊藤計劃氏との出会いでもあり、また急逝した友人ヲタクとの再会にも感じたからだった。
エンターテイメントでなければ映画ではない!と主張し、お金を払って見た者しか評せないような奔放なことばで映画を語っていた友人が亡くなって、約2年。
彼が亡くなってぽっかり空いていたこころの空洞を、静かに満たしてくれる。そんな大切な一冊にもなった。
Posted by ブクログ
伊藤計劃さんの映画評本。
『エヴァより〜』とか『エロゲーのシナリオより〜』の様に
作品を褒めるのに他の作品を引き合いに出す言い回しが気になる
『君の言いたい事は良くわかる!
でもそういう言い方は良く無いよ!』と…
共感できる部分も含めてなんか我を見ているようで
読んでて気恥ずかしい一冊;
しかし、『ガメラ3』や『ファイトクラブ』
『プライベートライアン』等の絶賛評を読んでると、
伊藤計劃さんが『キック・アス』を、『電人ザボーガー』を
『ウルトラマンサーガ』を、『バトルシップ』を
『サマーウォーズ』を『おおかみこどもの雨と雪』を観ていたら
何と書いたのだろう?
きっと彼も気に入ったんじゃないだろうかと思うのだ。
伊藤さんの時は映画評を書いていた時に時間が止まっていて、
伊藤さんの時間はもう動き出す事は無い。
そう思うと、毎日毎日、新しい映画を浴びる様に観られる事って
何て幸せな事なんだろう、それだけで人生には生きる価値があると思えるのだ。
いつか僕の時間が止まって、新しく生まれでる映画を
観る事もできなくなる時がくるのだろうけど
その時はあの世で同じ作品を愛した者同士、
伊藤さんと映画の事を語りながら杯を酌み交わしたいと思えた一冊だ。
Posted by ブクログ
伊藤計劃 の作品が大好きなので、映画評というのも読んでみたくなったので。
評論文もとてもおもしろかった。
収録されている映画は見たことのないものがほとんどだったけど、実際に映画を見たくなった。
作者の目的が完全に果たされている…。
映画好きだというのも、ばしばし伝わってきた。
どんなジャンルの文章でも読ませる人だったんだな、と改めて感じた。
Posted by ブクログ
どんな形であれ彼の言葉を読めることは嬉しい。そしてこれを読むと無性に映画が見たくなる。すごいことだ。
同時に死後公開された多くの映画を「ああ、この人ならどう評しただろう」と思わずにいられない。それを二度と目にすることができないのが残念だ。
Posted by ブクログ
言ってることが難しすぎて、私のような阿呆には半分も理解できないよ!な本(笑)
でも、映画への熱い思いはひしひしと伝わる。
1も2もリアルタイムで劇場で観たものがけっこうあって、懐かしいと共に、自分が映画をまったくといいほど理解してないのがわかり、少し落ち込む。
伊藤さんも『人狼』を高く評価していたことが分かり、思わず「いい映画だよね!」と声をかけたい気分になった。
でもなー、もっと映画見て、語っているのを読みたかったな。
Posted by ブクログ
基本的に褒めるっていう方針が素敵ですね。
だいたいにおいて、Web で公開されるレビューってけなしてなんぼみたいなのが多いですからね。
けなすぐらいなら、話題にしない方がいいんじゃないかと思いますけど。
レビューのおかげで観たい映画が増えましたね。
平成ガメラとか、いまさらのシックスセンスとか。(^^;
Posted by ブクログ
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