長山靖生のレビュー一覧
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勉強は一時凌ぎでするものではない。ましてや受験をクリアするためだけにするものではない。生涯、勉強の日々である。大人になれば、そのことがよく分かる。分かっていない大人がいるとしたら、その人はまだ大人ではないということだ。どんな仕事をしていても、技術は日進月歩であり、ふつうに仕事をするためにも学ぶべきことは限り
教育問題は、子供の問題であると同時に社会や制度を構築する大人の問題
作家は鋭敏な感性と文化的素養を持っているが、生活者としては破綻している人が少なくない。そういう人が書いたものを、自分で読みたいと思って読むのはまあいいが、教科書に載せて強制的に読ませるというのは、どう -
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先の大戦へと至る道は、主に注目される政治面や軍事面だけでない様々な面がある。その様々な面の内、この本が着目しているのは教育面。
「哲学館事件」や教科書採用過程における泥々の癒着など初めて知る事は多い。何より南北正閏論争の影響力の大きさには目を見張る。確かに、明治維新の表看板は天皇主権であり、目指した所は建武の新政だ。倒幕の錦の御旗である。その為、史実を無視し、南朝を正当化するのは流れとしては間違いではない。だが、北朝の血を継ぐ明治天皇に、南朝を正しとするのは余りにむごい。また、史実の無視は亡国への道であるように思う。
先の大戦を泥沼に引き釣りこんだのは、明治の教育を受けた者たちであったことを -
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数ページ読むにつれ、凡そその題名から想像していたイメージとは、隔たりあることは否定出来ないものの、出だしから共感できるところが非常に多い。
辛らつで歯に衣い着せぬ内容が連続し、しかも的を得ていると感じる。
勉強をするということは多面的に物事にアプローチするトレーニングであり、実社会でのバランス感覚を養うことに繋がるのだろう。
各章の終わりにお勧め本が書かれており、今後の参考にしたい。
以下、本文抜粋。
『本当にお勉強すべきなのは、我々大人の側なのではないか・・・』
『結局最もつまらぬものを欲しがるあまり、最も大切なものを取り逃がす・・・』
『本当の自分なんて、自分自身のなか以外の、どこに -
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[ 内容 ]
十九世紀から二十世紀初頭、資本主義の浸透と身分制度の解体が進み、現在の社会秩序の基礎が確立される過程の欧米諸国で書かれた「少年少女世界の名作」。
これを単なる子供だましと侮るなかれ。
『十五少年漂流記』に隠された英米仏の領土問題、『宝島』に貫かれているビジネスの過酷さ―。
そこには、近代史の真相、民衆心理、社会の根底にあるさまざまな仕組みやカラクリが隠されている。
世界の見方が変わる一冊。
[ 目次 ]
第1章 経済原理と世界戦略(フランダースの犬―貧しかった日本人にとっての「癒し系」 王子と乞食―偽王が偽造される民主主義への批判 小公子―日清戦争後の母子家庭を魅了した夢物語 -
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[ 内容 ]
日本SFの誕生から百五十年、“未来”はどのように思い描かれ、“もうひとつの世界”はいかに空想されてきたか―。
幕末期の架空史から、明治の未来小説・冒険小説、大正・昭和初期の探偵小説・科学小説、そして戦後の現代SF第一世代まで、近代日本が培ってきたSF的想像力の系譜を、現在につながる生命あるものとして描くと同時に、文学史・社会史のなかにSF的作品を位置づけ直す野心作。
[ 目次 ]
序章 近代日本SF史―「想像/創造」力再生の試み
第1章 幕末・維新SF事始―日本SFは百五十歳を超えている
第2章 広がる世界、異界への回路
第3章 覇権的カタルシスへの願望―国権小説と架空史小説
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「勉強」ということの意味を
身にしみるほどに考えさせられる一冊。
レビュアー自身も偉そうに語れるほど
「勉強」をしているわけではないが、
社会システムの様々なひずみが
社会の構成者の「不勉強」に由来している可能性を
痛烈に示唆しており、衝撃的だった。
とりわけ、「勉強」について
一番まじめに考えるべき教育関係者もまた、
往々にして「不勉強」であるという。
この指摘は、
教育学部で勉強してきた身として悲しくなる。
確かに、教育について物申す人々には
「勉強」を悪しき行為と決め付け、
「勉強」とは独立した
「学び」という概念を提起する教育者も
少なからず存在している。
著者の指摘と照らし合わせ -
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文豪15人の「食」にまつわるアンソロジー。
文豪といっても知っている文豪もいれば知らない文豪もいる。
そもそも文豪の基準ってあるのかなぁ?
名前は知っているけど作品を読んだことがない人は多いのではないだろうか。
アンソロジーの良いところははいろいろな作家の作品が読めること。
森鴎外 「牛鍋」
1800字くらいで4頁しかない短編なんだけど
最初読んだ時に「なんだこれは?」
箸のすばしこい男と箸がすばしこくなろうとしている少女がひたすら牛鍋をを突っつく話。
弱肉強食の世界。
そして「人は猿より進化している」と。
一度読んだだけではなかなか理解が難しいが分かると面白い。
谷崎潤一郎 美食倶楽部 -
Posted by ブクログ
残念ながらリアルタイムでは知らないのですが、萩尾望都の作品が、初期のものからずっと大好きです。母の影響です。小さい頃から、英才教育並みに、実家の書棚に並ぶその時代の少女漫画を読んできました。成長して読み返せば、どの時点で読み返したとしても新鮮に新たな感想を持つような、深みがある作品ばかり。最近の優れた漫画は映画的だなと思うことが多々ありますが、この時代の少女漫画は、文学的なものが多い。萩尾望都はその頂点では?
ちなみに実家の書棚には、竹宮惠子作品は「私を月まで連れて行って」しか並んでなかったです。キュートでオシャレでポップだけど、少しだけ切ないようなSFコメディ。こちらも大好きでなんども読み