星野博美のレビュー一覧

  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    中国返還前後2年間の香港を体験した記録。
    香港人の友達とすれちがい、喧嘩、古いアパートは問題だらけ、移民の友人、近所のカフェの美少年。。
    本当の香港、この国の生命力がわかる。
    次に香港に行く時は今までと違う香港が見える気する。

    0
    2024年10月14日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    祖父の手記から始まった家族の歴史をめぐり、解き明かされていく過去。空襲や集団移住…。現在タワマンが立つエリアの戦前戦中の歴史。知らなかったことも多々あり読み応えありです。

    0
    2024年09月24日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    1997年の中国返還前後の香港に暮らした記録。
    2024年の今、ちょっと旅行したくらいでは分からない、地に足のついた香港の姿を知る。特に、中国本土からの移民など地べたの話がとても興味深い。
    筆者の青さも含めて、五つ星。

    0
    2024年06月30日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    長らく積ん読になっていたのは600頁超という量におののいていたのと、1997年と四半世紀近くも前の返還前後のことをいまさら読むのもどうかなと思っていたから。ところが、読み始めると面白くて、どんどん読み進めていけた。四半世紀前の普通の(中の下くらい?)の生活感が何となく味わえる感じがする。騒がしくてバイタリティがあり、大陸人の生きにくさがあり、香港人の生きにくさがあり、隣の人の生活や人生を見聞きしているような近さを感じながら読んだ。
    そして、返還前後の香港の空気感を確認できたのもよかった。中国に返還されることによる楽観論も悲観論も右往左往していたあの頃。25年くらいがたって、いまの香港のことを思

    0
    2024年04月06日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    著者が留学生以来10年ぶりに香港に住みつき返還前後の二年間の香港生活を洞察力、若さと行動力で見事に書き上げた、渾身の一冊。

    0
    2024年01月04日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    祖父の手記から、作者の生家のある五反田周辺でおきた歴史の物語を著した、歴史土地ノンフィクション。

    さすが、星野さんである。
    教科書のように味気なくなりがちな郷土史を、家族の歴史や自分の話とが絡み合いながら、楽しく、悲しく紹介していく。
    かつては軍需工場が多くあった五反田付近の、戦争にまつわる話は、自分もよく知る場所だけに、リアルに感じられた。それも星野さんの技術なのだろう。

    0
    2023年12月04日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    タイトルから勝手に五反田のアンダーグラウンドの話とかサブカル系の本かと想像していたが、著者のファミリーストーリーから、戦前から戦後にかけての日本の、そして五反田界隈の人々の歩んだ苦しい道程が綴られた、日本人が読むべき一冊だった。

    0
    2023年11月22日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    「焼け野原になったら、何が何でも戻ってきて、杭を打とう。」帯のこの言葉に吸い寄せられるように手に取りました。戸越銀座で町工場を営む星野家。本書は著者のファミリーヒストリーですが、庶民の目線で描く(著者風に言えば)「大五反田」の戦前〜戦後史とも言えます。小林多喜二の小説の舞台となった場所、品川大空襲、武蔵小山の満蒙開拓団など本書で初めて知ったことも多いです。自分は著者と同年代でとうぜん祖父母や父母も同年代。また「大五反田」に多少縁のある自分としても興味深く読みました。おススメです!

    0
    2023年10月20日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    「んなこたぁない」から始まり、「いや、あるかもしれない」、そして最後は「そうに違いない」、読書中の私に思考をそのまま文字にするとこうなる。

    「世界は五反田から始まった」、いやに挑発的なタイトルと言っていい。私は現職のオフィスが五反田であり、JR山手線を通勤で利用しているが、駅の階段に本書の広告が大きく掲示されていて、見るたびに「んなこたぁない」と思っていたのだが、読後の今はこう思っている。「世界は確かに五反田から始まった」と。

    本書は五反田で町工場を営む家系に生まれ育った著者が、亡くなった祖父が残した日記を元に、ファミリーヒストリーを語るという構成になっている。しかしながら、本書が作品とし

    0
    2023年09月25日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    渋谷に育った私(産まれて数年は父の故郷九州に居たので若干ロンダリング)にとって、大五反田は近いけれどほとんど縁がなかった地域。それが高校生の頃、実家が引越して通学や通勤の乗換駅である中延や五反田が生活圏の一部になったから本書に出てくる路線や地名の雰囲気はよくわかる。関東大震災の前年に麹町で(文字通り乳母日傘で)生まれ育った母が「語り部」気質だったのか、戦前と戦後では価値観をガラリと変えなければならなかったこと。人間、死ぬ気になったらなんでもできること。ふつうの人は戦争したら損するだけ。だから戦争だけはしちゃいけないと何度も何度も繰り返し聞かされた。著者とはほぼ同世代だが高度成長期の子どもだった

    0
    2023年06月11日
  • 謝々! チャイニーズ

    Posted by ブクログ

    中国の東の海のヘリをベトナムから上海まで行った体験を書いたものである。フィールドワークとしてのノンフィクションとしての読み物であるばかりでなく、一連の旅行記として、通用するものでもある。皮肉として書かれている「地球の歩き方」の出版社であるダイヤモンド社が倒産したことは偶然の一致である。

