安藤寿康のレビュー一覧

  • 運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」

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    人生の行動の3割は遺伝
     ふうんと思って読んでみたが、なかなか未来の示唆に富んだ名著だった。生物学の内容だから、生物学がわからない人にはむつかしいかもしれない。

     双子研究による統計で導き出される遺伝率で、行動の何割かは遺伝だと説明できる。知能すら遺伝する。境界知能もさう。
     経済環境が自由であれば、自身の遺伝的形質も発現しやすい。反対に、貧しくて制限された抑圧的な環境だと、いかに才覚のある遺伝といへども発揮できない。
     そして、非共有環境すらも、みづからの遺伝的素質によって選び取る。すなはち、「延長された表現型」である。

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    2024年03月03日
  • 運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」

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    久しぶりの満点レビュー。
    橘さんの本は、いつもインフォーマティブで良いのだが、時に身も蓋もないことがある。この本では、もう少し常識人よりの安藤先生との対談の形をとっているので、いつもながらの的確な情報提供をしつつも、多少常識よりの結論に落ち着くことが多いのがよい。
    最先端の研究者との対談でも、ぜんぜん位負けしないところは、さすが橘さんと思わせるが、それに対して実に誠実に議論を進めていく安藤先生も、尊敬に値する。
    帯の煽り文句は、煽りすぎ。売れるかもしれないが、品位を落としていると思う。
    タイトルの「運は遺伝する」というフレーズは、この本の中心的な話題である「知性が遺伝する」というのとはズレてい

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    2024年02月28日
  • 運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」

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    正に夢の対談。
    そしてお二人の造詣の深さに感銘を受ける。
    敢えて断定的に話そうとする橘さん。
    「それでも解釈の余地があるよ」と余白を提示してくださる安藤先生。
    お二人のキャラクターのバランスが見事な一冊だった。

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    2023年12月05日
  • 能力はどのように遺伝するのか 「生まれつき」と「努力」のあいだ

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    話題になった一冊のようですが、タイトル、サブタイトルから想像するような本ではありません。非常に読み応えのある、極めて真面目で、そして、何より勇気を与えてくれる本でした。
    遺伝的多様性が誇示と社会を規定する重要なファクターであることを認めた上で、それがものようなものかを行動遺伝学、心理学の知見から解き明かすもので、優生的な発想でも、決定論でも、過度にヒューマニズムな本でもないです。特に、第5章が広く読まれてほしい。特に223ページ以降が最も盛り上がる箇所です。
    私は感動を覚えました、この本に。

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    2023年12月03日
  • 生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋

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    ネタバレ

    「音楽がやりたいと思った時点でそれは才能の発芽」等興味深い言葉も多かったです。

    また年収に関しては若い内は遺伝の影響を多く受けるが、歳を重ねるにつれ非共有環境の影響が強くなってくるとも。これはよく感じます。

    体型(痩せやすさ)に関しても遺伝の影響があるそうで、こちらはあまり他人をどうこう言うのはよくないですね。

    とても面白かったです。

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    2023年08月16日
  • なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える

    購入済み

    還暦過ぎてなお新たに知識を得る

    昭和のスポ根世代は、成果は全て個人の努力によるものと思い込んだら試練の道を邁進してました。
    教育ギョーカイに身を置く方は、そもそも教育とは何か、と見識があるのでしょうが、非教育者には生物学的見地からの教育の見解があるなど、実に新しい知見でした。
    テスト成績を上げることが教育だと思い込んでる、狭隘な教養と品性しか持ち合わせていない皆様にお勧めの良書です。

    #感動する #エモい #タメになる

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    2023年08月06日
  • 生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋

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    行動遺伝学の視点から遺伝と環境の影響について述べられた本書。
    安藤先生のお名前は橘玲さんの【言ってはいけない】で拝見して、もっと行動遺伝学について知りたい、原著にあたりたいと思っていたので読めて良かった。
    とても学びの多い一冊だった。

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    2022年12月29日
  • 生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋

