あらすじ
知能格差社会の真実から遺伝的な適性の見つけ方まで
知性、能力、性格、そして運まで――。行動遺伝学が明らかにしたのは、人間社会のあらゆる面を「遺伝の影」が覆っており、それから誰も逃れられないということだった。私たちは、残酷すぎる世界の真実といかに向き合うべきか。理不尽を乗り越え、成功を手にするための方法は存在するのか。ベストセラー作家と、行動遺伝学の第一人者が徹底的に論じる決定版。
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人間の理性とか努力を信仰するリベラルが発狂しそうな本だった。人間の努力とかはほぼ無いんだな。努力出来る遺伝子があるだけで全ては遺伝という出来レースだったのか。
飲み放題が成立するのは日本人に下戸が多いからでヨーロッパとかアフリカに飲み放題あったら店が潰れるらしい。私もお酒に酔わないし脚の長さが黒人平均だから実は黒人なのかもしれない。
「 ご著書の『「心は遺伝する」とどうして言えるのか──ふたご研究のロジックとその先へ』(創元社、 2017年)で、ストレスを感じるようなライフイベントにどの程度、遺伝の影響があるかの研究が紹介されてますよね。病気になったり、近しい人が亡くなったり、強盗に遭うなど、一般的には運が悪かったとされる偶然の出来事と、離婚や解雇、お金の問題など、本人にも責任があると見なされる出来事を比較したところ、偶然の出来事の 26%が遺伝で説明でき、本人に依存する出来事の遺伝率 30%と統計的に有意な差はなかった[* 1]。 最初に読んだときは、なぜそうなるのかわからなかったのですが、よく考えてみると、病気には遺伝が関わっているし、近しい人が親族なら同じ遺伝子を共有しているかもしれない。強盗に遭うのは確かに運も悪かったのでしょうが、危険な場所にいたり、目立つ行動をとったりしたのが原因だとすれば、そこにも遺伝の要素がある。 知人が交通事故に遭ったら、「運が悪かったね」と同情するでしょう。でもそれが、信号を無視して横断歩道を渡ろうとしたり、無理な追い越しをしようとして起きたのなら、たんなる偶然とはいえない。そう考えれば、私たちの人生のすべてを遺伝の長い影が覆っていて、そこから逃れることはできないのではないでしょうか。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「 AD H 1 Bと A LD H2のどちらも変異型を二つもっていると、アルコールを急速にアセトアルデヒドに分解しますが、そのときに出る毒素を処理できないので、ちょっと飲んだだけで顔が真っ赤になり、頭が痛くなったり、気持ち悪くなったりします。 居酒屋で「飲み放題」が成立するのは、日本には下戸遺伝子の保有者が一定数いるからですね。この変異型はヨーロッパやアフリカにはほとんどないので、日本に来た外国人は「飲み放題」にびっくりします(笑)。欧米で同じことをやったら、たちまち飲み倒されてお店がつぶれてしまうでしょう。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「日本のリベラルには想像もできないでしょうが、いまでは欧米のリベラル(左派)は、「遺伝ガチャにたまたま当たっただけでとてつもない金持ちになるのは不公平だ。超富裕層に課税して、その富を(遺伝ガチャに外れた)貧しい人たちに分配すべきだ」として、「運の平等主義」という「遺伝決定論」を主張しています。それに対して保守派は、遺伝よりも本人の努力を重視しているのだから、ある意味、保守とリベラルの逆転現象が起きている。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「期待値としてはそうなります。自分と配偶者、両方の知能が平均よりも高ければ、子どもの知能も高くなる確率が相対的に高いことは確かです。しかし、ここで統計学で最初に習う「平均への回帰」が効いてきます。通常、どの能力についてもサンプルをたくさん集めてグラフ化すれば、正規分布、つまりベルカーブを描きます。両親ともに能力が高いということはベルカーブの右端に位置するわけですが、親と子の相関係数が 1ではない、つまり親と子が同じになるわけではない場合、子どもの能力の平均値は両親の能力を足して 2で割ったものよりは、集団全体の平均に若干近づく確率が高くなります。これが平均への回帰です。 だから、「両親はどちらも東大を出ているのに、なんでこの子は……」と嘆くこともあれば、逆に「鳶が鷹を生む」ということもあるわけです。橘 確かに優秀な成績を残したスポーツ選手の子どもが期待したほど活躍できないという話はよく聞きます。これも「平均への回帰」で説明できそうですね。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「身長や体重、運動能力などの身体的な形質の遺伝率が高いことは、昔から多くの人が気づいていたでしょう。それに対して、知能やパーソナリティなど精神的な形質の遺伝については、「言ってはいけない」という空気がつくられてきました。 そこに、エビデンス(証拠)を示して不都合な真実を突きつけたのが行動遺伝学で、生物学的な形質と心は別であってほしい、いや別でなければならないという、これまでの大前提が崩されたことで憤る人が多いのでしょう。安藤 なんでそんな当たり前のことで驚くのか、というのが、いまとなっては正直なところですが、じつは僕自身、「環境によって人間がつくられる」ことを示そうとして、大学院に進んだんです。ところが研究を進めれば進めるほど、遺伝の影響が大きいことを認めざるをえなくなりました。 