乾くるみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初にブツが出てきたときは、ああこれはそういうライトな事件を集めた短編集なんだな、と思った。蒼林堂書店やカラット探偵事務所を読んでいたということもあるだろうが、この臭そうな事件だけで一冊だと想像していた人の方が少ないのではないだろうか。
次々と事件が起こるわけでもなく、場所や時代が変わることもなく、放課後の部室に起きた小さな事件だけで書き切ったのは見事と思う。解説で実話が元になっていると知り更に驚いた。この豊かな想像力と読者を楽しませようというサービス精神が作者の武器なのだろう。
今後も読者への愛情溢れる作品を上梓して頂けることを期待しています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『イニシエーション・ラブ』の乾くるみによるミステリーで、いかにもこの作者っぽい『嫉妬事件』というタイトル。それに期待を寄せて手に取ったとして、まさかこんな予想外の展開を見せるとは・・・どんな鋭い読者でも到底想像できまい!
ミステリーファンが真面目に読んで、「なんだよこれ、ふざけんな!!」と怒っている様子を頭に浮かべるとなんだか楽しくなる。そういう挑発的な題材をあえて選択した作者に拍手したいです。
作中でも言及されるが、死体について推理するのは違和感がないのに、ウンコについて推理するのは違和感だらけって、本当はちょっとヘンなんじゃないの?という提起。
筋立てはミステリーとしてしっかり構築しているのに、ミステリーを完全に茶化しているって、本当に愉快ですよね。『嫉妬事件』というタイトルはフェイントで、実際は『SHIT事件』=『ウンコ事件』なわけですから(笑)
ここまでハメを外した作品を書いてくれると、排便のあとのようにスカっとしますね! 『イニシエーション・ラブ』の衝撃も忘れないけど、この『嫉妬事件』の"笑"撃も、絶対に忘れないと思います! -
Posted by ブクログ
イニシエーションラブ、リピートに続き、読んだのは3冊目。
マリオネット症候群、クラリネット症候群の2作品からなる文庫本。マリオネットの方は、解説にもあった「秘密」「転校生」や新井素子も読んだことがあって私はこういうストーリーが好きなのかもしれない。でも、もっと違った視点から書いてあっておもろかった。
クラリネットの方は、本を読む時にこんなにも頭の中で変換して読み進めたことは初めてで、読みながら頭を使ったけど、それも嫌いじゃないので楽しめた。クスリと笑えるミステリーでおもしろかった。
解説者によると、その間にデビュー作品辺りにさかのぼるのがおすすめらしいけど、そこはとばして最新刊に来てしまった。こうなるとデビュー作品からの何作かも気になってくる。機会があれば読んでみたいと思った。
作品紹介
(「BOOK」データベースより)
ドレミ…の音が聞こえない?巨乳で童顔、憧れの先輩であるエリちゃんの前でクラリネットが壊れた直後から、僕の耳はおかしくなった。
しかも怪事件に巻き込まれ…。僕とエリちゃんの恋、そして事件の行方は?『イニシエーション・ラブ』『リピート』で大ブレイクの著者が贈る、待望の書下し作が登場。 -
Posted by ブクログ
ネタバレSideAの視点では、主人公が実に初々しく、彼の誠実さと真面目さが伝わる文章で、彼女のマユちゃんがトコトコ走ってくる様子など、始終主人公が恋人を愛おしいと思っているのだろうなぁというほのぼのとした印象を受けたのに、 SideBでは、突然冒頭から全く違う印象を受け、美人の同期を細部まで眺める描写や、マユちゃんの堕胎手術の待ち時間にパチンコに行くという不愉快な描写、酒癖が悪く粗悪で暴力的、堕胎手術の付き添いにしても遠距離にしても始終面倒そうにし、自身が入院した時に電話口で心配して泣き出した恋人よりも電話代ばかりを気にする描写、番号の暗記も出来ず、言葉遣いも汚く、浮気女性からはワイルドな印象…。 SideBとしている事から、単純に同じ姓の別人である事は、すぐに分かるし、(あえて分からせるように Sideを分けたのかと思った程)
SideAの初デート時に、あまりに辿々しい主人公の言動や行動に、マユちゃんがスマートに誘導する様や男慣れした話し方、誕生石を当てられて喜ぶ程大切にしているルビーのダイヤリング、金曜日から木曜日への不自然なスケジュール変更、分野違いの本への違和感、1番無理があると感じる渾名の付け方など、初めから、マユちゃんが二股をしている事もすぐに分かってしまう。まさか、紛失した財布の免許証が見つかってラストにタクトだとかタクヤだとかいう名前が出て来て終わりではないよね…などと色々察してしまい、 SideBからは、正直1ミリも楽しめないまま退屈な時間が続き、終了してしまった。
ただ、 SideAのたっくんがえらいピュアでいじらしく、初恋を大切にする描写や話し方や考え方が始終美しいので、 SideAだけを切り取って大切にしておきたい一冊ではあると思った。
また、結局マユちゃんは、自分を本当に大切にしてくれる誠実な男性と出会ったのだから、初恋(イニシエーション)相手のたっくんを経て、成長し、幸せを掴んでおり、男性を見る目があるなぁと思いました。この先また、他の男性と遊びに走るかもしれないけれど…。