増田メグミのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
“「それは無理だ」
ジェイクは今までにないほど、強くはっきりと即答した。完全な無表情を貼り付けて、何を考えているのかなど欠片も覗かせなかった。言葉の強さに驚いたのか、エリオスも驚いた顔でジェイクを見上げた。
「私はきみを幸せにはできないよ。私は人を不幸にする性質の人間だ」
ジェイクはそう続けた。サアラは自分の言葉が、歪んで伝わってしまったことに少しがっかりして、口を尖らせた。
「私は幸せにしてほしいなんて、一言も言っていませんわ。私は幸せになりたいのではなくて、幸せでありたいんです」
言葉遊びのようで意味が分からなかったのか、ジェイクの無表情に少し不可解な色が混じった。サアラは胸に片手を当てて、堂々と言ってのける。
「昔も今も変わりなく、私は充分幸せです。ただ、最期の時まで幸せであり続けるために、私は与えられた状況の中で、最善を尽くしたいのですわ」
力強くサアラが言い放つと、ジェイクは何だか不思議そうな真顔になった。
「きみにとっての幸せとは、何だ?」
そんなことを聞かれるとは思わなかったので、サアラは少しびっくりして目を見開き、ジェイクを見つめた。そしてにっこりと微笑む。
「私にとっての幸せとは、私が私であることを後悔しないということです」”
新鮮。
主人公の性格が何より新鮮。
すっきりするなー。
傲慢にも生意気にも性格が悪いようにも見える本音を隠さないずばっとした物言い。
自分が美人であることさえも武器に使うような。あと人を観察するのに長けている。
この世で一番恐ろしいものは生きている人間でそれは誰しもが残虐にさえなれる『悪意』を持っているからで。
けれどそれと同じくらいに人間は優しさを愛情を持っているから生きている人間を好きになれる。
達観してらっしゃる。
ジェイクの性格も良いなー。優しい人だ。
“「ねえ、ジェイク様。私を不幸で可哀想だとお思いになる?」
最初と同じ質問に、ジェイクは難しい顔をして考え込んだ。
「………それはよく分からないが……君がとてもずるくて強かな人間だということは、よく分かった」
そんなことを言う。意外な事を言われてサアラは頬杖をついたまま首をかしげた。
「まあ……、ずるいですか?」
傲慢とか、生意気とか、性格が悪いとかは言われたことがあるが、ずるいと言われたことはあまりない。不思議そうに眉をひそめたサアラに、ジェイクははっきり言った。
「きみはずるいよ。幼い頃の傷や痛みを武器にして相手を攻撃している。そんな……自分をも傷付けるような武器を使う人間など、そうはいない」
そう言いながらも、ジェイクの口調に責める気配はなかった。
サアラは誇らしげに指先を自分の胸に当て、凄艶な笑みを浮かべた。
「ええ――私、使えるものなら何でも使って戦いますわ。だって、私は私しかもっていないのですもの」
他のものなど、もう何一つ持っていない。だから、傷だろうと痛みだろうと、使えるなら使う。
「強かだな」
ジェイクは呆れたようにつぶやいた。”
20160803 再読 -
Posted by ブクログ
不思議な青年に、人形のような少年。
訪ねて行った先であったのは、そんな奇妙な2人組。
藁にもすがっていなかったら、確実に回れ右、しそうです。
事は単純で、そこに仕込まれた罠も分かりやすいもの。
まだまだ時間があるというのに、もう少し考えればよかったのに…と
犯人に対して思ってしまいました。
まぁこのメンツが出た時点で、色々計画倒れそうですが。
2人の関係もこれからどうなっていくのか、とか
すごく知りたいです。
いやでも想像してる方が楽しい?w
確実に跪き関係にはなりそうですが。
いやでも最後、気になります。
この後どうなるの、とかもありますが、是非とも巻き上げて下さい、とか
お勧めしたくなる感じです。
ここまで親子関係がさっぱりしていると、ある意味素晴らしいかと。
うん、遠慮がいらなくていいと思います。 -
Posted by ブクログ
19世紀帝国制のロシア。
主人公のオリガは15歳。
絵を描くことが好きで、華やかなことや女の子らしいことよりも、
日がな動物や植物の絵を描いて過ごしている。
そんな彼女は、7歳のとき、父親の死を発見したときから、
人並みはずれた能力を得たことに気づく。
そのことを一人胸に秘め、
叔父に養われそれでも幸せに暮らしてきたオリガは、
また少年の死を発見する。
少年の死の謎を解明しようとする彼女の前に、
新しく近衛連隊から左遷されてきた警察副所長・ロジオンが現れる。
コバルトにしては珍しいサスペンス。
もはや毛利さんはコバルトではなく一般書から出版した方がよいのでは、と思う。
文章も卓越しているし、内容も十分一般書向け。
だけど、毛利さんのお話しが可愛いイラストで観られなくなるのはやっぱり悲しいから、
ご本人がそのままをのぞんでいらっしゃるなら願ったりかなったりですな。
ロジオンが素敵すぎる。
みんなそれぞれにキャラクターがあって素敵なのだけれど、
ロジオンの、優しい察しの良さ、包容力、しかしてなお朴訥ささえあるという。。。
素敵すぎます!!
表紙からしてオリガとロジオンの話であるということは一目瞭然。
オリガも、大人への成長途中のジレンマが見えて、
今後の成長が楽しみ。
ロシアの世界観も、これからどう広げていくのかも、期待大です。 -
Posted by ブクログ
誰の『うつつ』で誰が『うつつ』だったのか。
前巻の最後の言葉の意味がようやく分かった
怒涛の1冊でした。
これはあの上下巻と同じ状態じゃないか、と。
またあっちこっちごっちゃになって疑心暗鬼に囚われて…。
戦争ですから、それは仕方がない事とはいえ
恐ろしいほど保身に入ってる人達の何と素早い事か。
あきれを通り越して、いっそ感動してしまいます。
それを言ったら主人公もですがw
すごい強運といいましょうか、色々してくださいますね…w
疑問に思っていた王太后や遊牧民も、ちゃんと解決するようですし。
とりあえず、暫く平穏に暮らして欲しいものです。 -
Posted by ブクログ
やっと『全て』が終わりました。
平和とは言い難い終了。
しかも〆は彼女!!
いやでも色々と急スピードで終わりました。
そして色々とやっとつじつまが合いました。
道筋は予測できたのですが、どうしてここに至ったのか
それだけが分からなかったんですが、その辺りはすっきりでした。
しかしあの前半の戦闘はすごかったです。
これほど己しか信じられない、疑心暗鬼状態でいたくないです。
それを乗り越えるまで、どれほどの体力と精神力が必要か。
先がやたらに気になって仕方なかったです。
が、その後が気になる終わり!
というより、むしろ年の差カップルはどうなったのかが気になります(笑)