松本侑子のレビュー一覧
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1987年「巨食症の明けない夜明け」で、すばる文学賞を受賞して以来、小説、翻訳、エッセーに多彩な活動を続ける松本侑子さんの性愛小説集です。
収録された5本の作品の内で最も注目したいのは、新宿の女装世界の伝説的な恋物語を小説化した「女装夢変化」。
昼間は大手出版社の編集者で夜は新宿でアバンチュールを楽しむ美人女装者マミを主人公に、彼女とへテロセクシュアル(異性愛者)の男性、呉服屋の若旦那との出会いと恋を、激しく鮮やかに描いた作品です。
ストーリー展開の魅力もさりながら、この作品の特色は、女装者の生態と心理、へテロセクシュアルの男性と女装者との微妙な関係が実に的確に描かれていること。と -
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これはあの「赤毛のアン」シリーズ完訳で有名な松本侑子さんの本です。
私のように小さい頃からたくさんの本を読んで育った人には本当に嬉しいくらい、懐かしい世界中の名作と、そこに登場するお菓子。
そして、児童文学を研究されている方にはその他社会的、歴史的…実に様々な視点からその作品を解説してくれています。
この本を読んでみたら絶対に昔懐かしいあの作品がもう一度読みたくなるはず。そして、読み終えたらあなたもあの登場人物のように美味しいお菓子の虜になっていることでしょう。
ここに登場するお菓子はどれも、その国では昔から伝統的に受け継がれている、懐かしい母さんの味ばっかり。きっと数々の名作を書いて来た作家 -
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物語の中の食べ物って、どうしてあんなにおいしそうなんでしょう。
誰でも一度は経験があるのではないかという、物語の中のおやつへの憧れ。
そんなものが、ぎゅっとこの一冊に詰め込まれた感じの素敵な本です。
お馴染み「ぐりとぐら」のかすてら(!)、「赤毛のアン」の木苺水、
「あしながおじさん」のレモンゼリー、「小公女」のぶどうパン、などなど。
様々な物語の中のおやつのレシピ(だけでなく)、写真や、
物語の背景や食文化、時代などについても書かれたエッセイもあり、
単に「おやつを作って、はい終わり」ではなく、それぞれの物語について、
もっと深く知ることが出来るという内容になっていて、とても興味深いです。
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愛らしい華ひらく日常
『アンの青春』は前作『赤毛のアン』よりいっそう好きになった。
奇人だとおもはれてゐるハリソンさんや、マリラと育てることになった双子のディヴィとドーラ、そして石の家のミス・ラヴェンダー。
新しい人物が登場するだけでなく、アンが教師としてアヴォンリーに勤めることになり、成長した彼女が少女のころのやうに思ひのままむやみに行動することが減って、つっかからなくなった。
アヴォンリーの学校を教へたり双子に手を焼くさまがありありと伝はって、隣家にハリソンさんが越してきたのもアツく、めくるめく進展はただの日常の一端にすぎないともおもはされて、どこか的を射た寸言もよく効いてゐた。 -
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☆3.5 しゃべりすぎかな
高畑勲版のアニメ「赤毛のアン」がすばらしくて、2週目を見てゐる。それで読む。高畑勲版は村岡花子訳を参考にしたとおぼしく、この訳は高畑勲に寄ってゐるやうな気がする。
そして、意外とアニメオリジナル要素があるのだなと気づいた。ステイシー先生が療養中のアンに会ひに来るシーンや、国旗を作る場面。それらは原作に存在しない。
やはりだいぶは私小説めいたところがある。たとへばモンゴメリが若いころ先生に言ひよられたとか。
それにしてもアンの長広舌にはまゐった。まあおしゃべりなこと。しかし、それも後半にはすなほに自身の機微を吐露していくやうになる。終盤にかけてのカスバート家 -
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同じ作者の「赤毛のアン論 八つの扉」(文春新書)と、少しばかり同内容はあるものの、構成や見せ方は本書のほうが親しみやすい。
気がする。
直近の読書だから贔屓目かもしれないが。
2章のまとめは素敵だし、5章、7章の1問1答もわかりやすい。
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◎目次
はじめに
1章 写真でたどるアンの世界
2章 秘められた愛 マリラ、マシュー、ギルバート
3章 作中に隠された英文学
4章 『赤毛のアン』のキリスト教
5章 なぜ赤毛を嫌うのか? 『赤毛のアン』Q&A
6章 アンの暮らし――スコットランド、草花、衣服、料理、手芸
7章 プリンス・エドワード島のなぞとき
8章 写真でたどるモンゴ