あらすじ
日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ第2巻。
アン16歳、美しいプリンス・エドワード島で教師になる。
ギルバートとアヴォンリー村の改善協会を作り、マリラが引きとった双子をグリーン・ゲイブルズで育て、夢にむかって誠実に生きる。
新しい友ミス・ラヴェンダーの恋と結婚、「腹心の友」ダイアナの婚約、アンの新たな旅立ち……。
幸せな生き方をさわやかに描く、青春と希望の第2巻!
アンが語る幸せな生き方
「一番幸せで心楽しい暮らしとは、華やかなこと、驚くようなこと、胸ときめくようなことが起きる日々ではなく、さりげない小さな喜びをもたらす一日が、今日、明日としずかに続いていくことなのね、まるで小さな真珠が、一つ、また一つと、糸からすべり出て行くように」
本書第19章より。
特徴1 日本初の全文訳
米国詩人ホィティアーの詩「丘のふところにて」に始まり、米国詩人ロングフェローが過ぎ去りし青春を追想する一節「遠い遠い想い」をアンが語る章に終わる、日本初の全文訳。
大人の心豊かな読書にいざなう文学の全容。
特徴2 巻末訳註付
作中に引用されるシェイクスピア劇と英米詩の古典、聖書の名句、主にスコットランド系カナダ人からなる登場人物の民俗、19世紀カナダの料理・菓子・手芸、暮らし、草花、プリンス・エドワード島の歴史、地理、社会、キリスト教、ケルトとアーサー王伝説など、全30章から257項目について、巻末訳註でくわしく解説。
特徴3 口絵写真と地図
プリンス・エドワード島で撮影した本作ゆかりの写真9点。カナダ東海岸と島の地図。
特徴4 あとがき
本作『アンの青春』を執筆中のモンゴメリ33歳の日記、作品の鑑賞、原題の意味などを紹介する訳者あとがき。
松本訳の旧訳の訳文と訳註を改訂した新訳! すがすがしい青春、2年間の物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
16歳になったアンはアボンリー校の教師になる。
また今回でマリラの親戚の双子のキース兄妹デイヴィとドーラ(六歳)を引き取る。
新しい隣人ハリソン氏やアボンリー校の生徒たちなど、個性豊かな新しい登場人物が登場する
Posted by ブクログ
日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ第2巻。アンは家計を助けるためにアボンリーで教師として働き始める。双子の孤児など、魅力的な新キャラクターも登場。ダイアナとの友情やギルバートとの関係など、読む手が止まらない。いつでも夢に向かって誠実に生きるアンを応援したくなる。途中で飽きる可能性があったので、第3巻までしか購入していない。そろそろ残りを買うかー。訳註がとても興味深く、栞が2枚必要。
Posted by ブクログ
久しぶりに読み直した。これこれって感じで安心する。昔は青い鳥文庫のものを読んでいて挿絵がとっても可愛かったなぁ、、また見てみたい。
食べ物とかドレスの描写が綺麗でこの世界に入ってみたくなる
Posted by ブクログ
大人になったアンがどうなったかな…と読み始めたら、いきなり隣の牛を売ってしまってめっちゃ笑いました。
他にもアヴォンリーでの日常が素晴らしくて、素敵な生き方ってこういうことか…としみじみ思いました。
Posted by ブクログ
『赤毛のアン』シリーズ2作目
相変わらず訳が読みやすい。アンが間違って牛を売っぱらってしまったり、鼻に化粧水と間違えて赤い塗料を塗ってしまうところは笑った笑った。
マリラが引き取った双子のデイヴィのいたずらっ子ぶりには驚かされる。それに対してドーラはとてもいい子なのに、みんなにおもしろみがないと言われていてちょっと可哀想だなあ。でも手のかかる子ほどかわいいと昔から言うしなぁ……。
ハリソンさんにポールにミス・ラヴェンダー、シャーロッタ四世と、今作で新たに登場した人物もそれぞれに魅力があってよかった。特にミス・ラヴェンダーの恋の結末は少女漫画みたいで、なんてロマンティックなの……!
あと思ったのは、1作目のラストでせっかく仲直りしたのに、ギルバートの影が薄いな? 普段はアヴォンリーじゃなく、ホワイト・サンズにいるから仕方ないけれども。いや~、1作目のギルバートが不憫すぎて好きになっちゃって。次作『アンの愛情』で同じ大学に行くから、いやでも登場回数が増えるよね?
