安藤寿康のレビュー一覧
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ネタバレ【感想・メモ】
・つまるところ、人それぞれ。
・遺伝はまだまだ未知の領域が広そう。
【内容】
なぜヒトは学ぶのか?
→ 人間は進化の過程で遺伝子を残しつなげる(生きる・生き延びる・命を繋ぐ)ために「教育」というものを獲得したから。
・教育とは、知識や技能を持つ個体の利他的な行動によって、知識・技能を持たない他の個体に学習が生じることを言う。
・学習とは、得た知識・技能によって行動を変化させられるようになること。
・全ての能力は遺伝的である。が、それが全てではない。
・自分に合うテーマを、自分(の遺伝子)に合う仕方で学ぶことが大切。
・その人が、その人の人生にとって、本当に使うことのできる知識 -
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この本は、分かったつもりになっている事、あるいは、肌感覚として理解している事を、しっかりとした言説で言語化し、スッキリさせてくれた。
先ず目を引いたのは、人間の3大欲求についての考察。性欲、食欲とあと一つ。睡眠、排泄はそうだが、別に何か獲得が必要な外部に向けた欲の類ではない。この本では、それを学習欲としようと。生きるための知識、経験を得ること。そして、それを同じ種である人間に伝え、共有する。ここに、教育の本質があるようだ。幼児ですら、利他的に振る舞ったり、見つけたものを〝教える“行動を取る。
これが人間の形質ならば、自粛警察や論破の理屈なども分かってくる。人間のもつ社会性にはルール、つまり -
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行動遺伝学(Behavior Genetics)から言えることは、学業成績に影響するのは、遺伝が50%、家庭環境の違いが30%、先生の教え方や本人の中で変えられる要因の違いはわずか20% である(p135).さらに行動遺伝学の三原則(p159)を示しており、1 すべての行動は遺伝的である(遺伝の普遍性)2 家族が類似するのは環境が類似するからではない(共有環境の希少性)3 個人差の多くは一人ひとりに固有の環境による(非共有環境の優越性).まとめると、"いかなる行動の個人差も、遺伝だけからでも環境だけからでもなく、遺伝と環境の両方の影響によって作られている." 遺伝の影響があ
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人間の心と行動の遺伝を研究する人間行動遺伝学をわかりやすく解説していた。遺伝学ときくと、農学ないし分子生物学でのシーケンサーを使ったDNAを分析することが頭に浮かぶ。しかし本書は、統計的手法を用いた心理学や教育学のアプローチで書かれていた。この意味で個人的には、遺伝学を少し身近に感じることができた。
双生児をサンプルとし、一卵性と二卵性との間の特徴の異同が分析が主となっている。なおこの前座として、IQの相関係数の中央値が、一卵性双生児、二卵性双生児、きょうだい、親子、親・養子の順で高くなっていることがまず紹介される。
社会的関係性の分析は興味深い。上司からのサポート、自律的な関わり、プレッ -
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[ 内容 ]
ヒトゲノム、クローン技術と、21世紀は遺伝子の時代に突入しようとしている。
そしていま一卵性・二卵性双生児の研究から、身長や体重だけではなく、IQや性格への遺伝的影響も明らかになってきた。
遺伝子はどのように人間の心を操っているのか?
遺伝をめぐるさまざまな誤解を解く「心と行動の遺伝学」。
[ 目次 ]
序章 偉大ないとこたち
第1章 遺伝のメカニズム
第2章 遺伝を測る
第3章 遺伝の多様性
第4章 遺伝のダイナミズム
第5章 遺伝から観た環境
第6章 遺伝と教育
第7章 遺伝の意味論
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文 -
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行動遺伝学の入門書。一卵性双生児に関する統計調査の重要性が強調されています。統計データの解釈に関わる部分でもありますので、取り付きにくいところもありますが、なかなか興味深い結果がたくさん紹介されています。
著者の主張は全くマット・リドレーが『やわらかな遺伝子(原題:Nature Via Nurture)』とほぼ重なるように思われます。知識能力や性格などは遺伝的要素が高いのだけれども、その発現は教育を通して顕れるのだということを強調しています(そう記述する動機はよく分かります)。いくつか参考文献が最後に挙げられているのですが、それなりに売れているマット・リドレーの著作が挙げられていないのは残 -
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ネタバレタイトルの「運は遺伝する」という表現は、あらゆる行動や傾向に遺伝子が影響を及ぼす、という意味で捉えると分かりやすい。
遺伝を過小評価すると、環境ばかりに目が向き、教育現場や本人・教師・保護者が過度に疲弊する。
早期教育は親の影響を受けやすいが、成長につれて遺伝的特徴が強まり、能力の方向性が固まる。意図的な環境操作で結果を変えようとする行為は、不確実性が高く、実質的にはギャンブルに近い。
知能と性格(BIG5:開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向)には一定の関連があり、とくに知能と開放性には0.3〜0.4程度の相関がある。
行動遺伝学が示す成功戦略は、努力万能論でも才能決定論でもな -
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ネタバレ親が期待するほど、子は家庭環境の影響は受けない。影響度の大きさは「遺伝子>非共有環境>共有環境」の順になる。とはいえ、知能や技能の形成には、共有環境の累積的な影響も受ける。
自由で平等な環境(社会階層の高さや社会体制)は、遺伝子の影響を増幅させる。一方、貧困状態や制約の高い環境では環境要因が強く働き、遺伝の影響は抑制される。
子どもが健やかに成長するための最低限の環境整備は欠かせない。一方で、親としては子どもの遺伝的特徴を「良いもの」と信じたくなるが、必ずしもそうとは限らない。そう考えると、遺伝の影響を過度に強めるような環境づくりが本当に望ましいのかなと考えてしまう。 -
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こちらも、読書家の先輩からのご推薦。「高学歴発達障害」と合わせて読むと、非常に理解が深まった。
1.運すら遺伝している。
環境を選ぶのも正確に起因する。例えば、リスクを取りがちな人は、交通事故に合う可能性が高くなるなど。だから、このように直接的に遺伝子に刻まれていないことも遺伝子が環境を選ぶということが起こり得る。
ビッグファイブ;性格を記述するスタンダードな方法
外向性(社会性)、神経症傾向(慎重性・繊細性)、協調性、堅実性(勤勉性)、経験への開放性(開放性。文化性)、
遺伝子と性格の関連性の例
脳内のセロトニン輸送体の多型で、脳内のセロトニン濃度が変わる。セロトニン濃度が高いと陽気(