星野博美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
香港の返還には興味はあったが、旅行者としての視点を持っていなかった。
だから、返還がお祭り騒ぎのようであり、しかも香港の在住の人に対して、言い尽くされた「返還をどう思う?」という疑問でしかなかった。
それが、10年来の友人たちの今を通して、生活や考え方の変化、さらに広東語で近隣の顔見知りに本音を聞くことで、表層でなく、個々の人間に魅力を感じるほどまでに、迫ってくるものがある。
そこに生活する人のバックグランド、毎日の生活、人つながりで支えあう人々、土地、金、パスポートへの欲。そもそも移民の流入先として成り立っていた香港の、その大陸からの流入時期によって、オールドカマーが、ニューカマーを下 -
Posted by ブクログ
この本はべらぼうに面白い!
著者の祖父が遺した手記を元に自らの一族のルーツを探っていくノンフィクション。しかし家族の歴史を調べていくなかで、図らずも江戸時代初期から平成に至る400年の日本近現代史の一側面が現れ出でてくる。それは、教科書に載ることはない、「世の常の人」(普通の人々)のバイタリティ溢れる生き様だ。
著者は大学で歴史を学んだという。さもありなん。本書における著者の視点は歴史家のそれと同じだ。
ちなみに、書名にある”コンニャク屋”とは著者の家の屋号とのこと。もうそれだけで、いったいどのような人たちであったのか、知りたくなるではないか! -
Posted by ブクログ
返還期の香港にまさに入り、感じたことを赤裸々につづる筆者。変わり続ける香港がもしかすると止まるかもしれない返還。これまでの香港に「慣れる」ために、様々な人の話をきき勉強していく筆者。なれるためには今まで生きてきた自分の魂を変化させていくことだ。香港人に戸惑い、傷つき、慰められ、笑顔にさせられ、結局自分のルーツである日本人であることを「誇り」とし、閉じこもった世界で持つ誇りに意味はなく、広い意味で国際交流しての「誇り・矜持」ならば大切であることに気づく。
僕(このレビューを書いている私)は香港中国返還の10年後、香港で半年間暮らした。悲壮感などなく、10年祭として大賑わいだった。観光で来る大陸 -
Posted by ブクログ
「しかし列車を降りる時間が近づくと、私は決まって感傷的になった。それは車内で出会った人たちとの別れを惜しむ気持ちと、もう一つは現実的な感情だった。それは、列車という密閉空間にいる時だけは少なくとも未来を考えずに済むからだった。」
星野博美は交渉の人だ。そして、交渉というのが、必ずしも自分の主張が自分の本当に求めているものなのかどうか、自分自身でも定かではない、ということも、よく心得た人でもある。交渉とは、相手と戦っているようでいて、本当のところは自分との戦いであることが彼女の旅の記憶から再確認されてくる。ずしりと重たいものが胃の辺りに襲ってくるのが判る。
交渉を止める時、選択肢は二つしかな -
Posted by ブクログ
香港返還前後を描いた2年間の記録。帯にあったその言葉に惹かれて手に取った本作。
2年のあいだ度々香港へ旅行した記録ではなく、実際に住んで、香港に暮らす人々と会話した内容がわかりやすくまとめやれていて読みやすい。
驚愕したのは茶餐廳で一目惚れ(?)した男の子が暮らす街に引っ越して、その男の子と親しくなるという行動力。令和の日本ならストーカーとか言われそう。土地柄なのか、時代なのか。
大陸出身の方の身の上話や、カナダパスポートを取れたから勝ち組というわけでもない話、めまぐるしく変わる香港に暮らす人々の順応性は興味深い。
「いつ奢ってくれるの?」と香港人が言うのは親しいから、麻雀は社会でのよ -
購入済み
馬と歴史を巡る
旅エッセイでいいのかな?
馬にのめりこむきっかけとなった
自動車運転免許の方と合わせて読むと
おもしろいのでは
車の運転は問題ありでも
馬の操縦は問題なしなのが? -
購入済み
今度は
自身のルーツを探る旅物語
既刊の文章も出てきたり、著者さんの作品を
読んでる方には懐かしさもあり‥
物物は消えても記憶は残る