前章で出てきた行動遺伝学者のエリック・タークハイマーは「行動遺伝学の 3原則」の 1番目として、「ヒトの行動特性はすべて遺伝的である」ことを挙げています。この原則の意味はきわめて大きい。知能や運動能力、あるいはコミュ力だけじゃなく、ありとあらゆる能力、ありとあらゆる個人差に遺伝の影響があるんです。僕たちがいまこうして対談している瞬間にも、何らかの遺伝的素質を用いているわけですから。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「この本のテーマでもある、「人生のあらゆるところに遺伝の長い影が伸びている」という話ですね。冷静に考えれば当たり前のことなのに、直感的には受け入れがたいものがある。 とはいえ、行動遺伝学に対する批判は、突き詰めれば知能に集中していますよね。身長の遺伝について文句をいう人はいないし、スポーツや音楽の才能が遺伝することも当然と見なされている。歌舞伎に至っては、親から子へと「芸事の血」が受け継がれていくことが前提になっていますが、知能の遺伝に関してはあらゆるところから批判がくる。現代のような知識社会では、知能が高いかどうかが人生に決定的な影響を与えるので、誰もが知能の話に敏感になっているのでしょうけど。 そこでうかがいたいのは、そもそも知能とは何かということです。認知科学者は「一般知能」を調べるために知能テストを行なうわけですよね。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「そういう批判はよく聞きますし、一見説得力があるかのように聞こえますよね。でもそれって、野球選手の打率だって統計的に算出されるヴァーチャルな数字にすぎないから大谷翔平の打率が 3割といっても実力とは無関係だとか、日経平均株価は統計的数値にすぎないから日本の経済状況とは無関係だというのと同じくらい荒唐無稽で、「先に批判ありき」の詭弁にすぎません。 打率だって日経平均株価だって、野球選手としての実力や日本経済の状況と合理的に連動し、現象の理解を助ける、意味のある数値であることは誰でも認めるでしょう。一般知能も同じで、学業成績や職業選択、健康度、配偶者選びなどとも関係があることがたくさんの研究から示されています。そしてそれがいま、脳神経科学によって遺伝子とも関係していることが明らかにされつつある。 「知能は統計的現象である」と僕も書いていますが、これは、その背後に生物学的な仕組みが存在しないということではありません。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「学業成績の遺伝率と SESの関係を調べたタークハイマーの研究では、もともとアカデミックモティベーション(学習意欲)をもっている人は、 SESが高いと、その意欲が刺激されるとの結果も出ています。逆に SESが低いと、学習意欲があってもそれを実現することが難しい。そのため SESが高いほど学習意欲も学業成績も遺伝率は高くなっています。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「橘 「教育幻想」を壊したくないんですね(笑)。知能の遺伝率が成長とともに上昇していくということから、「なぜ親は幼児教育(お受験)に夢中になるのか」も説明できそうです。幼児期は遺伝より環境の影響のほうが大きいから、親の努力が結果に結びついて報われやすい。ところが思春期を過ぎると、本来の遺伝的な資質で成績が決まり、子育ての努力は報われなくなる。安藤 おっしゃるとおりです。ですから早期教育とか英才教育に親が過熱することを非常に危惧しています。鉄は熱いうちに打てといいますが、相手は打ったとおりの形になる鉄ではなく、形状記憶合金のように、遺伝子の導く形にだんだんと近づいていくんです。もちろん子どもの頃からよい文化に触れさせることの重要性は強調してもしすぎることはありません。しかし他の子より一足早く学ばせて優位なポジションに行かせようとか、あるいは他の子より出遅れるとかわいそうだから早くから学ばせようという趣旨だとすると、必ずしも報われないことがあることは覚悟しておく必要があるでしょうね。そういった個人差の半分は環境ではなく遺伝も関わっているわけですから。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「醬油にみりんをちょっと足すとすき焼きのたれに、出汁をちょっと足すとそばつゆになりますが、元が酢だったら何かを足してもぜんぜん違う味になりますよね。遺伝子型が違うというのは、人によって醬油か酢かの違いがあるようなものです。考えようによっては、すき焼きのたれとそばつゆはぜんぜん違うという意味で、エピジェネティクスも重要だとはいえますが。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「でもより重要なのは、母ラットの行動が環境への適応として説明できることです。母ラットが子ラットにじゅうぶんな毛づくろいができるのは、天敵のネコがいなかったり食料がたくさんあるなど、安全で豊かな環境のときですよね。すると子ラットは、それをシグナルとして活発な探索行動をするようになる。 逆に、母ラットが子ラットを毛づくろいできないのは、ネコがたくさんいる危険な環境だからかもしれない。この場合は、子ラットは毛づくろいされないことをシグナルとして、神経症的傾向を高め、常にビクビクするようになる。このほうが生存確率が上がるからです。 ラットの寿命は人間に比べてずっと短く、 2、 3年で世代交代していくので、その間に環境が大きく変わるとは考えにくい。