あらすじ
◆ゲノム編集、クローン技術、iPS細胞……、21世紀は遺伝子の世紀だともいえそうだ。
いま注目の「行動遺伝学」からわかってきた、遺伝と環境、才能と努力、本当の関係!
ベストセラー『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(橘玲)を読んで面白いと思った人はさらに面白がれる!
◆行動遺伝学の第一人者が明らかにする!
教育学では、遺伝と学力の関係を無視してきたが、「知能指数は80%遺伝」という衝撃をどう捉えればいいか?
身長や体重など身体的な特徴だけではなく、IQや性格への遺伝的影響も大きいことがわかってきた。ならば、勉強することには意味がないのか?
しかし、遺伝的なものが自発的に発現するとは限らず、教育環境も重要である。
◆「ヒトは生まれてから成人に向かうにつれて、さまざまな環境にさらされて、さまざまな経験を積むなかで、だんだんと遺伝的な自分自身になろうとしている」、すなわち「年をとるほど遺伝の影響は大きくなる」という現象なども見いだせる。
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さらっと凄いこと書いてある。先生と相手から名乗られ偉そうにされるのが大嫌いだったし、先生と思いたい人は自分で決めたかったから学校とか先生という職業をずっと見下してたんだけど、この著者は学校は売春宿で先生は売春婦という言い方をしててびっくりした(笑) 私は売春婦は見下してないな。偉そうじゃないし、売春婦側から恋人面されるわけじゃないじゃん。学校の先生という職業がもう勘違いを職業化したみたいな存在だもんね。友達や恋人じゃないのに、私友達だよね?私恋人だよね?みたいな圧をかけられる感じに似てる。先生という職業は。
安藤寿康(あんどう・じゅこう)
1958年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、同大学大学院社会学研究科博士課程修了。現在、慶應義塾大学文学部教授。教育学博士。専門は行動遺伝学、教育心理学。主に双生児法による研究により、遺伝と環境が認知能力やパーソナリティに及ぼす研究を行っている。著書に『遺伝子の不都合な真実』(ちくま新書)、『遺伝マインド』(共著、有斐閣)、『心はどのように遺伝するか』(講談社ブルーバックス)など。
「例えば、職業満足度や離婚率です。 GFPが高い人ほど、現在就いている職業についての満足度が高く、離婚しない傾向がありました。当然のことながら、結婚は人間関係の一形態にすぎず、離婚しないのがいいとか悪いということではありません。ですが、現在の社会において離婚せずに結婚生活を維持している人の方が社会に適応していると見られることが多いのは確かでしょう。 GFPの高い人は、社会の多数派がよいと思うことに自分を合わせられる人ともいえます。だからでしょうか、主観的幸福感ともプラスの相関があります。一方で、 GFPが低い人は犯罪を犯しやすく、うつ病にもかかりやすい傾向が出ています。」
—『日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)』安藤 寿康著
「I Qと GFPの間にはほとんど相関はありません。 IQが高ければ社会的に適応できる度合いは高まりますが、 IQが低かったとしても GFPが高ければ社会とうまくやっていけるというわけです。 GFPに関しては研究者の間でも激しい議論が続いています。実際に調査を行うまで私自身も信じたくなかったのですから、それも無理はありません。極論すれば、人間は頭のよし悪しと、性格のよし悪しという 2次元の値によって分類できるという、何とも身も蓋もないことになってしまうわけですから。そのどちらかでもよければまだ救いがありますが、その両方が低い人だって世の中にはそれなりにいることになります。そんなやばいことを科学の名のもとに世にいいふらしていいものでしょうか。」
—『日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)』安藤 寿康著
「さて、体重の遺伝率が 88%、環境が共有・非共有合わせて 12%ということは、体重のばらつきをつくり上げている遺伝のばらつきのほうが環境のばらつきよりも 7倍以上大きいことを意味します。道理で、ダイエットしてもなかなか痩せられないわけですね。一方、 IQでは遺伝が 54%、環境が残りの 46%ですから、若干遺伝が大きいものの、遺伝と環境はほぼ半々程度ということになります。」
