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私たちが学校や学校以外のさまざまな機会を通じて学習しなければならないのは、頭をよくするためでもなければ、成績を上げてよい学校に進学するためでもなければ、豊かな生活をするためでもありません。「教育」や「学習」には、進化学的で生物学的な理由があるんです。人間にとって「学ぶ」とはどういう意味があるのでしょうか?最新の進化学・遺伝学・脳科学の知見を参考にしながら、一緒に考えていきましょう。
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還暦過ぎてなお新たに知識を得る
昭和のスポ根世代は、成果は全て個人の努力によるものと思い込んだら試練の道を邁進してました。 教育ギョーカイに身を置く方は、そもそも教育とは何か、と見識があるのでしょうが、非教育者には生物学的見地からの教育の見解があるなど、実に新しい知見でした。 テスト成績を上げることが教育だと思い込んでる、狭隘な教...続きを読む養と品性しか持ち合わせていない皆様にお勧めの良書です。
#感動する #エモい #タメになる
Posted by ブクログ
学業成績は遺伝の影響が50%、本人の努力が20%、家庭環境が30%であることが科学的に立証されているそうだ。これを読むと、遺伝で決まっているのだから何をしても無駄、と思い込んで、遺伝を「制約」と考えてしまいがちである。だが、「他の誰でもない世界でたった一人の自分」ととらえてみる、という著者の考えを読...続きを読むんだとき、パッと視界が開けた。他人と比較するのはやめて、自分自身なりに日々学び、成長し、生きていくしかないのだ、という覚悟を持てた。
人の能力や才能や性格や成績などがいかにして決まるかを、行動遺伝学の観点から見た本。 それらの50%は遺伝子で決まり、30%は環境、20%が本人の努力である。 つまり半分は遺伝で決まる、と。 生まれた時から遺伝子によってそれらの能力値が決定される。 行動遺伝学の研究によって一貫して結果として得られる...続きを読む、元も子もなくなる教育業界のある種タブーでもある、この本から学んだ事実をどう捉えるか。 事実は一つだが、 解釈は無数である。 人には向き不向きや好き嫌いがあるということ。 それは、どれだけ努力しても遺伝子的に不得手なことは、遺伝子的に得意な人間には敵わないということである。 それを受容する。 そして最重要なことは、その上で自分は何を選ぶかという選択だ。 これはアカン!と直感したら、その土俵をより得意な人間に譲る、潔さ。 そして自分の好きで得意な土俵で戦うこと。 遺伝的に優れたる所で。 才能は使うべきものであって、才能あるものは才能を使うことが責務。 遺伝学的に、 なんでもできてしまう人と、なにをやってもうまくいかないという人がいる。 遺伝子による知能数によって。 だが、なにをやってもうまくいかないという人でも、何か一つは人並み優れたものはあるはず。 そこを伸ばせば良い。 人と違う、人にはできない、 そんな独自性を伸ばせばそこに必要性や需要も生まれるだろう。 本来人は、遺伝子的にも一人一人が完全にオリジナルなのだ。 そのオリジナルを伸ばせない道理はない。
学習および教育が社会的な行為であることを、様々な他種の生物と比較しながら生物学の観点で考えていく。 また教育の定義を論じている部分で、教育は利他的な行為で、教育者は直接の利益を被らないというのも成程〜となるが、周り回って社会全体の利益になることに気づき、教育の場を作り上げてきた人類の歴史は興味深い。...続きを読むそしてその難しさにも思い至る。 乳幼児のナチュラル・ペタゴジー(自然の教育)実験には驚いた。 ヒトは産まれた後、一体いつ、どのようにして、「公」と「私」の社会性を身に付けるのだろう。。。周りにいる人間を観察することによってなのか。それがまさに学習なのか。社会的な振る舞いを1歳やそこらで会得しているのは凄い。