だとしたら、子ラットや孫ラットにその形質が引き継がれるのは進化の仕組みとして合理的です。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「リベラルな人たちは一貫して「遺伝決定論」を批判してきましたが、よく考えるとこれは逆ですよね。先に述べたように、ノルウェーでは社会がリベラルになるにつれて遺伝率が上がっていった。男女平等になるほど性差が拡大するとか[* 18]、豊かな国では数学の平均得点が高いと同時に、成績に顕著な性差がある(男のほうが成績がいい[* 19])という研究もあります。相対的に男は数学・論理的知能が高く、女は言語的知能が高いので、社会がより自由になることで遺伝的な能力を発揮できるようになったからだとされます。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「アインシュタインには統合失調症の子どもがいるし、映画「ビューティフル・マインド」の主人公で、ゲーム理論でノーベル経済学賞を受賞した数学者のジョン・ナッシュは本人も統合失調症に苦しみ、子どもも重度の統合失調症です。高い知能と高い経験への開放性の組み合わせは、人類の文化に大きな貢献をしてきましたが、その才能はあやうい均衡のうえに成り立っているのかもしれません。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「でもより詳しく見ていくと、保守だからとって知能が低いとはいえない。シリコンバレーの著名投資家でトランプ支持者でもあるピーター・ティールは 13歳以下のチェス選手権で全米 7位にランキングされたし、トランプの最大の資金支援者であるロバート・マーサーは、ヘッジファンドで金融市場のモデリングをして大富豪になった数学とコンピュータの天才です。トランプの岩盤支持層が高卒や高校中退の白人労働者階級だとしても、共和党支持者の平均所得は民主党支持者よりも高い。これは、社会的・経済的に成功した人のなかに保守派が多いからでしょう。 そのように考えると、保守派の特徴は言語能力が低いことではないでしょうか。論理的・数学的能力が極端に高いと、心の理論がうまく構築できず、他者とのコミュニケーションに困難を抱えることがあるとされています[* 42]。その極端なケースが自閉症ですが、ティールやマーサーのパーソナリティをうまく説明しているように思えます。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「うーん、保守派にも言葉巧みな人はいそうな気がしますし、リベラルも言語化できずに感情任せの人もいるように思いますけど。ただ確かに、新しいことを説得的に示すためには、ジャン・ジャック・ルソーのように雄弁でなければならないでしょうね。 いずれにせよ人間の知能において、言語が大きなウェイトを占めていることは間違いありません。情報処理能力には、図形処理や数学的処理、記号的処理などさまざまな種類があるのに、人間という種は圧倒的に言語に依存しています。おそらく初期の人類にとって、音声を分節して、さまざまな概念を他者と共有する能力をもつことが適応的だったのでしょう。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「それでも言語的な能力にはかなりの個人差があって、言語的知能の高い子どもはあまり怒られない。なぜなら、自分の行動を説明できるから。 子どもがいたずらをしたとき、親や先生は「なんでそんなことをしたの!?」と叱りますよね。言語的知能の高い子どもはそのとき、「 ○ ○だと思ったから」「先生が × ×と言っていたから」「友だちがやっていたから」などと説明できます。 そうすると大人は納得して、「でもそれは間違っているからやっちゃダメ」と子どもを諭して話は終わる。ところが言語的知能の低い子どもは、そういう場面でうまく説明できないので、黙り込むしかない。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「言語能力には性差があって、女の子のほうが発達が早いですからね。子ども同士でも同じかもしれませんが、大人が子どもを「なんでそんなことをしたの!?」と怒るのは、因果関係がわからないと不安だからです。ホラー映画が怖いのは、殺人鬼の行動が常識では理解できないからですよね。同じように、自分の行動を説明しない子どもは、傍から見てとても不気味に感じる。 「なんでいつもそうなの!」「ちゃんと説明しなさい!」と大人の怒りがエスカレートすると、言語的知能が低かったり、心の理論がうまく構築できない子どもは、未知の世界を怖いところだと感じるようになる。そうなると、友人や知り合いだけの狭い世界で生きていくほうが快適になるでしょう。みんなが自分のことを知っていれば、いちいち説明する必要がないから。これが「保守」のパーソナリティだというのは、とても納得感があります。 それに対して言語的知能が高いと、問い詰められても説明できるので、未知の世界を恐れる理由がない。違う国の文化や宗教に興味をもち、留学したり海外で働いたりすることを面白そうだと思い、恋人をつくるときも、異なる文化圏の相手のほうが刺激的だと感じる──これは「リベラル」の典型的なパーソナリティです。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「偏差値でいえば 40から 60の範囲(全体の約 68・ 3%)の外見なら、その人を魅力的だと思う相手がどこかにいる。