—『日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)』安藤 寿康著
「 精神疾患や発達障害についても、図 7に見るように遺伝の影響が強く出る結果となりました。統合失調症や自閉症、 ADHDについては 80%程度が遺伝によって説明されます。 共有環境の影響が大きく見られたのは、物質依存に関する調査です。アルコールや喫煙、マリファナに関しては、特に共有環境が強くなっていますが、これは実際にモノが家に置かれている状況が共有環境として働いていると考えられるでしょう。」
—『日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)』安藤 寿康著
「性格というものには、そうした非相加的な意味があるのではないでしょうか。私のカラープリンター理論が表しているように、性格は3つかせいぜい5つの特性を組み合わせることで無限の色あいを持った性格をつくり出せます。橙色が群青色よりも優れているわけでもなければ、黒が白より劣っているわけでもない。それぞれの色がそれぞれの働きをし、ほかの色との組み合わせの中で、それぞれに重要な意味をもって絵画の中で生かされている。そういうことが遺伝子レベルでもあるからこそ、非相加的遺伝効果が表れ、そして一見、適応的でないと思われる遺伝子も、今に残っているのではないかと推察されるのです。もしそうだとすれば、遺伝的な不平等と思われることも、実は不平等ではないといえるかもしれない。」
—『日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)』安藤 寿康著
「しかし山形や中室らによる日本の 20歳から 60歳までの 1000組を超す大規模な双生児データからは、もっと興味深い結果が出ています。この研究でも全体でみると収入に及ぼす遺伝の影響は約 30%でした。ところが年齢まで考慮してみると、就職し始める 20歳ぐらいのときは遺伝( 20%程度)よりも共有環境( 70%程度)がはるかに大きく収入の個人差に影響していることが示されました。ところが年齢が上がるにつれ、その共有環境の影響はどんどん小さくなり、かわりに遺伝の影響が大きくなって、最も働き盛りになる 45歳くらいが遺伝の影響のピーク( 50%程度)になり、共有環境はほぼゼロになるのです(図 9)。若いときの初めの就職口は、しばしば親や親族のコネやツテ、助言などに影響を受けますので、収入もその影響を受けます。しかしそんな親の七光りが通用するのも初めのころだけで、だんだん独り立ちして自分の実力が問われるようになるにつれて、その人自身の遺伝の影響が強くなるというのは、非常にもっともらしいと思いませんか。」
—『日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)』安藤 寿康著
「まず、家が金持ちでも貧乏でも、遺伝的に知能の高い人もいれば低い人もいます。親が金持ちの家では、子どもはおしなべていろんな環境にアクセスする機会が増えます。知的能力を必要とする活動から、あまり必要としない活動まで、子どもの接する環境の選択肢が増えることで、その子が本来持っていた遺伝的素養が発現しやすくなるわけです。 貧しい家の場合、環境の選択肢はどうしても少なくならざるをえません。親が知的でない趣味を好むのであれば子どももそれに引きずられますし、知的な活動に投資する親であれば、やはりその影響を受けるでしょう。子どもが選べる環境の選択肢が少ないため、遺伝的な素養(それがどんな素養かはわかりません)が発現する確率が金持ちの場合よりも低くなるわけです。」
—『日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)』安藤 寿康著
「確かに、その子が明らかに評判の良くない札付きの不良だとしたら、こういうのも仕方がないでしょう。しかし一般論としてこのように子どもに教えることの危険性は、「人間を能力や家柄など、特定の属性によって選別し、排除してもいい」という価値観を子どもが学習してしまうことです。さらにその価値観は、自分だけは差別されない側にいると思い込む傲慢さ、あるいは逆に潜在的に自分自身が、差別される側に回りうるという恐怖心・猜疑心を学ぶことになります。その意味で、「あの地域の子どもと付き合ってはダメ」、「よその国から来たあの子とは縁を切りなさい」と圧力をかけるのはいいことではありません。」
—『日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)』安藤 寿康著