さて、3作目ではどんな人たちに出会えるかしら? 楽しみ楽しみ。
Posted by ブクログ
愛らしい華ひらく日常
『アンの青春』は前作『赤毛のアン』よりいっそう好きになった。
奇人だとおもはれてゐるハリソンさんや、マリラと育てることになった双子のディヴィとドーラ、そして石の家のミス・ラヴェンダー。
新しい人物が登場するだけでなく、アンが教師としてアヴォンリーに勤めることになり、成長した彼女が少女のころのやうに思ひのままむやみに行動することが減って、つっかからなくなった。
アヴォンリーの学校を教へたり双子に手を焼くさまがありありと伝はって、隣家にハリソンさんが越してきたのもアツく、めくるめく進展はただの日常の一端にすぎないともおもはされて、どこか的を射た寸言もよく効いてゐた。
Posted by ブクログ
村岡花子訳の赤毛のアンからアンの娘リラまで、暗記するほど愛読した子供のころ。久々に新訳で読んだ。
昔も、だんだんアンがただの理想的ないい人になっていくのがなんかなぁ・・・これが大人になるということか・・・みたいに思っていたのですが、すでにこの巻でもその萌芽が見えてきました。
夢の国の住人である人は、そうでない人を軽く見がちなことも気になるかな。アン・ダイアナ・ジェーン・プリシラでピクニックにいくくだりの話で顕著。
それでも、素敵なエピソードや食べ物・ドレスなど心ときめくものがたっぷりはいった物語。
Posted by ブクログ
アヴォンリーで教師になったアンを慕う人たちが次々と出てくる「アンの青春」。ミス・ラヴェンダーとポール・アーヴィングが特に好き。双子も可愛いよね〜 読者の私もデイヴィの方が可愛く思えてしまう笑
アンとギルバートの関係性の変化もロマンチックで素敵なの。「アンの愛情」も楽しみだ。
Posted by ブクログ
松本侑子新訳版のアンシリーズ第2巻。
原題は『Anne of Avonlea』。
第2巻『アンの青春』と第3巻『アンの愛情』の邦題は逆の方があっていたんじゃないかと昔から思っていて、順番が混乱するんですが、こちらはアンがアヴォンリーで新米教師として過ごす2年間の物語。
自分メモ的に整理しておくと
アンがグリーン・ゲイブルズに来たのが11歳のとき。
アヴォンリーの学校を経て15歳のときにシャーロットタウンのクイーン学院に進学。
クイーン学院は教師になるための師範学校で、通常は2年かけて教員免許をとるところ、アンとギルバートは成績優秀のため1年コースで卒業。
マシューの死去にともない大学進学をあきらめ、16歳でアヴォンリーの教師になる。(←イマココ)
さらに自分メモ的にそれぞれの学校の先生
・アヴォンリー
アン→ジェーン・アンドリューズ
・ホワイト・サンズ
ギルバート・ブライス
・カーモディ
プリシラ・グラント→ルビー・ギリス
ホワイト・サンズやカーモディがアヴォンリーからどれくらい離れているのか不明ですが、週末や夏休みには帰省できるけど毎日通うのは難しい距離のようです。
『大草原の小さな家』のローラも15歳で教師になってます。アンが教師になったとき、アンが教える上級生たちはちょっと前まで一緒に勉強していた子供たちなんですよね。モンゴメリ自身は19歳で教師になっていますがみんな若い。
新しい隣人ハリソンさんのスキャンダル、アンクル・エイブが預言した大嵐など、村岡花子版の外伝短編集『アンの友達』、『アンをめぐる人々』のようなアヴォンリー村物語的な側面もあります。
そして村岡花子版でも何度も読んでますがミス・ラヴェンダーがやっぱり素敵だな。30代くらいのイメージだったけど45歳なのか。
村岡花子版では「山彦荘」、松本侑子版では「こだま荘」の石の家の名前が「エコー・ロッジ」だと初めて知る。
基本的なストーリーは村岡花子版でおなじみなんですが、花の名前とか細かい自然描写が松本侑子版の方がわかりやすく頭の中で風景を再現しやすい気がします。
へスター・グレイの庭は黄色と白の水仙に埋もれてるんだとか。
子供の頃はラヴェンダーの花や香りが今ほど具体的にイメージできてなかったというのもあるかもしれません。
