増田メグミのレビュー一覧
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読み慣れない単語(漢字)が多く、当初から読書スピードが上がらなかった。
「まぁ慣れてないからこんなものだろう」とサクサク読み進められないもどかしさは、ひとまずあっちの方に放り投げて読み進めることに。
けれど読み進めれば進めるほど、違和感は募る。
「●●には××には」などといった文章的な間違いや、
「~だった」「~した」を連用しているために起こる単調さが目につきはじめる。物語というより報告書を読んでいるような。
主人公についても大部分は『翠蘭』と表記されているが、突然『公主』となっていたりする。周囲の状況を鑑みれば、公の部分だから『公主』と表記されてるのかな…と思えなくもないけれど、誰もがそれを汲めるわけでもないだろう(特にこれはコバルト文庫、10代の少女向けだ)から、混乱してしまうのではないだろうか?
10代の少女でもない私も、若干混乱した(威張れない)
史実に基づいたお話だそうで、今巻はさわりの部分らしい。
続きには、きっと興味深い顛末が待っているのだろうなとは思う。
けれど、続編を読みたいか、と尋ねられると即答できない自分が、ちょっぴり残念。 -
Posted by ブクログ
“「お嬢様、その男から離れて下さい」
墓地への立ち入りを禁止されているヴォルグは、鉄柵の前まで来ると、ガシャンと音を立てて手をかけた。
「コルドン伯爵、何お嬢様に色目使ってんですか。あんたは頭の線が切れたあの女と、よろしくやってりゃいいんですよ。大体何ですか?あんたはお嬢様みたいに凹凸のない幼児体型が好みなんですか?幼女趣味ですか?」
悪い目付きで鉄柵越しにジェイクを睨み、ヴォルグはどう考えても、フィナに対して失礼としか言いようのないことをまくしたてる。
『ヴォルグ、あなたは人のこと言えないと思うの』
フィナが穏やかに言うと、ヴォルグは自信満々な顔でフィナを見た。
「ご安心下さい。俺はお嬢様に拾われたあの日から、幼女趣味に目覚めています」
『そうだったの?よかった』
笑顔でそう答えたフィナは相当大物かもしれないと、ジェイクは本気で思った。
「お嬢様、幽霊だろうと幼児体型だろうと、女性が不用意に男に近付くのは危ないんですよ。特にこういう何を考えているか分からない男は、変質的な性癖の持ち主に決まってます」
ヴォルグが甚だしく偏った主張をしたところで、開いていた玄関からソイが姿を見せた。
「ヴォルグお前、何サボってるんだよ。掃除しとけって言われただろ」
気の良い笑みを浮かべながら、大股で歩いて来ると、彼はヴォルグの背骨に素早く膝蹴りをかました。げふっと呻いたヴォルグの首根っこを捕まえて、館まで引きずって行く。
「主人に対する口の利き方を少しは弁えろよ」
怒りのこもったソイの言葉に、ヴォルグは反抗的な態度を見せた。
「俺の主はお嬢様で、コルドン伯爵じゃねえよ。つーか、てめーに指図される覚えもさらさらねえ」
「いい度胸だなクソガキ」
さほど歳の変わらないヴォルグを頑なにガキ扱いし、ソイは彼を館に放り込む。
二人を見送って、フィナはジェイクを見上げた。
『ジェイクくん、あれがいい見本だよ。分かった?』
「何がだ?」
意味が全く分からず、ジェイクは怪訝な顔で問い返した。”[P.124]
4巻目。
またも面白くってにやけてしまう。
リゼットは少し見当付いてたけれど、ブライアンが正直意外だった。
一瞬ただ生きたかっただけかと思ったけど、愛が故のあの芝居。
個人的に好きな締まり。
今回は家人たちがいい味出してて。
ソイとハロルドの幽霊の押さえ方は今回が初出だった?ハロイドが意外で少しびっくり。
前回綺麗に心温まる感じに思ってたのに、ヴォルグこ、これでいいのか。
アシェリーゼとフィナの二人のやり取りが楽しい。
“「話をした時、夫人は何か知っている風でした。……けど、何というか……深く追求し辛かったというか……。正直に言うと、怖くて聞けなかったというか……」
ジェイクの頭の中を疑問が渦巻く。
いったいどういうことだろうか?
彼女がダグラス・ローをかくまっている?
何のために?
