安藤寿康のレビュー一覧
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人は努力すれば成長できる。能力を身につけ、何にでもなれる。
落伍者は、努力しないからだ。自業自得だ。
・・・と、ついこないだまで、私自身そう思い込んでいた
だからといってどこかの議員、党みたいに生活保護を否定するものではないが
親のしつけ、教育がなってないから、子供が変な方向に行くのだ、
環境さえ作れば、子供は無限の可能性がある。なんてことも思っていた。
でも最近その考えを変えつつある。
いろいろ読んでいる本の影響もあるが、実体験として感じているのが、部下だ。
この3年間どう教えても同じ失敗を繰り返す。
これを、親の教育のせいと思ったりもしたが、どうやらそうではなく、
発達障害由来だということを理解したのはこの半年。
生まれ持ったもの、遺伝、ということだ。
この新書でもASDは取り上げられている。そうなのだ。遺伝。
DNAによって、頑張りたくても頑張れない人がいるのだ。大勢。
ここで自分を振り返ってみると、、、
どうやらコツコツ継続する遺伝子は持っているらしい。
記憶力はない。ゆえに、学生時代は、テストでそれなりの成績は取れたが、
飛びぬけて優秀にはなれなかった。
社会人になって資格試験を目指しても、なかなか合格がもらえなかった。
自信がない、不安な日々が続いた。内に向かっていた。
それが変わったのは、30歳前に父を亡くし、そこから人生が動き、転職をし、
霞が関ビルの階段をのぼり、40代半ばにフルマラソンを始めてから。
46回フルマラソンを走る中、能動的になり、積極性が生まれた。
DNAにスイッチが入ったのだと思う。
もし入っていなければ、今頃うつうつとした60代を過ごしていたかもしれない。
この新書に書いてあることはある意味残酷。
いくらいい環境を作っても、遺伝子の影響から逃れられない部分が相当ある、
と言っているのだ。それを示すエビデンス多数。
最近よく読む一卵性双生児の実験。
幼児の目の前にお菓子を置いておいて、何分間か我慢出来ればもう一つあげる、
という実験。我慢できるこの方が将来が明るい。
これは遺伝の部分と、環境の部分と両方ある。貧しい暮らしをしていれば、
将来の2個より今の1個が大事、となると。
咲ける場所に動きなさい。
つまり、好きなこと、得意なことをしなさい、ということだろう。
ただ、それで食えるかはわからない。
発達障害の本にもあったが、環境が違えば、何の問題もない特性、むしろ、
優位に働く特製であったりもするのだ。
しかし、現代のコミュニケーション過多ともいえる社会の中では、
致命的な特性になってしまうことがある。生きづらさ、働きづらさとして。
そのときに咲ける場所に動ければいいが、現代社会、なかなかそうはいかない。
補う手段を見つけるしかない。近視だったらメガネをかけるように。
DNAは変わらない以上、ツールを使って補うしかない。探すのが難しい、、、
あ、上で書いたように、眠っていたDNAにスイッチを入れる、という手もあるか。。
まあでもそれは偶然だし、期待するのは難しいかな。
常に部下が念頭にある。
第1章 運すら遺伝している―DNA革命とゲノムワイド関連解析
第2章 知能はいかに遺伝するのか
第3章 遺伝と環境のあいだ
第4章 パーソナリティの正体
第5章 遺伝的な適性の見つけ方
第6章 遺伝と日本人―どこから来て、どこへ行くのか -
Posted by ブクログ
これは哲学書ではないかしら?
