大前研一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
著名な経済評論家の大前さんと、ユニクロを育ててきた柳井さんが往復書簡のような感じで「今の日本はダメだ。もっと世界に目を向けないと」と訴えている本。こういう本ってやっぱり面白い。正直なところ、お二人にはそれほど好感をもっていなかったんだけど(というか別世界の人って感じだろうか)、(わが身を棚に上げておけば)わりとうなずけるところも多かった。
理論家の大前さんと実践家の柳井さんとだと、失敗をしていないぶん大前さんの言うところのほうが、論理だっていることもあり素直にうなずける。柳井さんのほうはある意味、企業の立役者にありがちな厳しさや無茶を強いるような感じが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ<プロフェッショナルの定義>
・「ヒポクラスの誓詞」の九か条 の医を「仕事」患者を「顧客」に置き換えて読む。
・1990年、ボーダレスワールド上梓前に寄稿したHBRの当時の編集長セオドア・レビット教授の言葉「企業は商品やサービスを通じて、あなたを100パーセント満足させますという『誓約』を販売しており、顧客はこの誓約を購入している」と喝破しています。
・会社の論理で行動することは、とてもプロフェッショナルと呼べないばかりか、これからの時代、ヤバいのです。そのためにも、どんな仕事にも顧客がいることを肝に銘じて、そこへの献身を誓うべきなのです。
<先見する力>
・真に有効なソリューションは、ジャングルの中で、個々のビジネス・プロフェッショナルが各自で見出すほかありません。それには、だれの目にも見えないものを誰よりも先に明確に認識する力と、ビジネスチャンスを見出した瞬間に最高の方法でそれをもぎ取る気概が必要なのです。
・一夜にして成功モデルが覆り、どこからともなくライバルが出現する時代にあって、すべての課題について用意周到な考察と論理的な分析を施すことは不可能です。だからこそ、新たな出来事を目の前にした時、自分の直感だけが頼りとなるのです。
<構成する力>
・(イリジウムについて、通話品質、高料金など)こうした質的な欠点や欠陥もさることながら、最大の痛手となったのは、計画からサービス開始までのわずか数年の間に、セルラー方式の携帯電話が飛躍的な進化と発展を遂げたことです。技術革新のスピードとユーザーのニーズの所在を冷静に見極め、これを事業に反映できなかったためにイリジウムが先見したはずの市場はライバルたちにさらわれてしまいました。成長市場を制するどころか、その入り口で致命傷を負ったのです。
・現在進行形の事業・変化には、必ず何らかの力が働いてます。これをまっキンゼーではFAW(forces at work:作用する力)と呼びますが、まさにこの激流のなかの本当に重要な力が何かを見抜いて、それを外挿し事業の構想を練るという作業が、いま最も価値の高いものであると考えられています。たくさんのシナリオをつくってはいけません。たくさんのシナリオのから成功への必要十分条件をみたしているものを一つ選択肢、タイミングよく実行することが必要なのです。
・まず、自分が目指す事業の核となるものを狭く定義し、追随を許さぬ深さを追求することが重要です。これをとことん考え、日本の家庭におけるピアノの普及を世界一にしたのが、ヤマハの中興の祖l、川上源一氏です。
「ピアノを買ってください」という代わりに、「音楽を教えましょう」というわけです。これぞマーケティングの真髄というシステムを、貧しい時代の日本で築き上げたのです。
規模の経済があるように、「深度の経済」というものもあります。特にサイバー経済においては、「狭く、深く、かつ速やかに」が成功の必要条件となるのですが、これを徹底的にできる人は稀です。新大陸には手つかずの土地が果てしなく広がっているせいか、ちょっと成功するとどこまでも行けそうな気になってしまいます。楽天は他人に市場を提供する事ではなく、自前の証券や旅行会社を押しつけたくなります。また、マルチプルを利用して野球チームを経営したくなります。
<議論する力>
・discuss は否定を意味するdisと、恨むという意味のcuss が合体した言葉です。要するに反対したり反論したりしても「恨みっこなし」というのがディスカッションの本来の意味。
・debate は deが下、batは打つという意味なので、。原意は「打ち倒す」です。議論する力は相手を言い負かすためでも、言いくるめるためのものでもありません。事実欧米社会では、ディスカッションもディベートも真実を追求する手段として広く浸透しています。
・疑わない
