星野博美のレビュー一覧
-
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
長らく積ん読になっていたのは600頁超という量におののいていたのと、1997年と四半世紀近くも前の返還前後のことをいまさら読むのもどうかなと思っていたから。ところが、読み始めると面白くて、どんどん読み進めていけた。四半世紀前の普通の(中の下くらい?)の生活感が何となく味わえる感じがする。騒がしくてバイタリティがあり、大陸人の生きにくさがあり、香港人の生きにくさがあり、隣の人の生活や人生を見聞きしているような近さを感じながら読んだ。
そして、返還前後の香港の空気感を確認できたのもよかった。中国に返還されることによる楽観論も悲観論も右往左往していたあの頃。25年くらいがたって、いまの香港のことを思 -
- カート
-
試し読み
-
- カート
-
試し読み
-
- カート
-
試し読み
-
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
「んなこたぁない」から始まり、「いや、あるかもしれない」、そして最後は「そうに違いない」、読書中の私に思考をそのまま文字にするとこうなる。
「世界は五反田から始まった」、いやに挑発的なタイトルと言っていい。私は現職のオフィスが五反田であり、JR山手線を通勤で利用しているが、駅の階段に本書の広告が大きく掲示されていて、見るたびに「んなこたぁない」と思っていたのだが、読後の今はこう思っている。「世界は確かに五反田から始まった」と。
本書は五反田で町工場を営む家系に生まれ育った著者が、亡くなった祖父が残した日記を元に、ファミリーヒストリーを語るという構成になっている。しかしながら、本書が作品とし -
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
渋谷に育った私(産まれて数年は父の故郷九州に居たので若干ロンダリング)にとって、大五反田は近いけれどほとんど縁がなかった地域。それが高校生の頃、実家が引越して通学や通勤の乗換駅である中延や五反田が生活圏の一部になったから本書に出てくる路線や地名の雰囲気はよくわかる。関東大震災の前年に麹町で(文字通り乳母日傘で)生まれ育った母が「語り部」気質だったのか、戦前と戦後では価値観をガラリと変えなければならなかったこと。人間、死ぬ気になったらなんでもできること。ふつうの人は戦争したら損するだけ。だから戦争だけはしちゃいけないと何度も何度も繰り返し聞かされた。著者とはほぼ同世代だが高度成長期の子どもだった
-
- カート
-
試し読み
-
- カート
-
試し読み
-
Posted by ブクログ
読書で声出して笑ったの何年振り?
開始4ページ目でもう声を上げて笑った。
作者は絶望の運気を自らの力で変えようと一念発起、40代半ばにしてはるばる東京から長崎五島列島にある合宿制自動車学校へ入校する。
学校選びの段階から笑わされたけど、わからないことをあけすけに何でも質問する作者の様子と、五島弁で温かな先生たち、馬、他の合宿生とのやりとりが面白いしほのぼのする。
登場する人、動物、五島の自然、何もかもを愛おしく感じた。
運転下手な私が読むと、共感の嵐で笑わずにいられない。
でも、運転が上手い人や自動車学校の先生が読んだら、
イライラしちゃうかもしれない。自己責任でぜひ読んでほしい!笑
-
- カート
-
試し読み
-
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
『一般論ではない。これは私が所属する世界の話である。しかし一方では、こうも思っている。五反田から見える日本の姿がきっとあるはずだ』―『はじめに』
2007年に出版された「迷子の自由」で嵌まって以来ぽつりぽつりと読み継ぐ作家、星野博美。ルポルタージュを主とする文筆家であるにも拘らず、この人の視野は決して広くは感じない。見えているのは手の届く範囲、常に足元ばかり見ていると言っても過言ではない。けれど、一端その視野に入って来たものがあれば、それがどこから来たのかという問題提起を皮切りに、軽快なフットワークで自身の立ち位置を移動し(取材範囲を広げ)、結果として身近な世間が想像だにしなかった世界と繋が -
- カート
-
試し読み
-
- カート
-
試し読み