安藤寿康のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
行動遺伝学の入門書。学術的な観点から遺伝に関する事実をわかりやすく教えてくれる。遺伝の影響の大きさが社会で思われている以上に大きいという事実を淡々と説明してくれる。
知能テストで測れるものが知能であるという定義はとても面白い。能力は社会的に認められて初めて能力として認められるのであって、求められない、測れない能力は社会で機能していても軽視されるというあたりはシビアな現実を指摘してる。
結局は遺伝の影響からは逃れられないという身も蓋もない事実を認めてその上で教育をどう考えるかという話になるがなかなか解がない感じ。
この著者の文献を引用して橘玲氏がベストセラーをだし、後追いでこの本が出来たと -
Posted by ブクログ
この本を読む前は遺伝の影響もあるが、成長してからの環境や行動が社会的な立場を左右すると考えていた。
その考え方は合っている部分と間違っている部分があった。
遺伝は非常に複雑である。また、能力が発揮されること自体も想像以上に単純ではない。
大前提としてあらゆる能力に関することに遺伝が影響を及ぼしている。そして、遺伝情報は外生変数であり、環境などの外的要因の影響を受けない。遺伝情報はセントラルドグマである。
本書では能力と才能という言葉を使い分けているが、才能は遺伝と学習、社会的な文脈が合致したときに発揮される。
さらに、能力も個人間・個人内・環境のレベルの確率状態が影響する。
後半には行動遺 -
Posted by ブクログ
一卵性双生児や二卵性双生児の比較による統計などから導かれた考察が紹介されている
人の持つ特性を遺伝、共有環境、非共有環境それぞれの影響度合いを測り、どの程度が遺伝による特性なのかといったデータも幾つか示されている
それから類推すると、一概には言えないが性質など先天性の強いものは遺伝要因が強く、後天性のものは環境要因が強い傾向にあるよう読み解ける
逆に言えば教育や社会環境などの制限、制約により遺伝的格差は抑制されている
つまり、自由度が高ければ高いほど遺伝による資質が強く出てきてしまうと言える
現代社会は個性の尊重や受容という美辞麗句で如何にも倫理的に優れた世界を目指しているようだが、枠を外すこ -
Posted by ブクログ
行動というサイコロの試行。
統計の本ってことで、いいかな。
設計図(ブループリント)とは、誕生時に各人に与えられた地図のようなもの。最初の基本であり、唯一であり、自身により書き直すことも、環境からの影響によったりして修正も少々なら可能か?という代物。
そこから如何に自分自身の運を、最適な間引きや篩にかけるか、サイコロを振る、振り続けられるか、なのか。それすらも遺伝ということになるんだろうが。
性格は株式のチャートの移行変位のようにも感じるな。かなり気まぐれ感がありつつも、統合的。
人生ってバクチなのね。いい鉄火場を探すのも大事。
安藤さんは意外と、古典教養好きか。 -