・検証するという行動様式が身についていない
・途中で修正するということを潔しとしない
・関係者間の調整を嫌う
・予定調和を優先する
これらの根底に共通しているのは、議論する力が組織にも個人にも欠けているということです。仮説を議論しなければ、その仮説は検証されることも、修正されることもなく、時間の経過にしたがって、知らず知らずのうちに目標や結論に姿を変えてしまいます。・
・議論に挑む際、自分の考えを隠したり、歪曲して伝えたりすることはかえってマイナスです。相手がだれであろうとひるんではなりません。聞くべきことを聞かずに、目的を果たすことはできません。しかし、同じ事でも聞き方によって、相手の性格、心情などを考慮して、「進入角度」や「直接・間接」など質問に「性格」を与えることができるのです。その際、目的をそのまま質問に変えてはなりません。質問は、導き出したい結果を念頭におき、結果が出てくるような入り口を見つけることが肝心です。
・人々の意見が見事に一致する時こそ、「現代のソフィスト」に毒されている可能性が高いからです。学術的権威、有名な経営者、社内のオーソリティなど、「何々氏がいうには」といった枕詞がついた意見には、たいてい何らかのバイアスが潜んでいます。これを鵜呑みにしてしまうと、自分の頭で考えず、議論する力は育ちません。
・世阿弥が遺した「守・破・離」しゅ、は、り、の知のプロセスからも多くを学ぶことができます。これは、まず攻めの矢から自らを「守」り、次に相手の論理が手薄なところを「破」って、矢の向かうべき方向の誤りを指摘し、共に当初の議論から「離」れて最善の着地点へと移行する、というものです。かつてのジャパン・バッシングのように、議論のスタートラインから猛然と攻め込まれた場合、まずは断固として相手の主張を退けることが肝要です。ここで少しでも相手の言い分を認めると、相手に追攻のきっかけを与えてしまい、以後の反撃が難しくなります。
<矛盾に適応する力>
・LVMH率いるベルナール・アルノー『ベルナール・アルノー、語る』より
「企業の成功は、非合理性と合理性の両方をうまく働かせ、この非合理性を経済的効果に変える能力にかかっています。この水と火の二律背反から、心を奪われるような変化が生まれるのです」
二律背反するものを止揚する能力は思考のトライアルを重ねるなかで磨かれていきます。安易な二元論に逃げ込むことは、ビジネス・プロフェッショナルには許されないのです。
・具体的な手法としては「プロフィット・ドライバー」(利益を拡大させる鍵となる要因)の再定義が有効です。その視点から新たな成長をとらえてみると、手の施しようもなくコモディティ化が進んでいる、あるいは戦略的な魅力に乏しいと言う理由から見向きもされなかった業界にも成功事例が転がっています。
→強烈!メキシコの生コンクリート会社のセメックス
-
Posted by ブクログ
稼ぐ力というのは、自立ということ。
具体的には、会社がつぶれても新たな仕事を見つけることができるか、給料というコストに見合った利益を会社に提供できているかということ。
これを考えるのに、3つのマイルストーンが存在する。
1つ目は入社5年目までの期間で、上司がAといったことに対してA+Bを実施するフェーズ。
2つ目は、そこから15年間(5年×3)の期間で、3つの異なる分野に秀でた力を持つよう務めるフェーズ。
3つ目は、その後の期間で、新規事業を立ち上げる力、ダメ事業を立て直す力、中核事業をさらに伸ばせる力を持つフェーズ。
この切り口だと、進むべき道は明らかで、自分には何が足りないのかがよくわかる。
まず今年は、ハードスキルの向上と英語力の向上です。 -
Posted by ブクログ
自分用キーワード
日米貿易摩擦(現地製造、韓国への半導体技術提供) トリガープライス制度 アルセロール・ミタル 市場秩序維持協定(日本製カラーテレビ、結果的に韓国に市場を明け渡す) 東芝機械ココム違反事件 PBR(price book-value ratio) クオリティ国家 ボーディングスクール クォーツ時計 クオーツモジュール クオーツショック BBT総合研究所 デジタル革命のジレンマ シェンゲン協定 IT2000(シンガポール) 万国郵便条約 ソブリン・ウエルス・ファンド 法人税引き下げによる誘致 海外資産(売上)比率 メディコンバレー シスタ・サイエンスパーク FCFA(両岸経済協力枠組み協定) オーガナイズスモール(『エクセレントカンパニー』内の考え方) -
Posted by ブクログ
直近の様々な問題点について、単に課題分析をするだけでなく、大前研一さんのなりの視点で解決案まで提示された本。自分の知らない知識や視点がたくさんあり、大変勉強になりました!
