星野博美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
香港返還前後を描いた2年間の記録。帯にあったその言葉に惹かれて手に取った本作。
2年のあいだ度々香港へ旅行した記録ではなく、実際に住んで、香港に暮らす人々と会話した内容がわかりやすくまとめやれていて読みやすい。
驚愕したのは茶餐廳で一目惚れ(?)した男の子が暮らす街に引っ越して、その男の子と親しくなるという行動力。令和の日本ならストーカーとか言われそう。土地柄なのか、時代なのか。
大陸出身の方の身の上話や、カナダパスポートを取れたから勝ち組というわけでもない話、めまぐるしく変わる香港に暮らす人々の順応性は興味深い。
「いつ奢ってくれるの?」と香港人が言うのは親しいから、麻雀は社会でのよくできたコミュニケーションツールである、など、香港人ならではの感覚も面白かった。
今度香港に行くときには、著者が暮らした深水埗に絶対行こうと思った。
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購入済み
馬と歴史を巡る
旅エッセイでいいのかな?
馬にのめりこむきっかけとなった
自動車運転免許の方と合わせて読むと
おもしろいのでは
車の運転は問題ありでも
馬の操縦は問題なしなのが? -
購入済み
今度は
自身のルーツを探る旅物語
既刊の文章も出てきたり、著者さんの作品を
読んでる方には懐かしさもあり‥
物物は消えても記憶は残る -
購入済み
こんな方だった?
と心配になる日常や考え方が綴られたりしてもいますが
総じて、この方の考え方や物の見方はおもしろい。
本書連載中に発刊された、2冊を次は拝読致します
もう読みたくないって思えないのが魅力。 -
Posted by ブクログ
星野博美(1966年~)氏は、東京都生まれ、国際基督教大学教養学部卒、会社勤務を経て、写真家・橋口譲二氏のアシスタントを務めた後、1994年に独立してフリーの写真家・作家となる。1997年7月の香港の中国への返還を挟んで、1996年8月~1998年10月に香港に住み、そこに暮らす人々を描いた『転がる香港に苔は生えない』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。その他、読売文学賞随筆・紀行賞、大佛次郎賞等の受賞実績あり。
本書は、上記の2年間の香港滞在から帰国した直後に書かれたエッセイ39篇をまとめ、2001年に出版、2003年に文庫化された。
著者は本書を記した背景をについて、まえがきで、「香港で何かを見てしまったということなのかもしれない。香港という比較の対象が一つできたことで、自分の視点が一歩後ろに下がり、これまで当然だと思っていたことが当然だと思えなくなった。それまで何の疑問も持たなかったことに、疑問を抱くようになった。居心地の悪さがなんとなく、いつでも漠然と自分を包み、まるで自分の存在そのものが異物になってしまったようだった。」と書いている。
そして、2003年10月の「文庫版のためのあとがき」には、次のように書かれている。(その間には、2001年の9.11米国同時多発テロがあった)「私は世界に加担している。時には加害者として。時には「無関心」という形で消極的な傍観者として。私が享受している何かのために、世界のどこか、あるいはごく身近なところで、誰かが抑圧されたり、犠牲を強いられたりしている。世界を日常に置き換え、自分との関わりを想像してみると、世界と自分が無関係だとは到底思えなくなる。世界は必ず、日常から始まっている。日常は、世界の末端であり、出発点でもある。日常の中に、きっと何かヒントがあるはずだ。私はとにかく、日常を見続けることから始めてみようと思っている。」
私は著者の数歳年上で、ほぼ同じ時期に東京で大学時代を過ごし(私もアパートに風呂がなく、銭湯に通っていた)、バブルも経験した。そして、今般この本を読んで、著者が書いている違和感や疑問の多くに共感を覚えたのだが、一方で、本書が出版されたときに30代で読んでいたら、随分異なる感想を持ったのではないかとも思った。
解説でコラムニストの中野翠(1946年生まれ)が、「バブル絶頂期に二十代だったという世代の人」の中にも(こんな感性を持ち、それを表現できる人が)「いるもんだなあ」と書いているのだが、そういうことなのだ。。。20歳年上の中野が当時持った感想を、20歳年をとった今の私だから理解できる。そして、30代前半だった著者が、こんな感性を発揮し、それを表現できたのは、おそらく稀なことなのだ。(同時に、30代前半ゆえ、著者自身「いま読み返せば、顔から火がでるような箇所も少なからずある」とも書いているが。。。)