この本は、分かったつもりになっている事、あるいは、肌感覚として理解している事を、しっかりとした言説で言語化し、スッキリさせてくれた。 先ず目を引いたのは、人間の3大欲求についての考察。性欲、食欲とあと一つ。睡眠、排泄はそうだが、別に何か獲得が必要な外部に向けた欲の類ではない。この本では、それを学習...続きを読む欲としようと。生きるための知識、経験を得ること。そして、それを同じ種である人間に伝え、共有する。ここに、教育の本質があるようだ。幼児ですら、利他的に振る舞ったり、見つけたものを〝教える“行動を取る。 これが人間の形質ならば、自粛警察や論破の理屈なども分かってくる。人間のもつ社会性にはルール、つまり、知識や規範の共通化が必要であり、その適用について、人は本能的な側面を持つことから、教育が効力をもつ。学校教育に限らず、世の中のルール全てについてだ。先の自粛警察は、この本能に従い、他者への想像が欠如した形で、押し付けを行う。論破は、ルールの解釈を巡る勝ち負けの決着だ。それは、あなたの感想ですよねでは済まさず、必死に反論する事がしばしば。 こういう考え方を知ると、人間をまた違う角度で見てしまう。承認欲求、支配欲、ルールへの固執、宗教、哲学。社会性を生むための学習欲が、形を変え、もしかすると、人間社会における対立の根源の一部になっているかも知れない。
行動遺伝学(Behavior Genetics)から言えることは、学業成績に影響するのは、遺伝が50%、家庭環境の違いが30%、先生の教え方や本人の中で変えられる要因の違いはわずか20% である(p135).さらに行動遺伝学の三原則(p159)を示しており、1 すべての行動は遺伝的である(遺伝の普遍...続きを読む性)2 家族が類似するのは環境が類似するからではない(共有環境の希少性)3 個人差の多くは一人ひとりに固有の環境による(非共有環境の優越性).まとめると、"いかなる行動の個人差も、遺伝だけからでも環境だけからでもなく、遺伝と環境の両方の影響によって作られている." 遺伝の影響があることはよく耳にするが、ここまで具体的に研究されていることは驚きだ.
教育と遺伝の関係はタブーという風潮もある中、明確に影響すると示しており、学ぶところが多かった。特に一般知能説と多重知能説の違いを学べたことは大きな実りだった。
【感想・メモ】 ・つまるところ、人それぞれ。 ・遺伝はまだまだ未知の領域が広そう。 【内容】 なぜヒトは学ぶのか? → 人間は進化の過程で遺伝子を残しつなげる(生きる・生き延びる・命を繋ぐ)ために「教育」というものを獲得したから。 ・教育とは、知識や技能を持つ個体の利他的な行動によって、知識・技能...続きを読むを持たない他の個体に学習が生じることを言う。 ・学習とは、得た知識・技能によって行動を変化させられるようになること。 ・全ての能力は遺伝的である。が、それが全てではない。 ・自分に合うテーマを、自分(の遺伝子)に合う仕方で学ぶことが大切。 ・その人が、その人の人生にとって、本当に使うことのできる知識を身につけることが大事(→闇雲に学んでも無駄)
教育を生物学的観点(遺伝や脳)から解き明かした本。 答えのなかったこの問いに一定の答えを論理と事実から与えてくれたことはとても大きい。 ある程度の生物学、心理学、教育学的知識が必要なため、読み応えはそれなりにあるが、関心のある人なら読んで損はない。 教育成績の多くは遺伝で決まる、というのは過激な一...続きを読む文に聞こえるが、逆に多様性を無視して学業成績を全て努力に帰す方が差別的であり、多様性に合わせた教育の重要性を考えさせられた。
<目次> 序章 教育は何のためにあるのか? 第1部 教育の進化学 第1章 動物と「学習」 第2章 人間は教育する動物である 第2部 教育の遺伝学 第3章 個人差と遺伝の関係 第4章 能力と学習 第3部 教育の脳科学 第5章 知識をつかさどる脳 おわりに <内容> 最...続きを読む初から、人間の能力は遺伝する、という身も蓋もない話から入る。しかしだから良しとするのではなく、遺伝の影響は50%だが、親の影響10% 教育20% 環境20%なので、教育が各自の学習能力を変えることは十分に可能で、ここが大事だというわけだ。また遺伝も環境との相互作用によるので、各自の能力に遺伝の要素を認めたうえで、例えば暗記についても、個々人に適した憶え方をすればよいと説く。
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