【感想・ネタバレ】愚か者、中国をゆくのレビュー

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Posted by ブクログ 2022年12月21日

1987年の中国旅行記である。35年ほど前である。中国の列車のフィールドワークとして読んでみてもとても面白い。これだけの中国の列車の旅について書かれた本はないであろう。ニュースでは帰省の混雑のみ報道されているがそれが一面でしかないということがわかる本である。

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Posted by ブクログ 2022年07月31日

素晴らしい旅の記録である。時間をおいて、その後の中国の変化から、さらに気がついた事を掘り下げているのが素晴らしい。また、異文化コミュニケーションについて深く考えさせられる。

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Posted by ブクログ 2013年11月09日

二年ほど 積読状態でした。
天気が良かったけれど
つい 億劫になって
ひょい と 手にして読み始めたら
これが 抜群に面白い

歩く速さで考える

というのは 星野さんのような方のことを言うのだ

人に対しても
その国(中国)に対しても
ほど良い距離で
ちゃんと 見て
ちゃんと 考える
その
ものす...続きを読むごく難しい課題を
難なくこなしておられる
のが 素晴らしい

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Posted by ブクログ 2012年01月29日

文章が上手で感性豊かな着眼。とても気持ちよく読めました。そして共感すること、驚きも多し。お薦めの一冊。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

「しかし列車を降りる時間が近づくと、私は決まって感傷的になった。それは車内で出会った人たちとの別れを惜しむ気持ちと、もう一つは現実的な感情だった。それは、列車という密閉空間にいる時だけは少なくとも未来を考えずに済むからだった。」

星野博美は交渉の人だ。そして、交渉というのが、必ずしも自分の主張が自...続きを読む分の本当に求めているものなのかどうか、自分自身でも定かではない、ということも、よく心得た人でもある。交渉とは、相手と戦っているようでいて、本当のところは自分との戦いであることが彼女の旅の記憶から再確認されてくる。ずしりと重たいものが胃の辺りに襲ってくるのが判る。

交渉を止める時、選択肢は二つしかない。決裂するか否か、である。決裂する場合、その結果のインパクトの大きさに比べて、解放感というか、案外と自分の気持ちはさばさばとしている。逆に決裂に至らずに止める場合、つまりは括弧つきの「合意」が形成された場合、主張が通った場合もそうでなかった場合も、ずしりと胃が重たくなる。そんな星野博美の気持ちの動きに、自分はいとも簡単に同調する。最近、交渉が主な仕事になってきているので尚更だ。

そんな我田引水的な同調だけではなく、以前の読書でも感じたように、自分は星野博美の価値観に無意識のうちにいつも頷いている。例えば、星野博美はいつも在ったかも知れない出会いにこだわる。しかし一方で、その偶然が存在しなかったことにこそ自分らしさが表れているとも達観している。その潔いのかよくないのか判然としない彼女の態度に、実はとても惹かれるのだ。現実の自分を持て余しながら、それを同時に俯瞰で捉えてもいる、というアンビバレンツな自我。その彼女自身の描き方に恐らく共鳴するのだと思う。

だから何も交渉していない時の彼女は余りにも無防備だと感じるし、それを可愛らしいとも思えてしまう。じたばたしないと自分自身を俯瞰できないかのような星野博美が可愛いのである。引用した文章は、そんな彼女自身を彼女自身が時間を越えることによってようやく的確に捉え直したものだと思う。自分も、列車を読書に置き換えると、全く同じ気持ちになるのだが、そのことを自分がいつ客観的に認められるのかは、今のところ判らない。

話は違うが、滅多に「ほのめかし」のようなことをしない星野博美が、本書の最後で実に個人的なことをほのめかしている、と思うのは深読みし過ぎだろうか。描かれなかった1987年の台湾での六月。「君にはもうついていけない」の意味するところ。そして最後の一葉の写真に添えられた献辞。それまでのジャーナリスティックな星野博美の魅力とは全く異なる趣きが、そこにはある。それは驚くことに、まるで恋愛小説を読み終えたような味わいなのだった。

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Posted by ブクログ 2022年12月30日

星野さんの、ふと目にした光景や出来事を、そういうものなのだと納得するだけでなく、なぜそうなるのか理解しようとする姿勢が大好き。

中国や中国文化を愛する心、また鋭い観察力と共感力に溢れていて、星野さんが出会う全ての人々が愛おしく、時に憎らしく感じる。
まるで自分がその場にいて、その空間で同じ時間を過...続きを読むごしている…星野さんの文章を読むと,いつもそう感じます。

そして何より、星野博美さんの書く『別れ』のシーンが大好きだ。人だけでなく、街、記憶、時間、光景、そういったあらゆる概念との 別れ を、星野さんは本当に繊細に表現する力がある。

