【感想・ネタバレ】転がる香港に苔は生えないのレビュー

あらすじ

あの時、あの街で、君に出会った

中国返還前の香港で、たくましく生き、様々に悩み、見果てぬ夢を追い続ける香港の人々の素顔。第32回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

別れ、再会、疎遠、遭遇、衝突、すれちがい、離散
‐返還前夜の香港‐あの時あの場所でしか起きえなかった交流の必然と偶然が描かれている。
 生活を前に進めるには持っているものを切り捨てなければいけない、いくつものそういう描写に気持ちが辛くなった。
 
 「多様性」の理解を一歩進めるきっかけにもなった。
 多様性とは、肌の色、宗教、年収などではなく、バックグラウンド。いつ香港に来たか、どんな手段で香港に来たか、なぜまだ香港に居続けるのか、そういった全ての背景が一人ひとりを形作る。背負っているものを明かすことあるし、隠しておくこともある。これらの集合体が香港の多様性だと知った。

 作中に何回か出てきた「尊厳」という言葉が気に入った。
 (本物の資本主義国である)香港において尊厳を保つため、時に少し高い買い物をする。相手の尊厳を守るため、モノを直接手渡す。資本主義は尊厳を過敏に反応させる。尊厳を気にすることなく過ごせる国は「いい国」であり無防備だ。

0
2025年09月11日

Posted by ブクログ

97年中国返還前後の香港で、著者の体感した「香港とは」と香港の移り変わりがとても率直に書かれていて面白い。
著者の半端ない逞しさと香港への好奇心がなせる良書だと思う。
30年近く経ち、もうこの本にある香港を見つけることのほうが難しいのかもしれないけど、もし香港を訪れることがあれば、もう一つのガイドブックとして、この本を持って行くことだろう。

0
2025年07月21日

Posted by ブクログ

中国に行く前に中国の風を感じたくて読み始めた。
文章が上手い、綺麗な文章とかいう意味でなく、文章の密度が濃く、感情や状況を言語化するのが上手い。この著者の存在は、米原万里さんの読書日記で取り上げていて知ったが、米原さんの中国版という感じ。
香港人の食に対する考え方(不味い冷凍肉は食わないがo157の危険のある新鮮鶏肉を食べる)とか博打の考え方がよかった。
著者の他の本読んでみたい。

2025.5.21

0
2025年05月24日

Posted by ブクログ

ドンピシャのタイトル、Rolling Hong Kong gathers no moss。1996.8.19に始まり、97.7.1の中国返還を挟み、98.10.9に終わる感動的な香港ルポルタージュ。
変わりゆく香港、変わり続ける香港。ページのそちこちから喧騒、熱気と暑気、匂いが立ちのぼる。いまを生きる(したたかでパワフルな)香港の人々に圧倒されまくる。
知己のまんじゅう職人に会いにゆくところから始まるのが印象的。ラストの8ページでは、帰国後西荻のアパートで香港を想う。600ページのルポを読んだあと、では、なんだか心が震え、胸が熱くなる。
大宅壮一ノンフクション賞を受賞していたのに、手にとることがなかった。そしていま出会った。相見恨晩。遅くなったが、出会えてよかった。

0
2025年05月03日

購入済み

謝謝チャイニーズに続き

こちらも拝読読み応え充分で
非常におもしろいかったです

タイトルの通り転がり続ければ
苔は生えないと妙に納得したのですが
本書は香港だけのことを述べている訳でなく
日本のことも危惧されています

出版当時はまだそんなことなかった
多様性が叫ばれるこの時代への著者の
先見性に驚きました

次は銭湯の神様拝読致します。

#エモい

0
2025年02月16日

Posted by ブクログ

中国返還前後2年間の香港を体験した記録。
香港人の友達とすれちがい、喧嘩、古いアパートは問題だらけ、移民の友人、近所のカフェの美少年。。
本当の香港、この国の生命力がわかる。
次に香港に行く時は今までと違う香港が見える気する。

0
2024年10月14日

Posted by ブクログ

1997年の中国返還前後の香港に暮らした記録。
2024年の今、ちょっと旅行したくらいでは分からない、地に足のついた香港の姿を知る。特に、中国本土からの移民など地べたの話がとても興味深い。
筆者の青さも含めて、五つ星。