一卵性双生児の事例、一緒に暮らす双子、別々の養父母に育てられる双子、
それぞれの共通点、このあたりはなかなか読ませる。
全く違うルートをたどっても、なぜか同じ特性を持つ、
そんな事例がたくさん紹介される。
これだけ読んだら、遺伝がすべて、教育なんて関係ない、
となりそうだが、著者はそれは否定する。
教育によって、あるいは社会の環境によって、
発現する遺伝子、眠る遺伝子、そういった例を紹介する。
・・・そういえば最近読んだ発達障害の本も、
環境が違えば「発達障害」などと言われず、のどかに暮らせる人が多かったはず。
やはり環境は大事。
とはいうものの、さらに事例を出して、どんな教育をしても、
受け止め方次第で結局遺伝が勝つ、みたいな事例で終わらせる辺りが著者のにくいところ。
よく食べる、別々の養母のもとで育った双子に対するそれぞれの養母の言い分、
せっかく料理を作ってもなんでもシナモンをかける。という養母と、
シナモンさえかければ何でも食べてくれる、という別の養母。
面白すぎる。
要はとらえ方。
この辺はもはや遺伝でも教育でもない。
親が子をどう育てるか、悩ましいところだ。親もまた未完成。
1歳11か月になる孫と1日いっしょにいると、この才能?を伸ばしてあげたい、
と思う爺心。親たちとコミュニケーションして、任せるしかないと思うけど。
孫には自分の遺伝子が間違いなく入っているわけで。
考えさせられる。
はじめに
ふたごが教えてくれること/「遺伝によって決まる」の誤解/なぜ子育て本通りに育つ子がいるのか
第1章 遺伝は遺伝せず――基本はメンデルにあり
『エデンの東』に見る遺伝/遺伝は遺伝せず/すべてはメンデルの法則にあり/「隔世遺伝」はこうして起きる/形質の組み合わせはランダムに遺伝する/実は特殊だったメンデルの法則/正体はポリジーンのランダムな伝達/プロフィールのランダムネス
第2章 あらゆる能力は遺伝的である
ある一卵性双生児の軌跡/事例1 《写真に目覚めたふたご》(1994年生まれ、聞き取り時27 歳、男性)/体が思うように動かない、自分が出せない/留学先での衝撃的な出会い/別々に育てられたふたごの類似性/運命と遺伝の考え方/一卵性と二卵性を比べる/パーソナリティは親の育て方と関係ない?/ポリジェニックスコアから将来の学歴がわかる
第3章 親にできることは何か――家庭環境の効き方
親が子どもに与えられるもの/ヒトは教育する動物である/映画『万引き家族』で語られた「教育」/遺伝と環境を分けて考える/親の育て方が子どもの学力にどう影響するのか/「親の努力」の厳しい現実/収入や社会階層の影響への誤解/子どもをコントロールする親、子どもに振り回される親/子どもとの愛着関係は親しだい/物質依存の温床になる危険/遺伝と環境が逆転する〝15歳〞
第4章 教育環境を選ぶ――学校の内と外
歳を重ねると強くなる遺伝の影響/個人の経験が脳に与える影響/進化的に見た教育/すばらしき学校生活/事例2 《高校野球に生きるRさんとDさん》(1976年生まれ、聞き取り時46歳、男性)/野球との出会い/甲子園への憧れ/中学時代の監督の存在/挫折を経て体育教師を天職に/あまりにも似た足跡/事例3 《SEで活躍するHさんとTさん》(1981年生まれ、聞き取り時41歳、男性)/乳幼児期の記憶と他者とのかかわり/5歳で見つけた退屈の紛らわし方/祖母がくれた本からファンタジーの世界へ/理科教師の母親とサイエンスへの関心/共通点は学校での刺激と将来とのつながり/事例4 《建築家となったSさんとYさん》(1990年生まれ、聞き取り時32歳、男性)/絵を描くのが好きだった/自作ゲームにはまった小学校時代/建築の道へ/事例5 《踊りに導かれるAkさんとYkさん》(1975年生まれ、聞き取り時47歳、女性)/守ってあげたくなる人柄/バレエ教室と音楽クラブ/内側から「はい上がってくる」感覚/志望校不合格で見失った目標/「踊りが下手な友達」というきっかけ/プレイヤーから指導者へ/身体感覚が選択を導く?/学校という環境が広げる可能性
第5章「自由な社会」は本当に自由か?
「自由な社会」が突きつける過酷さ/都会と田舎、どちらが自由?/「のんべえ」は都会の方が遺伝!? /女性に影響する、未婚か既婚か/まばたきと遺伝/民主的な社会と遺伝のばらつきの関係/しつけの文化比較/すばらしい新世界が生む格差
第6章 そもそも、子どもにとって親とは?