この実験では、あまりに美人だと男が怖れて近づかないとか、男はデートの誘いが成功するかどうかと外見があまり関係ない(おそらくはコミュ力が関係している)ことも示されていました。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「出会い系サイトや婚活サイトのビッグデータを分析すると、女性がモテる基準は年齢で、若いほどモテる。それに対して男性がモテる基準は年収というのが、一貫した傾向のようです[* 45]。これは進化心理学の予想と整合的で、利己的な遺伝子にとっては、若い女性ほどより多くの子どもを産めるから価値が高く、より大きな資源をもつ男を確保すれば、女性は自分と子どもの生存確率を高めることができる。このような主張はかつてなら「性差別」といわれたかもしれませんが、婚活サイトのデータがあまりにもあからさまなので、近年では批判の声もあがらなくなってきたようです。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「小児性犯罪には、言語的知能やコミュニケーション能力の低さだけでなく、それ以外にもいくつかの要因が関わっていると思います。例えば、ものすごく性的な関心が高いのだけど、自分の望む方向には行けないとか、衝動性が強すぎるとか。それから忘れてはならないのは、こういう形質は非共有環境も重要だということ。つまり、当たり前のことですが、たまたまそういう犯罪をしたくなるような状況と出会ってしまったことも大きな要因です。そういう状況に出会わせないというのが無理だとしても、そのときほかにもっと夢中になれるものがあれば、犯罪には至らなかったかもしれない。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「いまの話に関してもう一つ言えるのは、「頑張らなければいけない」という社会的な価値規範が強すぎるのではないか、ということです。親しくしている知り合いに宮城県・石巻の漁師さんがいるのですが、先日、「がんばろう!石巻」という大きな看板が嫌いで、その近くには絶対近づかないという話を聞きました。僕から見れば、彼自身はすごく頑張り屋というか、いろいろなことに自主的に取り組んでいる努力家だと思います。ですが、だからこそ、「みんなで一斉に頑張ろう」というムードにものすごく欺瞞を感じるというのですね。その気持ちはよくわかる気がします。 教育界にも「頑張って成績を上げよう」という風潮があります。日本社会全体にもそういう傾向が強い。「もっといい製品をつくろう」「いまよりもっとよい社会があるはずだから、みんなで頑張ろう」「女性も社会に出て活躍しよう」──間違ったことは言っていませんし、目標をもつのはいいことです。でも、それは「頑張れば必ずよくなる」とか「できない人は頑張っていない」という考えにすり替えられやすい。論理的には成り立たないはずなのに。その結果、「頑張れない人なんていないんだから、頑張らないのは心がけが悪い」と、できない人を追い詰めてしまっている。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「教育界にも「頑張って成績を上げよう」という風潮があります。日本社会全体にもそういう傾向が強い。「もっといい製品をつくろう」「いまよりもっとよい社会があるはずだから、みんなで頑張ろう」「女性も社会に出て活躍しよう」──間違ったことは言っていませんし、目標をもつのはいいことです。でも、それは「頑張れば必ずよくなる」とか「できない人は頑張っていない」という考えにすり替えられやすい。論理的には成り立たないはずなのに。その結果、「頑張れない人なんていないんだから、頑張らないのは心がけが悪い」と、できない人を追い詰めてしまっている。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「先ほど、経済学者のヘックマンの話が出てきました。彼自身はリベラルな学者ですが、教育で知能を向上させることに限界があることを認めています。少なくとも小学校入学後は、教育的な介入で子どもの学力を向上させることは困難だろうと書いている[* 54]。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「遺伝的な脳の配線が、一人ひとりの個性的な行動をつくり出している。ショパンコンクールで上位入賞( 1位なしの 3位)した横山幸雄さんは、子どもの頃にレコードを聴いていて、自分ならもっといい弾き方ができるのに、と感じたそうです。有名なパティシエだって、お菓子づくりは何だか面白そうと感じたのが出発点でしょう。社会的な評価などとはまったく別のところで、脳は価値判断や認知処理を行なっているということです。 このことは、カール・フリンストンの「自由エネルギー原理」とも整合的です。人間の脳は一種の予測器だという説ですが、とくに注目しているのは次の二つのネットワークです。一つは、後部帯状回から内側前頭前野、そして外側頭頂葉や海馬などにかけてのいわゆるデフォルトモード・ネットワークで、これは自己との関係が強く、非常に個人的なレベルで内面的な心的活動を担っています。もう一つは、前頭前野と頭頂をつなぐ実行機能ネットワークで、ワーキングメモリに関係します。こちらは、外的な情報や抽象的情報を論理的、能動的に処理するところです。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「日本人はうまく理解できないと思いますが、すくなくともアメリカでは、人種問題というのは「白人/黒人問題」のことですよね。黒人の社会階層が低く犯罪率が高いことを、右派は「自己責任」と批判してきた。