    0
    2023年06月06日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    著者の星野さんと同世代なので、昭和の暮しの風景は何となく想像できました。
    星野さんのおじいちゃんが小さかった孫に言い残した「戻りて、ただちに杭を打て」は、絶望の中から微かに覗く光のように感じられます。
    今の星野さんの実感として語られる「しかしいまは少なくとも、戦争、あるいは戦争に擬似した何かが起こることは十分ありうる(というか、すでに始まっている)」という文章が何とも謂えない余韻を残しています。

    0
    2023年04月12日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    ちょっとだけ珍しそうな本を読むつもりで手にしたが、いやいや面白かった。
    たった半径2kmほどの大五反田圏で生きた家の物語がこれほどの本になるとは。空襲を中心とした戦時の話はリアルだが人々の明るさも感じられて温かい気持ちにもなれた。
    自分のルーツなど知りようもないしそれでいいが、結構な物語があっただろうなとも思う。ちなみに亡き母は関東大震災も東京大空襲も経験し生き抜いた。

    0
    2023年03月02日
  • 島へ免許を取りに行く

    Posted by ブクログ

    読書で声出して笑ったの何年振り?
    開始4ページ目でもう声を上げて笑った。

    作者は絶望の運気を自らの力で変えようと一念発起、40代半ばにしてはるばる東京から長崎五島列島にある合宿制自動車学校へ入校する。

    学校選びの段階から笑わされたけど、わからないことをあけすけに何でも質問する作者の様子と、五島弁で温かな先生たち、馬、他の合宿生とのやりとりが面白いしほのぼのする。
    登場する人、動物、五島の自然、何もかもを愛おしく感じた。

    運転下手な私が読むと、共感の嵐で笑わずにいられない。
    でも、運転が上手い人や自動車学校の先生が読んだら、
    イライラしちゃうかもしれない。自己責任でぜひ読んでほしい!笑

    0
    2023年01月10日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    本当にすばらしい本だった。
    現実に戦争が起こり、今が「戦前」になってしまうかもしれない時期だから、より一層ガツンときた。
    分厚い区史や自費出版の郷土資料を参照し、こんなにすてきな文章と装丁の作品ができることにも感動した。

    0
    2022年12月25日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    香港返還前後に住んだ筆者のフィールドワークである。500ページを超える大著なので、文庫本も厚いと思われる。香港に行く前にこの本を読むと、観光でない香港が味わえるであろう。ガイドブックにもこの本をお勧めで掲載した方がいい。
     フィールドワークでの推薦本やテキストでは紹介されていないのは大著であることと関係するのかもしれないが、沢木耕太郎の一瞬の夏も大著であるがフィールドワークとして詳細している。一瞬の夏というボクシングというスポーツを扱うよりも、この転がる香港の方がフィールドワークとして適していると思われる。

    0
    2022年12月25日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    『一般論ではない。これは私が所属する世界の話である。しかし一方では、こうも思っている。五反田から見える日本の姿がきっとあるはずだ』―『はじめに』

    2007年に出版された「迷子の自由」で嵌まって以来ぽつりぽつりと読み継ぐ作家、星野博美。ルポルタージュを主とする文筆家であるにも拘らず、この人の視野は決して広くは感じない。見えているのは手の届く範囲、常に足元ばかり見ていると言っても過言ではない。けれど、一端その視野に入って来たものがあれば、それがどこから来たのかという問題提起を皮切りに、軽快なフットワークで自身の立ち位置を移動し(取材範囲を広げ)、結果として身近な世間が想像だにしなかった世界と繋が

    0
    2022年12月22日
  • 愚か者、中国をゆく

    Posted by ブクログ

    1987年の中国旅行記である。35年ほど前である。中国の列車のフィールドワークとして読んでみてもとても面白い。これだけの中国の列車の旅について書かれた本はないであろう。ニュースでは帰省の混雑のみ報道されているがそれが一面でしかないということがわかる本である。

    0
    2022年12月21日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    誰かの自分をさかのぼる旅に付き合うことが救いになる。きわめて個人的なことが大きな文脈の中にすとんとはまる。尺取り虫のように領土を広げる話は大叔母の紛争を理解させてくれた。それも時代だったのか。

    0
    2022年10月19日
  • 世界は五反田から始まった

    Posted by ブクログ

    筆者の地元五反田。死期の迫る祖父が遺した手記をベースに描く五反田と星野製作所。

    祖父から父の二代の星野製作所。バルブの部品を加工する工場。五反田には多くの町工場があったという。

    五反田の忘れられた歴史。小林多喜二と荏原郷開拓団そして城南大空襲。戦禍にもたくましく生きる人々。

    コロナ禍で取材旅行でできない中、地元を巡った作品。身近な土地にも多くの歴史、ドラマが潜んでいることを本書は教えてくれる。

    「コンニャク屋漂流記」と並ぶ傑作だろう。

    0
    2022年10月01日