吉田三知世のレビュー一覧

  • チューリングの大聖堂 コンピュータの創造とデジタル世界の到来

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    チューリングがケンブリッジの学生だった当時、数学はまだお金にならない学問だとみなされていたという歴史が印象的だった。

    今日では数学的な思考ができるプログラマは破格の待遇をもってトップ企業に求められる事を考えると、わずか100年足らずで凄まじい変革が起こったと思う。

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    2018年04月14日
  • ホワット・イフ?――野球のボールを光速で投げたらどうなるか

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    しっかりとした論証もさることながら、その語り口、時折見せる軽妙さが読みやすく、そして面白かった。

    できるかどうかではなく、あくまでも実際に考えていみることの大切さを思い知る。

    海の水を一か所で汲み上げていったらどうなるか。個人的には予想外の結論だった。

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    2017年11月18日
  • ホワット・イフ?――野球のボールを光速で投げたらどうなるか

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    題名からして危険な香りが感じるがその通り。笑わずにはいられないので、電車の中で読んでいると周囲から変な目で見られた。著者はNASAでロボット工学者として働いたキャリアを持つウェブ漫画家。「ウェブに投稿されるヘンテコで厄介な質問にまじめに答える」ということをしており、その中での厳選集がこの書籍。
    時折自分が文系人間であることを悔いることもあるが、そんなことお構いなしに楽しめる。奇怪な質問に対して、あらゆる科学的根拠を集め回答する著者のこだわりとそのセンスに脱帽。この書籍を読むと自分たちが今生きているこの世の中が奇跡のようなバランスの上に成り立っていることを感じた。必読。

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    2017年01月29日
  • ホワット・イフ?――野球のボールを光速で投げたらどうなるか

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    スーパープレゼンテーションで著者がプレゼンしているのを聞いて興味を持っていたため、読んでみました。

    とても面白い。内容は荒唐無稽な質問にインターネット・コミックの漫画家の著者が答えていく、というものなのですが、その質問への回答たるや、遊び心満載な仮説と思考を組み合わせており、とても面白いです。

    同時に勉強にもなりました。大気圏突入で温度が上がるのは大気との摩擦と、子どもの頃から思っていたのですが、どうやら違うようです。

    海から水をに抜いていったらどうなるか?の結論には笑ってしまいました。

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    2017年01月27日
  • ホワット・イフ?――野球のボールを光速で投げたらどうなるか

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    「地球が突然自転をやめたら、何が起こるか?」「facebookで死者のプロフィールが生者のものを超えるのはいつか?」「コーヒーをかき混ぜ続けて沸騰させることはできるか?」など、荒唐無稽な質問を真面目に考察する本。ユニークな解説で読みやすいのに、考察内容はいたって真面目なので、ちゃんと知識もつく。こういう、真面目にバカなことを考えるプロセスが楽しい。回答もだけれど、質問をする方の着眼点にもハッとするものがあって、こういう柔軟な思考を忘れないようにしたい。

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    2017年01月15日
  • チューリングの大聖堂 コンピュータの創造とデジタル世界の到来

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    「チューリングの大聖堂」
    非常に面白かった。600ページ近くの大著で登場人物が多く、第二次世界大戦前後のコンピューター開発の歴史を描いている。
    チューリングをスタートとするコンピューター開発の群像を描いているが、その主人公はやはりノイマンである。
    現在のプログラム内蔵型コンピューターをノイマン型コンピューターというように、開発に大きく貢献した天才であることは間違いないと思うが、決して彼一人でコンピューター開発がなされたわけでは無い。開発の中で技術者の果たした役割は大きく、中でもピゲローに関してはノイマン自身が文章に表せていないすべてのことを知っている特別な人物として評価している。しかしながら、

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    2016年10月29日
  • ホワット・イフ?――野球のボールを光速で投げたらどうなるか

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    Q「光速の90%の速さで投げられた野球のボールを打とうとしたら、どんなことが起こりますか?」
    A「ボールの前で核融合が起こり続けて大爆発を起こり、後には巨大なクレーターが残るだろう」
    Q「地球にいるすべての人間ができる限りくっつきあって立ってジャンプし、同時に地面に降りたら、どんなことが起こりますか?」
    A「地球の軌道は何の影響も受けないが、数十億の人間が死ぬことになるだろう」
    「え?なぜそんなことになるの?」と思ったら、本書でその答えを探してみよう。この他にも「ステーキを上空から落として食べごろの焼き加減にできるか」、「カップに入ったお茶をスプーンで高速でかき回して運動エネルギーを加えると沸