それに対して左派は、奴隷制の歴史から連綿とつづく「制度的人種主義( systemic racism)」の結果だという。ここから、白人は生まれたときからレイシスト(人種主義者)で、ピープル・オブ・カラー(「有色人種」の政治的に正しい呼び方)は、仮に人種的な偏見や差別があったとしても、レイシズムとは呼ばないという奇妙な理屈が出てくる[* 66]。この論理だと、「黄色人種」である日本人は、どんな言動をしようとも「レイシズム」と批判されることはないという話になります。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「日本の場合、ヨーロッパにおけるユダヤ人のような、遺伝的に異なるヒト集団は存在しないでしょうが、これまでの理解とは違う遺伝クラスターが見つかる可能性はありそうです。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「行動遺伝学については 2000年に『心はどのように遺伝するか──双生児が語る新しい遺伝観』(ブルーバックス)を出版させてもらって以降、今日まで、それぞれの時点での最新の知見と、それをふまえた私論を、主として新書の形で、たびたび紹介させていただく機会を得てきた。遺伝環境問題という、多くの人が関心を持つであろう、しかしタブーに触れるようなテーマなので、それなりの社会的プレゼンスは示せているのかなという感触はありながらも、その反響の薄さにいささか失望し、むしろ不気味さすら覚えてきた。行動遺伝学の知見は、本来、人間存在の認識の本質に関わり、社会科学のパラダイムを根底から揺るがすかもしれないインパクトをもつと、密かに任じていたからである。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
「そもそも「行動遺伝学の知見は言ってはいけないことなんだぞ、だけどそれこそ暴露しなければいけない真理なんだぞ」という表現姿勢に偽悪性を感じたし、それが橘さんの芸風をもってするとここまでインパクトをもって世間にアピールできることが、自分が日頃取り組んでいる学問姿勢とあまりに相容れなくて、当惑しつづけた。 行動遺伝学が明らかにしてきたことは、確かに知能や学力や収入に遺伝の影響が大きいというタブー性を持つものもあるが、もっともっとずっと豊かな知見、社会のダイナミズムを理解するうえで重要な知見がたくさんあり(それをこれまでも紹介してきたつもりだ)、橘さんのストーリーだけで行動遺伝学を理解してもらっては困ると思って、 S B新書から『日本人の 9割が知らない遺伝の真実』を出させていただいた(ベストセラーへの便乗でもあったわけだが)。またその頃に一度、まだ当惑の気持ちを持ちながら、橘さんと雑誌で対談させてもいただいた。」
—『運は遺伝する 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書)』橘 玲, 安藤 寿康著
Posted by ブクログ
行動遺伝学者の安藤寿康(あんどう・じゅこう)氏と橘玲(たちばな・あきら)氏の対談。あとがきによると、行動遺伝学をめぐる天使(安藤氏)と悪魔(橘氏)の戦いの記録的対談。対談ならではの両者の本音発言が楽しく読ませる。標題の「運は遺伝する」の謎解きは本書を読んでもらうこととして、全編を通じて行動遺伝学では人間の知的活動を含めたあらゆる行動面に遺伝が色濃くかかわっているという事実を証明していく。この事実をどのように受け取って明日につなげるかが本書のテーマである。現代人必読の一冊と言える。
Posted by ブクログ
人は努力すれば成長できる。能力を身につけ、何にでもなれる。
落伍者は、努力しないからだ。自業自得だ。
・・・と、ついこないだまで、私自身そう思い込んでいた
だからといってどこかの議員、党みたいに生活保護を否定するものではないが
親のしつけ、教育がなってないから、子供が変な方向に行くのだ、
環境さえ作れば、子供は無限の可能性がある。なんてことも思っていた。
でも最近その考えを変えつつある。
いろいろ読んでいる本の影響もあるが、実体験として感じているのが、部下だ。
この3年間どう教えても同じ失敗を繰り返す。
これを、親の教育のせいと思ったりもしたが、どうやらそうではなく、
発達障害由来だということを理解したのはこの半年。
生まれ持ったもの、遺伝、ということだ。
この新書でもASDは取り上げられている。そうなのだ。遺伝。
DNAによって、頑張りたくても頑張れない人がいるのだ。大勢。
ここで自分を振り返ってみると、、、
どうやらコツコツ継続する遺伝子は持っているらしい。
記憶力はない。ゆえに、学生時代は、テストでそれなりの成績は取れたが、
飛びぬけて優秀にはなれなかった。
社会人になって資格試験を目指しても、なかなか合格がもらえなかった。
自信がない、不安な日々が続いた。内に向かっていた。
それが変わったのは、30歳前に父を亡くし、そこから人生が動き、転職をし、
霞が関ビルの階段をのぼり、40代半ばにフルマラソンを始めてから。
46回フルマラソンを走る中、能動的になり、積極性が生まれた。
DNAにスイッチが入ったのだと思う。
もし入っていなければ、今頃うつうつとした60代を過ごしていたかもしれない。
この新書に書いてあることはある意味残酷。
いくらいい環境を作っても、遺伝子の影響から逃れられない部分が相当ある、
と言っているのだ。それを示すエビデンス多数。
最近よく読む一卵性双生児の実験。
幼児の目の前にお菓子を置いておいて、何分間か我慢出来ればもう一つあげる、
という実験。我慢できるこの方が将来が明るい。
