植田亮のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
普通に転がったなら、必ず何処かで致命的な結末を迎えるしかなかったはず。そんな物語に、音楽というこの世で最も強い力が、様々な魔法を起こします。それは時に甘美な奇跡を与え、また時に、悪夢のような悲劇をももたらすのです。
音楽というエッセンスがこの小説に与えている効果は絶大で、驚くほどに馬鹿で鈍感で純粋な主人公が、艱難を乗り越えて奇跡のようなハッピーエンドを手にするのも、要所要所でクリティカルな役割を果たす音楽の力の存在があるからこそ。そしてそれが杉井さんの圧倒的な描写で描かれた音楽だからこそ、不思議な説得力があるのだと思います。
終盤は興奮してまともに文章が頭に入ってこなくて、何度も読みなおさな -
-
-
-
Posted by ブクログ
今回も杉井さんの作品です。「さよならピアノソナタ」です。
正直、クラシックの話が主になのでクラシック音楽の知識があるとより面白くなる作品でした。
この作品はものすごくヒロインが自分と思ってることと裏のことを口にする女性だなと本を読んで思いました。
すごくかまってちゃんなんだけど、自分に課せられた運命のせいで突き放さざるをえないというのもわかってきます。
話は束で一気に紡ぐんではなく、丁寧に一本ずつ紡いでいって読みやすい作品となっています。
音楽のテーマされててボク得テーマの作品でした。
最後も次に繋がる終わり方してて早く読みたいとうずうずしてます。 -
- カート
-
試し読み
-
-
Posted by ブクログ
全5巻で出逢いから結婚まで。
買ってからずっと積ん読していたんだけど読み始めたら一気に全巻読んでしまった。
もう、すげぇ良かったですよ。積ん読してたのを後悔しました。
ラノベで恋愛っていうとほとんどがラブコメっていうグルグルと終わらない話なんだけど、これはちゃんと終わるとこが良い。
主人公があまりにも鈍すぎてイライラするんだけど、言葉で伝わらない部分は全て音楽で補ってた。
音楽シーンでの感情の表現が読んでてドキドキした。
今まであまりクラシック聴いてこなかったけど聴いてみたくなった。
ビートルズに関しては、ベストを買ってしまった。
主人公たちのバンド名のもとになったブラックバードも一度聴 -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本編の後日談とサイドストーリーの短編集。
なんと言ってもナオの真冬へのプロポーズが見れたのが幸せ。
幸せな二人のその後が読めてよかった。
それにしても相変わらずナオは鈍感だ(笑)
一辺死ぬべきだと思う(爆)
その他の話は、どれもすごく切なかった。
橘花の想いも、
神楽坂先輩の過去も
ユーリの恋も
みんな、苦しいほどに真剣で、そのくせ、自分を誤魔化したり隠したり出来なくて、そして、傷ついても前に進もうとする。
うん。どれも心に響く話だ。
オヤジさんは相変わらずだけどね(笑)
それにしてもこのシリーズの登場人物はみんな魅力的。
その中でも神楽坂先輩はほんとすばらしい! 惚れる!
十分満足し -
Posted by ブクログ
ネタバレ恋と音楽の青春物語最終巻。
緩やかに温かくホッとする終わり方だった。
自分の恋する気持ちを自覚したナオ。
けれど真冬の気持ちがわからないくて、それでもなにかを期待してしまう。
だから、今までよりもずっと関係がぎこちなくなってしまうのだ。
ああ、この感じ。青春だなあ。
恋する気持ちを持て余して、告白したくて、でも出来ない怖さ。
ナオは確かにへたれだ。
けれど、その怖さは実によくわかる。
その一言を告げることがそれまでの関係の終わりを意味する。
その恐ろしさ!
そして、そんな中、先輩の行動と気持ちに振り回されて、そればかりか、真冬が現実にいなくなるかもしれない事態に翻弄される。
物語は苦しく切な -
Posted by ブクログ
読み終わってちょっと感動してしまった。
ラストの真冬の動揺からの流れがジーンと来る。
シリーズ三冊目は、最初、いくつものエピソードの寄せ集めに見えて、実はナオの本当の気持ちと真冬の復活へ道程だった。
そのきっかけは、やっぱりライバル(?)ユーリの登場が大きい。
彼の登場でナオは真冬のことを、彼女の傍にいたいという気持ちを
絶望の中で強く自覚する。
だから、ようやく自分の気持ちに気づけたんだ。遅いよ!(笑)
でも、真冬たちの気持ちにはまだ気づけてないけどね(バカ・笑)
そして、ラストの真冬がピアノを再開した真実と、再び傷ついた彼女を立ち直らせる事の出来た二人の絆。
うん。心が震えた。
よかっ -
Posted by ブクログ
音楽と青春の物語、第二弾。
今回は端的に言うと、『囚われの少女を助け出す少年』という王道の変形バージョン。
いや、違うか?(笑)
でも、まあ、消えた少女を少年が捜し出す話……だな?
バンドに加わった元天才ピアニスト少女・真冬。
仲間たちと熱いセッションを奏でながらも、彼女が心を開いているのは、たぶん、ナオだけなのだ。
そして彼女がバンドにいる理由も、また。
表面わがまま三昧な彼女は、でも本当はただ人付き合いが苦手で、自分がバンドにいる理由の身勝手さに後ろめたさを感じているのだ。
そんな彼女がバンドから逃げ出した時、彼女がその場にいる理由を肯定し、強引にでも引っ張ってこられるのもまた、ナ -
Posted by ブクログ
なんというか、すごく引き込まれる青春物語。
こういうの自分の好みだ!
筋立てや登場キャラはとても王道的。
印象的な出会い。
突然の再会。
なにかを抱えている少女。
一癖も二癖もある先輩。
反発。競い合い。共鳴。
そして小さな奇蹟。
そんな典型的なエピソードの、けれど、その一つ一つがとても印象的で、どんどん物語の中に引き込まれてしまう。
表現も非常に豊か。
クラシックやロックの調べを語る言葉が印象的だ。
自分が元の音楽を知らなくても、じゅうぶん音が鳴り響いた。
ラスト、次へと繋がる展開の中で、おそらく物語の行く末としては、傷ついた少女の本当の復活へ向けて進むことになるのだろう。
その -