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    行動遺伝学。面白い。

    ■脳は予測器
    才能のある人は今よりも良い状態、完成形を予測し、そこに引っ張られるように学習してしまう

    ■知的好奇心の広さと知能に相関がある
    パーソナリティの経験への開放性、つまり知的好奇心の広さに、知能との相関がある

    ■学校の影響は限定的
    遺伝50%、家庭環境30%、学校は20%かそれ以下。
    家庭環境も、その社会において一般的に行われているであろう子育てがあった上では子どもの発達への影響は大きくない。
    *「学校」の部分は、自分の意志や教育、政策でコントロールできる部分

    ■没頭の対象に対する2つの基準
     1.対象が学習性のある素材であるか
     2.対象が「本物」につな

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    2022年12月04日
  • なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える

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    学業成績は遺伝の影響が50%、本人の努力が20%、家庭環境が30%であることが科学的に立証されているそうだ。これを読むと、遺伝で決まっているのだから何をしても無駄、と思い込んで、遺伝を「制約」と考えてしまいがちである。だが、「他の誰でもない世界でたった一人の自分」ととらえてみる、という著者の考えを読んだとき、パッと視界が開けた。他人と比較するのはやめて、自分自身なりに日々学び、成長し、生きていくしかないのだ、という覚悟を持てた。

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    2018年12月29日
  • なぜヒトは学ぶのか 教育を生物学的に考える

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    人の能力や才能や性格や成績などがいかにして決まるかを、行動遺伝学の観点から見た本。
    それらの50%は遺伝子で決まり、30%は環境、20%が本人の努力である。
    つまり半分は遺伝で決まる、と。

    生まれた時から遺伝子によってそれらの能力値が決定される。
    行動遺伝学の研究によって一貫して結果として得られる、元も子もなくなる教育業界のある種タブーでもある、この本から学んだ事実をどう捉えるか。

    事実は一つだが、
    解釈は無数である。



    人には向き不向きや好き嫌いがあるということ。
    それは、どれだけ努力しても遺伝子的に不得手なことは、遺伝子的に得意な人間には敵わないということである。

    それを受容す

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    2018年10月06日
  • 心はどのように遺伝するか 双生児が語る新しい遺伝観

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    「教育とは人間の遺伝的制約を「乗り越えて」、環境によって人間の可能性を開花させることではないということだ。」

    遺伝の多様性は人間の数よりずっと多い。だから、同じ遺伝的組成を持つ人は2人いない。みんな個性的。
    知能に対して、遺伝の貢献度は0.5、環境は0.35、それ以外が0.15。しかし、政治の世界では知能は遺伝しない。
    学習方法により特定の技術を促進できる。

    とても面白い本だった。

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    2016年04月14日
  • 心はどのように遺伝するか 双生児が語る新しい遺伝観

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    安藤寿康先生の一般書デビュー作(のはず)。すごく分かりやすく面白く遺伝と双生児研究の話がまとめられている。最後の方の、安藤先生ご自身の博論の内容をまとめた章もすばらしい。「遺伝」とか「双生児研究」に興味のある方は、安藤先生の近著も良いけど、この本もぜひ。なんでしょう。2010年代の本よりも、もっと臨場感の溢れる感じがあります。

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    2013年03月29日
  • 心はどのように遺伝するか 双生児が語る新しい遺伝観

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    ダーウィンとゴルトンの写真からはじまる掴みはすばらしい。



    内容もしっかりしていて(もちろん10年以上前だから分野的には古いのだろうが)、行動遺伝学とかでいろいろ気になっていたことがきれいに説明されている。ブルーバックスすげー。



    遺伝よりもむしろ環境について考えたり。



    「将来はわからない」という節の最後は「少なくとも遺伝であっても可変性があるということを知っていれば、現時点で自分の持っている性質だけで、自分の将来を決めつけてしまうという過ちから逃れることができる。遺伝的な影響とは、静的なものではなく、ダイナミックなものなのだ。」p.133

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    2020年06月15日
  • 心はどのように遺伝するか 双生児が語る新しい遺伝観

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    面白い

    行動遺伝学の入門書。プロミンの本と内容が多く被っているが読みやすい。
    遺伝、共有環境、非共有環境の寄与率の算出の仕方の説明。
    遺伝と教育の関係。教育方法を変えれば、教育方法に応じた成果がでる。ただ
    し、結局遺伝にも依存する。
    環境は遺伝子の可能性を引き出すもの。どちらかだけではない。

