長山靖生のレビュー一覧
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平家物語は無常と普遍、栄光と没落を学ぶ最高のテキストだと著者さんは言う。
大震災前から、現在の世の中は、もはや乱世を超えて末世の様相を呈していると著者さんは言う。国土は疲弊し、庶民の生活は逼迫しつつあると。
さらに著者さんは、以下のような分析をなさる。
朝令暮改をくり返す為政者たち(政府)、批判するだけで何もしない貴族たち(野党)、
騒ぎ立てるだけで仕事をしない寺院勢力(学者・マスメディア)...etc.
確かに、どう考えても、現代という末世は、幕末維新ではなく、平家物語の時代に似ているよね。
著者さんは、歯医者さんらしいですけど、なかなか興味深い分析でした。
さらにさらに、戦うは男ば -
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[ 内容 ]
「人間嫌い」というのは、いくらか偽悪的な言い方だが、仲間に甘い顔をせず、自分の信念を押し通す人間は、日本社会ではこう呼ばれる。
それが現実である。
それなら、人間嫌いでいいではないかというのが、まず私の出発点だった。
そうやって「人間嫌い」を標榜してみると、意外とこれがけっこう楽しい。
少なくとも楽である。
友達がいないと不便かもしれないが、別に恥ずかしくはない。
恥ずべきは自分がいないことである。
自分がいてこそ、はじめて本当に他者とかかわれる。
変わり者の多かったあまたの文士の生き方などを引きながら、煩わしい人間関係や世間との距離の取り方を説く。
[ 目次 ]
第1章 人間 -
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ネタバレ[ 内容 ]
本書では、「下流化」につながると槍玉にあげられる「自分らしさ」という価値観に執着し、その価値観がもたらす幸と不幸、欺瞞と真実に、さまざまな作家・芸術家の生き方を通して肉薄する。
自分らしさを貫くために損をし、貧乏をしていた作家・芸術家は数多いが、それでも彼らは己の道を貫きながらどうにか生き延びた。
どうすればそれが可能になったのか。
その観点から見ると、作家・芸術家たちは狡猾に生き残り戦術を駆使していたことが分かる。
彼らの姿は私たちに、自分の生き方や社会のありかたを考える上で、大きな示唆を与えてくれるのではないだろうか。
[ 目次 ]
序章 「自分らしさ」は悪なのか
第1章 -
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[ 内容 ]
開国から五十年後の一九〇四(明治三十七)年、近代化の節目に起きた日露戦争は、国家のイメージ戦略が重んじられ、報道が世論形成に大きな役割を果たした、きわめて現代的な戦争だった。
政府は「正しい」戦争の宣伝に腐心し、新聞は開戦を煽った。
国民は美談に涙し、戦争小説に熱狂した。
大国ロシアとの戦争に、国家と国民は何を見て、何を考え、どう行動したのか?
さまざまな「物語」を通して、日露戦争をとらえ直す。
[ 目次 ]
第1章 誰が戦争を望んだのか
第2章 「正しい」戦争と情報戦略
第3章 戦場の表現者たち
第4章 「露探」疑惑と戦争小説
第5章 架空戦記と大陸への論理
第6章 反戦・厭 -
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[ 内容 ]
八〇年代以降、フリーターの数は増え続け、今や就業人口のなかで無視できない存在となった。
日本の近代史をふり返れば、たとえば「高等遊民」という現象のように、「決められない若者たち」は過去にも存在した。
けれども現代のフリーターは、先進国のなかでも特殊な今日的現象である。
なぜこうした現象が生じたのだろうか?
自らも「オタク」として職業選択に際し違和感を抱いた著者が、労働(仕事)観を切り口に、「決められない」若者たちの気分を探る。
[ 目次 ]
第1章 フリーターに対する社会の困惑
第2章 フリーターは告発する
第3章 決められない若者
第4章 決めつける若者
第5章 勤労を尊敬し -
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勉強とは何かを主題とする一冊。
現代社会の分析から、親の世代には何が不足し何が必要なのか、
若者の世代には何が不足し何が必要なのかについて、持論を展開す
る。
個人的には、共感できる部分もあればそうでない部分もあるのだが、
その分析は面白い。
というのも、分析の基礎となるのは、思想・哲学から学術書にいたる
著者の幅広い読書歴であり、それらの観点から社会を見据えている
ため、この手の分析にありがちな単なるステレオタイプに陥っていない。
全てには共感できないという人もいるであろうが、一つの分析として
読むことは、非常に参考になるといえる。
私が最も強く感じ取ったメッセージは、最終的 -
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2009/
2009/
ねじくり博士 幸田露伴著. 基調作品・ねじくり博士 長山靖生著. 月世界跋渉記 江見水蔭著. 月世界競争探検 押川春浪著. スピードが生まれ世界が小さくなった 長山靖生著. 太陽系統の滅亡 木村小舟著. 超γ線とQ家 南沢十七著. 世相を映し出す滅亡の系譜 長山靖生著. 下女の時代 生方敏郎著. 建設義勇軍 宮野周一著. 夢かうつつかユートピア 長山靖生著. 人工心臓 小酒井不木著. 人間の卵 高田義一郎著. 不老不死の野望の果てに 長山靖生著. 人造恋愛 蘭郁二郎著. ロボットとベッドの重量 直木三十五著. 人間的ロボットとロボット的人間 長山靖生著. 夜のロマンツ -
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最近自分が将来の職を考え始めたせいか内容がそれについてになってしまった。この書では主に「フリーター」が取り上げられている。断っておくが私は断じて「フリーター」になるつもりはない。もし将来好きな事を仕事にした場合、「収入が主観的に満足いくものにはなりにくい」「気分転換にはならない」という悩みが噴出するらしい。自省しても、塾講師のバイトがそれにあたるなと感じた。そして改めて現代日本の労働はNot労使間But既得権益、新規参入希望層に労働対立があることを確認した。これでは数十年後の日本がどうなっているか心配ではある。余談ではあるが、「ドラえもん」に出てくるのび太のライフコースが印象に残った。79年に