本多孝好のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こっちは本多さんの長編小説。
本多ワールド炸裂で、軽妙な語り口ながらもやはり重いテーマの物語。
なぜか本多さんの物語は、主人公が変な依頼を受けて、それを解決するような物語が多い(笑)
そして、その中で、さまざまな人間ドラマと真実を暴いてしまうそんな切ない話が多いのでは?と思います。
本作品では、他人の波長にシンクロしてしまう能力を持っている主人公の物語。
大学教授に依頼され、ある女の子を守るように依頼されます。その流れの中で出会うさまざまな人との交流、そして、その能力がゆえに相手の真実、秘密を暴露してしまい、相手を傷つけてしまう。人と人はどこまで分かり合えるのか?それがテーマの物語です。
本書ではそれを「呪い」として、語っていますが、残念ながら、その本当の意味するところまでは読み解けませんでした。そんなわけで、ちょっともやもや感が残ります。
自分自身が見たくなく、気がついてもいない本音や真実の部分を、この主人公によって暴かれてしまうことが「呪い」なのかなぁと思いながらも、それが結局どうなんだっていうところがうまく整理できずに終わってしまっています。
そんなわけで、ちょっとすっきりしない物語。 -
Posted by ブクログ
本多さんのデビュー短編集。
余韻が残る短編集でした。
作品は全部で5つ。
眠りの海
祈灯
蝉の証
瑠璃
彼の住む場所
いずれも、本多さんの作品らしく、軽妙な語り口ながらも「死」を題材とした作品となっています。
<眠りの海>
海で自殺しようとした男が語る恋人との回想の物語
<祈灯>
妹の交通事故のショックから妹に成りすましている姉の物語
<蝉の証>
老人の最後の願いで、ある女子高生を探す物語
<瑠璃>
過去の自分と変わってしまった自分に気がついてしまう女の子の物語
<彼の住む場所>
自分の影響で周りの人が死んでしまう男の影の物語
いずれの作品も切ない物語となっていますが、
祈灯
で明かされていく真実はちょっとつらく、一番ミステリっぽい物語です。
そして
瑠璃
は、これらの作品の中でも一番切ない物語ではないかと思います。女の子がその成長の中で、自分自身のGAPに悩み、そして最後の結果は切なくなってしまいます。
本題の「missing」とあいまって、短編ながらも深い作品と感じます。 -
Posted by ブクログ
尾崎氏への想いを断ちきったかすみに5分間の狂気から救い出された僕はある日唐突に彼女を喪う。姉妹水入らずで出かけたスペインで事故に遭い、助かったのはゆかりのみ。それ以来尾崎氏ともゆかりとも交流を絶った彼は、久しぶりに尾崎氏から呼び出されるのだが・・・
共に暮らす妻が本当に自分が選んで結婚したゆかりなのか、分からなくなり、憔悴した尾崎氏は残酷な願いを口にする。「ゆかりに会って欲しい」と。
同じ見た目、同じ遺伝子、性格も共有する記憶までもほぼ同じ一卵性双生児・・・知り合いに一卵性双生児の姉妹がいるが、どちらがどちらなのかほとんど実際見分けがつかない。髪型や話す内容で見分けるだけだ。
尾崎氏の妻として生き残ったのは本当にゆかりだったのだろうか。
主人公である僕にも感情移入しにくかったし、なんだかすっきりしない。
最後に、本多氏はこの作品についてこう語っている。
『これは恋愛関係でなく恋愛感情を書いたエンターテインメント小説です。いわゆる「純愛もの」を期待されると、少し違った印象を受ける小説だと思います。それを期待されている方には「こういう恋愛小説はどうでしょう?」と挑むつもりで書きました。逆に「純愛って、いや、ちょっと」という方には、「わかる。僕もそうだから。じゃ、これならどう?」と、そう言いたい小説です。
きっちりと構成を組んでから書き始めたわけではありません。これを書いている間、「これは本当にエンターテイメント小説として成立するのだろうか」という迷いを常に抱えていました。原稿用紙にして四百枚を越えても物語の終わり方が見えず、「これが小説として成立しなかったら、次に本を出せるのはいったい何年後だろう」と暗澹とすることもしばしばでした。その原稿を自分としては納得のいく物語に仕上げることができて、今はただただほっとしています。今度は、この物語を読んでくれた方々がその中に何を描き上げてくれるのか、著者としてとても楽しみにしています。』 -
Posted by ブクログ
小さな広告代理店に勤める僕は、大学生の頃に恋人・水穂を交通事故で失って以来、きちんとした恋愛が出来ない女たらし。優秀で仕事は出来るが恐ろしい女上司の下で働いている。
常に時計を五分遅らせる水穂の習慣になんとなく今も倣ってしまう彼は、最近別れた恋人にも「あなたは五分ぶん狂っている」と言われ、社会や他人と少しだけずれたまま日々を過ごしている。
ある日、プールで出会った魅力的な女性かすみに頼まれ、彼女の妹ゆかりへの結婚祝いを選ぶことに。かすみはゆかりと一卵性の双子であるが故に、常にお互いの行動や選択を意識し、境界線を見失いそうになるという悩みを打ち明ける。興味深く感じた僕はかすみと共に、ゆかりとその婚約者の尾崎氏とも交流を深めていくのだが・・・
シンクロし合うという双子の神秘的特異性は好きな異性のタイプまでも一致させてしまい、辛い想いを抱えるかすみ。その秘密に気づいたときから彼女をなんとなく意識してしまう僕。。。
side-Bに続きます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ家族だから
言いたい事言えない事、難しいですね。
結局人間は自分の為だけに他人だけでなく身内にまで一生の傷になるかもしれない仕打ちをしてしまえるという事実がある反面
だからこそ…と足掻く美しさもそこにあって。
結局、良い話で締められるのは創作なればこそ。
でもだから良いな、とも思いました。
「誰か(何か)と比べて自分は幸せ、良かった」という考え方
皆普通にしてしまうんですよね。
私はこの考え方が嫌いです。
「ただの言葉」が人を殺してしまう威力は分かります。
そういう言葉がどれだけの傷を与えてしまうかが理解出来ると
無茶苦茶な報復をしてしまう人の気持ちも…
分かる訳ないです。(えー)
復讐?的な事はやりすぎですが
でもその言葉がどれほど凶悪な力があるかと言うのはもっと知って欲しいとは思います。
そういう立場に実際立ってみないと本当の意味で理解なんて出来ないでしょうが頭でだけでも知っておくと違うかと。
少年の恋心もいい味出してました。
恋愛感情とは微妙に違うものかもだけれど
純粋に人を愛するという行為、良いですねえ。
どの話も様々なタイプの葛藤がちょっといきすぎたおせっかい(優しさ)で解されていく感覚が温かく、読後感のとても良い作品でした。
最後の最後に明かされる名前…
には別段心が動きませんでした(爆)
結局最後まで名前分からずに終えてしまっても
多分素敵な作品が読めたと満足したに違いないです(笑)