あらすじ
愛する猫をなくしたうえに、人間関係はズタズタ。いやな流れを断ち切りたい。日常に小さな風穴を開けたくて向かったのは、島の小さな自動車学校。そこは、山羊や犬やにわとりがいて、馬にも乗れる牧場のような学校だった! 人生の示唆に富む運転教習に悪戦苦闘しながらも過ごした数週間。人や動物や車とのふれ合いから見えてきた風景は? 読めば、新しい何かに挑戦したくなる名作エッセイ。
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Posted by ブクログ
もとは「すばる」2011年5月号~12年3月号連載。
星野博美、44歳、五島列島へ車の免許をとりにゆく。ドキュメンタリー風のエッセイ、教習と教習所周辺の出来事が綴られている。それまでのヘヴィーなドキュメンタリーに比べると、いささか拍子抜けするが、「兵士の休息」だと思ってしまえば、平凡なはずの出来事もおもしろく感じられだす。ただし、この休息は長い。なかなか試験に合格せず、教習所の宿舎に4週間いることになったからだ。五島への愛も芽生えただけでなく、日を追ううちに満開になる。
これはたんなる休息で終わりはしなかった。それ以降の活動へのスプリングボードの役目もはたした。同時期に書かれた『コンニャク屋漂流記』のラストでは、 青いヴィッツを運転して、千葉の外房まで聞き取りに出かけているし、なによりも五島列島への関心はその後、『みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記』として実を結ぶことになった。めでたしめでたし、かな。
これは旅エッセイです
相変わらずのおもしろさ
精神的に落ち込んでいた時季に
お書気になられたとは思えないおもしろいさ。
運転免許取得本でなく、五島へのお得意の
旅のエッセイ本でした。
でもJAFの方、コロナの車体の下廻りを
蹴っ飛ばして直したりはしてないでしょ?
そんな感覚もおもしろかったです
運転は上手い下手ではなく、安全か危険
名言です。
Posted by ブクログ
面白かった。40代の筆者が五島列島の福江島の自動車学校で合宿免許を取って、東京で運転する話。簡単に書いてしまえばこれだけなのだが、免許を取る自分を徹底的に観察して描写し、合宿免許を取りに来る人、教習所の先生、島の人々への観察眼と描写がすごい。そして、笑える。後半にかけて久しぶりに本を読みながらゲラゲラ笑ってしまった。
Posted by ブクログ
読書で声出して笑ったの何年振り?
開始4ページ目でもう声を上げて笑った。
作者は絶望の運気を自らの力で変えようと一念発起、40代半ばにしてはるばる東京から長崎五島列島にある合宿制自動車学校へ入校する。
学校選びの段階から笑わされたけど、わからないことをあけすけに何でも質問する作者の様子と、五島弁で温かな先生たち、馬、他の合宿生とのやりとりが面白いしほのぼのする。
登場する人、動物、五島の自然、何もかもを愛おしく感じた。
運転下手な私が読むと、共感の嵐で笑わずにいられない。
でも、運転が上手い人や自動車学校の先生が読んだら、
イライラしちゃうかもしれない。自己責任でぜひ読んでほしい!笑
向田邦子やさくらももこという偉大で大好きなエッセイストの新作がもう読めない寂しさを、この本が埋めてくれた。星野博美さんありがとう!
Posted by ブクログ
「転がる香港に〜」に続き、星野博美2作品目。
私の中の星野博美像がガラッと変わった。
素直で、実直、それは変わりない。
しかし、ここまで“出来ないキャラ”だったとは思わなかった。中年と呼ばれる年齢で新しいことを覚えることが大変なのはよくわかる。
しかし、そもそも挑戦する事実が素晴らしいのだと思う。
どれだけ運転ができなくても、わからないことは分からないときちんと伝える。言われたことは素直に従う。星野博美は実直にそれを行う。
こんなにも簡単なことが意外と出来ないものである。それは歳を増すほど難しい。
だからこそ、星野博美を素敵に感じる。
五島列島という特異な場所で、その島の特別な空気を吸いながら、おおよその人間が取得できる免許を苦労して取得する。最高だ。
実際に免許取り立ての星野氏と路上ですれ違うことを想像すれば、怖い気持ちもする。しかし、これからは初心者により優しく運転しようと思える内容だった。
Posted by ブクログ
何気なく手に取った本でしたが、星野さんが奮闘する感じがリアルでとても面白かったです。
五島列島に行ってみたい!Google mapでおりてみたり、楽しめました!
Posted by ブクログ
身体を張っての取材が身上の
星野博美さん
今回は題名通りの
「運転免許を取りに行く」お話し、
場所が長崎の五島列島の一つの島、
その体当たりの様子を活写
ご自分の最も苦手なものを
なんとかなるまで、
ここまで面白おかしく、興味深く
綴られるのは流石ですね
どんなに苦手なモノでも
志を失わなければ
なんとかなるのだ!
という人生指南ともいうべき
素敵な読み物になっていますね
それにしても
「島」で出遭った人たちの
なんと魅力的なこと
特に自動車学校の「先生たち」が
素晴らしい
Posted by ブクログ
一念発起して、中年の筆者、星野さんが長崎の離島で車の免許合宿にいったエッセイ。
私は島ののんびりのとした雰囲気が好きなので、島旅を擬似体験できて楽しかった。だいたい想像どおりの展開というのも、それはそれで安心感。何より星野さんのキャラがいい感じ。不器用でマジメ、というのはそれだけで物語が成立するなあと。
島での出来事も良かったけど、後半の星野家のストーリー、文庫本あとがきが個人的にはなんだかじんわりココロに染みました。星野さんは異文化に興味がある旅好きのようですが、「車」という異文化に触れることで、「父」という異文化にも順応していったんですね。
Posted by ブクログ
面白かったです! あの頃のこと……つまりは苦い教習所時代のことを思い出してしまいました(笑) 社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
僕も著者同様、頭が「車を運転する」ための構造になっていないようで…基本的なことで何度も教官に注意され、挙句の果てには「お前は乗らない方がいい」とまで言われる始末……けれどもまあ、星野さんと同じように僕も免許、取れたんですけれどね。
星野さんと違うところは僕は免許取得後、一度しか乗っていないということ…もう運転できません…ので、もし乗るとなればペーパードライバー教習とか受けなくちゃならんですねぇ…。
最近、車に興味を持ちだしている僕ですけれども…そんな気分の時に読んだので割と面白く感じられたのです…さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー