松本侑子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ赤毛のアンは村岡花子訳に限る。というか、やはり最初に読んだ、あの感動、世界がキラキラ見えたあの気持ちは、やはり村岡花子訳の文章だったから、他の訳者のアンを読むのが怖い、という気持ちが強かった。
松本侑子さんが長年、アンにたずさわっているのは知っていた。だが、前述の気持ちがあり、赤毛のアンは読まずにいた。でも、赤毛のアン論であれば、と思って手にした。
今まで疑問に思っていたことがよく分かり、松本さんの調べ方は徹底しているなぁ、なんて思っていた。それが最後の最後で、村岡花子訳が抄訳だったと分かり、愕然とした。ショックだった。そうなった経緯も丁寧に描かれていて、なるほどと思い、ショックは薄れるが逆に -
Posted by ブクログ
子どもの頃から、夢中になって繰り返し読んだ赤毛のアン。
関連本はもちろん、TVドラマや映画も全て読んで観て来たけれど、
この本はすごい。詩や小説からの引用がこんなにも沢山アンの物語の中に仕込まれていたなんて!
小説が書かれた当時の国の情勢、文化、宗教、流行の知識と理解がなければ
この翻訳は成り立たない。
これほどまでに完璧な翻訳をするのに、どれだけの時間と苦労が必要だったのだろう。
こうして出来上がった新しい赤毛のアンから浮かび上がって来たのは、知性と愛情とユーモアが溢れ出るような
大人のための小説でした。
この本を読むことができて幸せです。 -
Posted by ブクログ
心中未遂を繰り返す太宰治と、最期を遂げた山崎富栄の生涯を、綿密な取材をもとに小説として書き上げた力作。着物姿で島田髷を結った表紙の写真が有名なので、遊女だの、芸者だの、酒場の女だのと、何かと彼女を卑しめたい後世の輩は言うが、これは当時の未婚の女性が正装をしたときの典型的な姿であって、美容学校のモデルをつとめたときの写真。太宰の作家仲間が、太宰の死後、彼女を悪し様に言ったため、今でも、太宰を死に追いやった悪女というイメージが一般的なようだけど、違うのだ、実際は。太宰が甘ちゃんだっただけなのだ。
文学の力というものを、まざまざと見せつけた本だ。 -
Posted by ブクログ
ため息の出るような、うっとりする風景描写、心に迫る心理描写が素晴らしい。訳者である松本さんの力量は敬服に値する。
リラの兄ウォルターが第一次大戦でなくなり、家族の悲しみが記された描写には涙が出てきた。出征したジェムの帰りを何年も待ち続ける、犬のマンディに対しても同様であった。
戦時中の苦しい中であっても、純粋で健気なリラに心が洗われた。リラの心の成長も読みどころだ。
「肉体は段階をおってゆっくり成長していくが、心はひっと飛びで成熟する。一時間で、すっかり成長をとげることもある。」この表現がぐっと心にきた。真実だと思う。
生きる勇気を与えてくれる、アン・シリーズは大好きだ。何度も読み返し -
購入済み
金子みすゞの評伝。「100分de名著」を観て、矢崎さんの書かれたみすゞ伝、松本さんの「みすゞと雅輔」の書籍も読んだが、この時代に女性が文学者として認められることの難しさ、それでも懸命に創作を続けるみすゞの姿に胸打たれた。