星野博美のレビュー一覧
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世界は五反田から始まった
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試し読み
Posted by ブクログ
読み進むにつれ、どんどんひきこまれていった。自分の生まれ育った土地から、両親祖父母の人生の軌跡から、世界を再認識する。こんなことができるんだと目を見張る思いだった。自分のいる場所を歴史と地理の中に位置づけることを、「教養を身につける」と呼ぶならば、これはまさにその生き生きとした実践。説教臭さのない語り口で、読みやすいのも良い。
歴史の流れを俯瞰すると、ともすれば、大きな動きのなかで個人は翻弄されるばかりだと思いがちだ。特に第二次世界大戦時の日本の状況については、知るほどに絶望的な気持ちになる。しかし、著者は悲観と諦念に逃げ込まず、よく見ることでその経験から汲み取るべきものがあると考える。そのたくましい視点が本書を貫いている。たとえば、以下のようなくだり。
「夥しい数の人々のあまりに悲惨な死にうちひしがれて『起こしてはならない』で止まってしまうと、『もしまた起きたら』に一向につながらない。」
「この、失敗と呼ぶにはあまりに手痛い戦争の経験から何かを学ぶとすれば、私は生き延びる方法を知りたい。」
「壮大な物語に呑みこまれず、立ち止まる力。浅はかな有力者や権力者と距離を置き、孤立しながらも生き延びる方法。重大な局面に立たされた時の、判断力。頼る人も組織もない場所にたった一人取り残された時、しなければならない交渉術。気高さとも感動とも程遠い、ずる賢さ。」
ああ、そうなのだ。「物語に呑みこまれない」という言葉を肝に銘じたいと思った。
蛇足
・最初の方で挫折しかかった。また東京人がよくする「住んでるところはどこか」関連話か、と思って。東京の人の感覚を既定の事実のように語られると、すごく白ける。まあ、地方にも似たようなことはあるので、僻んでるだけですけど。
・気になったのは、何回か出てくる「奇しくも」という言い方。特に「奇しく」はないのもあったよ。 -
世界は五反田から始まった
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世界は五反田から始まった
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試し読み
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Posted by ブクログ
「転がる香港に〜」に続き、星野博美2作品目。
私の中の星野博美像がガラッと変わった。
素直で、実直、それは変わりない。
しかし、ここまで“出来ないキャラ”だったとは思わなかった。中年と呼ばれる年齢で新しいことを覚えることが大変なのはよくわかる。
しかし、そもそも挑戦する事実が素晴らしいのだと思う。
どれだけ運転ができなくても、わからないことは分からないときちんと伝える。言われたことは素直に従う。星野博美は実直にそれを行う。
こんなにも簡単なことが意外と出来ないものである。それは歳を増すほど難しい。
だからこそ、星野博美を素敵に感じる。
五島列島という特異な場所で、その島の特別な空気を吸いながら、おおよその人間が取得できる免許を苦労して取得する。最高だ。
実際に免許取り立ての星野氏と路上ですれ違うことを想像すれば、怖い気持ちもする。しかし、これからは初心者により優しく運転しようと思える内容だった。 -
Posted by ブクログ
まだ途中ですが。
エッセイはこの人、っていうほど全部読んでるし、他の人はあまり読まない。
音楽と西洋と歴史と。ちょっと現実逃避できる楽しい内容。著者は日本人の西洋かぶれみたいなものに非常に手厳しいけれど、対極にあるものって憧れるものなのだ。特に小学校の音楽室の音楽家のポスターやクラシック音楽重視という音楽教育への批判があるが、ああいう教育があったから、多くの日本人が広く音楽を知り、楽しめることができると思う。最近は音楽の授業に和楽器もよく導入されるし、部活動でお琴なんていうのも結構アリなのに。
各章のタイトルが曲の題名なので、すぐに検索して音楽も楽しめる。
ありがとう、YouTube。 -
Posted by ブクログ
一念発起して、中年の筆者、星野さんが長崎の離島で車の免許合宿にいったエッセイ。
私は島ののんびりのとした雰囲気が好きなので、島旅を擬似体験できて楽しかった。だいたい想像どおりの展開というのも、それはそれで安心感。何より星野さんのキャラがいい感じ。不器用でマジメ、というのはそれだけで物語が成立するなあと。
島での出来事も良かったけど、後半の星野家のストーリー、文庫本あとがきが個人的にはなんだかじんわりココロに染みました。星野さんは異文化に興味がある旅好きのようですが、「車」という異文化に触れることで、「父」という異文化にも順応していったんですね。 -
Posted by ブクログ
〇あなたの生活の快適さを保証するために、あなたが眠っている間に働いている人たちが社会にはたくさんいるのだ。
☆だから、人のことをとやかく言うもんじゃないなあと思う。そうなると、どうも無口になってしまう。なんも言わないのが一番いいような気がして。
〇100円の健康青竹を踏むことは、幼い頃の自分自身の記憶を踏みにじることだった。
☆その商品の裏にいる人たちのことを考えてみると、100均の商品が不気味に思えてくる。298円のパイナップルでさえ、え、外国からきてこの値段なのかと思うけど、本当に元の元の人の所にはいくら入っているんだろうか。
〇日本とて、もともとは多民族の寄せ集まりだった。
☆「日本人」で統一することで、国民意識を一体化させてきたという。こうやって国民像を作ったさきにあるものは何だろう。
〇彼女が私を選んだのは、つまるところ私になら勝てると彼女が判断したからなのだろう。
☆こういう人、いるよね。だからこそ、堂々としていよう。付け入る隙を与えないように。
〇旅に出たら考えるのは当たり前だ。
☆旅にでたいなあ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレコンニャク屋さんの話じゃなかった!