0
2024年06月30日

Posted by ブクログ

長らく積ん読になっていたのは600頁超という量におののいていたのと、1997年と四半世紀近くも前の返還前後のことをいまさら読むのもどうかなと思っていたから。ところが、読み始めると面白くて、どんどん読み進めていけた。四半世紀前の普通の(中の下くらい?)の生活感が何となく味わえる感じがする。騒がしくてバイタリティがあり、大陸人の生きにくさがあり、香港人の生きにくさがあり、隣の人の生活や人生を見聞きしているような近さを感じながら読んだ。
そして、返還前後の香港の空気感を確認できたのもよかった。中国に返還されることによる楽観論も悲観論も右往左往していたあの頃。25年くらいがたって、いまの香港のことを思えば悲観論が勝ってしまったような気がする。ただ、それでもきょうも香港は生きて転がり続けているはず。
この本に出てきた著者の友人・知人の人たち、いまはどうしているんだろう。特に子俊とか肖連といった若い人たちのその後を知りたい。

0
2024年04月06日

Posted by ブクログ

著者が留学生以来10年ぶりに香港に住みつき返還前後の二年間の香港生活を洞察力、若さと行動力で見事に書き上げた、渾身の一冊。

0
2024年01月04日

Posted by ブクログ

香港返還前後に住んだ筆者のフィールドワークである。500ページを超える大著なので、文庫本も厚いと思われる。香港に行く前にこの本を読むと、観光でない香港が味わえるであろう。ガイドブックにもこの本をお勧めで掲載した方がいい。
 フィールドワークでの推薦本やテキストでは紹介されていないのは大著であることと関係するのかもしれないが、沢木耕太郎の一瞬の夏も大著であるがフィールドワークとして詳細している。一瞬の夏というボクシングというスポーツを扱うよりも、この転がる香港の方がフィールドワークとして適していると思われる。

0
2022年12月25日

Posted by ブクログ

最高でした
台湾の喧騒を思い出す、また行きたくなるけど、この本で思い出せそうな気がする
何度でも読み返したい

0
2021年06月09日

Posted by ブクログ

あらゆる出来事や物に対する、星野さんの繊細で暖かく、時にハッとさせられる洞察力に感嘆。
星野さんがその目を通じて見たもの、感じたことが、丁寧に丁寧に書かれています。

正直、読んでいると香港の街はなんて生きづらく、香港人と接するのはとても苦労するな…なんて思うことはたくさん!笑
でもそれと同じくらい、魅力に溢れる場所であり、力みなぎる人々なんだと思わせてくれる。それはひとえに、星野さんの力でもあります。

面白かった!他の作品も読みたい!

0
2021年06月05日

Posted by ブクログ

勤める業界のOBが勧めていて手に取った。

4ページ目で、筆者が香港の返還を北極星に例える描写がロマンティックで、それなのに華美ではなくて、この本は絶対に面白い、素晴らしい本を手に取った、と確信した。

実際に、うんざりしつつもどうしようもなく香港に惹かれている筆者による香港の喧騒の描写が素晴らしかった。香港の様子がありありと思い浮かんだ。

この本に出てくるエリートや密航者、街の飲食店に勤める人々はいまどうしているだろうかと思わずにはいられない。いまどこで過ごし、いまの香港の現状をどんな風に受け止めているんだろう。

0
2021年04月01日

Posted by ブクログ

香港返還時期に立ち会った生き証人。生々しく生きる人々から学んだ香港の光と陰。著者は「日本はいい国だ」という言葉の意味は、自分たちが無防備でいられることだという。単一のほうが楽だから、楽な方向に向かおうとし、異物を排除しようとする。


「今我々に必要なのは誇りではなく、多様性だと私は思う」

今から16年以上前に著者が感じたことだ。そして現在、我々はその時から変わっているのであろうか。世界を震撼させ続けている疫病を理由に再び楽な単一を選ぼうとしているのではないだろうか。 

0
2021年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

香港返還の瞬間に立ち会うため、返還の前後2年間現地で過ごした筆者による記録。

政治的、経済的に不安定な中でもたくましく生きる香港の市井の人々の人生が、筆者との交流を通して瑞々しく時に生々しく描かれている。

現在の、この不安定な日々の中、勇気をもらえた作品。長編が苦手だが、読みやすい文章&電子書籍だったおかげで、どんどん読めた。

「すべてのものは変わってゆく。永遠に変わらないものなど何一つない。予期しない変化を嘆いたところでどうしようもない。ただその中で自分が生き残ることだけを考えて前に進む。」