親に「こうあるべき」はない/親がもっとも努力すべきこと/親が期待するほど、子は親の影響は受けない/斉藤和義も歌っている「諦め」/「素質に合う」は実在しない/子どもの「好き」を大切に -
Posted by ブクログ
橘玲氏と行動遺伝学の第一人者である安藤氏の対談形式の本で、運すらも遺伝していると言えるのだというのが大きな主張。元々は安藤さんが2000年には遺伝の重要性を指摘する新書を出していたんだけど、2010年代になって橘氏の著者が売れて話題になった。
運は遺伝するというのは、例えば遭難したとして運も悪いけど遭難しやすい環境に身を置く選択をしたのは遺伝だよねという。
ただ性格とかはポリジェニックなので特定の遺伝子がどうこうというわけではない。平均への回帰が効くので両親が能力高くとも子はそうでもないことや鳶が鷹を産むもあり得る。少子化で子ども1人を当りにしないとという強迫観念があるが、子が多かった時代は当たり外れがあることが当たり前だった。
先進国で知能の遺伝率が上がっているのは環境要因が平均化されているから。乳幼児期の母子関係などは成長してから尾を引かない。幼少期の英才教育もあまり意味がないし、親ガチャの影響もそれほど大きくない。
行動遺伝学で共有環境とは家族を類似させる要因の効果の総体、類似させないのを非共有環境と呼ぶ。家庭間で異なる環境が共有環境、家庭内で異なる環境が非共有環境とも。
GRITすらも遺伝の影響を受け、頑張れない人もいる。置かれた場所で咲くのではなく、咲ける場所に動くことが重要。東アジアは米作で大量の人口を養えたので自己家畜化が進んで、それが日本人という説。
橘氏は冷徹な感じがしつつも行間に人の良さが出ていて、安藤氏はさらに楽観性があるので、それを言っちゃあおしまいよにはならず、その現実を踏まえてどうするのがいいのかヒントを読者に提供しようとする姿勢が見えて世の中捨てたもんじゃないと思った。 -
購入済み
衝撃的のち疑念
遺伝が9割とのことで、そのまま信じると衝撃的だが、原著をあたってみないと信用ならんと思ったりもする。興味深い話でした。
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Posted by ブクログ
久しぶりの満点レビュー。
橘さんの本は、いつもインフォーマティブで良いのだが、時に身も蓋もないことがある。この本では、もう少し常識人よりの安藤先生との対談の形をとっているので、いつもながらの的確な情報提供をしつつも、多少常識よりの結論に落ち着くことが多いのがよい。
最先端の研究者との対談でも、ぜんぜん位負けしないところは、さすが橘さんと思わせるが、それに対して実に誠実に議論を進めていく安藤先生も、尊敬に値する。
帯の煽り文句は、煽りすぎ。売れるかもしれないが、品位を落としていると思う。
タイトルの「運は遺伝する」というフレーズは、この本の中心的な話題である「知性が遺伝する」というのとはズレているので、本の中身を的確に表しているわけではないが、運と遺伝の関係についての発言もちょっとは(3ページくらい)あったので、嘘とは言えない。 -
Posted by ブクログ
行動遺伝学。面白い。
■脳は予測器
才能のある人は今よりも良い状態、完成形を予測し、そこに引っ張られるように学習してしまう
■知的好奇心の広さと知能に相関がある
パーソナリティの経験への開放性、つまり知的好奇心の広さに、知能との相関がある
■学校の影響は限定的
遺伝50%、家庭環境30%、学校は20%かそれ以下。
家庭環境も、その社会において一般的に行われているであろう子育てがあった上では子どもの発達への影響は大きくない。
*「学校」の部分は、自分の意志や教育、政策でコントロールできる部分
■没頭の対象に対する2つの基準
1.対象が学習性のある素材であるか
2.対象が「本物」につながっているかどうか。
『もしあなたの遺伝的素質がそこにあるなら、あなたの脳はその感動を知っているはずです。あなたがその世界の本物として、その文化をさらに高めることに貢献するかもしれません(P197)』
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Posted by ブクログ
人の能力や才能や性格や成績などがいかにして決まるかを、行動遺伝学の観点から見た本。
それらの50%は遺伝子で決まり、30%は環境、20%が本人の努力である。
つまり半分は遺伝で決まる、と。
生まれた時から遺伝子によってそれらの能力値が決定される。
行動遺伝学の研究によって一貫して結果として得られる、元も子もなくなる教育業界のある種タブーでもある、この本から学んだ事実をどう捉えるか。
事実は一つだが、
解釈は無数である。
人には向き不向きや好き嫌いがあるということ。
それは、どれだけ努力しても遺伝子的に不得手なことは、遺伝子的に得意な人間には敵わないということである。
それを受容する。
そして最重要なことは、その上で自分は何を選ぶかという選択だ。
これはアカン!と直感したら、その土俵をより得意な人間に譲る、潔さ。
そして自分の好きで得意な土俵で戦うこと。
遺伝的に優れたる所で。
才能は使うべきものであって、才能あるものは才能を使うことが責務。
遺伝学的に、
なんでもできてしまう人と、なにをやってもうまくいかないという人がいる。
遺伝子による知能数によって。
だが、なにをやってもうまくいかないという人でも、何か一つは人並み優れたものはあるはず。
そこを伸ばせば良い。
人と違う、人にはできない、
そんな独自性を伸ばせばそこに必要性や需要も生まれるだろう。
本来人は、遺伝子的にも一人一人が完全にオリジナルなのだ。
そのオリジナルを伸ばせない道理はない。