星野博美のレビュー一覧

  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

     香港の返還には興味はあったが、旅行者としての視点を持っていなかった。
    だから、返還がお祭り騒ぎのようであり、しかも香港の在住の人に対して、言い尽くされた「返還をどう思う?」という疑問でしかなかった。
     それが、10年来の友人たちの今を通して、生活や考え方の変化、さらに広東語で近隣の顔見知りに本音を聞くことで、表層でなく、個々の人間に魅力を感じるほどまでに、迫ってくるものがある。
     そこに生活する人のバックグランド、毎日の生活、人つながりで支えあう人々、土地、金、パスポートへの欲。そもそも移民の流入先として成り立っていた香港の、その大陸からの流入時期によって、オールドカマーが、ニューカマーを下

    0
    2015年12月19日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    タイトルの意味は終盤になってようやく分かる。そして、そこへの収斂のさせ方が実に見事。「謝々チャイニーズ!」が仮説を立てる旅だとしたら、こちらは検証の旅といった様相。現地に身を置いたからこそ見えてくる香港の本質と、返還前後の貴重なルポ。いま読んでも全く古臭さを感じない。

    0
    2015年05月09日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    沢木耕太郎より面白い。香港を旅行したくなった。
    なお、米原万里の書評から本作と著者に興味を持ったのだけれど、ぼくみたいな人、結構いるみたいだね。

    0
    2015年03月15日
  • コンニャク屋漂流記

    Posted by ブクログ

    この本はべらぼうに面白い!
    著者の祖父が遺した手記を元に自らの一族のルーツを探っていくノンフィクション。しかし家族の歴史を調べていくなかで、図らずも江戸時代初期から平成に至る400年の日本近現代史の一側面が現れ出でてくる。それは、教科書に載ることはない、「世の常の人」(普通の人々)のバイタリティ溢れる生き様だ。
    著者は大学で歴史を学んだという。さもありなん。本書における著者の視点は歴史家のそれと同じだ。
    ちなみに、書名にある”コンニャク屋”とは著者の家の屋号とのこと。もうそれだけで、いったいどのような人たちであったのか、知りたくなるではないか!

    0
    2014年03月14日
  • 愚か者、中国をゆく

    Posted by ブクログ

    二年ほど 積読状態でした。
    天気が良かったけれど
    つい 億劫になって
    ひょい と 手にして読み始めたら
    これが 抜群に面白い

    歩く速さで考える

    というのは 星野さんのような方のことを言うのだ

    人に対しても
    その国(中国)に対しても
    ほど良い距離で
    ちゃんと 見て
    ちゃんと 考える
    その
    ものすごく難しい課題を
    難なくこなしておられる
    のが 素晴らしい

    0
    2013年11月09日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    返還期の香港にまさに入り、感じたことを赤裸々につづる筆者。変わり続ける香港がもしかすると止まるかもしれない返還。これまでの香港に「慣れる」ために、様々な人の話をきき勉強していく筆者。なれるためには今まで生きてきた自分の魂を変化させていくことだ。香港人に戸惑い、傷つき、慰められ、笑顔にさせられ、結局自分のルーツである日本人であることを「誇り」とし、閉じこもった世界で持つ誇りに意味はなく、広い意味で国際交流しての「誇り・矜持」ならば大切であることに気づく。

    僕(このレビューを書いている私)は香港中国返還の10年後、香港で半年間暮らした。悲壮感などなく、10年祭として大賑わいだった。観光で来る大陸

    0
    2012年12月06日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    香港に住んでいても、広東語がわからない私には香港の人と話をすることができない。すれ違う人たちがどんなバックグラウンドを持っているのか、どんなことを考えるのか。それを理解する多少のヒントになったかもしれない。とても面白く夢中で読んだ。

    0
    2012年09月21日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    文章の歯切れがよく、テンポ良く構成されていて、あっという間に読んでしまった。

    様々な背景の人が集まり、人も政治も経済も流れが速い香港。そんな香港が大好きなのに、安定を望む日本人である自分は、香港人にはなれないと著者。
    日本は「千代に八千代にさざれ石の巌となりて苔のむすまで」安定を求める気質であることに対して、香港は「転がり続ける」と表現されている。
    このタイトルの付け方に膝を打ってしまう。

    星野博美さんの本は、早く続きを読みたい!と急かされるように読んでしまうなー

    0
    2012年08月15日
  • 謝々! チャイニーズ

    Posted by ブクログ

    解説に「米原万里さんの書評を読んで、手にとった方も多いのでは?」とあるように、そのまんま私です。
    20年も前の旅行記なのに、陳腐化していないどころか、引き込まれて一気に読んでしまった。
    改革解放後、中国には見なければ
    ならない夢が沢山あると表現されている…
    どの街にも一癖あるけど人懐っこい愛すべき中国人が登場していて楽しい。
    そして、著者が今の自分と同じくらいの歳に旅した記録ということもあり、目が離せなかった。

    0
    2012年08月04日
  • 銭湯の女神

    Posted by ブクログ

    この人の本が、もっと読みたいなぁ。写真家の視点・・・なんてわかった言い方をしたくないほどに、日常生活のあらゆるものを見る目がすごい。100円ショップの商品から世界経済を見、ゴミの中から働く人たちへと目を向ける。ちっとも偉そうじゃないのにすごい展開力、深い深いまなざし。この人と一緒に歩くとこんなふうに見えるんだなと、静かに感動してしまう。