答えを知りたいのなら直接聞いてしまえばいい。いつもの自分ならすぐにそうしたはずだ。
けれど、今のジェイクはそれをして正しい答えを得る自信がないのである。
下手な嘘をつかれるならまだいいが、彼女はジェイクを拒むかもしれなかった。
それを想像すると、踏み出すことに躊躇いを感じる。
固まってしまったジェイクを案じたのか、ブライアンは再びグラスに酒を注いだ。
「お疲れですよね。面倒ばかりおかけしてすみません」
ため息交じりにそう言うと、ブライアンは手酌で注いだ酒をあおった。
それを見てジェイクは、彼もまた、愛する少女の奇矯な言動に振り回されている男の一人なのだと思い至った。それを思うと、奇妙な同族意識が感じられる。
ここはしばらく、厳しい言葉を浴びせられてばかりいるジェイクは、疲れた精神を麻痺させるように、グラスの中身を一気に乾した。”[P.179]
20160823 再読 -
Posted by ブクログ
“「では、参りましょうか」
最後に愛らしく微笑んで、サアラはエリオスに歩み寄り、腕を取った。
「何するんだよ!」
エリオスは、すごい勢いでサアラを振り解く。
「何って、そのためについて来て下さったのでしょ?」
にっこりと微笑んで、サアラは再びエリオスの腕に手を回した。
「それとも、お父様が傍にいないと不安ですの?」
「なっ……そんな……わけないだろ」
仏頂面に戻り、ぷいと顔を背ける。しかし、もう腕を振り解こうとはしないあたり、扱いやすい少年だ。サアラは可笑しそうにくすくすと笑う。
「頼もしいですわね。もしも私が怖い人に苛められたら、どうか守って下さいな」
「そんな命知らずが、この世のどこにいるんだよ」
エリオスは呆れたような半眼で、サアラを見下ろした。”[P.35]
3巻目。
合理的拘束とか思いつ。
殺意に走る主人公お嬢様なんて初めてだ…!
一番可愛いのはアシェリーゼさんに違いない…。
他の女の子みんな色んな意味合いで強すぎる。
知り合いには欲しいけど絶対敵に回したくない。
フィナちゃんも増えて次が楽しみ。
“「お嬢様のいない世界で、どうして俺が生きていけると思うんですか!俺が要らなくなったなら、はっきりそう言って下さい。今すぐ死んでやりますよ!!」
混乱したまま、ほとんど脅しのように怒鳴る。
「お嬢様に拾われた時、俺の人生の全てをこの人に捧げようと決めたんです。お嬢様のいるところが、俺の居場所だ。だからもう……俺の前からいなくならないで下さい」
『私は……あなたに何もしてあげられないよ』
フィナは諭すような目でヴォルグを見上げた。
「そんなのどうでもいいんです。どうか俺を、お嬢様の傍に置いて下さい」
睨むようにフィナを見つめ、ヴォルグは必死に懇願する。握り締めた拳が微かに震えた。
『本当にそれでいいの?』
「そうしたいんです。ダメだと言うなら、死んで幽霊になって、お嬢様に付きまといます」
その言葉を聞き、フィナは啞然とした顔でヴォルグを見上げてきた。そして弾かれたように吹き出すと、体を前に折って、くっくと笑う。
ひとしきり笑うと、フィナは顔を上げてヴォルグを見た。
『分かった。いいよ、傍にいても。うん……傍にいて』
フィナは観念したように、目を閉じて微笑んだ。”[P.240]
20160811 再読 -
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“オリガは窓の向こうの風景に意識を戻し、カーテンに手を添えたままうなずいた。
そもそも告白したのがまちがいだったのだ。死者の、死の直前の行動の残像が見えるという力で、だれかを助けたのははじめてだった。そのせいで浮かれていたのかもしれないし、ロジオンに対して的外れな仲間意識を抱いたのかもしれない。
だが、彼はオリガの仲間でも味方でもない。そのことを忘れてはいけない。
「気をつけなくちゃ」
もう二度と、自分の奇妙な力のことは他人に話さない。
オリガは、もう一度うなずき、ワシーリーの様子を確かめるために部屋を出た。”
事件が二つも続いたことには正直そんなに詰め込むかと思いつつ。
主要登場人物同士の掛け合いは少なめだけど楽しめた。
あと食べ物の描写が丁寧で堪らん。
“オリガが鍵を開けると、ロジオンが静かに門扉を押し開いた。
日常的に開閉されていない門扉は、存外に大きなしきみを響かせた。
「油を注したほうがいいな」
ロジオンがつぶやき、オリガに手を差し出した。
オリガが、その手に鍵を載せると、一瞬の沈黙の後、ロジオンが噴き出した。
「ちがうよ。暗くて危ないから、手を引こうかと」
「...わたし、そんなに老人じゃないわ」
オリガはぷいと横を向いたが、ロジオンが手を引っ込めなかったので、しぶしぶ彼の手に自分の手を預けた。
ロジオンの手は温かかった。
そのせいで、オリガは自分がふたたび寒さを感じはじめていたことを自覚し、ロジオンの手の感触に心地よさを覚えた。
馬に乗っていたときと同じだ。目的地を目指して移動している最中なのに、ずっとこのままでもいいという気持ちになってしまう。
だが、そんな気持ちは認めたくなかったし、表にも出したくなかった。” -
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“「だいたい、人を思いきり叩いてくれちゃって。傷とか残ったらどうしてくれるのよ。私の顔に傷が残るなんて、世界の損失だわ」
メイドとしてかぶっている猫の都合上、他のメイドたちに混じってマイヤーを罵るのはいただけない。誰も聞いていない今、吐き出すだけ吐き出してやろうとシャーロットは思った。
「叩かれただけで終わるなんて勿体ないわよね。折角お坊ちゃまが見てたんだもの。使わない手はないわ。面識があるわけだし、上手く同情引けないかしら。それでいつか院長先生に——っ!?」
——ガタッ。
突如、背後でドアが音を立てる。シャーロットは反射的に振り返り、驚きに目を瞠った。
(ちょっと、なんでいるのよ!)