しかし、色々と本を読んでるくせに、こういう直近の問ニュースに関する知識や視点って薄いなーということを実感。読んでる本に偏りがあるんだろうな。もっと足元の状勢を深められる本も読むことにしようっと。
以下、参考になった点。引用、自己解釈含む。
・オリンピックバブルでオリンピックまでの開発需要によるバブルは多少あるだろう。だが、一過性のものになってしまう。もっと東京の価値を高めるためには、西高東低に偏った土地の価値を改める政策が必用では。首都圏に出るのに同じ30分の距離なのに、西側と東側では価格が全く異なる。東の土地を中心に様々な機能を取り入れた都市を計画的に作り、投資を誘致する施策が有効。
・片道45分、往復90分の通勤時間で40年働いたら13,200時間(550日)にもなる。これを10分でも縮められば、莫大な経済価値が提供できる。勤務地と居住地を近づけるべき。
・日本の部長級の給料は世界水準から見たら、大きく下回る。年功序列型・終身雇用型の日本は団塊世代が部長級にひしめいており、トータル人件費が嵩むため、1人1人の給与を上げることが難しい。但し、1人1人の給与ではなく、総人件費で見たら遜色が無い。
・日本は累進課税上、年収が増えても税金で持って行かれるため、年収を上げるよりも、福利厚生を高めることに軸足が置かれてきたことも、世界標準よりも給与が低い要因。
・日本国内だけで見ていた時は、横一線なので大きな問題にはなってこなかったが、時はグローバル社会。世界規模での合従連衡が起こると、親会社と子会社とで給与の逆転が起きることは頻発する。本当にグローバルで活躍できる人材を確保するためには、現状の日本スタンダードの給与体系では難しい。グローバルな視点を持った給与体系、評価基準を構築することが必用。
・日本は毎年30万人人口が減っている。労働人口だけでみると毎年80万人もが減っており、深刻な労働力っ不足が今後リアルに起こってくる。これを解消するには「移民政策」が必用。労働力不足を理由に海外に投資を振り向ける流れが続けば、国内産業の空洞化が起こり、日本の衰退は止まらない。移民を積極的に受け入れる決断をし、移民が安心して暮らし、働けるような政策を検討するべき。海外に目を向ければ、オーストラリアやドイツなど、積極的に移民を受け入れるだけでなく、移民の教育に力を入れている国がある。
・エネルギー問題は非常に難しい問題。原発の代わりの再生可能エネルギーがもてはやされているが、風力発言は風任せ、太陽光発電はお天道様任せで、安定供給できるエネルギーにはなりえない。不安定なエネルギー原の場合は、供給不足リスクも加味した過剰発電が必用になり、結果として非常にコストの高い発電となってしまう。
・原発の再稼働は、原発規制委員会に委ねている以上、不可能。万が一を考えた場合のリスクを規制委員会という立場では取りきれない。そんなリスクは負えないから、活断層があるので再稼働は出来ないという主張のために、あるかどうかわからない活断層の発掘に躍起になるとうい構図だったりする。国がリスクを負う形にしない限り、原発の再稼働は難しい。
・活断層上にあるということは言い換えれば地震が発生するリスクが高いということ。福島原発の検証をしっかりと行った上で、地震が起こったとしても、非常事態にも必ず電力を保持しうる方法を検討するべき。実際に、過去最大のマグニチュードだった新潟地震の時も、柏崎刈羽原発は対処出来ている。
・原発の代替エネルギー確保のために、火力発電のウエイトを高めているのが実態。火力発電を動かすために必要なLNG(液化天然ガス)が必用になるが、日本は世界でも非常に高い価格で購入させられている。日本の貿易収支が大幅に悪化したのはこの非常に高いLNG購入量が大幅に増えたため。他国は天然ガスをそのまま直接パイプで引き入れているため、安いコストで手に入れられている。一方日本は、タンカーを使った海運の為に、一度液化する必要があり、また日本国内でその液化をガスに戻す作業も加わり、コストが含らんでしまう。たあ、直近ではアメリカでシェールガスが大量に発掘されるようになり、ロシアを中心とした天然ガスの需要が大きく下がり、結果市場価格の下げ圧力もかかっている。日本のエネルギー政策を考える上でこの燃料の調達方法の多様化とコストダウンは欠かせない。
ちなみに日本のガス調達コストは1単位あたり15ドル、ヨーロッパは7ドル、アメリカは3.5ドル程度。
・日本国内のエリア毎に電力会社が分かれているのも問題。各エリア毎の会社を統一し、全国的に電力を融通し合えるようになれば、より安定した電力供給が可能。夏場は南の電力需要が上がるので、北から供給。冬場は喜多の電力需要があがるので、南から供給する。
・ドイツが好調なのは、連邦制がうまく機能しているから。各州毎に税徴収や外交の権利を有しており、州ごとに自立すべく自助努力がされることで、筋肉質な州に育っていっている。一方で日本は中央集権体制で、地方は中央に頭を下げ交付金をもらう、中央は選挙票を得るために、地方に金をばらまくという構図。結果地方は自立に向けた努力が生まれにくい。
・ドイツは州単位で独立独歩でやっているが、ドイツ全体の死きりはkfwという組織がやっている。全体として育成すべき産業に投資を行うなどし、新陳代謝が怒る仕組みを埋め込んでいる。
・ドイツはデュアルシステムという教育システムが上手く機能しており、国民の職業観の育成に繋がっている。10歳の時に職種のプロフェッショナルの道を進むか、学問の道を進むかを選ぶ仕組み。職種に進んだ人は、学問と実際の職場での実地研修とを半々で行う。実施研修をした企業への就職の道をもある。若くして、専門知識を講義の中で学ぶだけでなく、実際の企業での経験を得ることが出来る。18歳の時点は、多くの人が自分が何がやりたかがわかるようになっている。
・靖国神社参拝に、なぜ中国があんなに抵抗するのか。日中国交正常化の際に、中国側が中国国内に日本と国交を再開するにあたって説明のために作った理由が『日本も中国と同様一部の戦犯者の被害者だ』とした。そういう理由づけを日本も合意をしていたはず。それにも拘わらず、戦犯者をまつった靖国神社を日本総裁が訪問すると、かつて互いに確認した日本も戦犯者の被害者という理論が使えなくなる。だから、反発を強める。