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想像以上に遺伝によって人の能力は決められていることが分かる1冊
考えてみれば、遺伝(本人が持っている手札)は生まれつき固定されている。
その手札の中で何を切っていくか?が人生である。
特に記憶に残っている例は以下です。
20歳頃までは、共有環境(家族同士で似させようとする影響)が学力の70%を決める
年齢を重ねて、45歳頃になると共有環境の影響はほぼなくなり遺伝の影響が70%ほどになる。
要するに、結局は遺伝子が得意とすることに人の行動は集約されていく、と読み解きました。
①持って生まれた遺伝子で自然と活躍できる環境に巡り合う。
②本人が自分でそれを好きになり、その領域での取り組みを続ける。
③本人が続けている取り組みについて、さらに向上する環境をもたらす。
①~③の循環を子供にあげることができれば健やかに才能が発揮される。
世の中で必要とされる能力の出来不出来ではなく
子供が持っている遺伝で難なくできることをベースとして
支援してあげられる世の中になることを願います。
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岡田斗司夫先生がお勧めしていた本。
人の能力の半分は遺伝で決まっている事と、いろんな才能を発揮する文化を作ることの大切さを書いていた。
人によって内容にショックを受けるかもしれないけど、向き不向きは大事ということを受け入れれば気持ちが楽になった。
超絶お勧めの本。
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結局、人の形質は遺伝と非共有環境で決まる。
つまり、才能は遺伝と運で発現する可能性がある。
印象的なところは一卵性双生児の収入の差について言及したところだ。これは、一方が大学に行き、一方はそのまま働いたとき、その後の収入の差はどうなったかという研究だ。ここで示されたのは、年がたつにつれ収入はほぼ同じになったということだ。つまり、収入については、どのような環境に身をおいたからその収入に行き着いたわけではなく、遺伝した能力が年をとるにつれ、顕になっていることが示された。
結局、遺伝によりきまるので、どれだけ自分が頑張るかも遺伝子に刻み込まれているのかもしれないと思った。
また、それほど遺伝が人生に影響を及ぼすなら、親の才能や能力について分析することで自分の才能や能力の発現のヒントになるのではないかと思った。
Posted by ブクログ
・遺伝と非共有環境の比率は1:1。だから遺伝の影響は私が思っていたよりも少なかった。
・言語であれば遺伝はあまり関係ない。非共有環境の影響は80%。→ 高等数学も極論すれば言語なので遺伝は気にしなくていいのでは。
・この著者は遺伝のことを大げさにいいすぎかもしれない。これからのAI時代、人間の知能はAIに勝てないかもしれない。そうなったら遺伝とかはあまり意味はないかもしれず、人は好きなことを進めればいい。
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一言要約:何度でも咲き続ける、その為の旅(移動)が人生
帰結としてはロバート・キーガン氏の成人発達理論への通底、養老孟司氏の「元来人は変わっていくもの」との示唆に共通する
人は成長とともに遺伝的素質が多く発現してくる(つまり変わる)為、それに合わせて自分が咲ける環境に身を置くことで社会の構成員としての役割を全うし、幸福を得られる というのが、普遍的な「人類の生存と繁栄の仕組み」なのだろう
特に、変化の早い現代では自身の素質発現と環境の変化の両軸(視点)で見の「咲ける場所探し」が必要にもなるとみる
一方で、流行りの「自分探しの旅」のような、旅自体を目的にしていては若いエクスプローラー時期はいいかもしれないが、人生のフェーズにおいては「旅の目的」の設定は必須であろう
この旅のしおりとして「行動遺伝学」を携えるのが良さそうである
Posted by ブクログ
岡田斗司夫先生が紹介していたので読みました。
かけっこ王国という国では運動とは関係ない研究職などの職業に就くのにも、かけっこの出来で決まるというのが不条理であるように思えるが、実は私たちの社会も学歴という別の尺度で全く同じことをしていると述べているのがとても面白く興味深かった。
昨今N高校などのすべての授業をオンラインで行う学校など今までとは全く違う新しい教育方法が登場しているので、本書で登場した年齢が上がれば進級できる学年制を廃止し、能力に応じて進級する能力制も可能なのではないかと思う。