あとリンドおばさんとマリラの名言多し。
「マリラ、失敗したらどうしよう!」
「たった一日で、大失敗なんかできないよ」
「マリラ、私、頭が変なように見える?」
「いいや、いつもほどじゃないよ」
今回も解説が100ページほどあります。細かい引用なんかはそこまでチェックしなくてもと思うものもありますが、当時は暗誦が普通に行なわれており、欧米小説では聖書やシェイクスピア、古典の引用が一般的だったという解説は納得。
ポール・アーヴィング、双子のデイヴィとドーラ、アンソニー・パイ、いずれも幼くして親を亡くしている子供たちで、モンゴメリ自身が反映されているのではという指摘もなるほどと思いました。
以下、引用。
20
「夜中に寝室にあがって、ドアに鍵をかけて、日よけもおろして、それからくしゃみをしても、リンドのおばさんなら、次の日、風邪はどんな具合かねってきくわよ!」
25
アンの声がうわずり、灰色の瞳が、宵の明星のようにきらきらと輝いたので、リンド夫人は、またわからなくなった。アン・シャーリーが本当は美人かそうでないか、いつになったら納得のいく答えが出るのだろうか。
52
《すみれの谷》を通り、《ウィローミア》をすぎると、もみの下で、夕闇と西日の陽光が口づけをするように溶けあっていた。
55
「マリラ、失敗したらどうしよう!」
「たった一日で、大失敗なんかできないよ。まだ先は長いじゃないか」
62
先日ハリソン氏が、シャーロットタウンの店で、くどいほど着飾った女性を見かけたと語り、「そいつはまるで、最新流行の服の女と悪夢が正面衝突したみたいだった」と評していたのだ。
112
「大事なのは、ジョシュアという男の仕事ぶりの良し悪しだ。腕がよけりゃ、名前はパイだろうがプリンだろうがかまわんさ」
163
「土曜の朝は早くうちに来て、お弁当の支度を手伝ってね。できるだけ優雅なランチを作るの……春のお出かけにふさわしいものよ、いいこと……小さなゼリー・タルトに、指形クッキー(レディ・フィンガー)、ピンクと黄色の糖衣がけ(アイシング)をしたドロップ・クッキー、きんぽうげのケーキ。サンドウィッチも用意しなくちゃね、これはあまり詩的じゃないけど」
165
「もしキスが目に見えたら、すみれの花のようでしょうね」プリシラが言った。
170
空気は透明にきらめく金色のワインのようだった。
178
「あの人はのろまで急に止まることもできやしないくらいだが、手伝いがいないよりゃ、ましだからね。」
「あの男も十年ばかし死んでいたようなもんだが、十年先も同じだろうね。ああした男は死んで自分に始末をつけることもできやしない……何一つしっかりとやり抜くことができないんだから。」
217
「にわとりの羽根をむしるのは嫌いだけど」アンはマリラに語った。「手先がしているだけだもの、気持ちは別のところにあるから助かるわ。手はにわとりをむしっても、心は天の川(ミルキーウェイ)をさまよっているのよ」
「どうりで、いつもより羽根が床に散らかるこった」マリラが注意した。
229
「大丈夫、これは買ったものよ。先祖代々受けついだものじゃないわ」
249
アンがマリラに語ったことがあった。「結局、一番幸せで心楽しい暮らしとは、華やかなこと、驚くようなこと、胸ときめくようなことが起きる日々ではなく、さりげない小さな喜びをもたらす毎日が、今日、明日としずかに続いていくことなのね、まるで真珠が一つ、またひとつと、糸からすべり出ていくように」
279
「だから何かしないと気がすまないときは、男の子を一発殴ればいいんだよ、心を傷つけるよりましだもん。」
282
「まるで一年という存在が、巨大な大聖堂のなかでステンドグラスからそそぐ柔らかな光を浴びながら、ひざまずいてお祈りしているみたい」
290
「もっとも、わたくしのような年で想像ごっこをするなんて、馬鹿げているかもしれませんが、馬鹿なことをしたいときにできないなんて、いい年をした女が一人で暮らす意味がありませんわ、迷惑をおかけするわけじゃないんですもの。」
295