これは遺伝の部分と、環境の部分と両方ある。貧しい暮らしをしていれば、
将来の2個より今の1個が大事、となると。
咲ける場所に動きなさい。
つまり、好きなこと、得意なことをしなさい、ということだろう。
ただ、それで食えるかはわからない。
発達障害の本にもあったが、環境が違えば、何の問題もない特性、むしろ、
優位に働く特製であったりもするのだ。
しかし、現代のコミュニケーション過多ともいえる社会の中では、
致命的な特性になってしまうことがある。生きづらさ、働きづらさとして。
そのときに咲ける場所に動ければいいが、現代社会、なかなかそうはいかない。
補う手段を見つけるしかない。近視だったらメガネをかけるように。
DNAは変わらない以上、ツールを使って補うしかない。探すのが難しい、、、
あ、上で書いたように、眠っていたDNAにスイッチを入れる、という手もあるか。。
まあでもそれは偶然だし、期待するのは難しいかな。
常に部下が念頭にある。
第1章 運すら遺伝している―DNA革命とゲノムワイド関連解析
第2章 知能はいかに遺伝するのか
第3章 遺伝と環境のあいだ
第4章 パーソナリティの正体
第5章 遺伝的な適性の見つけ方
第6章 遺伝と日本人―どこから来て、どこへ行くのか
Posted by ブクログ
橘玲氏と行動遺伝学の第一人者である安藤氏の対談形式の本で、運すらも遺伝していると言えるのだというのが大きな主張。元々は安藤さんが2000年には遺伝の重要性を指摘する新書を出していたんだけど、2010年代になって橘氏の著者が売れて話題になった。
運は遺伝するというのは、例えば遭難したとして運も悪いけど遭難しやすい環境に身を置く選択をしたのは遺伝だよねという。
ただ性格とかはポリジェニックなので特定の遺伝子がどうこうというわけではない。平均への回帰が効くので両親が能力高くとも子はそうでもないことや鳶が鷹を産むもあり得る。少子化で子ども1人を当りにしないとという強迫観念があるが、子が多かった時代は当たり外れがあることが当たり前だった。
先進国で知能の遺伝率が上がっているのは環境要因が平均化されているから。乳幼児期の母子関係などは成長してから尾を引かない。幼少期の英才教育もあまり意味がないし、親ガチャの影響もそれほど大きくない。
行動遺伝学で共有環境とは家族を類似させる要因の効果の総体、類似させないのを非共有環境と呼ぶ。家庭間で異なる環境が共有環境、家庭内で異なる環境が非共有環境とも。
GRITすらも遺伝の影響を受け、頑張れない人もいる。置かれた場所で咲くのではなく、咲ける場所に動くことが重要。東アジアは米作で大量の人口を養えたので自己家畜化が進んで、それが日本人という説。
橘氏は冷徹な感じがしつつも行間に人の良さが出ていて、安藤氏はさらに楽観性があるので、それを言っちゃあおしまいよにはならず、その現実を踏まえてどうするのがいいのかヒントを読者に提供しようとする姿勢が見えて世の中捨てたもんじゃないと思った。
Posted by ブクログ
とてもわかりやすく、最新の、遺伝行動学がよめます。
すごいことが進んでいる、明らかになっている、んだなというのが正直な感想。
子育てには必須の知識ですね。
早めに遺伝子検査していて正解。
Posted by ブクログ
人生の行動の3割は遺伝
ふうんと思って読んでみたが、なかなか未来の示唆に富んだ名著だった。生物学の内容だから、生物学がわからない人にはむつかしいかもしれない。
双子研究による統計で導き出される遺伝率で、行動の何割かは遺伝だと説明できる。知能すら遺伝する。境界知能もさう。
経済環境が自由であれば、自身の遺伝的形質も発現しやすい。反対に、貧しくて制限された抑圧的な環境だと、いかに才覚のある遺伝といへども発揮できない。
そして、非共有環境すらも、みづからの遺伝的素質によって選び取る。すなはち、「延長された表現型」である。
Posted by ブクログ
久しぶりの満点レビュー。
橘さんの本は、いつもインフォーマティブで良いのだが、時に身も蓋もないことがある。この本では、もう少し常識人よりの安藤先生との対談の形をとっているので、いつもながらの的確な情報提供をしつつも、多少常識よりの結論に落ち着くことが多いのがよい。
最先端の研究者との対談でも、ぜんぜん位負けしないところは、さすが橘さんと思わせるが、それに対して実に誠実に議論を進めていく安藤先生も、尊敬に値する。
帯の煽り文句は、煽りすぎ。売れるかもしれないが、品位を落としていると思う。
タイトルの「運は遺伝する」というフレーズは、この本の中心的な話題である「知性が遺伝する」というのとはズレているので、本の中身を的確に表しているわけではないが、運と遺伝の関係についての発言もちょっとは(3ページくらい)あったので、嘘とは言えない。
Posted by ブクログ
正に夢の対談。
そしてお二人の造詣の深さに感銘を受ける。
敢えて断定的に話そうとする橘さん。
「それでも解釈の余地があるよ」と余白を提示してくださる安藤先生。
お二人のキャラクターのバランスが見事な一冊だった。
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社会が豊かになるほど、貧しい家庭よりも豊かな家庭ほど遺伝率が上がる、知能の遺伝率は年齢と共に上がるが、それは20歳位までで、その後の遺伝率の上昇はフラットになる、しかし遺伝子が人生を変えるように、環境も遺伝子の発現の仕方を変える、パーソナリティと知能の関係、知能と政治イデオロギー、知能と障害や精神病との関係など興味深い話満載だった。衝撃的な内容もあったが、結局、自分のできること、得意なことを見つけて、それを追求していくことが一番、というごく普通の結論に至ったことが面白い。圧倒的な才能も圧倒的な努力も答えになっておらず、2割の努力で8割のライバルに勝てることを目標にするのが良いというのは少し救いになった。マクロでみると、社会は遺伝的に危険とされる人達、遺伝的に恵まれない人達とどう付き合うか、どう救済するか、それらを管理することでディストピアにならないのか、答えが見つからない問題も多い。ガタカという映画を観た時は現実性のない話だと思ったが、新しい優性思想をかがげるかもしれない現実がSFにどんどん近づいてきて怖い。
