佐藤賢一のレビュー一覧
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キリスト誕生まで50年というフランスを制圧するローマ軍とガリア人の戦いを描く。ローマ軍のガリア総督カエサルとガリア王ヴェルチンが,ガリア人対ローマ人という構図を飛び越え,心の中ではカエサル対ヴェルチンでの戦いになるまでのカエサルとヴェルチンのそれぞれの立場から物語が展開されていく。結局,ヴェルチンは,ローマ軍というよりはむしろカエサルを倒さないとガリアの独立はなく,同時に,自分の勝利も得られないと悟り,カエサルを撃てと叫んでいくのである。最終的にはローマ軍が勝利するが,カエサル対ヴェルチンの戦いはヴェルチンが勝利し,カエサルは運が良かったため,ローマ軍が最終的には勝利したという話になる。
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西洋歴史小説の大家、佐藤賢一によるカペー朝通史です。佐藤先生は小説家ですが、出身が東北大学大学院文学研究科西洋史専攻の博士課程満期退学という歴史学を専門に修められた方なので、史料読解や歴史学的手法はお手の物、歴史科が書いた本と遜色なく信頼できる本ではないかと思います。本の体裁は、パリ伯ユーグ・カペーがフランス王に即位したのを皮切りに、カペー朝各王ごとに区切られた通史となっています。小説家であるため読ませる技術は抜群で、ついつい引き込まれてしまいます。カペー朝といえばユーグ・カペーの他にも尊厳王フィリップ2世、聖王ルイ9世、端麗王フィリップ4世が高校世界史に登場しますが、それ以外にも「アルビジョ
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城、要塞、都市。そのいずれも降伏の印は、開門することだった。開門して敵軍の進駐を許すこと、それは屈辱に満ちた無惨な敗北である。なのに女の仕組みは開門なしには始まらない。ならば泣き叫ぶことこそ道理なのだ。ところが、どうにかすると喜ぶじゃないか。敗北することをもって、喜びとする。敗北し、門をこじ開けられ、侵攻を許すことが、女たちの快楽だった。(p.147)
ジャンヌ・ダルクを軸に巡る物語。100年戦争下のフランスとイングランド。後半は何となく都合よく話が組み立てられているような気がするが、冒険人生の意思は貫かれている。異民族、田舎の農夫の訛り方が楽しい。 -
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おもしろくなくはない。というすっきりしない言い方なのは、最初から最後まで、彼の文体に馴染めなかったからだろうか。文体そのもの、というよりは、題材と文体のギャップに馴染めなかったという方が正確か。これはあくまで私の偏見なのは承知の上なんだけれども。中世のパリに住む人間が「ひええ」と声をあげるなんて、あんまり納得できない。ある意味、リアリティなのかもしれないが。なんかちょっと軽すぎる、とかんじたのも事実。でも、それはあえて彼の目論見なんだろうな。これまで、こういう題材をもとにしたエンターテイメント作品なんてなかったから。この文体ならば逆にすんなり読める、という読者も多いだろう。ただ、私の期待とずれ