0
2020年04月12日

Posted by ブクログ

1997年にイギリスから中国へ返還された香港で、返還前後の約2年間を現地で生活したノンフィクション作家、星野博美氏の著書。最初の1年は就学ビザのため語学学校へ通い、2年目からは1か月間の観光ビザを取得するために入出国を繰り返すという、実に気合いの入った生活ぶりである。

ちょうど歴史的転換点を迎えた香港の様子を描いているのだが、政治的な話はほとんど登場しない。一緒に語学学校へ通うシスターや、大学時代に留学していた中文大学のエリート同級生、借りたアパートの近所の人々とのエピソードを通じて、街の喧騒や匂いが存分に伝わる内容となっている。

大陸との関係や移民問題、密輸や密入国者が多い事、不自由な住宅事情などなど、もちろん彼女の目線で見る香港が香港のすべてとは思わない。ただ約20年前の作品である事を差し引いても、あまりにアジアの隣国に無知な自分にとっては充分に興味深く、そして刺激的な作品だった。

0
2018年08月24日

Posted by ブクログ

昔から香港という土地に不思議と興味をひかれていて、香港に関わる書籍を読もうと思ってまず手に取ったのがこの本。
読んで本当に良かった。
リアルな香港が作者目線で瑞瑞しく書かれていて、香港という場所がどういうところか、よくわかった。
香港へ旅行することになったときに読み返したけど、旅行でも役に立つことが多くあったし、本当、読んで良かった本。

0
2017年06月17日

Posted by ブクログ

香港返還が、現地ではどのように感じられていたのか。
物事は、どちら側から見るかで変わってしまうのだと、当然の事を思う。

0
2016年04月30日

Posted by ブクログ

 香港の返還には興味はあったが、旅行者としての視点を持っていなかった。
だから、返還がお祭り騒ぎのようであり、しかも香港の在住の人に対して、言い尽くされた「返還をどう思う?」という疑問でしかなかった。
 それが、10年来の友人たちの今を通して、生活や考え方の変化、さらに広東語で近隣の顔見知りに本音を聞くことで、表層でなく、個々の人間に魅力を感じるほどまでに、迫ってくるものがある。
 そこに生活する人のバックグランド、毎日の生活、人つながりで支えあう人々、土地、金、パスポートへの欲。そもそも移民の流入先として成り立っていた香港の、その大陸からの流入時期によって、オールドカマーが、ニューカマーを下に見る構図。
 英語>広東語>北京語 という構図は、今はどうなのだろうか? 
 どんな解説書を読むより、当時の香港という街が理解できたように思う。

0
2015年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルの意味は終盤になってようやく分かる。そして、そこへの収斂のさせ方が実に見事。「謝々チャイニーズ!」が仮説を立てる旅だとしたら、こちらは検証の旅といった様相。現地に身を置いたからこそ見えてくる香港の本質と、返還前後の貴重なルポ。いま読んでも全く古臭さを感じない。

0
2015年05月09日

Posted by ブクログ

沢木耕太郎より面白い。香港を旅行したくなった。
なお、米原万里の書評から本作と著者に興味を持ったのだけれど、ぼくみたいな人、結構いるみたいだね。

0
2015年03月15日

Posted by ブクログ

返還期の香港にまさに入り、感じたことを赤裸々につづる筆者。変わり続ける香港がもしかすると止まるかもしれない返還。これまでの香港に「慣れる」ために、様々な人の話をきき勉強していく筆者。なれるためには今まで生きてきた自分の魂を変化させていくことだ。香港人に戸惑い、傷つき、慰められ、笑顔にさせられ、結局自分のルーツである日本人であることを「誇り」とし、閉じこもった世界で持つ誇りに意味はなく、広い意味で国際交流しての「誇り・矜持」ならば大切であることに気づく。