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黒色人種は遺伝の影響で持って生まれたバネが違うから、短距離走で勝てないのは当然、などと普段耳にしていましたが、なるほど確かに身体能力について遺伝の影響が話題に上がることはあっても、知能については遺伝の影響だと話題に上がることはあまりありません。
「努力すれば東大に行ける」などと言いますが、「努力できるかどうか」も含めて遺伝で決まっていると言われると、最初から決まっているのかもしれない。
生物学を専攻していても、少し内容は難解でしたが、結局ほとんどが遺伝で決まってしまうという内容で、なぜかそれを声を大にして言うことはタブー視されている。でも、だからこそ、遺伝の影響は無視しちゃいけない、念頭に置いておかなければいけない、と思いました。
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行動遺伝学の専門家の対談形式で話が進んでおり、かみ砕いて説明しているにしても頻出する専門用語と科学的なロジックを理解しながら読み進めるのに、かなりの労力を要する本であった。
知能やパーソナリティのかなりの部分は遺伝によって決するということや、遺伝子解析から個人の将来をある程度予測できるだろうという衝撃的な見解を、エビデンスを示して説明している。キリスト教が地動説を感情的に否定したように、行動遺伝学を感情論だけで否定や批判することの社会損失についても、合理的な説明がなされている。
結局は、人間の自由意志も遺伝の支配から脱却できないといわれると寂しくも感じるが、人間である以上その事実も含めて考えを止めないことが必要ではないのかと思えた。
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内容は学びが多く面白い反面、「遺伝だからな」と努力をあきらめるようなことが起こってしまうような気がして複雑。
また、年齢の上昇によって遺伝割合が上がるため、英才教育しても思春期位には遺伝的要素影響が出てくるので、親の努力が報われないのでちゃんと理解しておくべき。「あんなに努力したのに裏切られた」と感じる親がいると思うので、違いますよって言いたい。
環境が遺伝子の発現のしかたを変えることがあるのも期待したい部分。
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橘玲さん著の本は殆ど読んだ事がある位、橘玲さんの本が好きなのですが、今回は安藤寿康さんという慶應義塾大学の名誉教授の方と「遺伝」についてタブー無しで切り込んでいる本です。正直な感想は、「難しかった」です。又、従来の橘玲さんの本と比べるとテンポが良くないかな~。全ては私が「遺伝」に関する知見があまりないからなんですが・・・・
「遺伝」の事に話を戻すと、個人的な感想としては、「親からの遺伝は凄く影響しているし、子供にも影響するだろうな~」って事です。難しい本ですが頑張って読んでみて下さい♪
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遺伝子解析の行末(ヒトとしてのタブーに入り込む)
遺伝子学の世界は、遺伝子検査によってヒトの知能、病気や性格など人生でのイベントが見えてくる、という時代になった。「環境にもよる」という説に対しても遺伝子学は人間のタブーの世界「言ってはいけない」域に入りつつある。それはゲノムの編集により病気や性格などを変更することも可能になり、身体的、精神的にも人的操作で変更できる世の中になる、可能性もある、ということだ。 また、遺伝子学の研究にはさらに何歳ごろに死ぬのかなど生まれながらにある遺伝子で病原の発生時期なども解析できる、という未知なる世界へ踏み込んでいると言う。本書は専門用語も多く理解し難い部分も多いが、今後この「遺伝子学」は知らざるを得ない世界になって来たと思う。
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頑張り次第で人生は変えられる、という残酷で無責任な幻想をぶち壊してくれると感じました。
うまく行っていない人、子育てが自分の思うように行かないなと思っている人に一回読んでもらいたい一冊かなと。
もしかしたら救われるかもしれないです。
ただ、難しい言葉や事例が出てきてすんなり頭に入らない箇所があり、読むのが億劫になるところもありました。
一回読んどくと良いと思います。
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知性/能力/性格といった個人の特性。
それらは遺伝の影響を大きく受けており、また歳を重ねるたびにその割合は上昇する。
この事実を直視せず、育児や教育あるいは政治や社会の方針を展開しても、意味は無い。
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運についての話だと思ったら、遺伝の話だった。確かに、遺伝的な話で解決できるところはありと思いますが、実態がわかっていないのも事実。今後の研究に期待する。
