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Posted by ブクログ
“オリガは窓の向こうの風景に意識を戻し、カーテンに手を添えたままうなずいた。
そもそも告白したのがまちがいだったのだ。死者の、死の直前の行動の残像が見えるという力で、だれかを助けたのははじめてだった。そのせいで浮かれていたのかもしれないし、ロジオンに対して的外れな仲間意識を抱いたのかもしれない。
だが、彼はオリガの仲間でも味方でもない。そのことを忘れてはいけない。
「気をつけなくちゃ」
もう二度と、自分の奇妙な力のことは他人に話さない。
オリガは、もう一度うなずき、ワシーリーの様子を確かめるために部屋を出た。”
事件が二つも続いたことには正直そんなに詰め込むかと思いつつ。
主要登場人物同士の掛け合いは少なめだけど楽しめた。
あと食べ物の描写が丁寧で堪らん。
“オリガが鍵を開けると、ロジオンが静かに門扉を押し開いた。
日常的に開閉されていない門扉は、存外に大きなしきみを響かせた。
「油を注したほうがいいな」
ロジオンがつぶやき、オリガに手を差し出した。
オリガが、その手に鍵を載せると、一瞬の沈黙の後、ロジオンが噴き出した。
「ちがうよ。暗くて危ないから、手を引こうかと」
「...わたし、そんなに老人じゃないわ」
オリガはぷいと横を向いたが、ロジオンが手を引っ込めなかったので、しぶしぶ彼の手に自分の手を預けた。
ロジオンの手は温かかった。
そのせいで、オリガは自分がふたたび寒さを感じはじめていたことを自覚し、ロジオンの手の感触に心地よさを覚えた。
馬に乗っていたときと同じだ。目的地を目指して移動している最中なのに、ずっとこのままでもいいという気持ちになってしまう。
だが、そんな気持ちは認めたくなかったし、表にも出したくなかった。”
Posted by ブクログ
19世紀帝国制のロシア。
主人公のオリガは15歳。
絵を描くことが好きで、華やかなことや女の子らしいことよりも、
日がな動物や植物の絵を描いて過ごしている。
そんな彼女は、7歳のとき、父親の死を発見したときから、
人並みはずれた能力を得たことに気づく。
そのことを一人胸に秘め、
叔父に養われそれでも幸せに暮らしてきたオリガは、
また少年の死を発見する。
少年の死の謎を解明しようとする彼女の前に、
新しく近衛連隊から左遷されてきた警察副所長・ロジオンが現れる。
コバルトにしては珍しいサスペンス。
もはや毛利さんはコバルトではなく一般書から出版した方がよいのでは、と思う。
文章も卓越しているし、内容も十分一般書向け。
だけど、毛利さんのお話しが可愛いイラストで観られなくなるのはやっぱり悲しいから、
ご本人がそのままをのぞんでいらっしゃるなら願ったりかなったりですな。
ロジオンが素敵すぎる。
みんなそれぞれにキャラクターがあって素敵なのだけれど、
ロジオンの、優しい察しの良さ、包容力、しかしてなお朴訥ささえあるという。。。
素敵すぎます!!
表紙からしてオリガとロジオンの話であるということは一目瞭然。
オリガも、大人への成長途中のジレンマが見えて、
今後の成長が楽しみ。
ロシアの世界観も、これからどう広げていくのかも、期待大です。
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