僕(このレビューを書いている私)は香港中国返還の10年後、香港で半年間暮らした。悲壮感などなく、10年祭として大賑わいだった。観光で来る大陸人(中国人)たちは、相変わらず、ホテルを荒らしまわり、人民袋ぱんぱんに荷物を詰め込み、ブランド品を手当たり次第に買っていた。そんな大陸人を香港人は、同じ国だけど別の生物のように、少し引いた目で見ていた気がする。
毎日変わり続ける香港。毎日を生きるために積極的な香港。ゲップをしまくる香港。香港で生まれたことを誇りに思う香港。カナダやオーストラリアに留学する香港。
人は香港をハブ空港として世界を左から右に、狭い香港にそびえ立つ摩天楼を上から下に、縦横無尽に動いていく。
イギリスの植民地であったことも利用してさらに進もうとする、一部の経済的自由をもった特殊なその力は、根無し草の集合体が、限られた土地で生きるために選んだ手段なのかも知れない。そして、同じくイギリスに統治されたインドとはまた違う活力を持つ。

筆者は一度負けた(自分で期限を決めて離れることができず、次期とタイミングで離れた)と思った香港で卒業試験を自分で設け、ピリオドを一度打つ。この本は筆者の香港に恋をしていた話だ。なぜなら僕も同じ思いをしたから。いやなところも、わからないところもあったけど、そして自分は絶対に香港にずっと住むことはできないことがわかっても、好きといえる気持ち。プラトニックな関係は、心に引っかき傷をつくっていつまでも思い返す初恋のような感じで熟熟と膿んでいく。その膿は失ってしまった恋の大きさに比例するが、いつか大きな宝となる。
また、香港に行きたくなった。

0
2012年12月06日

Posted by ブクログ

香港に住んでいても、広東語がわからない私には香港の人と話をすることができない。すれ違う人たちがどんなバックグラウンドを持っているのか、どんなことを考えるのか。それを理解する多少のヒントになったかもしれない。とても面白く夢中で読んだ。

0
2012年09月21日

Posted by ブクログ

文章の歯切れがよく、テンポ良く構成されていて、あっという間に読んでしまった。

様々な背景の人が集まり、人も政治も経済も流れが速い香港。そんな香港が大好きなのに、安定を望む日本人である自分は、香港人にはなれないと著者。
日本は「千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」安定を求める気質であることに対して、香港は「転がり続ける」と表現されている。
このタイトルの付け方に膝を打ってしまう。

星野博美さんの本は、早く続きを読みたい!と急かされるように読んでしまうなー

0
2012年08月15日

Posted by ブクログ

そのタイトルをみて、なんだかとてもドキドキしてしまい手にした一冊。
中国返還頃の香港にひとり赴いた星野さん。
学校に通い生活をして、香港という街の複雑さと、人の強さを記しています。
結構な頁数だったように思うけど、引き込まれました。
同年代で、写真家である星野さんですが、文章も好きです。
「銭湯の女神」もお奨めです!

0
2012年08月16日

Posted by ブクログ

香港返還前後を描いた2年間の記録。帯にあったその言葉に惹かれて手に取った本作。

2年のあいだ度々香港へ旅行した記録ではなく、実際に住んで、香港に暮らす人々と会話した内容がわかりやすくまとめやれていて読みやすい。

驚愕したのは茶餐廳で一目惚れ(?)した男の子が暮らす街に引っ越して、その男の子と親しくなるという行動力。令和の日本ならストーカーとか言われそう。土地柄なのか、時代なのか。