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知性と豊富な表現力を備えた方々の対談というのは、本当に面白い。
橘さんが自説や過去の著作で披露してきた知見を縦横無尽に展開するのに対し、安藤さんが防戦的に対応している様子が目に浮かんだのですが、あとがきを読むと、それが安藤さんのスタイルだと理解しました。
安藤さんが説く行動遺伝学の理屈や概念は、私には理解が難しい点もあるのですが、読者の立場から橘さんが確認、言い換えをしてくれるので、助かりました。今後、安藤さんの著作にも挑戦したいと思います。
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流石の橘玲さん。エビデンスベースで良質な物語を紡ぐチカラは圧倒的。安藤寿康さんも凄いんだけど、領域の広さと深さ、言葉の選び方が神がかっていて比較にならない。
人工的なゲノム編集と自然淘汰で環境適応遺伝子が残ってきた事実とは、構造上は同じでも時間軸が圧倒的違う。100万年単位のことが、数年、若しくは数日で可能になる。この事実に二人は気付いていて言及してないのか、気付いていないのか。気付いてないわけないから、言及しても落とし所がないって思ったんだろうな。
ユヴァル・ノア・ハラルが人類は神を目指すって言ったのけど、遺伝子はいつまでもブラインドウォッチメーカーでいた方が幸せだと思いました。
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「言ってはいけない」の橘氏と、行動遺伝学の泰斗である安藤氏による対談形式で、最新の行動遺伝学の研究からから導き出さるれている事実と、その事実を前提に教育のあり方等様々なテーマが議論されるている。
遺伝の影響を受けていない表現型や知能、様々な能力、パーソナリティはないという不都合な事実を正しく認識し、その事実を前提に世の中で起こっている事象を理解しないと間違いを起こしてしまうし、皆が生きやすい社会は実現できない。遺伝的な適正を見つけることが幸せにつながることを教えてくれる1冊。
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いつもの橘節だけではなく対談なので、他の意見も聞けてなお参考になった。印象に残った文章として、安藤さんが言う「確かに行動遺伝学の研究で知能なら60%位非認知能力でも30から40%の遺伝率があることがわかっていますが、ここで測っているのは、あくまでも一般的な知能であり一般的な非認知能力に過ぎません。わかっていない残りの能力に、その人にとっては非常に大事なことがある」と言うが、くだりが参考になった。
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タイトルの「運は遺伝する」という表現は、あらゆる行動や傾向に遺伝子が影響を及ぼす、という意味で捉えると分かりやすい。
遺伝を過小評価すると、環境ばかりに目が向き、教育現場や本人・教師・保護者が過度に疲弊する。
早期教育は親の影響を受けやすいが、成長につれて遺伝的特徴が強まり、能力の方向性が固まる。意図的な環境操作で結果を変えようとする行為は、不確実性が高く、実質的にはギャンブルに近い。
知能と性格(BIG5:開放性・誠実性・外向性・協調性・神経症傾向)には一定の関連があり、とくに知能と開放性には0.3〜0.4程度の相関がある。
行動遺伝学が示す成功戦略は、努力万能論でも才能決定論でもなく、遺伝×環境の最適化という視点。自分の遺伝的傾向に合う場所と行動の選択がベスト(できる?)。
偽悪芸人・橘玲× 行動遺伝学者・安藤寿廉の対談。前回よりも解像度高く読めた(気がする)。再読。
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こちらも、読書家の先輩からのご推薦。「高学歴発達障害」と合わせて読むと、非常に理解が深まった。
1.運すら遺伝している。
環境を選ぶのも正確に起因する。例えば、リスクを取りがちな人は、交通事故に合う可能性が高くなるなど。だから、このように直接的に遺伝子に刻まれていないことも遺伝子が環境を選ぶということが起こり得る。
ビッグファイブ;性格を記述するスタンダードな方法
外向性(社会性)、神経症傾向(慎重性・繊細性)、協調性、堅実性(勤勉性)、経験への開放性(開放性。文化性)、
遺伝子と性格の関連性の例
脳内のセロトニン輸送体の多型で、脳内のセロトニン濃度が変わる。セロトニン濃度が高いと陽気(アフリカなどで多い)に、低いと神経質になる(東アジアやヨーロッパに多い)。
ドーパミンの遺伝子も、新奇性を好むような性格になり。冒険的になるか、保守的か。
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行動というサイコロの試行。
統計の本ってことで、いいかな。
設計図(ブループリント)とは、誕生時に各人に与えられた地図のようなもの。最初の基本であり、唯一であり、自身により書き直すことも、環境からの影響によったりして修正も少々なら可能か?という代物。
そこから如何に自分自身の運を、最適な間引きや篩にかけるか、サイコロを振る、振り続けられるか、なのか。それすらも遺伝ということになるんだろうが。
性格は株式のチャートの移行変位のようにも感じるな。かなり気まぐれ感がありつつも、統合的。
人生ってバクチなのね。いい鉄火場を探すのも大事。
安藤さんは意外と、古典教養好きか。