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遺伝の影響を調べる行動遺伝学の方の本。
橘玲さんの「言ってはいけない」を読んでいたので、遺伝の影響に関しては知っている事が多かった。
知能や運動能力は遺伝の影響が強いこと。
ならどうすれば良いかがちゃんと述べられていたのが良かったと思う。
俗に言うFラン大学へ全員が行くのは私もおかしいと思う。中学生の勉強も分からないまま高校や大学へ行くのが本当に正しいのか。もう一度簡単な所からやり直した方が本人の為になると思う。
筆者が言うように勉強の才能がない人は早くに専門技術を身につけて仕事を始めるのが良いと思う。
Posted by ブクログ
本書に記載されている、遺伝による決定要素と環境的な要素の割合について、どちらを多いと思うだろうか。これは人によると思う。
才能にも言及してあり、その発現時期はまだまだ不明であり、発現原因も容易には解明できない。
しかし、誰しも才能があるとメッセージは感じられ、関わる環境(人や生活様式など)がどのように影響するかは分からないが、子供自身が希望を持って粘り強く行動出来る機会を与えることが大事だと感じた。
Posted by ブクログ
橘玲氏の本で紹介されていたので読んでみた。遺伝、共有環境、非共有環境の連立方程式が具体的に書かれていたのでとても参考になった。子供が小さい時に親が、詰め込み教育をしても、高校生くらいになると遺伝の影響がより鮮明に出てしまい落ち着くところへ収斂してしまう。共有環境の与える影響は限り無く小さい。努力すれば成功すると思ってる親も、努力そのものが出来る出来ないまでも遺伝で決まっていると言う事実を知ればなす術が無くなってしまう。適性を伸ばせばいいと言う話も有るが、慰めにしか聞こえない。後半は安藤氏の教育論が熱く述べられている。
Posted by ブクログ
向かないことを頑張るよりも、自分自身の特性を伸ばし活用していくことが重要だと感じた。
自分にとって何が向いているかということを知るために、様々な経験が必要だと感じたし、将来子供ができたときには様々な経験をさせたいと思った。
歳をとればとるほど、遺伝による生まれ持ったその人らしい特性が発現してくると言う記述にはとても共感ができた。
親元を離れて暮らすようになってから、5年以上が経つが、年々行動が親に似てきていると感じている。
親に対して尊敬できるところはあるが、親のようにはなりたくないと思っているので、複雑な気持ちでいる。
私は遺伝に抗っていきたい。
筆者は向いていることを頑張れよと主張しているが、この発想が行き過ぎるとガンダムSEED destinyのデュランダル議長になるのではないかwと思ってしまった。笑
Posted by ブクログ
橘玲による『言ってはいけない 残酷すぎる真実』が引用したのが著者の本。同著作のベストセラーに便乗したのだとあとがきで白状するが、橘玲は面白そうな論文や著作を紹介するマーケター的な存在であり、研究している同氏には便乗する資格は十分ある。
運動能力や身長などは、遺伝による影響をすんなりと受けている。見た目もそうだ。それなのに、知能だけは、「(勉強の)努力が報われる」という事を信じていて、このことに言及する事はタブー視されている。いや、それで良いのだと思う。知能の高い人間はこの本質に気づいても、実害が無い。知能の低い人間は、この本質に大半は気づかない。で、極力、前向きに努力をし、限界はあるが、少しはマシな社会の構成員になるのだから。という事で、橘玲もそうだが、この構造に気づいているなら、これらの本は、ある意味では、知能の高い人たちがそういう人たちを蔑む趣味の悪い本なのだ。
1994年のベルカーブ。ハーンスタインとチャールズマレーが、知能の優劣によってアメリカ社会が階層化されていることを膨大なデータを使って示した。その際に黒人を優遇するアファーマティブアクションは落ち切るべきだと言う差別主義を主張していると批判されたが、これは誤解。そうした弱者に住みよい世界を考えたいという目的だったようだが、こういう事象が認知能力の壁の象徴的な事例、という気がする。主張が伝播する中では、やはり表面的、過激、印象的な「言論」が独り歩きするのだ。
つまり、知能に差がある事が明らかにされた所で、別に日常生活は変わらない。既に自覚している。タイトルのように、9割が知らないのではなく、経験的に知っているのだ。微妙なのは、自覚のない中間層なのだが、彼らも(私も)、数学でノーベル賞が取れるとは考えていないし、9か国語が話せるとも思っていない。互いの認知を騙し騙し、表現やプレゼン、知識をスノビッシュに演出しながら生き、哀れ渋滞化している中間層であることを自認し、満員電車や帰省ラッシュで時に物理的にそれを味わい、ランダム性の承認欲求を慰めに過ごすのみだ。そういうものだからと、悲観も無く。まあ、良いではないか。我々は、天才の発明や互いの凡人による労働力に便乗し、無自覚に助け合い生きているのだから。