若者には分別がなく、年をとるとそれが身に付く、などと言いたいわけではない。しかし、著者も書いている通り、「自分の視点が一歩後ろ下が」ると、距離こそ離れるものの、おそらく、物事の本質が見えやすくなるのだ。人々の多くがそうした視点を持てるようになったとき、社会は成熟度を増したと言えるのではないだろうか。
エッセイ本文の中にも印象に残る記述は多数あるが、備忘も兼ねて一つ挙げるなら以下である。
「私個人が考える上品と下品の境界線は、その場所に流れる空気を察知し、そこで期待される行動をとれることが上品、その空気に鈍感であることが下品、というものである。・・・つまり絶対的な上品や下品など存在しない。一人の人間が空間を移動することによって、同じ行動をとっていても下品になったり上品になったりする。その空間で自分に期待されているのはどんな行動なのか、その空気を感じ取る能力が勘である。日本人が下品になった、と感じられるのは、その空間の空気を感じとる能力がなくなった、つまり鈍感になったことが原因だと私は考えている。日本人は下品になったというより、鈍感になったのだと思う。」
20年以上前のエッセイだが、読み継がれる価値のある一冊と思う。(できれば、若いうちに読みたい)
(2025年1月了) -
Posted by ブクログ
星野博美(1966年~)氏は、国際基督教大学教養学部卒、会社勤務を経て、写真家・橋口譲二氏のアシスタントとなり、1994年に独立しフリーの写真家・作家となる。本書『転がる香港に苔は生えない』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したほか、読売文学賞随筆・紀行賞、大佛次郎賞等の受賞実績あり。
本書は、大学在学中に一年間、香港中文大学への留学経験のある著者が、1997年7月1日の香港の中国への返還を挟んで、1996年8月から1998年10月まで約2年間香港に住み、そこに暮らす人々を描いたノンフィクションである。2000年出版、2006年文庫化。
私はノンフィクション物を好んで読み、しばしば新古書店で過去の各種ノンフィクション賞受賞作品を物色するのだが、本書もそうして入手した一冊である。
私はこれまで香港を二度訪れたことがあり、その1回目は、中国への返還から十年以上経った2010年で、当時は、返還時の中国側の約束である「50年に亘る一国二制度による高度な自治」が維持されていたはずである。その後、2014年には、次期香港特別行政区行政長官選挙に関する中国政府の決定に端を発した「雨傘運動」が、更に、2019~20年には、逃亡犯条例改正案をきっかけにした民主化デモが起こったが、私はその間、香港に関するTVや新聞の報道を、高い関心を持って見ていたし、それらに関係する『香港デモ戦記』(小川善照著)などの本も読んできた。しかし、現在の香港の状況を見ると、50年間約束されていたはずの自治は、事実上剥奪されてしまったと言え、世界の関心は、既に香港から台湾に移ってしまっている。
他方、本書の舞台は、上記の通り1997年の中国返還前後の香港である。当時、典型的な香港の街中のアパートに住み、毎日街の食堂に通い、多数の普通の香港人と付き合う著者が見た香港は、大半が他の土地から流れてきた人々の集まった、混沌とし、常に摩擦を生じさせながらも、未曽有の活力を持ち、多様性を受け入れる場所だった。その香港を、著者は「好むと好まざるにかかわらず、まるで崖から転げ落ちる石のように、彼らは転がり続けてきた。」と書いている。対して、我々日本人を、「千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで変わらない安定を望む人々」とも書いている。
本書は、本当の香港(人)を知るために、類書の少ない優れた一冊であることは疑う余地はないだろう。しかし、それから20余年が過ぎた現在、その香港(人)とは、今はなき過去のものなのか、それとも、今も変わらず存在し続けているものなのかはわからない。
後者であって欲しいと願うばかりだが、それを知るためにも、著者による続編的作品が読んでみたいものである。
(2024年11月了) -
世界は五反田から始まった
- カート
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試し読み
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ネタバレ五反田に2年住んでいたので、単純にタイトルが気になって全く期待せずに読んで見た。
お、おもしろーい!