という、いきなりのタイトル詐欺をぶち込んでくるわけだが、それはそれとして面白かった。
とりあえず出てくる人みんな、語尾が「だお」なのが可愛かった。おっさんからおばあちゃんまでみんなだお。
自分も最近急にルーツを気にしだしたというのもあるし、半分実家である和歌山も話題に出てくるし、なかなか他人事とは思えない内容だった。
しかし、自分みたいな行きあたりばったりとは違って、ちゃんと調べる人はちゃんと調べるんだな… 江戸時代の文書まで調べないとそりゃ出てこないかぁ… 自分には無理だな、と思ったりも。
でもやっぱりコンニャク屋さんの話を読みたかったんだよ僕は。
あと、最後かんちゃんどうなったんだよ! -
Posted by ブクログ
10年くらい前の本ですけれども、割と楽しめましたね…著者の文章がイイからか、中国の情景まで浮かんでくるよう…けれども、今の中国はもっと都会化しているでしょうねぇ…10年前に出版された本の上、1980年代に旅行したことをここには書いているんですから…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
中国人…主張の激しい人たち、というイメージですけれども、現代だとそれほど? 熱い人達ではなくなっているんでしょうか…なんか著者が中国の、現代の若者についてそのような感想を漏らしていたので…。
今の日本はスマホ中毒の、それこそゾンビみたいに無反応な人間が増えているきらいがありますが(!)、中国はまだ人が会話を交わし、よくわからぬ熱気とやらに包まれているようで、できれば一度くらい訪れたいものですね!
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー -
Posted by ブクログ
面白かったです! あの頃のこと……つまりは苦い教習所時代のことを思い出してしまいました(笑) 社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
僕も著者同様、頭が「車を運転する」ための構造になっていないようで…基本的なことで何度も教官に注意され、挙句の果てには「お前は乗らない方がいい」とまで言われる始末……けれどもまあ、星野さんと同じように僕も免許、取れたんですけれどね。
星野さんと違うところは僕は免許取得後、一度しか乗っていないということ…もう運転できません…ので、もし乗るとなればペーパードライバー教習とか受けなくちゃならんですねぇ…。
最近、車に興味を持ちだしている僕ですけれども…そんな気分の時に読んだので割と面白く感じられたのです…さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー -
Posted by ブクログ
ノンフィクション作家の星野博美氏が、亡くなった祖父の手記を頼りに一族のルーツを探るという作品。
星野氏の祖父は東京で町工場を営んでいたが、もともとは千葉県岩和田の漁師の家系で、その屋号が「コンニャク屋」だったそうだ。そして今でも岩和田の親戚の家に伝わる言い伝えでは、およそ江戸時代の頃に紀州から移り住んだという事らしい。
手がかりを求め千葉の親戚を訪ね歩いたり、墓石に刻まれた名前や古い史料をもとに、実際に和歌山を訪れたりと、チョットずつ核心に迫って行く道程は非常に興味深い。しかもコンニャク屋のメンバー一人ひとりが個性的で面白く、まるで自分の親戚であるかのような親近感が沸いてしまった。
この作品はコンニャク屋の祖先が、遠く紀州から鰯を追って漂流してきた歴史物語であるのと同時に、自身のルーツとアイデンティティを探る、著者の漂流の記録でもあるのだなと思った。