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30年前に手渡された、祖父が残した手記。便箋に綴られていたのは、家族の物語と、地元五反田を襲った「もうひとつの東京大空襲」の記録だった。戦時下を必死で生きた祖父の目を通して、タワーマンションの光景が町工場の記憶と重なり合う。 大宅壮一ノンフィクション賞作家が描く、 東京の片隅から見た等身大の戦争と戦後。
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Posted by ブクログ
祖父の手記をきっかけに自分の家系をさかのぼった『コンニャク屋漂流記』の、いわば姉妹編。今回は時間の向きは逆で、祖父が移り住んだGreater Gotanda(五反田駅を中心に半径2キロ)の昭和の歴史をたどる。 五反田の北東側はハイソで閑静な住宅地。一方、南西側(旧荏原区)には町工場が立ち並ぶ。戦時下...続きを読むには軍需産業の下請けとして機能し、城南大空襲に遭い、焦土と化した。が、東京大空襲は死者10万人超だったのに、死者は数百人でしかなかった。なぜ少なくて済んだのか。 そこにずっと住みながら、知ることのなかった過去。祖父が書き残した手記をヒントに、いろいろな疑問が解き明かされてゆく。よくも悪くも、コロナ禍で遠出ができなかったおかげで、居住地五反田にじっくり腰を据えて、優れたルポルタージュが生み出されたような気がする。 そしていま、五反田圏内は、武蔵小山などに代表される再開発の波。その変わりゆくさまに、著者の心中は穏やかではない。映画『シン・ゴジラ』を見にゆくと、その武蔵小山が登場。タワマンが壊されるのを期待したが、そうはならなかった。スクリーンに向かってそっと舌打ちする著者。そこを読んで、笑ってしまった。
祖父の手記から始まった家族の歴史をめぐり、解き明かされていく過去。空襲や集団移住…。現在タワマンが立つエリアの戦前戦中の歴史。知らなかったことも多々あり読み応えありです。
祖父の手記から、作者の生家のある五反田周辺でおきた歴史の物語を著した、歴史土地ノンフィクション。 さすが、星野さんである。 教科書のように味気なくなりがちな郷土史を、家族の歴史や自分の話とが絡み合いながら、楽しく、悲しく紹介していく。 かつては軍需工場が多くあった五反田付近の、戦争にまつわる話は、...続きを読む自分もよく知る場所だけに、リアルに感じられた。それも星野さんの技術なのだろう。
タイトルから勝手に五反田のアンダーグラウンドの話とかサブカル系の本かと想像していたが、著者のファミリーストーリーから、戦前から戦後にかけての日本の、そして五反田界隈の人々の歩んだ苦しい道程が綴られた、日本人が読むべき一冊だった。
「焼け野原になったら、何が何でも戻ってきて、杭を打とう。」帯のこの言葉に吸い寄せられるように手に取りました。戸越銀座で町工場を営む星野家。本書は著者のファミリーヒストリーですが、庶民の目線で描く(著者風に言えば)「大五反田」の戦前〜戦後史とも言えます。小林多喜二の小説の舞台となった場所、品川大空襲、...続きを読む武蔵小山の満蒙開拓団など本書で初めて知ったことも多いです。自分は著者と同年代でとうぜん祖父母や父母も同年代。また「大五反田」に多少縁のある自分としても興味深く読みました。おススメです!
「んなこたぁない」から始まり、「いや、あるかもしれない」、そして最後は「そうに違いない」、読書中の私に思考をそのまま文字にするとこうなる。 「世界は五反田から始まった」、いやに挑発的なタイトルと言っていい。私は現職のオフィスが五反田であり、JR山手線を通勤で利用しているが、駅の階段に本書の広告が大...続きを読むきく掲示されていて、見るたびに「んなこたぁない」と思っていたのだが、読後の今はこう思っている。「世界は確かに五反田から始まった」と。 本書は五反田で町工場を営む家系に生まれ育った著者が、亡くなった祖父が残した日記を元に、ファミリーヒストリーを語るという構成になっている。しかしながら、本書が作品として素晴らしいのは、そのファミリーヒストリーがさながら日本の太平洋戦争をどう一つの家庭が生き抜いたか、という類い稀な戦争史になっているからである。 そういう点で、本書は著者の一人称で描かれてはいるのもの、実質的な主人公は千葉から一人この地に移り住んで工場を創業して家族を作った祖父と言える。祖父が創業した町工場の事業が少しずつ拡大し、戦争中には軍需品の部品づくりをしながら妻や子供たちを埼玉に疎開させ、終戦末期の大空襲で全てが焼け落ちる・・・、その歴史を現代の五反田の姿と対比させながら、物語っていく。 一見、極めて個人的な話のように見えて、そこには確実に一種の普遍性につながるリンクがある。そのリンクをこうまでにクリアに作品の中に表現するこの手腕に強く感動し、本書のタイトルに強く賛同するのであった。
渋谷に育った私(産まれて数年は父の故郷九州に居たので若干ロンダリング)にとって、大五反田は近いけれどほとんど縁がなかった地域。それが高校生の頃、実家が引越して通学や通勤の乗換駅である中延や五反田が生活圏の一部になったから本書に出てくる路線や地名の雰囲気はよくわかる。関東大震災の前年に麹町で(文字通り...続きを読む乳母日傘で)生まれ育った母が「語り部」気質だったのか、戦前と戦後では価値観をガラリと変えなければならなかったこと。人間、死ぬ気になったらなんでもできること。ふつうの人は戦争したら損するだけ。だから戦争だけはしちゃいけないと何度も何度も繰り返し聞かされた。著者とはほぼ同世代だが高度成長期の子どもだった私にとって戦争の話は昔話しに思えて、話半分で聞き流していたことを今になって悔やんでいる。
著者の星野さんと同世代なので、昭和の暮しの風景は何となく想像できました。 星野さんのおじいちゃんが小さかった孫に言い残した「戻りて、ただちに杭を打て」は、絶望の中から微かに覗く光のように感じられます。 今の星野さんの実感として語られる「しかしいまは少なくとも、戦争、あるいは戦争に擬似した何かが起こる...続きを読むことは十分ありうる(というか、すでに始まっている)」という文章が何とも謂えない余韻を残しています。
ちょっとだけ珍しそうな本を読むつもりで手にしたが、いやいや面白かった。 たった半径2kmほどの大五反田圏で生きた家の物語がこれほどの本になるとは。空襲を中心とした戦時の話はリアルだが人々の明るさも感じられて温かい気持ちにもなれた。 自分のルーツなど知りようもないしそれでいいが、結構な物語があっただろ...続きを読むうなとも思う。ちなみに亡き母は関東大震災も東京大空襲も経験し生き抜いた。
本当にすばらしい本だった。 現実に戦争が起こり、今が「戦前」になってしまうかもしれない時期だから、より一層ガツンときた。 分厚い区史や自費出版の郷土資料を参照し、こんなにすてきな文章と装丁の作品ができることにも感動した。
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