知ってる場所の知らないことのオンパレード。FRIDAYの場所は知ってるけどそこに映画館があったことは知らかった。駅前の歓楽街は知ってるけど、町工場が沢山あるからというのは知らなかった〜。駅前の歓楽街と隣山の高級住宅地(池田山)の配置ずっと気になっていたんよね〜
あと、五反田の土地の低さ、めっちゃ分かる!魅力屋(ラーメン屋)らへんだとめちゃくちゃ感じる。
めちゃくちゃ個人的な五反田史と思いきや、途中から始まる戦争の話めちゃくちゃ興味深かった。武蔵小山から満州に渡った人々のしたこととたどった運命。戦争に行かなくても、戦時下では戦争に関わらずを得ないということ。個人の歴史であり世界史。 -
世界は五反田から始まった
- カート
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試し読み
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題名からして、おふざけの部分の多い本なのかと思ったら、大間違い。極めて、真面目な、真摯な内容で感服した。ご自身のルーツをたどりながら、五反田にまつわる社会的歴史的な考察が盛りだくさん。九十九里の方からやって来た祖父が開いた町工場、それは大五反田という土地だった。
なぜ、五反田周辺に町工場が多いのか?戦時中に果たした軍需工場という役割。無産者(いわゆる生産手段を持たない、資本家に対しての労働者)の闘い。さらには、空襲、疎開、焼け野原と、戦争にまつわる話が続く。五反田は小林多喜二や宮本百合子、プロレタリア文学と言われる小説の舞台でもあったらしい。その視点がなかなか面白い。
本の中に出てくる立会川や武蔵小山という土地が、実は私にも馴染みのある場所柄なだけに、よけい興味を惹かれて、面白く読んだ。
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世界は五反田から始まった
- カート
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試し読み
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ゲンロン叢書 星野博美 「世界は五反田から始まった」
五反田の歴史や家族の歴史を通して生きようと模索した人々の声を取り上げた本。東京大空襲の中の祖父の言葉「生きて戻ったら、すぐに 自分の名前の杭を打てろ」は 生き抜く意思の強さを感じる
デビュー作「謝々!チャイニーズ」のような 個性の強い人は出てこないが、国のシステムの中に組み込まれず、生きようとする意思の強さは共通している
戦争に反対するだけでは生き抜くことにはならないとし、プロパガンダに呑み込まれず、権力者と距離を置き、孤立して生き延びることを見出している
「物書きというのは自分が見た世界を、あたかもそれが唯一の世界観であるように提示する〜他者からの視線を常に意識した有名人の戦争体験は少し距離を置いて見るべき」というのは、なるほどと思う
被災した一般市民〜国に対して声を上げることこそしなかったが、自分の頭で考え、生き延びる方法を必死に模索していた
東京大空襲
1.昭和19年11月24日〜
軍事施設、軍事工事への爆撃
零戦を製作した中島飛行工場を爆撃
2.昭和20年3月10日〜
工場地帯、人口密集地域への爆撃
江東方面が廃墟と化した
王子 蒲田
3.昭和20年5月24日〜
日本を降伏させるための総仕上げ。まだ焼けていない残存市街地へ爆撃
城南空襲(品川、荏原、大森など)
京橋、麻布、芝など
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Posted by ブクログ
文春文庫 星野博美 「謝謝!チャイニーズ」 30年前 (著者27〜28才)の旅行記。ベトナムから広州、福建省、寧波、上海へ北上
タイトルの意味は、中国の人たちの生きる姿や自由な精神を通して、生きる実感のヒントを得たことに対する感謝と解釈した