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    2016年07月12日
  • オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの世界大戦と原爆投下

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    アメリカの建国から第一次世界大戦そして第二次世界大戦の経緯をオリバーストーン氏
    によって詳細に語られた良書です。

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    2016年01月06日
  • オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの世界大戦と原爆投下

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    本著はアメリカ現代史を権力に対して批判的な観点で描いたもの。詰まり歴史を教科書的には触れられていない側面から考察しているところに面白さがある。
    特にアメリカという国は自由を標榜する啓蒙主義的な側面と産業資本・金融資本を背景とした実利主義的な側面の両面があり、それを意識しないと国家の在り方を正しく理解できないのだと思う。

    本編は主に第一次世界大戦から第二次世界大戦までをテーマにし、特に最後は広島、長崎への原爆投下の深層について明らかにしていく。
    原爆投下不要論は既論評として認識していたが、過去の歴史を遡ってみるとその納得感も高まる。
    日本人は自国のこととして様々な観点を理解しておく必要があるの

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    2015年09月13日
  • ホワット・イフ?――野球のボールを光速で投げたらどうなるか

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    突拍子もない質問の馬鹿らしさ、それに対してマジメを装って鹿爪らしく(一応科学的に)ギャグ的回答で返す面白さがたまらない。それにしても子供はどうして「爆弾を台風に投げ込んだら」とか言うんだろうね。ゴジラ対ギャオスみたいなものが好きなんだな。

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    2018年10月14日
  • オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの世界大戦と原爆投下

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    「誰が儲かったのか?」「誰が得したのか?」

    というのが物差しになっています。
    イデオロギー、正義、悪、ではありません。
    こういう近現代史の本、読みたかったですね。
    読み物としても、とっても英語的なちょっとした皮肉を交えながら、実に滑らかによどみなく進みますし、ドラマチックに描かれていて、飽きさせません。
    そして、アメリカの近現代史というのが、当然ながら全て日本に跳ね返ってきます。
    読みながら、日本の近現代史なんて、アメリカや欧州帝国主義の歴史を把握しないと、事実や年号だけ記憶しても何の意味もないんだなあ、と思わされました。
    思った以上に、娯楽的にも実に面白い本でした。続きも読もうと思います。

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    2015年03月08日
  • あなたのなかの宇宙 生物の体に記された宇宙全史

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    バラバラだった西洋科学がつながりはじめた
    相対性理論から素粒子の時代になって
    ニューエイジと言われる総合的な視野による
    学問の扉が開いた
    それは東洋的で一成る特化した答から離れ
    対立と無関心の心の垣根を外して
    調和へ向かう共生的な解放の時代を模索し始めた

    古生物学者であるこの著者もそんな一人のようだ
    「人の中の宇宙・宇宙の中の人」という無限観とか
    宇宙観という視野の広い俯瞰した世界を紹介している
    美学に哲学から倫理学に宗教も含めた選択肢の中で
    物理も化学も生物学も全てを網羅した全体と
    それを支えているあらゆる部分が入れ子になった
    夢幻的な関係から人間とはどこから来て
    何をしようとしているのか

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    2015年02月08日
  • オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの世界大戦と原爆投下

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    第一次大戦から第二次大戦原爆投下までの歴史。アメリカのリベラルな立場から語られている。内容はかなり重く、考えさせられる。アメリカは第一次世界大戦の時には化学兵器であるマスタードガスを大量に製造していたが使うチャンスがなかった。しかし、原爆はそれを開発し使用した。マスタードガスの話は知らなかったが、原爆の話はその使用に大いに議論のあるところだ。そもそも、第一次世界大戦の前からアメリカの銀行家のためにアメリカ軍が彼らの利益を守るために利用されていたこと、そして、彼らが死の商人として大いに利益を上げていたことが語られる。また、第二次世界大戦ではアメリカではドイツ、イギリス人とは違い人種差別により日本

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    2014年01月29日
  • オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの世界大戦と原爆投下

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    教科書にない...