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Posted by ブクログ 2020年07月11日

この人の書いたものは、そこに出てくる人々の言葉が活字ではなく生の言葉として感じることが出来る。
いきなりだけど、著者はマイケルのことが好きだったのね。

今では所謂ホテルや高速鉄道が中国でも当たり前で、当時のような外国人ならではの旅行スタイルもなくなり、一つの歴史を読むような感じ。他の著者でも読んだ...続きを読むことあるが、硬座での旅はハンパなくキツイらしい。更に、無座というのもあったらしい。
 

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Posted by ブクログ 2019年12月27日

1980年代、21歳でホンコンからウルムチまで列車旅行をした記録。切符を手に入れるために必死になったり、パートナーと険悪になったり、席に座るために心を鬼にしたり。なんでこんなに大変なの!?という疑問をほっとかず、その時々で発見を続ける筆者。大変そうと思いながらも、旅に出たくなりました。

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Posted by ブクログ 2019年07月04日

10年くらい前の本ですけれども、割と楽しめましたね…著者の文章がイイからか、中国の情景まで浮かんでくるよう…けれども、今の中国はもっと都会化しているでしょうねぇ…10年前に出版された本の上、1980年代に旅行したことをここには書いているんですから…社畜死ね!!

ヽ(・ω・)/ズコー

中国人…主...続きを読む張の激しい人たち、というイメージですけれども、現代だとそれほど? 熱い人達ではなくなっているんでしょうか…なんか著者が中国の、現代の若者についてそのような感想を漏らしていたので…。

今の日本はスマホ中毒の、それこそゾンビみたいに無反応な人間が増えているきらいがありますが(!)、中国はまだ人が会話を交わし、よくわからぬ熱気とやらに包まれているようで、できれば一度くらい訪れたいものですね!

さようなら…。

ヽ(・ω・)/ズコー

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Posted by ブクログ 2013年06月12日

ただの旅行本じゃなく、作者なりの考察が随所にあって面白い。
中国は他の国と比べて時代を早送りしたような変化や、さらに同時代でも海沿いの発達した地域と内陸の地域の差など、本当に大きな違いと矛盾を抱え込んでいるのが感じられる。
中国に住んでいる人は毎日精一杯で大変なんだろうけど、部外者としてはぜひ行って...続きを読む体験してみたいなぁ。

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Posted by ブクログ 2012年04月02日

中国を列車で旅した記録。
最近の旅行エッセイとは一味ちがう、骨のある旅行記だと思う。中国を愛しているのが伝わってくるけれど、ただ好き好き!ではなくて、キチンと中国を見つめている視線がとてもいい。

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Posted by ブクログ 2012年01月23日

読み終わった時、学生時代にすべきことはこういうことだったんだなって思った。
同じ現在を生きながらも、属している時代の違いを知ること。
その新しさや恐ろしさを知ることが必要なんだと思う。
バックパックでいろいろな人と知り合うことは楽しそうだなっって感じた。

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Posted by ブクログ 2012年01月02日

1980年代の中国の雰囲気や、中国に対する外国人の捉え方などを、著者の留学生生活や烏魯木斉までの列車旅を交えて記した一冊。
香港返還前後の中国を記した本なども出しているようなので、ぜひ著者の別の本も読みたい。
※米原万里の「うちのめされるようなすごい本」で紹介されていたので購入。

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Posted by ブクログ 2011年04月08日

[ 内容 ]
交換留学生として香港に渡った著者は、一九八七年、アメリカの友人、マイケルと中国旅行に出る。
中国社会が大きな転換期を迎えたこの時期に、何を感じ、何を見たのか。
「大国」の本質を鋭くとらえた貴重な記録。

[ 目次 ]
第1章 香港
第2章 広州
第3章 西安から蘭州へ
第4章 嘉峪関ま...続きを読む
第5章 シルクロード
第6章 ウイグル
第7章 旅の終わり
第8章 それから

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2011年03月05日

1987年に中国を電車で旅行した筆者の旅行記!
関口知宏の中国鉄道大紀行がイメージででてくる感じ!

自分が生まれた前年の中国の話なんですが、
戦後?と思うぐらい
混沌としてて整備されてなくてむき出しです!

この文体もすごく好きだし、なによりも筆者のサバサバしてつかみ所のない性格が好き。エッセイな...続きを読むのでとても読みやすいです。中国を内側から捉える良書です!

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Posted by ブクログ 2011年09月03日

中国の不便さはこんなもんだろうと私が予想している模様がかいてあったけれど、どうやらそれはずいぶんと昔のこと(天安門事件前)でいまのことではないらしい。しかし、10年ぐらい前に中国旅行をした友達からも、切符売り場での割り込みはすさまじいと聞いたので、切符が普通に買えるようになったのはいったいいつからな...続きを読むのだろう。ものすごい勢いで成長する中国。抑圧されていた権力への志向が爆発するのもわからなくはないかもと思った。ちょうど年末の新幹線の切符を入手するために行列に並びながら読んでいたので、並ぶことにいらだつ自分と作者が重ねあわされた。というか、私が並んだのは自分が自動販売機で切符を買い間違えて変更するためという間抜けな理由でもあったので、人民の気持ちなど永久にわからないに違いない。いまの中国と比較するにはもってこいの一冊なのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2012年06月29日