「そして母を一目見るなり、恋におちたんです。その晩、客用寝室に泊まった父は、ラヴェンダーがほのかに香るシーツに、一晩中まんじりともせずに横たわり、母を想ったんですって。それからというもの、父はいつもラヴェンダーの香りを愛していました……そんな思い出があって、娘の名前にしたんですね。」
297
「でも、たとえケレンハパッチという名前でも、きっとアンを好きになったわ。名前って、持ち主の人がら次第で、美しくもなれば醜くもなるのね。」
「美しい生き方が、その人の名前を美しいものに変えるのね、最初はきれいな名前に思えなくても……やがてまわりの人たちは、その名を聞くだけで、優しく心地よい気持ちになって、名前がもともとすてきじゃなかったことなんて、考えもしなくなるんだわ。」
300
「たしかにミス・ラヴェンダーは人とは違うわ。どう違うか、うまく言えないけど、おそらく年をとらないタイプなのね」
「同年輩がみんな年をとるなら、一緒に年をとったほうがいいと思うがね」
301
「後になってみると、少しも大したことじゃなかったのかもしれないわ。人生は、小さなことのほうが、大きなことよりも厄介を引きおこすのよ」
302
「トーマス・リンドという男は、気あいを入れたことなんか一度もないんだからね。結婚するまでは母親に牛耳られ、結婚後は女房の言いなりだ。よくもレイチェルの許しもなしに病気になったもんだよ。」
304
「猫に尻尾が二本いらないように、ドーラに新しい帽子はいらなかったのに、アンは買ってくれてね。」
334
「マリラ」アンは大まじめで言ったが、その目はおどっていた。「私、頭が変なように見える?」
「いいや、いつもほどじゃないよ」マリラは皮肉を言っているつもりはなかった。
337
デイヴィにとって、プラムジャムに癒せない悲しみなどないのだった。
387
「結婚するのに、ラテン語だのギリシア語だのが何の役に立つんでしょう。大学で男の扱い方を教えてくれるというのなら、行く意味もあるんでしょうが」
Posted by ブクログ
アンは、大学を諦め16歳で小学校の教師に。はち切れんばかりの想像力は生徒たちへの思いに。次第に生徒の内面にも伝わり慕われるようになる。アン一家は家庭環境に恵まれない双子を引き取る。善悪の区別がつかないその一人ディックはやんちゃぶりを発揮するがまだ素直で可愛い。ミス・ラベンダーの恋の成就、ダイアナの婚約と浮き立つような幸福が続く。2022.5.13
Posted by ブクログ
マシュウが亡くなって、目が悪いマリラを残して大学に進学することは出来ないと、アンがアヴォンリーで教師をすることを選択して終わった『赤毛のアン』。その続編です。
教育者として理想にもえるアン。
アンの指導は子ども達に良い影響を与えたようです。特にアンが天才だと思う転入生のポール。ポールとアンは想像力の使い方が似ているので通じ合うのも当然で、ポールにとっては自分を肯定してくれるアンのような教師に出会えて幸運だったと思います。
でもアンの理想とする教育法が通じない相手もいました。アンソニー・パイです。
ある日体調も悪くイライラしていたアンは、アンソニーに鞭を使ってしまいます。それによってアンソニーの尊敬を勝ち取ることが出来たのですが、アンにとっては愛情で教え子を導くという理想が崩れた瞬間でした。
アンの周辺も騒がしくなります。
隣に引っ越してきたハドソン氏と牛のことでトラブルになったり、マリラが遠縁の双子デイヴィーとドーラをひきとることになったり。
デイヴィーがアンのことを「アン」と呼ぶのには違和感がありました。村岡さんの訳に慣れ親しんだ身としては、「アン姉ちゃん、ぼく、知りたいな」というセリフがついつい頭に浮かんでしまうのです。
アンも「マリラ」「マシュウ」と呼んでいたのですから、デイヴィーも「アン」と呼ぶのが自然なのかもしれませんが…。
そして、いよいよ大学進学への道が開けたアン。
次も松本さんの訳で読もうと思います。
Posted by ブクログ
相変わらず、次から次へと愉快な事件を起こすアンが可愛らしい。教師生活の中で、様々なことを感じて成長していくアンに憧れる。ついに大学に行くことになったアンとギルバートが今後どうやって交わっていくのか楽しみ。