灰原薬のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ道真が長谷雄に「お前は何してるんです本当に!」と言っているが、
本当に全くその通りである。
棚をひっくり返し貴重なものを台無しにした上に
例えただのお茶だとしても勝手に人のものを飲むなど信じられない。
医薬が万能なわけでもないのに、治らなければ医師のせいで
責め苦に合うのは本当に割に合わないとしか言いようがない。
宣来子もまだ正式に妻なわけでもないのに、道真にとって学校や会社に等しい場所で
妻だと大騒ぎしたりお腹が痛いと迷惑をかけたり困ったものである。
融様は直情型だけれど自分が間違っていたらきちんと謝るし
憎めない方だなと思う。
業平も度々道真似を頼りはするが、ここぞという時はきちん -
購入済み
恨み
全体が伏線かも、と思わせられる巻。怪しい薬までもが繋がるのだろうか。
それにしても善男の豪胆は凄い。
宣来子が実は道真にピッタリかも、と思えるエピソードはほっこりした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ道真が「馬鹿に興味がない」とはっきり言うところに笑ってしまう。
才能があっても使い方を間違えれば無能より悪いと思っているのも彼らしい。
その才能があればもっと、と思ってしまうのが若さなのだろう。
いちいち聞こえるように悪口を言うのは道真でなくとも
軽蔑するのは当たり前だ。
「頭が悪いといらぬ恥をかく」
「陰口しか能のない馬鹿は帰っていいですよ」
とはっきり言うのが正直気分が良い。
角は立つとは思うが。
しかし言われた時はしーんとしていた癖にまたすぐ悪口を言い始める有象無象、本当に不愉快。
「本当に学が必要なときはいつだって急に来る」
は全くそのとおりだ。いざというときの為に常日頃から準備して -
Posted by ブクログ
ネタバレ大師にいつもこんないたずらを、と言われる道真。
獣の出る山道を行くのに一番強い武器を置いていくのは馬鹿のすることというのは確かにその通りなのだ。
業平の言う、自らの道を選べぬ者の方が多いのいうのも悲しいかなその通りで、だからと選べる者が遠慮したところで何の役にも立たない。
才あるものに力がなければ何もできない。
大師に貢ぐのを嫌悪する人が御仏に寄付をしようと青海尼に寄付するのがなかなかいいオチ。
常行が、業平が小雪姫を見たら「減る」と言うのが面白いし
溺愛ぶりが微笑ましい。
知は知らぬものから奪うために振るうものではない
は良い言葉だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ無実の罪で疑われているのに、訴え人を恨まない道真が偉い。
自力で解決したのに根回しが良いなどと言われるのもどうにも不愉快だ。自分たちが間違えたのに道真の話を聞かず、偉そうな坊っちゃんとはご挨拶である。
基経は吉祥丸との思い出が分かってからちょっと印象が変わってきた。
隠り世の話の中でそんなに京都に憧れるのかという道真に
道真が唐を夢見るのと同じと言う業平の言葉が中々厳しい。
お前はそうすればいい、お前の番になったらなというのも痛い。
祠とはなるほど、流石道真である。
是則の忠誠心も見上げたものだ。
タマちゃんが元気そうで嬉しいが、災難なことだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ多美子様がとても可愛らしい。
世の中の嫌なことを知らないまま真っ直ぐ育っていて
このままでいて欲しいと思う。
白梅が一生懸命になるところも、その理由にもほろっときた。
長谷雄がなんでもすると言質を取られているの
ちょっと笑ってしまったが怖い目にあって気の毒でもある。
しかし道真と業平の機転と行動力は本当に凄いし、長谷雄のお蔭で多美子が無事で良かった。
私が女なら喜んで入内すると言われて
私が男なら兄上の首を掻き切ると言い返す高子様が恰好良い。
主上と多美子の純粋なのほほんとした会話と現世の落差がすごい。
娘が道具として使われているという点では同じで
多美子が父だったと安心するがそれは実は鬼で -
Posted by ブクログ
ネタバレ寧さんと唐の言葉で話せて嬉しそうな道真は
いつになく年相応に可愛らしく見える。
その才を正しく使えと言う寧。
正面突破の策を考えるだけでなく、見届けると
自分も出張るところが道真の偉いところ。
業平もなんだかんだで協力して一芝居打ってくれるのは見物だった。
ひとつ得をすれば損がついて回るのは仕方ない、
一人を罰しても別の者に妬まれるだけ。
忠臣の言葉が暗く響く。
後からでも、父親にだけでも自分ではなく阿呼だと
言うだけでは気がすまなかったろうか。
阿呼のお蔭で一応は解決して空気も少しは良くなって
あのまま廊下に居たほうがきっと良かったろうに。
忠臣もまた真面目過ぎるのだろう。
山桜の話も面 -
Posted by ブクログ
ネタバレ呪いなどないというのが、だから気の所為ではなく
誰か人間の仕業だと答えを出すのが道真らしい。
文句を言いながらも業平に付きあい、いざ事が起こると
宣来子に車の奥へ入るように言い守ってくれるところも良い。
結局身から出た錆オチでちょっと笑ってしまった。
力について考え始めた道真を塩焼きに招く業平。
クラゲに刺された時の対処を知らなくても、人が痛がって倒れていたら何かあって介抱しているのかと思わないだろうか。
本当に民など畜生以下でなんの興味も無いのだろう。
正直道真の啖呵は少しすっきりした。
物の怪の行列の証拠を取ろうと水を撒くのが流石。
話が切り替わったようでいて、結局これも『力』の話であ -
Posted by ブクログ
ネタバレ父親から明かされた吉祥丸の亡くなり様はあまりに気の毒過ぎる。
道真が怒るのは尤もなのだが、それはまだ彼が子供だからこそ真っ直ぐに怒れること。
藤原に抗することなど相手があまりに強大で無理だ。だからただ関わるなと言う。
なんとか道真には不幸が降りかからないよう、これはこれでお父さんの戦い方なのだろうが。
疑うことを知らず無邪気な帝もいたわしい。
道真の家出が豪快だ。
僅かな情報から相手の正体を言い当てるところは流石。
船酔いで倒れ、身一つでは何も出来ないと思い知った後の己の知識で村人を救いハツを救う。
知識は知っているだけでは意味が無い。使え。
自らを奮い立たせる道真。
常丸も、口先だけでは人 -
Posted by ブクログ
ネタバレ道真が頭が悪いと楽でいいですよねと返すところが好き。
巻物に香が焚き染めてあったというからくりが面白かった。
高子様が美しい上頭が良くて恰好良いのだが
籠の鳥にされているところが気の毒で仕方ない。
そこから逃れる事はできないが、久し振りに笑ってもらえただけでも良かった。
鏡の模様である程度見当がつけられる道真の秀才ぶり。
狂犬病の描写も恐ろしく、水や光などの刺激に敏感になる為
このような異常行動を取るのも理解できる。
時代考証もしっかりしていて合間の平安時代講も面白いし、
道真の兄についての話が徐々に明らかになっていくところも興味深い。