Posted by ブクログ
行動遺伝学の知見。
50%は遺伝の影響、残り半分は非共有環境の影響を受ける。
遺伝の影響=やっても仕方ないではない。
評価される能力は社会環境によって変化する。
発言していない能力の発見。
経験を通じて自分に合った環境探し。
学年制ではなく、能力制による学校改革。
12年間ないし15年間の教育を受けても残らない知識。
遺伝の影響は無視できるほど軽くはないけれど、全てを決定するものではない。
遺伝的才能を生かす道を探す。
Posted by ブクログ
知能を含め、人間のあらゆる能力が半分は遺伝によって決まる。しかし、そこで諦めるのは早計、その先、能力を評価する基準軸の多様化を理解すること、それでもなお一定数存在する能力が無いとされる人々に対する配慮が必要ってことか。
Posted by ブクログ
遺伝と能力の関係をエビデンスを元に説明。
実際に行動遺伝学の前線で研究してる方だからこそ信用でき素直に読み進める事ができた。
遺伝の真実を知った上で、
教育をどうしていくのかを書いてあるが
教育のページが具体的でないのが残念。
ふわっとしていてみんなの意識改革みたいな感じ。
ただ、遺伝の真実を知れたのは良かった。
Posted by ブクログ
知能とIQ、その他各種才能はほぼ遺伝で決まっているというのは分かっていたが、如何に双子の研究で導き出しているかという説明が勉強になった。
遺伝というのも、親から大部分を引き継ぐわけではなく、割とランダムに、そして家庭環境もそこまで影響が大きいわけではないのが意外だった。数学、音楽、スポーツなどがほぼ遺伝と非共有環境で決まるのに対して、外国語はある程度共有環境による影響があるのも頷ける。
Posted by ブクログ
遺伝の影響について、考察した新書。『言ってはいけない』のエビデンス的な本。
一卵性双生児が異なる環境で育った場合、遺伝による影響が強い因子と、環境による影響が強い因子を見極めるような研究を紹介している。とても、興味深いと感じたので、参考文献を読みたくなる。著者の他の書籍も探しているが、読みたい本に限って書店にはないようだ。
ある程度の知識は、この人間社会では身につけないと生活ができない。誰もが、学ぶべきなのだが、ある領域を超えるところは遺伝による影響が大きくなるようだ。
読み物として面白い。
Posted by ブクログ
著者自ら「橘玲さんの『言ってはいけない』の便乗本」とおっしゃっているところに好奇心が湧き、積読リストに入れていました。
『言ってはいけない』のインパクトは強烈でしたから。。
行動遺伝学の双生児研究(一卵性双生児と二卵性双生児の類似性の比較)により、人間の身体や知能、性格、才能などが環境や遺伝にどの程度影響しているのかの研究結果を紹介し、行動遺伝学に基づき、今後の社会をどのように作っていくべきかの提案もされていました。
これらが形成される要因は、遺伝、共有環境(双子が共有している親との家庭環境)、非共有環境(双子が共有しない親以外の友人などの人間関係・学校などの環境)の3つで構成されるそうですが
・身長・体重・指紋などは90%以上が遺伝であるのに対し、
・知能(IQ)は遺伝50%、共有環境35%、非共有環境15%で決定されるとされているが、歳を追うごとに遺伝の影響が大きくなるとされ、
・学業成績は遺伝70%、共有10%、、非共有20%
・神経質、外向性、同調性などの性格は遺伝50%、非共有50%で共有である家庭環境はほとんど影響しないとし、
・音楽や執筆、数学スポーツなどの才能は軒並み遺伝が80%を超え、残りは非共有となる
・統合失調症、自閉症、ADHDなどの発達障害は、遺伝が80%を超えるのに対し、うつ傾向だけは遺伝が40%。残りは非共有
・アル中やマリファナ、煙草などの物質依存は遺伝50%、共有・非共有が概ね25%程度、ギャンブルだけは遺伝50%、非共有50%で家庭環境は影響ない
としていました。
家庭環境による影響が意外と少ないこと、逆に遺伝による影響が大きいことは先述の橘さんの本で読み知っていましたが、ふつう長く生きていれば、それだけ環境の影響が大きくなりそうな気がするのに実際には、長く生きるほど遺伝的素質があぶりだされてくることに一番驚きました。
Posted by ブクログ
おすすめの一冊。遺伝について研究で得られたことを一般向けに解説するとともに、教育のあり方を議論する。
