松本侑子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『赤毛のアン』シリーズ全8巻を八つの観点で解説する。
関する写真・図版・地図80点も収載。
・はじめに
一の扉 エピグラフと献辞 二の扉 英文学
三の扉 スコットランド民族
四の扉 ケルトと「アーサー王伝説」
五の扉 キリスト教 六の扉 プリンス・エドワード島の歴史
七の扉 カナダの政治 八の扉 翻訳とモンゴメリ学会
・おわりに
主要参考文献有り。
小学生時代に読んだのは、村岡花子/訳。
中学生時代には料理等の関連本を読み漁っていました。
少女の成長と大人の女性への成長、家族の物語として。
でも、宗教や政治、文学の引用等、気になることも。
で、1993年に松本侑子/訳との出会い。
その厚さと訳者ノートの膨大さへの驚き。
これは“少女小説”とは異なる内容だと、括目。
そして、全8巻のシリーズ翻訳を経ての、この本書では、
更なるアンの世界への扉を開いてくれました。
エピグラフと献辞の示す意味。
英文学の引用が多く入る意味。
登場人物の多くがスコットランド民族系。
「アーサー王伝説」と家や地名の謎解きにはケルト族。
キリスト教文学の一面と長老派協会との関わり。
小説に垣間見えるプリンス・エドワード島の歴史。
生活のあちこちに顔を出すカナダの政治。
8つ目の扉は、『赤毛のアン』の翻訳と研究になった道程。
実に様々な要素が絡み合っているのがよく分かります。
また、村岡花子/訳の読み易い抄訳で親しみ、成長した後、
大人向けの奥深い大河小説『赤毛のアン』シリーズを
読み込める楽しさを教えてくれます。
思えば『巌窟王』や『家なき子』なども抄訳から大人向けを
読むようになって、その味わいと面白さに目覚めたましたから。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ赤毛のアンは村岡花子訳に限る。というか、やはり最初に読んだ、あの感動、世界がキラキラ見えたあの気持ちは、やはり村岡花子訳の文章だったから、他の訳者のアンを読むのが怖い、という気持ちが強かった。
松本侑子さんが長年、アンにたずさわっているのは知っていた。だが、前述の気持ちがあり、赤毛のアンは読まずにいた。でも、赤毛のアン論であれば、と思って手にした。
今まで疑問に思っていたことがよく分かり、松本さんの調べ方は徹底しているなぁ、なんて思っていた。それが最後の最後で、村岡花子訳が抄訳だったと分かり、愕然とした。ショックだった。そうなった経緯も丁寧に描かれていて、なるほどと思い、ショックは薄れるが逆に本当の赤毛のアンを読みたい!という気持ちになった。知らない所がたくさん出てくるであろう、赤毛のアン。今から読むのが楽しみだけど、読みたい本は常にたくさんある。困ったものだ! -
Posted by ブクログ
子どもの頃から、夢中になって繰り返し読んだ赤毛のアン。
関連本はもちろん、TVドラマや映画も全て読んで観て来たけれど、
この本はすごい。詩や小説からの引用がこんなにも沢山アンの物語の中に仕込まれていたなんて!
小説が書かれた当時の国の情勢、文化、宗教、流行の知識と理解がなければ
この翻訳は成り立たない。
これほどまでに完璧な翻訳をするのに、どれだけの時間と苦労が必要だったのだろう。
こうして出来上がった新しい赤毛のアンから浮かび上がって来たのは、知性と愛情とユーモアが溢れ出るような
大人のための小説でした。
この本を読むことができて幸せです。 -
Posted by ブクログ
心中未遂を繰り返す太宰治と、最期を遂げた山崎富栄の生涯を、綿密な取材をもとに小説として書き上げた力作。着物姿で島田髷を結った表紙の写真が有名なので、遊女だの、芸者だの、酒場の女だのと、何かと彼女を卑しめたい後世の輩は言うが、これは当時の未婚の女性が正装をしたときの典型的な姿であって、美容学校のモデルをつとめたときの写真。太宰の作家仲間が、太宰の死後、彼女を悪し様に言ったため、今でも、太宰を死に追いやった悪女というイメージが一般的なようだけど、違うのだ、実際は。太宰が甘ちゃんだっただけなのだ。
文学の力というものを、まざまざと見せつけた本だ。