【感想・ネタバレ】のりたまと煙突のレビュー

あらすじ

ファミリーレストランで、近所の公園で、人生の瞬間と現代を鋭く見すえる――。『転がる香港に苔は生えない』で大宅賞、『コンニャク屋漂流記』で読売文学賞を受賞した星野博美。本好き達に激賞された、短篇小説のようなエッセイ集が電子版で登場!

すべてを忘れて、私たちは幸せに近づいたのだろうか……。
吉祥寺と、戸越銀座。著者はさまざまな猫たちとの出会いと別れを経験し、生と死、そして忘れえぬ過去の記憶へと思いをめぐらせていく。
さりげない日常からつむぎ出される短篇小説のようなエッセイのひとつひとつに、現代への警鐘と内省がにじむ。

解説・角田光代

※電子書籍化にあたり、新章「地中に埋まっている部分」を収録。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

星野博美の身辺を綴ったエッセイ60篇、時期からいうと『銭湯の女神』の妹分。頻出するのはネコと死。
書名の「のりたま」はネコ「のり」と「たま」。「煙突」はなにやら死を連想させるが、星野が住んだ武蔵野の銭湯のある風景のこと。レクイエムが中心だが、そのトーンは必ずしも暗くない。
「忠臣蔵」と「族長の死」がいい。前者は、忠臣蔵を知らなかった友人の話に始まり、泉岳寺の四十七士の墓、幼い時の傷痍軍人たちの思い出、そして同じ頃に熱中したドリフターズの墓や戦争孤児をめぐるコントへとつながってゆく。
「族長の死」は祖父のこと。その通夜で、生前のことを書いた8歳の星野の作文をみなが読んでおいおい泣きまくる。これが5年後の『コンニャク屋漂流記』につながってゆくとは!

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2025年05月03日

Posted by ブクログ

橋口譲二さんと仕事をしていた
その「事実」だけで
手に取った一冊

のんきな書名とは
うらはらに
著者の手にかかると

日常のささいな出来事の中に
こんなにも
奥の深い
(名も無き)人間たちのドラマ
が 立ち上がってくる

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2012年08月11日

Posted by ブクログ

簡潔な文体がいいな、と思った。
自分は作者ほど豊かな感性を持ち合わせていないと知った。
動物とのスタンスは、かなり異なる。
そして私は米国より英国贔屓、ネズミの国のキャラクターにはまるで心がときめかないのであった。

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2014年08月30日

Posted by ブクログ

この人のエッセイ、割と好きです。これは、彼女と猫たちとの関わりを主軸にしたエッセイ。
この本の解説をしている角田光代氏もだけど、星野氏も自分と近い世代なので、なんとなく目線が似ているというか、似ているからこそ異なる部分が際だって、その人の持つ感覚がとても気になる、そんな気持ちにさせられるエッセイ。

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2012年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

表紙の猫の写真が気になって手をとってみた。
読んでみて彼女の世界と対面する。
そこには猫はもちろん彼女の家族、そして香港でのエピソードや日常生活でふと思ったことが12章にわかれて描かれていた。 

この本を読んで一番に感じたのは、彼女の周りにはあまりにも死にあふれていると。
…いや、実は気が付いていないだけで誰の周りにもあふれているんだろう。
彼女の独特な死に対しての考え方や周りの人たちとの環境でそれが目立っているだけ…涙を流すような死ではなく、淡々と(本人はそんな気は無いのかもしれないが)描かれていることが、余計に死が身近なことなんだと印象づける。
それに猫や家族に対する愛情はかなり感じる。
ただかなりの好き嫌いがある作品だと思うので評価は3で。

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2013年05月01日

Posted by ブクログ

猫と作者との関わり合いが、絶妙なタッチで書かれています。
女性にしてはベタベタしていない文章が私好み。

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2009年10月04日

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