森沢明夫のレビュー一覧
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あおぞらツアーズ。小さな旅行会社だ。最近は収益が上がらず経営悪化か続いている。そんな現状を打破するため、天草龍太郎がちょっと変わった旅行ツアーを企画した。その名も「失恋バスツアー」。
最近失恋したことで思いついた企画で、失恋した参加者に、ツアーを通じて心ゆくまで落ち込んでもらい、そのあと徐々に気持ちが上がっていけるような行程だと、龍太郎は自負している。
集まった参加者はいかにも曰くありげな9名。金髪のハーフ美女から謎の中国人まで、多士済々だ。さあ龍太郎の起死回生ツアーは吉と出るのかそれとも凶と出るのか ⁉
物語は基本的に龍太郎の視点で進むが、時折りカウンセラーの小泉小雪とツアー客の北原桃香の視点が挿まれる。
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「失恋バスツアー」という発想がなかなかおもしろい。
失恋の痛手から立ち直ろうとしている人たちしか参加しないと思われるので、湿っぽく鬱陶しいツアーにはならないだろう。きっと実際にある婚活ツアーの雰囲気よりも健全に違いない。
そう思ってこの作品を手に取りました。
設定もよく考えられています。
龍太郎が勤める会社が資金繰りに窮していたり、今回のツアー客全員ひと癖ありそうだったり、龍太郎自身が失恋したばかりだったり、その失恋相手が同乗するカウンセラーの小雪だったりと、作者の仕掛けが盛り沢山。
どうやって収拾をつけるのか、楽しみにしながら読むことができました。
また、ツアーの参加者も多士済々で、なかなか興味深い。あの「るいるい」さんまで登場していたのもうれしかった。 ( もう少し活躍の場を与えてほしかった気がします。)
ラストは期待通りのハッピーエンド。すべて丸く収まりすぎともいえるけれど、エンタメの定石なのでよしとしたい。
ただ、前半の伏線部分が冗長で退屈してしまうのが残念だったので、☆3つです。 -
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〝とても古いモノや、人の気持ちを一身に浴び続けたモノには《魂》が宿っていくんだよ。だからキミも、そうやって《生きて》いるんだよ〟
そうであって欲しいと思う。オイラは自分のカラダに馴染んだモノをできるだけ長く使っていたい。少々不具合が出てきても愛嬌だと思う。自分のクルマがいよいよ直せなくなって(経済的なことも含めて)手離す時がきたら、オイラはきっと泣くだろう。長い間乗ってきてできた凹みも傷も汚れも含めて愛着がある。コイツと一緒だと楽しい。
あとがきに〝愛されたから、僕らはいま生きているんですよね〟とあった。ヒトもモノも同じだ。〝生きているということは、それだけですでに奇跡〟なんだよね。愛してくれる人たちがいたからいまのオイラがある。オイラはどれだけの人を愛してきだただろう。貰ってばかりな気がする。そろそろきちんと返していかないとな。 -
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青森を舞台にいじめられっ子の中学3年生の宏海と、プレッシャーに弱いカーリング選手の柚香の2人の視点から交互にお話が進みます。
カーリングって、世間に認知され始めたのってソチオリンピックの頃からですかね?私はやったこともないし詳しくもないですが、でも見ていておもしろいなぁと思います。
カーリング精神とは…
カーラーは、不当に勝つなら、むしろ負けを選ぶ。
カーラーは、ルール違反をしたとき、自ら申告する。
カーラーは、思いやりを持ち、常に高潔である。
宏海がいじめられているところや柚香がカーリングをやめようか悩むところは読んでいても辛かったですが、カーリングを通じて悩みながらも自分自身と向き合い、それぞれの葛藤を乗り越え成長していきます。読後は爽快で清々しくほっこりできます。
あとがきを読んで知ったんですが、この本は森沢さんの「青森三部作」の2冊目だったんですね。他の2冊も読まなきゃ〜。
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「目に見えるモノはね、誰かに分けると、減ったり無くなったりするでしょ。でも、目に見えないモノは、その逆なの。誰かに分けてあげれば、どんどん増えていくのよ」(17頁)
「この一年、知らぬ間にぼくは、いくつもの「小さな一歩」を踏み出していた。そして、すべての一歩を踏み出したその瞬間から、人生が確実に変わりはじめていた」(260頁) -
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森沢さんの小説はまだ読んだことがないけれど、エッセイから手にとってみました。
森沢さんがお散歩の最中に考えたこと、見つけたもの、風景、人との関わりについて語られています。
なんてことのない散歩という日常の中からも、こんなに色々な感情を綴ることができる感性が素敵だなと思いました。
椿笛やおしろいばなのパラシュート、試してみたくなりました。
以下、本文を含みます…
「感情の取材」という作家としての言葉と、
「ぼくは、人生の価値を決めるのは、手に入れた財産の多さではなく、味わった感情の質と量であると思っているタイプです」という文章が、とても心に残りました。 -
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読みながら、一緒に散歩をしているようで
森沢さんらしい物事の捉え方を
肌で感じられるというか
時々プッと吹き出しそうになったり
クスッと笑ったり、かと思えば
立ち止まって考えてみたり。
自分が散歩したときのことを振り返ってみると
道の匂いとか、見たことはあるけれど
名前の知らない草花に心が躍ったりしてるなぁ。
あぁ〜わかる!
気づいたら、わたし微笑みながら読んでいた!
不安や悲しさ、悔しさ
生きづらいとか、生きるって大変だと
そう思う場面が多々あるけれど
ワクワクや楽しさ、嬉しさ、幸せも
同じように、もしかしたらそれ以上にあるんだっていうことを
森沢さんの作品や言葉が
そっと思い出させてくれる。
久しぶりに散歩がしたくなった!
見えてくる世界が、少しずつでも
きらきら輝いてきたらいいな。