p37「知能とは、知能検査ではかられる能力である」というのは目からうろこであった。このような定義を操作的定義と呼ぶ。(反対は概念的定義。)操作的定義によって定量的研究が可能となった。従って言葉が示す一般的な意味からずれているかもしれないので注意が必要。
遺伝の影響は一卵性双生児と二卵性双生児の比較から主にえられた。「共有環境」は遺伝以外の、二人を似させようとするもの、であり、「非共有環境」は二人を異ならせようとするもの。
双子の身長や数学・音楽能力などの相関係数を算出する。
一番簡単なモデル計算では、「二卵性双生児は遺伝の影響は一卵性の半分しかない。」「1ー相関係数=非共有環境」などを使って、相関係数からその形質が遺伝によるのか、共有あるいは非共有環境によるのか切り分ける。(相関係数ってわったり足したり引いたりする意味あるのですね。ビックリ。)
そのように計算すると、ほとんどの要素は遺伝と非共有環境で決まると。これまた衝撃。。共有環境庭教育)とかは意味ないのかとかいう疑問に対して筆者の立場が述べられている。考えさせられる。
教育が受けられる人・受けられない人がいるときはその差が大きいが、全員がだいたい教育をうけられるようになると、遺伝の差がもろにでる。など。
Posted by ブクログ
本としては、きっと面白いと思うのだろうが、
私には難しかった。ので興味あるところだけ抜粋して読んで!なので星3。
ちょっと読むには早かったけど、根拠もしっかりしていて本としては良書な気がする!
Posted by ブクログ
行動遺伝学の入門書。学術的な観点から遺伝に関する事実をわかりやすく教えてくれる。遺伝の影響の大きさが社会で思われている以上に大きいという事実を淡々と説明してくれる。
知能テストで測れるものが知能であるという定義はとても面白い。能力は社会的に認められて初めて能力として認められるのであって、求められない、測れない能力は社会で機能していても軽視されるというあたりはシビアな現実を指摘してる。
結局は遺伝の影響からは逃れられないという身も蓋もない事実を認めてその上で教育をどう考えるかという話になるがなかなか解がない感じ。
この著者の文献を引用して橘玲氏がベストセラーをだし、後追いでこの本が出来たという経緯も面白かった。
Posted by ブクログ
遺伝についても記述は、知らなかった内容も多くためになった。が、教育制度の話になるとなるほどと思わないことは無いが、一個人の考えに過ぎないと捉えた方がいいような気がした。何故なら実現が不可能に近いと思ったので。
あと、誤字が何ヶ所か気になった。2016年の初版を読んだのでもう訂正されてるかもしれませんけど。
Posted by ブクログ
生まれながらに配られるカードは決まっている。
ならば人によって向き不向きがあることは当然として受け入れるべきだ。
遺伝は自分の中の内なる感覚として、自分の好きなこと得意なことを環境の中で教えてくれる。
それに専念、集中投資することが個の成長にとっては最高効率だろう。
進化の過程で淘汰されてしまいそうな遺伝子がいまなお残っているのは、ある条件では不利でも別の条件では有利に働いている可能性があるからだ。
金子みすゞの詩を思い出す。
すべての遺伝情報にリスペクトを
Posted by ブクログ
橘玲が「言ってはいけない」の参考書籍にした本の著者の本。ということで、書いてある事実はある程度重複している。ちょっと真面目に書いてある分だけ、ちょっと面白みが少ない。
最後の方に教育制度や社会制度についての論考が書いてあるが、この部分は、論理が上滑りしていて、説得力がない。やはり、餅は餅屋。専門知識と練りこまれた考察によって優れた論理を展開できる分野は限られているなあ。
Posted by ブクログ
世の中は不公平であると常に感じているが、遺伝も理由の1つで、体型、病気、頭の良さなどは、環境とともに影響がある部分だと思っている。
しかし、側から見て、遺伝で受け継いだ長所を活かせていない人も多くいる。自分はどうかというと、不足のところばかりだから、少しでも優秀な人に近づきたいと思うと同時に求められることに、感謝して取り組んでいる。
世の中からいただいたものは不公平だが、これを磨く努力は誰でもできる。
Posted by ブクログ
遺伝の影響は当然あるよ、当たり前。
でもそれが全てじゃないくらい、いろんな要素あるからね、この世は複雑だから、に尽きるのだけど、知識として知っておくと必要以上に振り回されなくてよいかも。
中年になるころの自分の立場は遺伝要因の本来の自分の知力、って、身につまされるね。