そこには、ドアノブに手をかけた状態のまま視線を泳がせているエロールがいた。入るのに躊躇してたら、なにかの拍子に思わず手に力を込めてしまった、といった状況か。開けようとしてドアを開けたわけではなさそうな雰囲気だった。”
シャーロット視点で読んでたら苛立つのって、あともう一発ぐらいリザ達にパンチが欲しかった。
“「じゃあ、『シャーロット』って、やっぱり......」
誰かがぽつりと呟いたのを皮切りに、驚きが波紋のように広がっていく。
伯爵が、ぽかんと口を開けた。
「早く会いたいわ。クラウスさん、シャーロットはどこに?夜会の準備で忙しいのかしら?」
最初にこちらを向いたのは誰だっただろう。階上にいる者も階下にいる者も、一人また一人と視線を走らせ、シャーロットの姿を見つけて止まる。
みんなの視線に釣られるようにメロディも上を見る。——目が、合った。
「まあ、シャーロット!」
喜びの声を上げたメロディはしかし、すぐに首をかしげ、白い頬に指を滑らせる。
「どうしてメイドの格好をしているの?あなたは何を着ても似合うけれど、さすがにその格好で夜会に出るのはまずいのではないかしら?」
心底不思議そうな声が、玄関ホールに嫌というほどよく響いた。” -
Posted by ブクログ
“「承知しています。ですが、私が主と同じく、サアラお嬢様とジェイク様の行く末を、心から気にかけているのだということは、どうかご理解下さいませ」
サアラは笑みを引っ込めると、曲げた指を口元に当てて、マリエッタを見やる。
一見女性らしい柔らかさを持ちながら、実は大変男前なこの侍女を、サアラはどうも嫌いではないのだった。男性の好みが近いせいだろうか?
「あなたは、おじ様が好きなのですわね」
尋ねるわけでもなくつぶやくと、マリエッタは虚を衝かれたように一瞬動きを止めた。
「主に忠誠を尽くすのは、当然のこと。それ以上のことなどありません」
「おじ様はとても素敵な紳士ですから、あなたが心を奪われるのも、無理のないことだと思いますわ」
「......あの、サアラお嬢様。私の話を聞いていらっしゃいませんね?」
マリエッタは、微かに困ったような顔をする。
「もちろん聞いていますわ。ジェイク様の良さが分かる女は、この世に私一人でいいというお話でしょう?あなたは、分かりやすく魅力的な紳士に、魅了されていればよろしいの」
にっこりと微笑むサアラに、マリエッタはふわりと柔らかく笑った。
「我が主から、サアラお嬢様とまともにやりあうのは、大変だと聞かされていました。その意味が、よく分かったような気がします」”
今回も良かった。
サアラの行動/言動楽しいなぁ。
続編欲しい。
“ジェイクを見上げたまま、サアラは聞いてみた。
「私が殺人鬼になったら、ジェイク様は庇って下さいますの?」
言葉の不吉さと裏腹に、朗らかな笑みを浮かべる。
「.........出来ないだろうな。するべきだとも思わない」
ジェイクははっきりと言った。ジェイクならそう言うだろうと思ったサアラは、愛らしく笑ってみせた。
「どうか安心なさって。私が殺人を犯す時は、完全犯罪を目指しますから、庇って下さらなくても大丈夫ですわ」
不届きな宣言をするサアラを、ジェイクは呆れたような目で見返す。
「そんな時が永遠に訪れないことを祈るよ。レニー・ガスティンの真似は、どう考えても出来そうにない」
サアラは、真顔でそう言うジェイクの顔を覗き込む。
「ジェイク様は、人を好きになったことがないのですものね?」
夫婦として有り得ないことを平気で口にして、サアラは笑った。サアラはそれで構わないと思っている。一生かけて好きだと言わせてみせると決めたのだ。
しかし、ジェイクは眉をひそめ、おかしなことを言い出した。
「そうだな......そのはずだ。だが、レニー・ガスティンは、私がきみに惚れているのだと言っていた」
「はい?」
思いもよらないことを言われ、サアラはきょとんとした。”
20160806 再読