佐藤賢一のレビュー一覧

  • バスティーユの陥落 小説フランス革命 3

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    バスティーユ要塞の陥落といえば、フランス大革命の最初の山場である。というより、さらっとした理解では、この陥落こそがフランス革命であると勘違いしかねない。そのくらい印象的な大事件である。確か、オスカルが戦死したのも、このあたりの設定だったと思う。

    実際のところどうだったのかはもちろんわからないけれど、この小説では、ごく普通の人たちが集まって盛り上がっている中でひょいと生まれた、一種の弾みのように感じる。物足りないという漢字もしたけれど、実際のところ当事者にとってはそういうモノなんだろうと思う。そういえば、あくまで小説であって歴史の本ではないから、登場人物は常に当事者である。当たり前のことなんだけど、それが新鮮なのだろう。

    有名なヴェルサイユ行進も同じだ。女たちが集まって国王一家をヴェルサイユからパリに拉致してしまう事件も、実に台所っぽい話になっていて、なんだか、そのあたりで普通に起きる事件のような漢字である。

    ミラボーが戦う姿が痛ましい。革命の最初の頃こそ圧倒的な迫力で革命を前へ進めていたけれど、実はきっちりとバランスを取りながら理知的に物事を運んでいく彼は、そろそろ革命から取り残されつつあり、そうなってしまえば、反動勢力になってしまうのが納得できる。このあとのことを考えると、なんだか切ない。

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    2011年12月25日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    フランス革命を小説でお勉強。
    「はん」とか「ああ」とか書いてある心のせりふが気になる。いわないと思うんだけど。

    解説で、池上彰がこの頃のフランスと今の日本の状態は、似ていると言っていたのが印象的。日本には、リーダーシップをとって現状を打破しようとする者が現れるだろうか。
    しかし、フランス革命ものを読むと、ベルサイユのばらって、やはりすごいなぁ、と思わざるをえない。緻密。

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    2011年12月14日
  • パリの蜂起 小説フランス革命 2

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    三部会が手詰まりになり、いよいよ革命が動き出す。きっかけとなる若き弁護士デムーランの演説は、はじめてこのあたりを勉強した時にかなり夢中になってあこがれたものだけど、この作者の手にかかると何とも拍子抜けするような感じになる。しかし、物事が動いていくというのは、実はそういうことなのかもしれないな、と思ってしまう。

    ひとりひとりの人間はすごく卑近で卑小で、でも渦のようなものを創り出すことができて、ひとたび渦が回転し出すと、そういう人間を次々の否応なしに巻き込んでしまう。そんなことを思いながらも、このほんのラスト近くでの逆転劇には、やはり心が沸き立ってしまうのである。

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    2011年12月10日
  • 傭兵ピエール 下

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    英仏100年戦争時のジャンヌダルクと名もなき傭兵の物語。筆者特有のきめ細やかな描写で、当時の様子が目に浮かぶほど洗練されている。しかし歴史にifがあればという観点で物語が進められているので少し内容が陳腐な気がする。終わり方が少し残念。

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    2011年12月10日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    フランス革命には昔から興味がある。その興味を産んだのが「ラ・セーヌの星」で、育てたのは「ベルサイユのバラ」であるのは秘密だけど。そのフランス革命の物語を、小説として佐藤賢一が書き綴ってくれるというのは、本当に魅力的である。前から読みたいなと思っていたのだけど、ちょっとためらってもいた。佐藤賢一の場合、チラリと癖が鼻につくことがあるからだ。

    読んでみるとある程度は予想通りでミラボーもロベスピエールもみんな、見事に佐藤賢一の登場人物になっている。あわてていうなら、それぞれにみんな魅力的だ。特にタイトルにもなっているミラボーの活躍からは目が離せない。「佐藤賢一の登場人物」と僕が言いたくなるのは、それぞえが誰にも言えない弱さを隠し持っていて、それをグダグダと考えてしまうところなんだけど、そういうところも目を離せなくなってしまうところだ。

    もちろんこの物語がどういうふうに展開していくのかは概ね決まっているわけで、その枠組みの中で彼らがどう生きていくのか、いや、その枠組みをどうして作らざるを得なくなっていくのかが、ものすごく気になってくる。それぞれの持つ弱さの行方が怖いのである。そういう点で、物語がロベスピエールを中心になっていくのがじわりと胸に迫ってくる。流血を予期させるのだ。

    さて、ゆっくり追いかけていくことにしよう。

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    2011年11月23日
  • 日本の1/2革命

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    「歴史は繰り返す」は俗によく言われる言葉だが、実際にどう繰り返されているのか良く分からない言葉でもあります。本書は近年の民主党政権の成立・大地震による影響等のトピックと、人・政治の動きを捉え、「フランス革命」と対比することで共通点を挙げていきます。
    その上で民主党政権の成立をフランス革命の工程の1/2に当るとしているのが面白い。
    この1/2や民主党政権成立に対する評価云々ではなく、単純に類似しているポイントを説明してくれているので、今後の日本で起きそうなことの推論にもなる。自分も現在も混乱が続く日本の政治を、フランス革命と比較しながらウォッチしてみたいと思います。

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    2011年11月14日
  • 傭兵ピエール 下

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    本当は怖いグリム童話がディズニー映画になったような、途方もないハッピーエンド。
    暴力とセックスで最大限までエンターテイメントに味付けされて小説らしくない。
    少年漫画っぽい。(実際漫画化されてるみたいだけど)
    宝塚でも上演されたらしい。
    お芝居のほうが面白いかもしれない。