政体と関係なく、個人が自由に生きる中国の人々と 国家と法律のもと集団行動をとる日本人という論調。中国と個人の自由精神は結びつかないが、著者は 中国の人々の方が 自由に生きているように見ている
「国とは 人である。私は やはり人を見続けていく」という 著者の言葉は興味深い。他の本も読んでみたい
「食べることも〜自分の身を守ることも、自分を主張することも、待つことも〜人生には どんないいことも悪いことも起こりうることも、その一つ一つがとても大事である」
「何かを求めて旅に出る人間が〜マニュアルを離さないのはもったいない〜地球の歩き方など存在しない。あるのは自分の歩き方だけだ」
「日本を動かしているのはシステム〜(中国)ではすべて人間によって営まれている〜日本の問題は、個人の顔が見えないこと」
「中国では物を買うことも物を食べることも〜すべてが闘いだ〜ぼやぼやしているとだまされる〜それがいやなら自分の身は自分で守ることだ」
「突然〜物から情報から価値観まで一斉になだれこんできた中国〜ここには見なければならない夢がありすぎるのだ」
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Posted by ブクログ
千葉に白浜、勝浦の地名があって、紀州から房総へ流れてきた移住民が名付けたがゆえに、同じ地名があることは知ってはいた。しかし、漂流者がたどり着いたのかと思ってたら、そうではなかった。この本で初めて事実を知って、長年の疑問が氷解してありがたかった。。
時は17世紀ごろ、泉州、紀州、あたりは漁法先進地でかつ漁場は飽和状態で、房総へ季節出漁することが常態化していたという。中世末期から近世初めにかけて、農業で魚肥が本格的に使用されるようになり、その原料となる鰯を追って紀州の漁師は西へ東へと出漁していたのだ。当時、一単位が網元が漁師20-40人を引き連れて、それが複数の網が一団となって移動する、という組織的なもの。で、そのうち定住するものも出てきたのだ。
和歌山出身者としては、加太や湯浅、広川町を著者が歩いてルーツ探しをするところが興味深い。そして、著者の先祖が故郷をあとにしたのは「貧しさ」以外の理由を見つけにくいと肌感覚で腑に落ちるあたりがもの哀しい。 -
世界は五反田から始まった
- カート
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試し読み
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最初は何の本かわからなかった。
東浩紀のゲンロンカフェのメンバーの一人である著者が、
自分の実家のある五反田について書いている本、、、
おじいちゃん子だったということで、いろんな記憶がある。
さらに、癌を患った祖父が書き残した自伝もあずかっている。
記憶と自伝をもとに、五反田をめぐる旅、大河ドラマが始まる、
というところだろうか。
五反田、、大五反田と称しているが、
白金も含むそうだ。
白金、、、高校時代からの友が住んでいた。近所ってことか。
たびたび出てくる「清正公」という地名がそれを感じさせる。
記憶がある。
妹が著者と同い歳。なんだか親近感がわく。
話は五反田をきっかけに大きく展開する。
場所の割に家賃が安い。それは工場労働者の街だったから。
戦前の軍需工場。祖父の代から経営していた。
工場労働者、そこから話は小林多喜二に広がる。
さらに戦争。満州へ。
そして空襲。
3月の東京大空襲の後、5月にこの地域にも空襲があったとは
知らなかった。
しかも爆弾の量は東京の2倍。
しかし死者は少ない。
それは東京空襲の惨状を知って消火に当たらず逃げることを優先したから。
命よりも火を消すことが優先された3月の空襲。
戦争の、時の軍政の恐ろしさだ。
これはこの本を読んでの一番の驚きだった。
満州に多くの人が出向いたのは、火災予防で家が間引かれたから。
というのもすごい話だ。人権も何もない。
まあそれで大火を免れたわけだが、、、
そして焼け野原の後、土地の権利を泥棒する輩がいるという。
杭を打て!敗戦後は正義もなにもなかった。。