大陸出身の方の身の上話や、カナダパスポートを取れたから勝ち組というわけでもない話、めまぐるしく変わる香港に暮らす人々の順応性は興味深い。

「いつ奢ってくれるの?」と香港人が言うのは親しいから、麻雀は社会でのよくできたコミュニケーションツールである、など、香港人ならではの感覚も面白かった。

今度香港に行くときには、著者が暮らした深水埗に絶対行こうと思った。

0
2025年10月19日

Posted by ブクログ

星野博美(1966年~)氏は、国際基督教大学教養学部卒、会社勤務を経て、写真家・橋口譲二氏のアシスタントとなり、1994年に独立しフリーの写真家・作家となる。本書『転がる香港に苔は生えない』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したほか、読売文学賞随筆・紀行賞、大佛次郎賞等の受賞実績あり。
本書は、大学在学中に一年間、香港中文大学への留学経験のある著者が、1997年7月1日の香港の中国への返還を挟んで、1996年8月から1998年10月まで約2年間香港に住み、そこに暮らす人々を描いたノンフィクションである。2000年出版、2006年文庫化。
私はノンフィクション物を好んで読み、しばしば新古書店で過去の各種ノンフィクション賞受賞作品を物色するのだが、本書もそうして入手した一冊である。
私はこれまで香港を二度訪れたことがあり、その1回目は、中国への返還から十年以上経った2010年で、当時は、返還時の中国側の約束である「50年に亘る一国二制度による高度な自治」が維持されていたはずである。その後、2014年には、次期香港特別行政区行政長官選挙に関する中国政府の決定に端を発した「雨傘運動」が、更に、2019~20年には、逃亡犯条例改正案をきっかけにした民主化デモが起こったが、私はその間、香港に関するTVや新聞の報道を、高い関心を持って見ていたし、それらに関係する『香港デモ戦記』(小川善照著)などの本も読んできた。しかし、現在の香港の状況を見ると、50年間約束されていたはずの自治は、事実上剥奪されてしまったと言え、世界の関心は、既に香港から台湾に移ってしまっている。
他方、本書の舞台は、上記の通り1997年の中国返還前後の香港である。当時、典型的な香港の街中のアパートに住み、毎日街の食堂に通い、多数の普通の香港人と付き合う著者が見た香港は、大半が他の土地から流れてきた人々の集まった、混沌とし、常に摩擦を生じさせながらも、未曽有の活力を持ち、多様性を受け入れる場所だった。その香港を、著者は「好むと好まざるにかかわらず、まるで崖から転げ落ちる石のように、彼らは転がり続けてきた。」と書いている。対して、我々日本人を、「千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで変わらない安定を望む人々」とも書いている。
本書は、本当の香港(人)を知るために、類書の少ない優れた一冊であることは疑う余地はないだろう。しかし、それから20余年が過ぎた現在、その香港(人)とは、今はなき過去のものなのか、それとも、今も変わらず存在し続けているものなのかはわからない。
後者であって欲しいと願うばかりだが、それを知るためにも、著者による続編的作品が読んでみたいものである。
(2024年11月了)

0
2024年11月29日

Posted by ブクログ

返還前に香港に添乗員として何回か
訪れていたのであの時の躍動を舞台裏から知る事が出来た。ちなみに当時の社内では国内旅行は伊豆に始まり伊豆で終わると言われ、海外旅行は香港に始まり香港で終わると言われていた。深夜特急もそんな感じですよね。
自分の失敗もさらけ出して記述頂いて
おり文章にとても信頼感が持てた。
いつかまた行ってみたいと思った。

0
2023年05月19日

Posted by ブクログ

 タイトルは日本の国歌「君が代」の歌詞のもじりから。
 返還前後の香港で暮らした30代前半の日本人女性の、瑞々しいレポート。こんな文章書けたらいいのになぁと思う。
 何が良いかって、彼女自身がしっかりと媒介になっている点がブレずに徹底している。人と人との生々しいコミュニケーションの軌跡、街の喧噪やごみの臭いがこちらに届きそうな描写、身を切るような筆者自身の自省を含め、すべてがストンと腑に落ちるように読めるのは、彼女の等身大レンズを通した街や人が丁寧に描かれているからだと思う。それも、留学を機に築かれた10年ものの関係を温め、そして新たな人々の出会いを追いながら、丹念に人の姿を追っていくやり方で。
 根底には、時に憤ったりしながらも失われない、人々への温かい目線。おかげで今まで漠然と捉えていた香港と本土の違いも、いま香港が向き合う課題の背景も、今後は具体的な形を伴って目の前に立ち現れて来るように感じられる。

0
2017年05月05日

Posted by ブクログ

もちろんお会いしたことは無いけど大学の先輩だそうで。これ読んだことが香港に来るきっかけの一つになったのは間違いない。

0
2015年01月05日

Posted by ブクログ

返還前の香港には行ったことがある。返還後の香港は行ったことがない。そんな私の感想としては、600ページは長かった、です。読み終わってしばらくたっているせいか、つまらないわけではないのですが、取り立ててコメントするものも思い出せない。

ただ、この本を書くのに手間暇がとてもかかっていることはわかる。

払ってもいい金額:1,000円

著者の考え方のルーツがわかるような気もするが、そこにはあまり興味がなかったので、謝謝!チャイニーズのほうが好みかな。

0
2015年05月10日

「ノンフィクション」ランキング