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    2011年11月06日
  • 日本の1/2革命

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    フランス革命。知っているようでほとんど知らないその実態。勉強になった。1/2という視点は新鮮だった。後半はその繰り返しでもっと違った展開があればとも思った。

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    2011年11月01日
  • カルチェ・ラタン

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    昔に本屋さんで見かけて、読みたいなと思いつつスルーした作品。ネットで安くなっていたので購入。
    思っていたのよりずいぶん壮大な話でその意味では期待はずれだったかも。前半は軽い探偵もの風(シャーロック・ホームズとかに近いかな)、後半が神学論争に重きを置いた感じで、その違いがちょっと不自然なのが否めない。
    エンターテインメントとしても十分楽しめる作品ではあるけど、思っていたのと違ったかな。「神とはなにか」について考えるきっかけにはなるのかも。

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    2011年10月31日
  • 日本の1/2革命

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    今の日本の、不況や東日本大震災を含めた状況と、フランス革命の時のフランスを比較する。書いてるのは池上彰と小説フランス革命を書いている佐藤賢一さん。増税や利権など、確かに似てる部分もあったかも。

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    2011年10月14日
  • ジャガーになった男

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    伊達藩士の寅吉は、支倉常長の遣欧使節に加わりイスパニアに渡る。

    寅吉はわりとどうしようもない男だけれども、ひたすら真っ直ぐなところが嫌味にならない。
    西洋が舞台の時代小説、というのが新鮮で面白かった。

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    2011年10月02日
  • 革命のライオン 小説フランス革命 1

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    やっと面白くなりかけてきたところで、第一巻が終わってしまった…。
    単行本2冊を文庫で3分冊にする意図がわからん。そのまま文庫化すればいいのに。

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    2011年09月19日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    読み物として面白いという訳ではないが、余計な心理描写や興味本位な醜聞の拡大等がなく、カペー朝の概要がつかめる。

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    2011年09月06日
  • 二人のガスコン (上)

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    三銃士とシラノ!!おいしいとこどり!!

    面白くないわけないよね~ていう感じ。
    出来レースぽくてちょっとアレだけど。アレって何

    でも私、「三銃士」ってちゃんと読んだことないから、知識は三谷幸喜の人形劇からのみっていうね。
    浅!!

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    2011年08月13日
  • 双頭の鷲(上)(新潮文庫)

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    男性の登場人物はとても魅力的。

    いつも「男も惚れる!!」てキャッチコピーを付けがちな人を主人公にするよね。佐藤賢一って。

    でもその分いっつも女性がひどい。感情移入まったくできないし・・・つーか扱い悪くない??

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    2011年08月13日
  • カエサルを撃て

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    まあまあ面白かった。エンターテイメント性が強すぎるきらいもあったけど(カエサルの妻をさらう、とか話にムリが…)、お話としては楽しめた。

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    2011年07月06日
  • 日本の1/2革命

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    ブルジョワが指導権をにぎり、ほぼ革命が達成しかけた「人権宣言」あたりまでを半分だとしたら、その後民衆も巻き込んでさらに激しい残り半分があったフランス革命に比べると、日本の明治維新も終戦時の民主主義革命も、後半の半分がない状況、いつも革命は二分の一だというお話。さて、今度の民主党の革命はどこまでいくか。
    印象に残っているのは、「人権宣言」は民主党のマニフェストと一緒、それを実現しようとしすぎると、かえって革命が混乱していく、というくだり。人間は本当に言葉に弱い生き物だと思う。フランス革命自体はその途中から高まっていった残虐性を考えると正直全肯定できないけれど、それでも、巻末に収められた人権宣言は、その内容の崇高さ、言葉の美しさ、理想の高さにおいて、やっぱり人類の宝なのだろうと思う。

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    2011年06月25日
  • カペー朝 フランス王朝史1

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    名ばかりのフランス王位に実力を与えた王朝の物語。教科書クラスの名君の活躍の足場を作った、日陰の王たちの話は目新しく面白かった。続編になるであろうヴァロワ朝も楽しみ。

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    2011年03月23日
  • 二人のガスコン (上)

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    「三銃士」と「鼻」の主人公による冒険活劇。佐藤作品らしく屈折した男たちとして描かれ、だから身近に感じられる。佐藤節がOKなら大丈夫。

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    2011年03月16日
  • カルチェ・ラタン

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    16世紀西洋では,キリスト教が腐敗し,ルターによる宗教革命が起きていた。そんな中,カトリックとプロテスタントそして,そのどちらにも汲みしない人などが論争を繰り広げていた。ドニ・クルパンはそんな時代のパリの夜警隊長だった。ドニとその先生であるミシェルが様々な事件の真相を解決して行く。結局は,ミッシェルは師匠と対決することになる。
    『善は悪よりすばらしい。そんなことは馬鹿にだって分かる。だがな,人間は差はあれ,罪を背負って生きているのさ。単純に善悪を見極めるのではなく,どこまでが許され,どこからが許されないのか,その線引きを慎重に見極める作業こそが,ある意味で人は神学と呼んでいる』
    『かえって考えが近いほど小さな違いが許せなくなる。あからさまな敵同士がにらみ合うなら,相手を軽蔑する気持ちが先にある分だけもっと空気は和やかだ』

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    2010年12月23日