    月並みな言い方ですが、まさに教科書にないアメリカ史。
    建国以来の政治的中心(すなわち大統領)がどういう思想傾向を持っていたかがよくわかります。
    1巻は2つの大戦を中心に描いているので、ウィルソン、フーバー、ルーズベルト、トールマンといった人たちの描写が自分には新鮮でした。
    ただ相当リベラルよりの内容なので、当の米国では本書はどんな評価なのか気になります。
    TVシリーズも見たほうが理解という点では補助になりそうですね。

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    2013年11月07日
  • チューリングの大聖堂 コンピュータの創造とデジタル世界の到来

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    ネタバレ

    プリンストンの高等研究所で取り組まれた最初期のデジタル・コンピュータを製作するプロジェクトと、それを取り巻く中心人物達の物語。

    どのように技術発展しコンピュータが進化して来たかという題材よりも、どのような人物が登場し、その人物がどのように関わって行ったのかにスポットを当てている。

    まるでコンピュータ史の人物伝記の様相で、もっと難解な内容で占められているかと思っていたので想像以上に読みやすく入り込みやすい。

    ただ、あまりの登場人物の多さに少々混乱してしまったが、中でも特に重要であったのは数学者「ジョン・フォン・ノイマン」で、ほとんどの登場人物と関わりを持って描かれており、彼が様々な科学者・

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    2013年11月04日
  • チューリングの大聖堂 コンピュータの創造とデジタル世界の到来

    購入済み

    超大作!

    プリンストンの高等研究所に集まった天才たちの列伝。数学者たちが思い描いた「計算可能な世界」が、戦争とそれに続く水素爆弾の開発を通じて、現代に続くデジタルコンピュータを生み出したことに深い感慨を覚える。
    それにしてもフォン・ノイマンの頭脳の凄さは善悪を超越している!
    そして、彼の利用した真空管メモリのように歴史にランダムアクセスする本書の構成にも翻弄されまくり。

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    2013年08月06日
  • オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史1 2つの世界大戦と原爆投下

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    ニューディール政策の本質は何なのか、アメリカ国民にとってどういう意味があったのか?
    第二次世界大戦中にナチスドイツに対抗した本当の貢献者は誰だったのか?
    トルーマン大統領が選ばれる過程でいかなる陰謀があったのか?
    原爆開発者はどのような立場であったのか?
    原爆投下は如何に決断されたのか?
    その後の冷戦構造にどう受け継がれていったのか?

    日本人にとっても「語られてこなかったアメリカ史」を驚きを持って学ぶことができる。そしてそれは現代につながり、私たちのこれからの生き方につながっていることを強く意識させられる。

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    2013年07月02日
  • チューリングの大聖堂 コンピュータの創造とデジタル世界の到来

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    まさにコンピュータ創世記。バイブル。
    チューリングの構想、ノイマンが実現したこと、プリンストン高等研究所という舞台と科学者・技術者達。著者ジョージ・ダイソンが子供時代に直に感じ取ったこともとに、すべてが詳細に綴られている。
    恐るべきは、ノイマンらがその創世記にすでにデジタル世界の本質・未来を捉えていたことだろうか。預言者ライプニッツ、チューリング、そしてフォン・ノイマン。

    時系列順で書かれていないため、読みにくいと感じた場合は訳者あとがきに構成が書かれているので参考にするといいだろう。

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    2013年04月06日
  • チューリングの大聖堂 コンピュータの創造とデジタル世界の到来

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    期せずして、同じ時、同じ場所に、同じレベルの才を持つ者が集まると、想像を絶する出来事が起こることもある。

    1953年、3つの技術革命が始まった。熱核兵器、プログラム内蔵型コンピュータ、そして、生命体が自らの命令をDNAの鎖にどのように保存するかの解明である。これら3つの革命は相互に絡み合い。その後の世界を大きく変えることとなる。

    とりわけそれ以前から密接に結びついていたのが、熱核兵器とプログラム内蔵型コンピュータである。かつて数学と物理が相互に進化を促しあったように、両者はがっちりと手を組み、怪物のようなものをこの世に生み落としたのだ。

    背景にあったのは、第二次世界大戦における反ナチスお

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    2013年03月13日
  • 世界でもっとも美しい10の物理方程式

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    10の偉大かつ美しい方程式にまつわる旅が出来たこを大変うれしく思います。
    それぞれの方程式に至る過程と感動を見事に再現していると感じました。例えば量子論であれば、式を導出するプロセスに主眼が置かれるが、本書は時代背景や、人間関係の側面から語っていてまるで時代劇を見ているような錯覚に陥りました。

    この本は、哲学科の教授が書いたからこそ味わい深い内容になっているのだと思う。科学は理系のものではないし、そもそも理系文系と紋切り型に分けてしまう発想自体が寂しいものであるとさえ感じてしまう本でした。

    間違いなく良書と呼べる本だと思います。大学の教養課程の講義として十分成立するのではないでしょうか。

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    2013年02月20日