一路平安 −どうぞよい旅を−
1986〜87年の中国を旅したはなし。
その旅は、著者星野さんが交換留学生で香港の大学にいたとき、
同じく留学生のアメリカ人のボーイフレンドと出掛けた時のもの。
ほんの20年前の話なのに、驚かされる。
いや、今の中国という国の急激な変化を思えば、20年前とは、
優に半世...続きを読む紀以上前の感覚なのかもしれない。
列車の切符を手に入れるために、とれるかどうかもわからないまま
無為に長蛇の列に並び、やっと辿り着いた窓口の「鉄の女」に切符の有無をきくと、
「没有(ない)」の一言で終わる。
脱力。
2005年での旅では、「電話予約してオフィスに切符を届けてもらった」
という女子大生と列車に同乗する。
当時の話をしたら「信じられない、一体いつの話?」と驚かれる。
あははは。私もそう思います。
オビにあった「ドストエフスキー、ばか!」なんだろうと思ったら、
旅の友マイケルが、思うにままならぬ旅よりも「白痴」へと逃げ込んでしまい、
ふたりの旅の意味が見えなくなってしまったことに対する星野さんの叫び。
この時代、同世代の自分は何をしていたんだろう。
中国、絶対に行きたくないのに、なんでこんなに惹かれるのか、
不思議でたまらない。
一路平安。。。なんとも、いい言葉だなぁ

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Posted by ブクログ 2022年07月01日

旅先の中国よりも、旅そのものに主眼が置かれていて、旅行中に変化する相棒との関係や、著者の「旅論」が語られる。

『転がる香港~』以降、感傷的になっているが、相変わらず考察は深い。中国鉄道の硬座(二等座席)がこの世の地獄のように書かれているのが興味深い。87年当時のことなので、自分の知っている2010...続きを読む~2012年よりもずっとマナーが悪くて自由だったのだろう。怖いもの見たさに一度経験してみたかった気もする。

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Posted by ブクログ 2019年08月31日

香港に留学中の日本人が中国を旅行した時の話
天安門事件の前なので、今と時代は違うが、変わりゆく中国、巨大な中国、中国における外国人などが当時の目線でリアルに表現されている

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Posted by ブクログ 2013年06月02日

 いいな~、中国。行ってみたいです。
 駅の待合所での、洗面器一つで始める、顔洗わせ屋さんの話がおもしろかったです。

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Posted by ブクログ 2012年08月19日

硬座、どれほどのものなのか思わず体験してみたくなる。
一緒に旅をするとその人の本当の姿が見えてくるとはよく言うが、典型的な例かなと思った。

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Posted by ブクログ 2010年08月16日

香港を抜けて広州、鄭州、西安、敦煌、ウルムチの旅程を、著者が21歳の時にアメリカ人の相棒と共に汽車で巡った回想日記。

時代は80年代。当時の中国では切符販売がオンライン化していないので各駅が適当にばら売りしているという状況で、待てど並べど硬臥の切符が手に入らないが、その駅の窓口に切符が無くても満席...続きを読むとは限らない。そこで硬座の切符を買って乗車してから空いている硬臥を押さえるという裏技に成功したり、失敗したり。
中国人の多さ。駅ではこれが圧倒的に感じられると書かれている。それは今も昔も変わらないんだなあとしみじみする。
敦煌に至って期待したほど感動出来ない戸惑いが、そこが非日常に長く身を置いた旅の終盤にあることが原因じゃないかというところに共感を覚えた。
蛇足の章でも常々自分が考えていたことを指摘していて楽しく読めた。

平素な目線で愛情むき出しの中国のルポを書く作家はこの人以外にいないのではないか。もっと書いて欲しい。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

劣悪な中国の列車の切符をとるためだけに奔走しているさまは、旅行記とは少し違うようなきがするけれど、
その当時の中国の様子を思い浮かべることができて、大変おもしろかった。
読んでいて疑問だったのは、マイケルとの関係だった。恋人だったら恋人とはっきり言えばいいのにな〜、と。
恋人との甘い旅行記を望んでい...続きを読むるわけではないが、その上での葛藤とか、世界観の違いとか、書いてくれればいいのになと。あと、旅行後そして今に至るまでの中国に対する深い分析がほしかった。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

茶屋町Book1stにて何となく。中国について知識がなかったため楽しく読めた。留学時の特殊な環境・学生たちの態度等は自分の経験とも重なる。いつの間にか切符第一になってしまったという記述に、ヲタ活動における「並び」の「楽しさ」を思い起こす。社会主義と中国の国民性について興味を引かれる。更に何か読みたい...続きを読む。080531

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

1987年、敦煌で私は彼とケンカした ドストエフスキーの、ばか!――大宅壮一賞受賞の作者による、中国の本質を低く、深く、鋭くとらえた旅の記録。

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