    0
    2012年05月22日
  • 愚か者、中国をゆく

    Posted by ブクログ

    文章が上手で感性豊かな着眼。とても気持ちよく読めました。そして共感すること、驚きも多し。お薦めの一冊。

    0
    2012年01月29日
  • のりたまと煙突

    Posted by ブクログ

    橋口譲二さんと仕事をしていた
    その「事実」だけで
    手に取った一冊

    のんきな書名とは
    うらはらに
    著者の手にかかると

    日常のささいな出来事の中に
    こんなにも
    奥の深い
    (名も無き)人間たちのドラマ
    が 立ち上がってくる

    0
    2012年08月11日
  • 謝々! チャイニーズ

    Posted by ブクログ

    中国を知りたいなら実際に行って人と触れ合うことだ。
    それをシンプルに教えてくれる本だと思う。著者の感性と行動力が凄い。本当に面白い中国ルポです。

    0
    2010年05月07日
  • 愚か者、中国をゆく

    Posted by ブクログ

    「しかし列車を降りる時間が近づくと、私は決まって感傷的になった。それは車内で出会った人たちとの別れを惜しむ気持ちと、もう一つは現実的な感情だった。それは、列車という密閉空間にいる時だけは少なくとも未来を考えずに済むからだった。」

    星野博美は交渉の人だ。そして、交渉というのが、必ずしも自分の主張が自分の本当に求めているものなのかどうか、自分自身でも定かではない、ということも、よく心得た人でもある。交渉とは、相手と戦っているようでいて、本当のところは自分との戦いであることが彼女の旅の記憶から再確認されてくる。ずしりと重たいものが胃の辺りに襲ってくるのが判る。

    交渉を止める時、選択肢は二つしかな

    0
    2009年10月07日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    そのタイトルをみて、なんだかとてもドキドキしてしまい手にした一冊。
    中国返還頃の香港にひとり赴いた星野さん。
    学校に通い生活をして、香港という街の複雑さと、人の強さを記しています。
    結構な頁数だったように思うけど、引き込まれました。
    同年代で、写真家である星野さんですが、文章も好きです。
    「銭湯の女神」もお奨めです!

    0
    2012年08月16日
  • 転がる香港に苔は生えない

    Posted by ブクログ

    香港返還前後を描いた2年間の記録。帯にあったその言葉に惹かれて手に取った本作。

    2年のあいだ度々香港へ旅行した記録ではなく、実際に住んで、香港に暮らす人々と会話した内容がわかりやすくまとめやれていて読みやすい。

    驚愕したのは茶餐廳で一目惚れ(?)した男の子が暮らす街に引っ越して、その男の子と親しくなるという行動力。令和の日本ならストーカーとか言われそう。土地柄なのか、時代なのか。

    大陸出身の方の身の上話や、カナダパスポートを取れたから勝ち組というわけでもない話、めまぐるしく変わる香港に暮らす人々の順応性は興味深い。

    「いつ奢ってくれるの?」と香港人が言うのは親しいから、麻雀は社会でのよ

    0
    2025年10月19日
  • 【電子特別版】馬の惑星

    購入済み

    馬と歴史を巡る

    旅エッセイでいいのかな?

    馬にのめりこむきっかけとなった
    自動車運転免許の方と合わせて読むと
    おもしろいのでは

    車の運転は問題ありでも
    馬の操縦は問題なしなのが?

    #シュール

    0
    2025年07月29日
  • 旅ごころはリュートに乗って

    Posted by ブクログ

    ヨーロッパだと中世が好きなので、作者の見方に共感したり、なるほどなぁ、と思ったり。(私も宮廷音楽より民衆におけるそれの方が好み。華美より素朴なもの。作者はプラス熱いものが好きそう。)
    ヨーロッパにおけるユダヤ人、中世日本のキリシタン、どちらも迫害されるものとして作者の興味を惹きつけてるのかなと。
    信仰とはなんなのか、を信仰する側から見た考察もあり、
    マイノリティへの眼差しと、当時の人々にとっての異国への理解や認識を掘り下げており、それを自分の言葉として語っているのがよかった。

    0
    2025年06月19日
  • コンニャク屋漂流記

    購入済み

    今度は

    自身のルーツを探る旅物語
    既刊の文章も出てきたり、著者さんの作品を
    読んでる方には懐かしさもあり‥

    物物は消えても記憶は残る

    #シュール

    0
    2025年06月07日
  • 銭湯の女神

    Posted by ブクログ

    香港から帰国した著者の日本を舞台にしたエッセイ。
    香港を舞台にした前作に比べると、著者の元気がなくなってしまっている気がする。
    日本社会が人間同士の関わりが少ない社会だからかもしれない。
    私がテーブルを買うとき、パンクは態度である、偽装結婚、歴史の教科書の項は著者の威勢が感じられてよい。

    著者の思想が感じられる本はいい。
    疑うということをやめないこと。

    2025.5.24

    0
    2025年05月24日