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    2010年05月13日
  • 心はどのように遺伝するか 双生児が語る新しい遺伝観

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    心は遺伝するか。
    本書はYESと答える。

    一卵性双生児などの統計的な検査が根拠だ。
    資質が共通していることが非常に多いという。

    ただし、運命決定論ではない。
    遺伝がすべてではない。

    たとえば、親の資質がそのまま子どもに遺伝するわけではない。なぜなら遺伝するのは遺伝子であり、それ自体ではなく、その組み合わせが意味をもつものであるからだ。

    ここからたとえば、「適性が違えばそれにあった教育環境は違う」などの知見に結びつく。

    人は一人ひとり違うのだから、その人自身をしっかり見つめなければならないという、いってみれば当たり前のことを再確認。

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    2009年11月25日
  • 心はどのように遺伝するか 双生児が語る新しい遺伝観

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    おもしろかったーこれ! 確かに新書にしとくの惜しいわ。

    「行動遺伝学」っつーのの本で、一卵性双生児と二卵性双生児とふつーの人とを比べながら、遺伝の影響と環境の影響を測ってみよう! という学問。双子の研究は事例集めるの大変だし、倫理的な問題もあったりするので難しいと思うけど、それだけにとても有意義。優生論の絡みもあるし、教育論の絡みもあるし、おとーたん、おかーたんの気になるところでもあるし。

    行動遺伝学の事例で有名なのは、オオカミに育てられたふたごの「アマラとカマラ」のお話。環境も教育も大事だよねという結論に導くためによく引用される、それはそれで正しいと思うけれども、そもそも「才能」「資質

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    2009年10月04日
  • 日本人の9割が知らない遺伝の真実

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    ネタバレ

    結局、人の形質は遺伝と非共有環境で決まる。
    つまり、才能は遺伝と運で発現する可能性がある。

    印象的なところは一卵性双生児の収入の差について言及したところだ。これは、一方が大学に行き、一方はそのまま働いたとき、その後の収入の差はどうなったかという研究だ。ここで示されたのは、年がたつにつれ収入はほぼ同じになったということだ。つまり、収入については、どのような環境に身をおいたからその収入に行き着いたわけではなく、遺伝した能力が年をとるにつれ、顕になっていることが示された。

    結局、遺伝によりきまるので、どれだけ自分が頑張るかも遺伝子に刻み込まれているのかもしれないと思った。

    また、それほど遺伝が

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    2025年11月22日
  • 教育は遺伝に勝てるか?

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    ネタバレ

    一読推奨。
    親として肩の荷が軽くなる本です。

    【全体要約】
    結論は、学力や身長のような指標には相応の遺伝率が存在しつつも、学習機会・家庭文化・しつけの在り方など“環境”も確かに効く、ただし効き方は領域ごとに異なる――という二層構造である。教育の実践論としては、読み聞かせ等の文化的環境の付与は効果があり、統制的・暴力的な関わりは逆効果になり得る一方、人格・社会的態度は「非共有環境」主導で親の影響は限定的、という冷静な見取り図が提示される。

    章立て(本文)
    第1章 行動遺伝学の基本:遺伝×環境の相互作用
    第2章 遺伝率とランダムネス:きょうだい差と「遺伝は遺伝せず」
    第3章 学力・知能:共有環

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    2025年10月30日
  • 教育は遺伝に勝てるか?

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    遺伝を遺憾無く発揮出来るよう、環境を整えてあげること(=教育)が大切なことだと分かった。
    子どもが成長していく中で何が好きかということに気づけるよう見守っていきつつ、可能な限り最良な環境を与えてあげたいと思った。

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    2025年10月14日
  • 生まれが9割の世界をどう生きるか 遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋

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    安藤さんの著書を随分読んできたけど、1番端的にまとめられていたかも。子どもの習い事に対する行動遺伝学的解釈は、習い事を様々なジャンルに渡ってたくさんやらせる派の親たちにとっては衝撃なんじゃないかな。当たり前のことだけど、人には向き不向きがある。

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    2025年10月09日