おじいさんの手記が立体的になる。
凄い本だ。 -
世界は五反田から始まった
- カート
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試し読み
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五反田の近く、戸越銀座で育った著者。
実家は祖父の代から続く町工場である。
本書はその祖父の半生を中心に五反田界隈の街の変遷や戦時中の出来事などが書かれている。
戦争と言って思い起こすのは、原爆であるが、市井の人々は空襲という恐怖も味わっていたのである。
本書を読んで改めて身に染みた。というのも、私自身過去に五反田の近くに住んでおり、本書に出てくる地名に馴染みがあったから、街の風景を思い出しながら読むことができたからだ。
馴染みのある地名が出てくると、俄然身近に感じる。
あのあたりも関東大空襲で焼けたのだそうだ。
今でも残る五反田独特の雰囲気や、その周辺の下町の様子を思い浮かべ、当時の人の営みに触れることができたような気がする。 -
世界は五反田から始まった
- カート
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試し読み
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とてもインパクトのある、しかし、ややふざけた感じの「世界は五反田から始まった」という題名。中身は星野家の家族三代と、彼らが住んだ五反田という土地についての物語だった。
外房から上京し、五反田近辺に工場を持った星野博美の祖父は、亡くなる前に手記を残した。星野博美は、それをベースに、更に調査を加え、五反田に住みついた星野家の物語を書いている。クライマックスは、終戦の年の、五反田周辺も巻き込まれた、米軍による東京・城南地区への空襲であるが、五反田近辺の大正、あるいは、戦前からの歴史も交えて、面白い物語となっている。たしかに、星野博美にとって、世界は五反田から始まっているのだ。
私の祖父も自伝を残してくれている。自費出版であるが、製本された立派なものである。私の母親の父親なので、世代的には私よりも二代前ということになる。星野博美の本書を読んでいても思ったのだが、二代前の人物である祖父の生活・暮らしぶりは、二代後の私の生活・暮らしぶりと全く違う。その間の時代の変化はすさまじいものがあったということだ。大分県国東半島で生まれた祖父が長崎県五島列島で生まれた祖母と知り合い、私の母親が博多で生まれた。母親は大分県出身の父親と知り合い、京都で私が生まれた。私の亡くなった妻との間の子供達は埼玉と川崎で生まれ、私の二度目の結婚相手の妻はタイ人であり、子供はバンコクと神奈川県で生まれている。
本書を読んで、自分自身の家系についても思いをはせたが、家族三代の物語というのは、ダイナミックなものであり、また、巡り合わせのものでもある、と改めて思った。 -
世界は五反田から始まった
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
明治36年生まれの祖父が大正5年に芝白金三光町の町工場で働き始め、戸越銀座で住居と工場を構え、昭和49年に自宅で71年の生涯を閉じた。五反田を中間地点とする東京生活の起点と終点に当たる。
筆者は私より若いが、祖父母、父母の生きた時代が重なり、五反田、武蔵小山、NTT病院、中島飛行機の武蔵野製作所、ICU大学・・・知り合いの住んでいる場所や行ったことがある場所が重なり、とてもリアルに読める。スペイン風邪、満州開拓団、小林多喜二、東京大空襲など、昔の話ではなく、ついこの間のことだったのだと感じられる。「焼け残ったら戻ってきて杭を打て」との言い伝え。戦争の記録は重いが、生き残る知恵が詰まっていると思えば、読み継ぐべきと思う。 -
世界は五反田から始まった
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試し読み